___かの者は救い手なり
かつて、剣の王と共に戦い、その果ての盟約で救い手となる。
その体は剣、その血は鋼、そして心は硝子。
幾多の戦場を無限の剣を携えて戦い、未だ負け知らず。
されど、かの者の手には何も残らず、ただ剣の丘で独り佇むのみ。
その生涯は、かの者には意味も無く、この身を撃ち鍛えるのみ。
そしていつしか、その身は一つの剣と化し、まだ見ぬ新たな剣の王を待つ。
___それは彼女が振るうただ一つの剣、されどその剣影は夢幻にして無限。
ひとりの英雄の思いの果てにして、一つの世界を内包した理想の結晶。
その力は輝く水晶の刃を鉄の鞘に収め、聖なる布に包まれても全ての剣の影を創り出し。
彼女が一度、それを抜き放てば空を切り裂きを因果を断つ。
ゆえに彼女の名は剣の英雄「セイバー・ザ・ヒーロー」と呼ばれた。
(ジェントルメン・キング・ブリテン著 翻訳・雪村雫「まだ見ぬ世界の剣の王より」)
かつての聖杯戦争から半年ばかり、平和になった冬木市に一冊の本「統べからく流刑神」がきっかけで再び戦火の炎が上がる。
隠れていた奴が月明かりの中をこちらに向かって歩いてくる、その顔を見て俺は愕然とした。
「ひさしぶり衛宮、いや初めましてかな」
「慎二!死んでいたじゃなかったのか」
平穏な日々を送っていた衛宮士郎の前に現れた、前の聖杯戦争で死んだはずの友の再訪。
それは後に御霊戦争と呼ばれる六冊の魔道書を巡る戦いの始まりだった。
廃ビルの中で二人の男女がいた、男は片手を女に差し出し、女はその腕を舐めて・・・いや腕から流れる血を啜っていた。
「清姫、魔力はこれで回復しただろう、後は体の修復を最優先にしてくれ」
「あのマスター、その清姫というのは私の名前ですか?」
男は片腕を引っ込め、代わりに書類の束をさっきまで血を啜っていた紫の髪に黒い服装の女に渡す。
「ああ、ライダーとクラス名で呼んでも味気が無いし、メデューサと呼んだら意味が無いからな。ちなみに俺が用意したお前の偽造免許書や戸席はそれで統一しといたから以後、気をつける事。」
ライダーいや、清姫は渡された書類に目を通すと言っても確認の為だけだ。
今の彼女のマスターである、この男は書物に関しては本物より本物らしい「贋物」を作る事ができる符術師だからだ。
その腕前は魔道書にも精通し、先の聖杯戦争に敗れた彼女を捕獲した「壺公選書」も彼の「複写」した本だった。
「安珍清姫・・・この名前の由来は何ですか、マスター」
「鐘に閉じ込められた坊主とその恋人で坊主呪い殺した蛇女の名前だ、お前にぴったりだろ清姫。」
「・・・・。」
「後、これからマスターと呼ぶは禁止だ、俺の名前は・・・」
____街の中を暗躍する騎兵とその主
衛宮家の土蔵、これからの「戦い」の為、サヴァーントを召喚しようしたイリヤは絶叫していた
「あ〜召喚が〜大失敗」
床には彼女が作った魔法陣その上には一升瓶と大虎が倒れていた。
「う〜きもじ悪い〜飲みすぎた」
「タイガ、私の邪魔をしないでよ、せっかくバーサカーを召喚しようとした所なのに」
だが次の瞬間、魔法陣が光り現世に英霊を召喚した。
その輝きに藤村が目を明けると、そこには具足に身を固めたサムライが居た。
「我が名は清和の血筋にして武家の棟梁、源頼光。黄泉の国から御身の為に馳せ参じ候、貴殿が我が主か?」
「ふぇ、なんでこんとろに鎧武者がいうわけ〜」
イリヤはライコウと名乗った鎧武者とそれと向き合うタイガーを見て・・・いやまて、タイガーの手に輝くアレは!
