Fate/stay night if
シリアス 長編 Fate全般
タイトルからしてパクリな再構成長編二次小説。
テキストまではパクリじゃないように、と。
意識して書いた初挑戦SS。
―――if。
もし、マスターとサーヴァントの組み合わせが違っていたら・・・
もし、違った人間がマスターだったら・・・
もし、勝者が変わっていたら・・・
もし、・・・・・・etc。
そんな感じ? で、たらたらと乱筆乱文のままで
書き連ねていこうかと考えています(ぉ
Fate/stay night if 一日目
手にした者の願いを叶えるという聖杯。
その聖杯を実現させる為、一つの儀式が行われようとしていた。
聖杯に選ばれた七人の魔術師であるマスターに対して
聖杯が選んだ七騎の使い魔となるサーヴァントを与える。
騎士 "セイバー" 槍兵 "ランサー"
弓兵 "アーチャー" 騎兵 "ライダー"
魔術師 "キャスター" 暗殺者 "アサシン"
狂戦士 "バーサーカー"
マスターはこの七つの役割、クラスを被った
使い魔一人と契約し、自らが聖杯に相応しい事を
証明しなければならない。
つまり。
マスターとなった者は他のマスターを消去して、自身こそ
最強だと示さなければならないのだ。
杯を求める行いは、その全てが“聖杯戦争”と呼ばれる。
この地に起きる儀式は、その名に恥じない“殺し合い”といえるだろう。
幼い頃火災によって両親を失い
孤児になった衛宮士郎は魔術師を名乗る人物に引き取られる。
養父の反対をおしきって魔術を習う衛宮士郎だが、まったく才能がなく
何年とかけて身についた魔術は一つだけだった。
その養父も今は亡く、衛宮士郎は半人前の魔術師として成長する。
そうして現在。
ふとしたきっかけからマスター同士の戦いに巻き込まれた
衛宮士郎は、偶発的に七人のサーヴァントの一人である
キャスターと契約する事になる。
望まぬままマスターの一人になった主人公は、聖杯を巡る戦いへと
身を投じる事になるのだが────
「―――確認します」
そうして衛宮士郎の前に立ちはだかっている美しい紫の法衣で身を
包んだ女性であると思われる存在が問い掛ける。
「私がこうして現界されている事実から、そうであると思いますが
貴方が私を携えるマスターで間違いないですね?」
―――疑問。
―――混乱。
―――恐怖。
目まぐるしい感情が衛宮士郎の脳内を駆け巡る。
自分は夢でも見ているのだろう。
そう、これは夢以外の何者でもないのだと――。
そんな答えで片付けてしまいたい。
衛宮士郎は考えていた。
硬唾を飲み込む音がハッキリと聞こえる。
何故、自分であるのか。
いまから起こり得る出来事の是非も知らぬまま
衛宮士郎は神に疑問を投げ掛けた。
しかし、右腕を侵食しているかのようにジクンと痛む
奇妙な形をした痣が、それを夢ではないのだと衛宮士郎へ告げている。
「―――なるほど」
衛宮士郎の態度、その言動から推測し、この人間はマスターの資格を
有しているが、魔力は乏しく、この聖杯戦争についてのルール、その
詳細について全くの無知であるのだと。美しい紫の法衣に身を包んだ
魔術師、キャスターのサーヴァントは悟った。
「―――マスター。どこか暖かく落ち着いた場所があれば移動しまし
ょう。そこで貴方に成せばならぬ事。その成さねばならぬ意味。私が
どういった存在で貴方がどういった身分というのかを事細かに説明致
しますので」
その魔術師、キャスターのサーヴァントは淡々と衛宮士郎に言った。
たしかに聴かなければ、知らなければならないことが山ほどあるのは
確かである。衛宮士郎はキャスターを自宅居間へと案内した。
そこで衛宮士郎が知る驚愕の事実。
これは決して曲げることの出来ないものなのだと、冷静に説明をする
キャスター。そこには哀れみを抱いた感情など一握りもなかった。
そうして理解する聖杯戦争の意味。マスター同士で殺しあわなければ
ならないという残酷な理由。サーヴァントが存在する意味。その役割
その経緯、宝具と呼ばれる相手を屠る為の必殺武器、サーヴァントの
クラス名に隠された真名。衛宮士郎は疑問を多数抱えながらも、大体
の事情を理解し、飲み込まねばならない事実をようやく受け入れた。
「ところで、聖杯戦争で七人のマスター同士で争うって、ゆっても誰
がマスターで誰がサーヴァントなのか表向きは全くわからないってん
だよな? だったらどうやっていくつもりなんだキャスター?」
これからマスター同士で血で血を拭う争いへ身を興じなければならな
いことを受け入れるのと同時、生き残る為の勝利を画策する為、無知
である衛宮士郎はキャスターに策を求めた。
「――それについては私に少々提案がありますマスター」
一際、真剣な表情で見つめながらキャスターは語る。
その内容はこの冬木市に住む人間から精気を魔術で吸い上げ、自分の
魔力貯蔵庫へ蓄え、キャスター自身が力をつけることから始めねばな
らないとキャスターは衛宮士郎に説明した。また、それが聖杯戦争に
勝利する一番の近道であるのだという補足も加えて。
「――そ、そんな要求は呑めないぞキャスター。だって何の関係もな
い人間から精気を吸い上げて衰弱させるなんて方法、俺は絶対に取れ
ないし、そんなことをするくらいなら、聖杯戦争になんか勝てなくて
も構わないぞ俺はっ」
―――絶句している。
無理もない。明らかに目の前の男、自分のマスターである衛宮士郎の
言っていることが理解できないからだ。
聖杯戦争に負けるということは即ち、自らの死を意味するのだと、つ
い先程、自分が説明し、衛宮士郎も納得した直後にも関わらずの発言
であったからだ。
「――マスター。先程、私が説明しましたが、聖杯戦争に負けるとい
うことは貴方自身の命に関わることなんですよ? それを理解した上
での発言ではないでしょうねマスター?」
今一度、自分のマスターに問い掛ける。
訂正であるのだという期待を込めて問い掛ける。
「――いや、俺は無関係の人間を巻き込むくらいなら自分一人の命な
んて安いもんだと思うし、それで大勢の人間を助けられるんなら、な
にも臆することはないしな」
自分のマスターが理解出来ない。
そんな表情で口を開けて静止しているキャスター。
自分を犠牲にしてでも他人を助けたいというマスター。
その言葉には微塵の戸惑いもないものであったが故、溜息をついて
キャスターは一様に納得し、マスターの意向を尊重した。
「――わかりましたマスター。無関係の人間から魔力を吸い出すこと
はやめておきましょう。ですが、何らかの策を講じないことには他の
サーヴァントと渡りあうのは無謀だということを理解してください。
キャスターはキッとマスター、衛宮士郎を見据えて、伝えた。