前回までのあらすじ
・この度開催を予定しておりました第五回聖杯戦争ですが、諸般の事情により開催日が延期されることになりました。なお現在、開催日は未定です。開催を楽しみにしていたマスター及びサーヴァントの皆様には深くお詫び申し上げます。開催日が確定次第すぐにご案内いたしますので、どうかいましばらくお待ちください。
・冬木市は今日も平和です。
「こんな家、もう出てってやる!」
朝もはよからそんな物騒な叫びが聞こえ、ギルガメッシュは目を覚ました。むう。我の眠りを妨げるとはいい度胸。
二度寝するのもなんなのでベッドから起きる。のそのそと着替える。いつもの黄金鎧に瞬着してもいいのだが、あえて普段着で。王はファッションにも気を使うのだ。いつも同じ服だが。
威厳を持ってゆっくりと着替えるのが王のたしなみ。慌てて着替えてボタンを掛け違える愚かな王などいようはずもない。
「……しまった」
いようはずもない。
着替え終わり、今日のキメ具合を姿見で確認。うむ。今日も我はイイ王っぷり。
振り返る。
「今日も我が愛でるに相応しい美しさだぞセイバー」
ベッド脇に立ててあるセイバー等身大POPに朝の挨拶をして、部屋から出て礼拝堂のほうに向かう。
礼拝堂に入ると、正面入り口の扉が開け放たれたままになっているのが目に映る。
「む。……またか」
「起きたのか、ギルガメッシュ」
視線を向ける。いかにも私中ボスか下手するとラスボスですよと言わんばかりに悪役顔の神父がそこにいた。名は言峰綺礼。キレイなんて名前だがその性根はカオスサイドの住人である。
「うむ。それより、ランサーの奴今度はどうした」
「さあな。良くわからん。折角今朝のマーボーは渾身の出来だと言ったのに、突然出て行ってしまった」
わけがわからん、と言いたげに首を傾げる言峰。ちょっと悔しそうだと言うのがわかるのは長年の付き合いゆえか。別に嬉しくなかった。
にしてもランサーの奴め、とギルガメッシュは憤る。いい加減週に一度は家出するのはどうにかしろ。単独行動が得意だかなんだか知らないが、奴が家出するとこの駄目神父の相手を我がせねばならなくなるのだ。がっでむ。
と思いつつそんな事はおくびにも出さず、ギルガメッシュは開いたままの扉へ向かった。
「我は今日は朝食はいらぬ」
「どうしたギルガメッシュ? ランサーの奴もいないし、おかわりし放題だぞ」
「――ふ。我は王ぞ。なにものにも縛られぬ。……まあ、ぶっちゃけ散歩に言ってくる。飯はいらぬ。残しておかんでも構わんぞ」
ギルガメッシュは不敵な笑みを浮かべつつ……戦略的撤退した。
たぶん平和な冬木市の金色のギルガメッシュ!
「つまりだ。セイバーを確実に我のモノにする為には、このままではいかんと思うのだ」
ギルガメッシュは、腕を組みつつ偉そうに言い放った。
場所は喫茶店。わりと賑わう洒落た店で、更にもうすぐお昼時なのだが、他に客が一人もいない。原因は彼、ではない。その対面に座って、気難しそうにしている相手だった。
全身を覆う黒衣。白髑髏の仮面。まっとうな店ならまずお引取り願いたい格好。彼の名はハサン。彼は悩んでいた。私は何故こんなところに?
「最近日記を付け始めたのだが……どうもな、毎日言峰の作るマーボーの辛さ判定とセイバーへの求婚が断られた事しか書いてない。これはどうしたものかと」
「――それはいいのだが」
「む。よくはないぞ。この我の一大事だぞ?」
「……私は何故ここにいる?」
「哲学的だな中の人。お前にそのような教養があるとは驚きだ」
「違う。そういう意味ではない。あと中の人言うな」
ハサンは憮然とした。用事があって街中を歩いていたら、急に声をかけられ喫茶店に連れ込まれてコレだ。
まあ普段だったら門前払いの所を、王の連れに文句があるのか、との王様発言により喫茶店に入れたのは嬉しい。正直洒落た店というのはハサンの憧れだった。手に届かないもの。全て遠き理想郷。ファンシーショップとか。
だがしかし、いきなり恋愛相談されても。第一私はアサシンである。それも『真』がつくぐらいの。ゲッター線は浴びてないが。
趣味は間諜、特技は暗殺。その私に本気で相談しているのだろうかこの金ピカは。
しかも中の人呼ばわり。失敬な。確かにこの身はアサシン佐々木が腹を痛めて生んだモノではあるが、中の人はなかろう。名前で呼べこの阿呆。うっかり英雄王。
などなどの罵詈雑言が口から飛び出しかけるが、自重。ハサンは義に厚い男である。同じ員数外<イレギュラー>のよしみだ、とアサシンと親子喧嘩の末家を出たハサンに奢ってくれたカツ丼の味は今も覚えている。しょっぱい涙味だが。
「我も色々とやってはいるのだがな。……セイバーの奴め。我の寵愛を受けるというのがとれほどの事かいい加減理解すればよいのに」
色々と。ハサンはその言葉に、この冬木市でよく見かける日常風景となったセイバーとギルガメッシュのやりとりを思い起こした。
『大人しく我の后となれセイバー』
『エクスカリバー!』
『セイバー、君に決めた!』
『エクスカリバー!!』
『セイバー! お前が欲しいッ!』
『エクスカリバー!!!』
『セイ』
『エクスカリバー!!!!』
よく生きてるなギルガメッシュ。