「令呪・・・と言う事はあれはタイガーのさ・サーヴァント」
_____大河の一滴から召喚されたし、妖怪退治の勇者
倫敦のある図書館にて、ここの裏の責任者ジョーカーは日本から英知を学びに来た魔術師に説明していた。
「ミス遠坂、君が故郷で起きた事件でここに来た事はわかるでも、優秀な魔術師である君がみすみす危険な場所に戻る事は無いでしょう、それにこの事件にはある特殊な「本」が関わっている、「本」の事なら我ら「大英図書館特殊工作部」に任せて貰えないだろうか。」
あくまに理知的に言うジョーカーに対し、赤いあくまは
「なにを言ってるの冬木は私の管轄地なのよ、それに今あそこは半人前の魔術師が二人しか居ないのよ、私が何とかしなきゃいけないじゃない、それを本屋の特殊部隊が出てきて横槍する問題じゃ無い!」
との剣幕、あまりの殺気に横でジョーカーの秘書のウェンディ・イアハートが怯えている。
(ああ〜のらりくらいとこいつの態度、あいつを思いだすな〜)
凛の頭の中で、かつての兄弟子で神父だった男が紅いマーボを表情を変えずに食っている光景が頭に浮かんだ。
そのマーボと同じ雰囲気を持つこの男は凛に切り札を見せた。
「管轄地の問題なら既に終わっている、事態は冬木市を離れてある土地に移っている。」
「んっ・・・何処。」
「日本でも有数な霊場にして血塗られた都、君達の間では京都と呼ばれる街にその本と御霊達がいる」
____全ての英知を時計塔へ
ジョーカは会議室で悩んでいた、彼の切り札のエージェントが聖堂教会の要請で出向しており、この作戦に使えないのだ。
「ザ・ペーパーは現在、バチカン図書館に代行者と一緒に行っていて、今回の任務に使えないか・・・しかたが無い」
場所は変わって京都の陶芸教室にて、携帯電話に出る白人の男性。
「こちらドレイク・アンダーソンだ、ジョーカ、またイカレタ任務か?今度は南米か、それともアフリカか?」
「いえ、現在貴方が居るキョートに危機が迫っているのです、それも最悪な物が」
「なんだって、どういう事だ!ジョカー」
「と言う事で其方にエージェント一人回しますのでサポートをお願いします。ちなみにコードネームは「レディガンナー」ですので確認の程を・・」
呆然と立つドレイク
「キョートに来てまで任務か・・・マギー、パパはもう帰ってこないかも知れない」
_____元米軍特殊部隊の傭兵
決戦の地に着いたのは士郎と彼の召喚に応じて、再び彼の剣になったセイバーと藤ねぇとそのサーヴァント「ライコウ」にそして・・・彼の「弟子」の・・・。
「師匠〜怖いですよ〜今からでも帰りましょうよ〜」
「弱音を吐くな栞、ただでさえお前の言葉で脱力しているだから」
「でも〜私はただの紙使い見習なんですよ、生き残る自信がありませんよ〜」
白鷺栞、愛読狂にして本の書かれた情報を媒介にして武器を練成するノウブルカラーズ「紙使い」の成り損ない、それが彼の弟子である彼女の名前だった。
対する敵は五人、怨念を抱いて死んだ怨霊にして、その力ゆえに反英雄・・・御霊に奉り上げらたもの達。
「綺麗・・・、話には聞いていたけど本当にお姉ちゃんが騎士王だったなんてね、でもその中身はどんな色かな」
セイバーが身構える、その相手は灰色の髪の少女、服装は・・・ゴスロリみたいだ。
「シロウ下がってください、ダガーの相手は私がします」
少女の形をした御霊は手からナイフを出すと
「お姉ちゃんとは同郷だから教えるけど、ボクの真名はジャック・ザ・リッパー、彼方達の呼び方で言うならアサシンのクラス。でも安心してね、すぐに何も分からないぐらいにバラバラにするから」
_____かつて倫敦を闊歩した殺人鬼
黄金の太刀を持ち、激しい打ち合いのすえライコウと切り結ぶ慎二、いや慎二の肉体を借りて存在している「何か」。
「その太刀筋、天狗の技か?我が源の血を引きし者よ」
「何か」は内緒にしていた事がばれたかの様な感じでこう答えた。
「こっちこそ、ご先祖さまが敵として召喚さるとは思っていなかったよ、じゃボクも名乗りを上げよう我が名は判官源九郎義経・・・かの牛若丸さ」
_____千の剣を持つ鬼神を従えた英雄
「ひ〜え、セイバーさん〜桜先生〜大丈夫ですか」
上空から放たれるガンドの嵐、それをシオリはとっさに創った紙の砦で防いでいた。
「まさか、姉さんが敵に回るなんて」
