6月もなかばに差し掛かったある日俺、七夜真導は学校に行く為鬱陶しい雨の中を片手に傘、もう片方には鞄といたってごく普通の格好で登校していた。
ゆっくり、とでもないがそんな感じで登校中の俺に突然、災厄が舞い降りてきた(追突してきた?)。
ゴスッ!
といい音で俺の背中に災厄は肘打ちを打ち込んできた、あまりの痛さに俺が後ろを振り向く、当然犯人は判明している為
「おい、沙織お前朝っぱらから何してんだ!!」と言い返すと打ち込んできた本人は満面の笑みで
「おはよう、今日も一緒に登校しようか」
などと、言われたら情けないことにすっかりと怒気は修まったこれが俺の日常なのである
「はい、はいじゃあ行きますか私の愛しいお姫様?」
という皮肉にもならないことしか言い返せないのもいつものことである
「じゃあ、学校までは距離があるしここら辺で読んでもらってる人達の為に軽く説明いっとくかぁ〜」
「真導?何言ってんの?あんた」
「いや、いや別になんでもないぞ?」
「ふ〜ん?ならいいけど」
じゃあさっそく説明ってことで沙織とは俺の恋人ってやつだ、まぁ住んでるところも同じだから半同棲みたいなもんなんだけど親父、母さんその他大勢居るから
あんまり実感は無いんだけどなまぁ、俺達の馴れ初めについてはまた別の話ってことで親父や母さんその他大勢の説明もしたいんだけど・・・・あってからでいっか
「お〜い、真導何ぶつぶつ言ってんのもうすぐ学校だよぉ〜」
そんな沙織の言葉に沙織の方を見ると沙織は結構遠くまで行っていた。
「ちょっ、沙織待てよ!」
「だ〜め!真導が走りなよ」
などと正しく”バカップル”の様な感じなんだが不思議と現実に戻って来たんだな、と安心してしまう。
―キ〜ン〜コ〜ン〜カ〜ン〜コ〜ン―
という予鈴の合図が突然聞こえてきた、俺と沙織両方ともが顔を見合わせ
「やばっ!走るぞ沙織!」
「うん!!」
といって全速力で校舎の中に駆けていった
その日学校は教職員の用事なんかで昼間で、昼になるとみんな家路に着いていたそして俺は例の如く沙織とイチャイチャしながら戻ってきたわけである。
―ガラ
と玄関の戸を開け居間に入った沙織はどうやら自分の部屋で着替えてから来るらしい。
「だ〜、腹減ったぁ〜母さん飯まだなの?」
というと母さんは何かを見つけたように俺のほうに走ってきた
「真導〜、帰って来てたんだ何お腹空いてるの?ごめんねもうすぐ出来るからもうちょっとまっててね?」
「わかった、わかったからいい年して息子に頬擦りするのは止めてくれ」
と無理やり引き剥がすと
「え〜!真導のケチ〜もうちょっとさせてくれてもいいんじゃない?ただでさえ最近志貴は忙しくて毎日疲れているからあまり無茶な事はできないのよ」
などと言って今度は俺の首を締め出したのである
―親父は関係ないよ!っていうかそんな2人の事なんかしらないよ!!あぁ〜だれか助けてくれ〜沙織〜まだなのかよ〜
そう思っていたときやっと俺のに救いの手が差し伸べられてきたのだ
「ただいま」
そういって親父が居間に入ってきた
「あっ!今回の仕事ははやかったんだね!相手弱かったの?」
「いや?別にそんなことはないぞ?これでも苦労したんだよ、所でアルクェイド?フライパンから煙が出てるようだぞ?あれ、どうするんだ?」
「えっ?うそ〜?はやく止めなくちゃ!!」
あぁ〜、助かったあのままでいたら首がどうかなってたぞ
ちなみにさっき俺を殺そうとしたのが母親の七夜・アルクェイド・ブリュンスタッドで俺を助けてくれたのが親父の七夜志貴だ
ちなみにさっきいってた仕事っていうのは吸血鬼狩りである、主に死徒と呼ばれている吸血鬼を抹殺するのが父さんの仕事である、それに社長でもあったりする
社員は親父を含めて7人であるしかも親父以外は全員女ですべてかなりの美人である、しかも親父と年齢はほとんど変わらないのに外見はまるでみんな20歳前後の
ようであった、なんでもアトラスの学長と親父の元・妹の秋葉さんの所の使用人琥珀さんが4〜5年かけて作ったものらしいえ〜と確か開発費は何十兆いったのかな?
