シロウすまない・・・・・・。
まさかこんなことになるなんて・・・・
まさかこの二人がここまでの殺気を帯びた笑顔を出せるなんて・・・・・
・・・・・三十分前
シロウとミス・トオサカがやって来た。
早速、中に招き入れ今日行う事について軽く説明をした。
今日行うのはシロウの魂の完全な解析
そしてベースとなる素材へのシロウの魔力の注入だ。
シロウの宝具を造るには俺がシロウの能力を完全に把握しなければならないし、その宝具
をシロウになじませるために魔力の注入は不可欠だ。
大体の説明を終えると、ちょうどその時ドアをノックする音が聞こえてきた。
おそらく相棒が来たのだろう。
二人をソファーに待機させてドアへ向かいドアを開け放つとそこには相棒が立っていた。
相棒を招き入れ二人に紹介しようとしたその時だった・・・・。
部屋の中の空気が一瞬にして凍りついた。
息が吸えない。
声が出せない
身体を動かすことが出来ない。
かろうじて眼球だけを動かすと、シロウもこっちと同じような状況になっていたらしい。
眼が合うと「どうして?」と眼で訴えていた。
その顔は恐怖と混乱で歪んでいた。たぶん俺も同じような顔をしているだろう。
この状況を作り出した二人はとても美しい笑顔で微笑んでいる。
本来なら見惚れてしまうほどの美しさ。
しかし、それは二人の放つ圧倒的な殺気で相殺、いや塗り潰されている。
そんな空間の中、二人の会話が当然の如く始まった。
「なぜ、あなたがこんなところにいるのかしら?ミス・トオサカ」
「こんなところ」とは酷いなぁ。毎日ここに来るくせに、まぁそんなことを言ったらまず間違いなく俺に明日は来ないだろう。
「それは私のセリフですわ。ミス・エーデルフェルト。なぜあなたがここに?」
む、どうやら二人は知り合いらしい。そういえば以前「負けられない相手ができた」と言っていた。今の状況を見る限りおそらくそれはミス・トオサカのことだろう。
「ワタクシは彼の補佐役としてここに来ましたの。であなたは?」
「今日は私の弟子がお世話になるので来ただけですわ。それが何か?」
こちらに振り向くと「そうですの?」と視線を突きつけてくる。お願いだから殺気まで一緒に向けないでくれ涙を堪えることが出来なくなりそうだ。
「そ、そうだけど・・・・何か問題でもおありでしょうか?」
ビクビクしながら問いかける。自分が罵倒されるかと思ったが返ってきた答えは
「なるほど・・・・・あなたが言う「極上の魂の持ち主」がミス・トオサカの弟子のことだったのですね。」
と、意外とあっさりしたものだった。そう、この後の言葉がなければ
「しかし、それではあなたの見込み違いだったということですね。」
この言葉をきっかけに二人の間の火花が視認できるのではないかというくらい論争が激化したのは言うまでもない。もちろん笑顔のままで。
「ところでそろそろ始めたいんだけど・・・・・」
二人の争いがようやく一段落したところを見計らって二人に話しかける。
「そうね。さっさと始めましょう。」
「そうですわね。では始めましょうか。」
二人は言い争いを止めると同時に工房へと歩みを進めていた。しかし彼女は何かを思い出したかのように歩みを止めシロウへと振り向いた。
「そうですわ。自己紹介が遅れました。ワタクシはルヴィアゼリッタ=エーデルフェルトと申します。よろしくお願いしますわ。」
シロウはその言葉でようやく恐怖の世界から戻って来たようだ。
「あ、衛宮士郎です。よろしくお願いしますエーデルフェルトさん」
「ルヴィアでいいですわ。ミスタ・シロウ」
「わかりましたルヴィアさん。」
二人が握手をするとミス・トオサカの眉がつりあがっていた。そんな反応はルヴィアとそっくりだ。案外二人は息が合うのかもしれない。
自己紹介を終えるとすぐ工房へ向かう。
まずは魂の解析からだ。
シロウを椅子に座らせる。
眼に魔力を注げるだけ注ぎ、シロウの魂を見る。
今日は昨日見れなかった情報を見ることに専念する。神経をその一点に集中させる。
時間にして三十秒かけて新たな情報を引き出すことに成功した。
新たに引き出せた情報は3つ
シロウの身体と宝具が融合していること
そしてシロウの過去、十一年前の災害のこと
ここで疑問が浮かんだ。昨日、なぜ過去の記憶を読めなかったのだろう。と
最初のは理解できる。
宝具の情報を見るには時間も魔力もかけなかった。
しかし過去の記憶を見るには十分だった。なのに何故?
そんなことを考えているうちに意識が闇へと沈んでいった。
続く
あとがき:前回から題名を変えました。
ルヴィアさんが登場しました。ほかのメンバーも出したいとおもいます。