今俺は封印指定の魔術師と対峙している。
エグゼキューター
この魔術師を捕獲することが今回の任務。久しぶりの執行者としての仕事、報酬もかなり
のもの、万年金欠の俺としてはありがたい限りだ。しかし、そんな喜びも三日前に聞いた
ある噂のせいで霧のように散ってしまった。
(投影魔術においてアグニスを超える魔術師が現れた)
俺ことアグニス=グランバースは専門ではないが投影魔術においてはかなりの能力とそ
れなりの知名度があった。まあ投影部門で五年間主席に居座りつずけたのだ。それなりに
知名度があって当然だろう。が、その俺をも超える魔術師が現れたというのだ、もう心の
中は嫉妬心と好奇心で溢れんばかりだ。よしこうしちゃいられない。早くコイツを捕まえ
てそいつに会いに行こう。
時計塔に戻ってきてすぐ噂の魔術師について聞いて回った。聞いたところによるとソイ
ツの名前はシロウ=エミヤ。一週間前に日本から来た魔術師らしい。たった一週間で俺を
超えると噂されるほどの魔術師、なおさら会ってみたくなった。教授にソイツが住んでい
る部屋を聞いて早速そこへ向かった。ドアの前まで来るとまず中に人が居るか確認する。
中に人がいるのを確認すると同時にドアをノックする。
「は〜い。士郎お客よ、ちょっと見てきて」
「ああ、わかった。見てくる」
ドアが開けられると同時に中から赤褐色の髪の自分と同じくらいの年の青年が出てきた。
「あの何の御用でしょうか?」
青年に尋ねられたが答えることができない。自分は見惚れてしまったのだ。
この青年に、この青年の能力に。
「剣の丘・・・・・・固有結界・・・・。なるほど噂になるのも当然か・・・」
思わず口に出してしまうほどに。
side 士郎
「なっ!?」
目の前の青年が言い放った言葉に耳を疑った。
初対面の男に隠していた自分の能力をいきなり見破られてしまっている。
驚きのあまりしばらく硬直していると遠坂がやってきた。
「ね〜ちょと士郎。なにしてるの〜? ん?その人誰?士郎の知り合い?」
遠坂の声で正気に戻ると青年を強引に部屋に入れドアに鍵をかけた。
「ちょ、ちょっと士郎どうしたの?なんかあったの?」
「なんか知んないけどこの人、俺の固有結界のこと知ってる」
「えっ?なんで?」
「だから知らない。けどかなりヤバイかもしんない」
そうヤバイ、かなりヤバイ、すんごくヤバイ、マジでヤバイ。
遠坂が言うには固有結界が協会にばれたら俺は封印されるらしい。
封印なんかされたら遠坂に会えなくなる。そんなのはイヤだ。それだけは避けなければ。
さてこの人をどうやって口止めしよう、なんて考えていると
「口止めなんてしなくても協会には言わないって。だから安心しろ」
と、目の前の金髪の青年は言った。
続く
あとがき・初投稿でいきなりオリキャラ。しかも続きます。
拙い文ですがどうか読んでください