と余計なことまで思い出して考え込んでいると
「真導、久しぶりだなどうだ”あれ”は使いこなせるようになったか?」
「魔眼の”あれ”のこと?」
と突然聞かれ”あれ”かどうだろうまだ安定はしてないんだよな第一”あれ”は使い方間違えたら死ぬからなぁ心の中で呟きながら
俺がう〜、と唸っていると親父が笑って
「よしっ!昼飯食べたら久しぶりに稽古つけてやろうそれで稽古の最後に”あれ”がどこまで制御できるようになったかテストしよう」
「わかったよ、でも俺は本気で行かせてもらうぜ?親父覚悟しとけよ今日こそは勝ってやる」
「ははっ!よし、その意気だ!でも俺もまだまだお前には負けないぞ?」
「ふん、今日は絶対に負けねえ」
と親子で火花を燃やしているところ台所では
「キャー、消し炭になってる・・・」
「まぁ、まぁアルクェイドさん落ち着いてもう一度最初から作りましょう?」
「うん、そうだね!!もう一回つくろう!!」
「はい、その意気です!」
「でも・・・」
「でも?」
「何作ってたのか忘れちゃった」
「え〜!!」
「しょうがないですね、私がやるんでアルクェイドさんは手伝いをおねがいします」
「うん、ごめんね〜」
といつの間にやら居間に入ってきていた沙織と母さんが女の闘いをしていた
―昼食から一時間後―
家の庭に出た親父と俺は入念に準備運動をしていた
「で、真導どうなんだ?だいぶ慣れてきたか?」
「ん?魔眼の事?魔眼には慣れたけど”あれ”を使おうとすると何か緊張して巧く出来ないんだよ」
「そうか・・・まぁ、訓練していけばそのうち制御できるようになるだろう」
「そのうちね〜、まぁ実践じゃ巧くいくのに普段出来ないのは不便だよな〜」
「実践に強いのはいいことだぞ?真導」
「わかってるよ、でもそれじゃあ本当に守りたいものが守れないかもしれないだろ?」
「そう・・・だな、よし!じゃあお前がはやく一人前になるように普段の二割り増しでいくぞ!!」
「ふん、望む所だぜ、親父っ!!」
その俺の声が合図だったように俺と親父の体は一瞬で後ろに跳び引いた、不意に親父の両腕がだらんと垂れ下がり俺を挑発するような仕草をしてこう言った
「こいよ、ちょっと遊んでやる決めるなら今だけだぞ?それ以外お前が勝つ道は無い」
「そこまで、俺に倒されるのがお望みならそうしてやるよ!!」
鋭く地面を蹴りこれ以上ないほどのタイミングで俺は親父に仕掛けた、もう親父が目の前だよしいける!そう確信した俺はもう一度鋭く地面を蹴り親父に真正面から
突っ込んでいった、とった!!そう思った瞬間親父の体がぶれるように動き俺が捉えたはずの親父の姿は俺の前になかった、一瞬呆然としていた俺だったが横からの
強烈な殺気に全力でその場から跳んだ、そして一定の距離を空けて俺が退いた場所に立っている親父を睨んだ
「おいおい、真導まさか今のが本気じゃないよな?この程度であの吸血鬼と闘って倒したのか?力任せじゃ駄目だお前の持てる能力を全て注ぎこんでかかってこい」
「あんたは一体何者なんだよ、俺の親父ながら化け物じみてるな」
「そうだな、まぁ、強いて言うなら”殺人貴”って所か?」
「そうか、わかったなら全力でいくぜ?殺人貴さん」
そういって俺はゆっくりと目を閉じ、世界と自分とが一体になっていく姿を想像した、俺は母さんとは違ってこうしないと力を汲み取れないから不便だよな、と思いつつ目を開ける
そしてまたさっきと同じように親父、いや殺人貴に向かって一直線に駆けて行った
「また真正面から突っ込んでくるだけか?いい加減学習しろ、馬鹿」
そういうと殺人貴の体がまた左右にぶれた、ここまではさっきとまったく一緒だったのだがさっきとは見ているものが違ったそして俺がまた体に触れようとする直前にまた親父は俺の