「サクラ、私が打って見ます後方援護を頼みます。」
敵の所から逃げてきた間桐桜とそれを助けに来たセイバーとおまけ(シオリ)だったが、それを追いかけてきたのは桜に取って最悪の敵だった。
「はっはっは、どうしたの桜!セイバー!それと紙使い、守っているだけじゃ私に勝てないわよ」
上空から彼女達を見上げているのは遠坂凛・・・いや今の彼女は結わいていた髪の毛を解き、その髪の毛は金髪で背中から九本の尻尾が生えていた。
「おのれ玉藻、リンの体を乗っ取るなんて卑怯です」
セイバーの抗議に凛いや玉藻前は高笑いして。
「卑怯千番なんてほめ言葉ね、私はこの体が気に入っているの、何しろ前の体はポテンシャル高かったけど傷物でおまけに片腕が無かったのよ、それに比べたら、この遠坂凛って娘の体はここ何百年か中では最高の体よ、そう簡単に渡すもんですか!」
そう言うと玉藻の背中の尻尾にして彼女の宝具から複数の呪文が詠唱され真名によって、その呪文が発動する「九重の・・・楔!!」玉藻の宝具から閃光が走り、突撃しながら呪文を弾き返していたセイバーを弾き飛ばす。
「ぐぅ」
「九重の楔」それは多次元相乗呪文による一斉攻撃でその威力は使用者の九倍の威力を誇っていた。
_____他者の体を借りなければ存在できない妖弧
奇妙なのはその男の格好だった、黒ふち眼鏡に全身に包帯・・・そう一見すると昔の映画にあった透明人間みたいだ。
「・・・・。」
その包帯男の傍らに居た眼鏡の少女が包帯男に指示をする。
「本男(ブックマン)は、あの熱血バカマスターを私は騎士王の方を仕留めるわ」
「・・・・わかった。」
本男はボソッと言って、此方の方を向いて・・・何かを投げてきた!
「うわぁ」
士郎は咄嗟にかわしたが、そこには大量の「白紙」が刺さっていた。
「この能力は栞と同じ・・・紙使いか!」
彼の弟子と同じ能力だが半人前の栞に対し、それは遥かに完成されていた。
「爆破・・・」
その言葉と同時に紙にほどこさている特殊コーティングが溶け刺さっていた「紙」が爆破した!
それは「ザ・ペーパ」が使う特殊戦闘用紙の一つ「ブローン・アゥエイ」と同じ物だった。
_________其の身は紙で出来た本男。
眼鏡の少女と向き合う、セイバー
「余裕ですかブックマンのマスター、いくら私が「約束された勝利の剣」を失ったとは言え、私には「勝利すべき黄金の剣」がある、その戦力差を計算で無い魔術師とは思えませんが」
セイバーの質問に少女が答える。
「そうね、確かに私では貴女に勝つのは0に近いわ、でもね騎士王。『貴女』自身ならどうかしら」
「・・・!」
「それに私は魔術師では無く、本使い!『鏡写正典偽ゼルニッチ』よ、この者の影を具現化したまえ!」
ごうと言う風と共に彼女「騎士王アルトリア」が投影された。
「エテール体複写完了__肉体組成に彼女の遺伝子を使った素体を使った本物より完璧なセイバー、その名をシャドーセイバー!!」
「イエス、マイマスター」
「・・・私はあんなのじゃない。」
_________ネーミングセンスが少し悪い本使いと騎士王の影。
そして・・・。
「久しぶりだな、オオカワ」
「ドラゴン・・・アンタが何故、此処に」
藤ねぇはどうやら俺達の前に立っている人物と面識があったらしい。
俺を一瞥するとそいつは目の前に落ちていた本を拾うおうとしている、みんなが苦労して手に入れた本を・・・!!
「投影開始・・・(トレースオン)」
俺はとっさに両腕に投影して持った干将・獏耶で切りかかる、だが奴を獏耶が切り裂く寸前に奴はこう言った・・・。
「接続強化・・・(コネクト)」
次の瞬間、両手に持った干将・獏耶は砕け散り俺の体は宙に舞った。
「ぐぅわー」
とっさに受身を取った物のダメージは大きかった、必死に奴の方を見て・・・あ、あれは
「投影使いか、さすがと言いたい所だが出した物がまずかったな剣が同じなら真の使い手の方がその力を引き出す事ができる。そう、よりにもよって我が愛剣「干将・獏耶」を出すとはな」
そう、奴の手には彼の言った通り本物の「干将・獏耶」が握られてた。
「貴様は何者だ・・・何故その剣を・・・」
「さかしいな正義の味方・・・俺は貴様の同類だ。だが俺が救うのはただ一人、そう龍珠影矢は救うのは一人だけだ!!」
「リュウジュ エミヤ・・・。」
_____もう一人のエミヤ