目の前から姿を消し俺は親父の”真横”にいた
「何っ!足首の動きで俺の動きを読んだのか、くそ真導俺をはめたな!!」
「あぁ、親父が単純で助かったよこれで詰みだな残像を残すくらいのスピードなら今の俺には楽勝だ」
一瞬親父の体がまた左右にぶれた気がしたが俺はそれを気にも止めずに殴りかかった
「な〜んてな、そんなのに引っかかるか、馬鹿息子」
「嘘だろ?親父いつの間に俺の後ろに?」
「勝負はいつでも形勢逆転可能だ、お前の読みが甘かったな最後の最後にボロがでた」
「くそっ!」
そこで俺の意識は跳んだ
起きてみれば俺は居間に居て時間はもうすぐ七時だったまだ少し親父に叩かれたであろう延髄が痛い、それに久々に力を汲み取ったせいか体が鉛のようにだるい
「痛って〜親父もちょっとは手加減しろよな」
「そういうな、手加減があまりできなかったんだよ」
「なんだ親父そこにいたのか、ならはやくいってくれよ」
「それはすまんな、ところでお前の”あれ”みれなかったな」
「そういえばそうだな、まぁ、いいよ今日のはこれで十分さ」
「そうか、じゃあまた別の日に見てやるよ」
「わかった、ところで親父?今日の俺どうだった?」
「点数でいうと無し」
「はぁ?なんだよそれはそれはないだろ!」
「まぁ落ち着けで体術という点では70点くらいだな」
「何だよ、それならそうと早く言えよ、で今日は何が悪かったんだ?」
「真導、これだけは覚えておけ闘いになったら絶対に気を抜くな、気を抜いた瞬間たとえどんな相手だろうと今日俺がやったように逆転されるぞ」
「わかった、あんなことはもうこりごりだからこれからは常に気を配ってるよ」
「ん、それでいい俺からはそれだけだよ」
でも、あの親父の動きは何だったんだ?まるで時間が止まったように気がついたら俺の後ろにいたな、親父は魔術なんかは使えないはずだし、魔術を発動した形跡が
ないんだったらあれは親父の技量だったってことかでもまるで蜘蛛みたいだよな、それにしても親父あれで30%ってどんな化け物なんだ?やっぱりいつもどうり10%くらいに
してもらった方がよかったか?いやでもそれじゃあ、訓練にならねえし
と俺が思考の海にダイブしていると
「真導、ご飯食べるわよ、はやくこないと全部、アルクェイドさんや志貴さんに食べられちゃうんだから」
「おう、わかったすぐ行く、まぁいいかそのうちわかるだろ」
と食事の時間になっていたようなので居間のテーブルがある場所へといった
でいつも通り風呂に入るまえに犬の散歩に行くわけだが近くの公園に差し掛かったところで思いも知らない人がいた
「アルトルージュ伯母さん今日は旅行に出かけているんじゃないんですか?」
「真導よ、私はお前が心配でここまできてやったんだぞ?」
「はぁ、それはどうも」
ちなみにアルトルージュ伯母さんはいつも親父達の家で生活をしている、何でこんなことになったのかをいうととても長くなるので端的にいうとアルトルージュ伯母さんが親父達と
一緒に住むことが親父と母さんの結婚を許す条件だったらしい、ついでにいっておくと俺が毎日散歩に連れて行っている犬はプライミッツ・マーダーらしい、まぁ知っている人が聞いたら
びっくりするだろうが、この犬は俺にとてもよく懐いてくれているのであんまり気にしていない
「ところで、真導に提案があるのだが?」
「何ですかその提案って?」
「うむ、修行してみるきはないかと思ってな」
「修行?」
修行っていうとあれだろうか、谷に突き落とされながらタフネスを鍛えたり、野性の大猿なんかと闘って来いとでもいうのだろうか?
それとも崖でも昇れってか?
「真導、お前が考えているものとは違うぞ」
「えっ?どうしてわかったんですか?」
「顔をみればわかる、そんなことより修行してみるきはないか?」
どうしよう、突然そんな事言われてもな〜、でも強くはなりたいしな、ちょっと質問してみるか
「質問なんですけど死ぬことはあるんですか?」
「ある」
うわっ、言い切られちゃったよどうしようか?あんまり無茶なことするとみんなに迷惑が掛かるし修行内容聞いてみるか
「あの〜、修行とは一体どこで何をするんですか?」
「ふむ、まず場所は」
「場所は?」
「18年前の冬木市だな」
「え!!!」
「で次に内容だが、そこで行われる聖杯戦争に勝利してくることだ、わかったか?」
俺はまさしく目が点になっていた、百歩譲って18年前の冬木市に行くのはよしとしよう、ゼル爺にいえば一発だろうからなつまりそんなことより問題は
その場所の聖杯戦争なるものに出場しろということのほうだ
「真導よ、驚くのは分かっているが返答を早くもらえないだろうか?」
「そうだぞ、真導ものの試しに行ってみたらどうだ?ワシはよい提案だと思うがな」
そういってこっちに歩いてきたのはゼル爺だったゼル爺とは生まれたときからよくあっていて簡単な魔術なんかも教えてもらっているでも今は確か別の時代に行っていて
行方不明扱いだったはずだ
「ゼル爺?どうしてこんな所に?何しに来たんですか」
「どうして?とは心外だなお前はアルクェイドの息子ということはワシはお前のことを孫だと思っているぞ?」
「それはわかりました!何をしに来たのですか?」
「アルトルージュが真導を18年前の聖杯戦争へ修行の一環として送ってくれないか?と相談されたものでな、他ならぬ真導の修行の為であるからワシがここまできたのだが?」
やっぱりだ、俺の予感は寸部の狂いも無く当たってしまったでもこの話の流れじゃ始めから俺が行くことは決定してたんじゃねぇか!!伯母さんにもゼル爺にも困ったもんだ
特にゼル爺に言われたら逆らえないし、よしっこうなればやけだ戦争でもなんでもやってやろうじゃねぇか!!
「アルトルージュ伯母さん、ゼル爺、やってみるよそれでその戦争に勝ってあの親父に勝てるほどの実力をつけて帰ってくるよ」
「そうか、真導なら私からは何も言うことは無い、詳しいことはゼルレッチから聞いておけ、では私は熱海に帰ってゆっくり温泉にでも浸かっておるわ」
「あぁ、伯母さんゆっくりしてきてくれ」
「ふっ、真導、死ぬなよ」
そう言ってアルトルージュ伯母さんは闇に融けるように消えていった、俺がしばらく伯母さんが去ったほうを見ているとふいにゼル爺が口を開いた
「さて、あんまりぼやぼやしていられそうもないようじゃから簡潔に聖杯戦争のルールをお前の頭の中に流しこむ、すまんがそれで理解してくれ」
そういってゼル爺は俺の頭に手を置いた、その瞬間過去の聖杯戦争のことなど莫大な情報が一気に流れてきた
「ハァ、ハァッ、ギッ、くそっ何だこれは頭が割れる!!!!」
「もう少しじゃ、辛抱しろ!」
そうは言ってももう限界・・・・だ、意識を失いかけたとき突然情報の波が治まってきたどうやら終わったらしい
「ゼル爺・・・終わったのか?」
「あぁ、これで全部じゃどうだ引っ張りだしてみろ」
「いや、そんなことしなくても把握できたよ、だてに母さんの子供じゃないからね」
「そうだな、ではこれからお前を18年前の冬木市に送るがかまわんな?」
「あぁ、いつでもやってくれ」
そういうとゼル爺は俺から一歩離れ何かの呪文を紡ぎだした
「時を駆ける者、その者の名は真、今ここに次元の扉を開き、それをもって完とす、開け”Distortion of a dimension”」
ゼル爺の詠唱が終わり自分のたっている場所を見ると青白く光っていたそして俺は
「ゼル爺、勝ってくるよ俺必ず、だから親父や母さんそれに沙織には心配するなっていっておいて」
「わかった、そう伝えておこうワシもお前の聖杯戦争が終わる頃にそちらに行くから帰りは心配するでない、では一時別れの時じゃまたな真導」
「あぁ、皆によろしく」
俺がそういうと青白く光っていた地面はより一層輝き俺はその光に吸い込まれるようにしてしばらくの間この時代からお別れすることのなった
そして物語は十八年前の冬木市へ
It continues to next time.
作者の感想:やってしまった(汗
こんな駄文ばかりのSSを見てくださりありがとうございます。
初心者の私ですがこれからLvUPしていきたいのでよろしくお願いします
尚、今作品では志貴君が”あの吸血鬼”とかいったり謎のオリキャラ沙織
なんかも出てきますがそちらの方は私より数段巧い文章を書く友人に書いて
もらっていますのでそちらの方も楽しみにしていてください。
どうも、読ませてもらいました〜。
いや結構好きッスよ?こういうSS。
月姫では志貴×アルクが一番好きだったし。
オリキャラの真導君がどのサーヴァントと契約するのか楽しみですね。
それに魔眼の能力も気になる…。
自分もSS初心者でなかなか書けず四苦八苦してます。
今『鬼武者』の明智左馬介をサーヴァントにするというSSを(無謀にも)考え中…。
あと公式HPに投稿すべく小次郎の短編を作成中です。
peinさんも参加してみてはどうでしょう?