明らかに見込みなさげである。だがギルガメッシュは諦めていない。諦めるという選択肢がない。そこだけは感心する。愚直とも言うが。
だが、アドバイスと言っても。ふむ。
「ふむ。……そうだな、こう言うのはどうだ?」
「何だ?」
「遠まわしにだな、こう、どうか自分に毎朝みそ汁を――」
いやいやいやいや。
首を振るギルガメッシュ。顔は青ざめ、汗が流れる。
「それはマズイ。大変マズイ」
「あ? ……あー、そ、そうか。すまなかった」
そう言えば、とハサンは思い出す。確か衛宮邸での第十一回マスターとサーヴァント懇親会だったか。員数外のハサンは出なかったが、ギルガメッシュが無理矢理ついていった宴会での事。
ギルガメッシュがあんまりにもしつこく頼み込むものだから、セイバーはしかたなくちょっとした郷土料理を披露した。で。
死屍累々。
危険を察知したアーチャー以外、皆が死線を彷徨う大惨事だったとか。しかもギルガメッシュが全責任を負わされボコられ、一人で逃げたアーチャーは後ほど吊るされたとか。
「――我も、流石にマンガ肉は――」
よくない。ワイルドすぎはよくないと呟きながら首を振るギルガメッシュに、さしものハサンも冷や汗を流した。あのマーボーさえ無理すれば食える男にこれほどとは。
「ま、まあ、ともかく、あれだな。お前は女性に対する理解が足りない。王たるもの、その位の心得は学ぶべきではないのか?」
「いちいち他人の顔色を伺うなど王ではない」
いきなり立ち直るギルガメッシュ。英雄王としては立派かもしれないが人としてどうなんだろうか。まあ『人』ではないのだが。
「……が、まあ我も失敗から何も学ばぬわけではない。色々と参考資料という奴を集めてはいるのだ」
「参考資料?」
「ああ。コレだ」
ことん、とギルガメッシュは何処からともなく取り出したそれをテーブルの上に置いた。
何やら箱状である。表面に絵と文字が見える。ハサンはそこに書かれている文字を読んだ。
Fat○/stay night
「コレに出てくる人物がセイバーにそっくりでな。我もこれでセイバー対策を立てようと思っているのだが、どうにもバッドエンドにしか――おい、なんだ?」
「やらねばならぬ仕事を思い出した」
ハサンは席を立ち、足音も立てずに歩き出した。
後ろで何かわめいている金ピカは無視。
喫茶店の出口で、足を止める。折角入れた喫茶店。まだ紅茶の一つも頼んでいない。だが。
「――まあ、がんばれ、ギルガメッシュ」
微かな未練を振り切るように、ハサンはそこを後にした。
「何だというのだ、全く」
ギルガメッシュは不満そうに呟いた。
場所は公園。普段なら子供達の姿が絶えないのだろうが、今はちょうどお昼時である為か彼以外誰もいない。
「この我が問おうというのに、何故ランサーの奴めと同じ反応するのか」
手に持ったソフトを眺めて、ふむん、と息を吐く。
正直、我慢の限界だった。言峰から参考資料として教わったのはいいが、バッドエンドばかりではないかコレは。
引かぬ、媚びぬ、省みぬを地で行くギルガメッシュは、どれだけバッドエンドを迎えても己の過ちに気付かない。道場のヒントも無視。
戦略モノをやればリーダーを突出させすぎて破れ、アクションや格闘は大技ばかり使いすぎて長生きできない。ノベルは飽きる。マルチエンドのゲームは大概バッドエンド行き。ガンシューティングならNPCも皆殺し。パズルなど論外。どうにもならん。
「だいたい言峰の助言がいかん。猟奇バッドばかりではないか」
それはそうだろう。
ギルガメッシュをこの路に引き込んだ当人である言峰綺礼は、筋金入りのバッドエンド愛好家であった。むしろバッドエンド以外興味なしの超偏屈ゲーマー。この世全てのバッドエンドを心から歓迎し、どの選択肢を選んでもハッピーエンドになるようなモノを蛇蝎の如く嫌う。
エンドタイトルに狂、殺、崩壊、魔王などの単語が入っていると顔を綻ばせる生粋のダメ人間。ただし本人が幸せそうなのは認めない。奴隷とかマナマナとか。
十年前の聖杯戦争では、十二人の妹と六人の母に囲まれてまったりハッピーに世界平和とかいう願いを叶えようとしていた凄腕の魔術師を宿敵と定め、死闘を繰り広げた事もある。ちなみにその時ギルガメッシュはその魔術師のサーヴァントであるセイバーを追い掛け回して求婚していた。実らなかったが。
「そもそもセイバーがもっと素直に我のモノとなればこのような労力も必要なかろうに全く。我は十年も待ったというのに」
力尽くで言う事を聞かせられればいいのだが、休戦協定とやらの所為で戦争は禁止ときた。しかも破れば切腹。
切腹とは何だ、とギルガメッシュが問うた時、嬉々として介錯の準備を始めようとしたアサシンの不気味さに押されて詳しい話は聞けなかったが、どうやら文字通りハラを切るらしい。なんて野蛮な。流石に御免である。
どうしたものやら、と再び進歩があるとは言い難い思索を始めようとしたその時。
「――ん?」
ふと、殺気を感じた。
辺りを見る。誰もいない。セイバーの気配を感じたような。
「ぬお!」
慌てて手に持ったソフトをゲートオブバビロンを放り込む。王の財宝にはニューファミコンからPSXまで乱雑に放り込んであるのでいい加減整理しないと大変なのだが、王様は気にしない。スーパースコープが折れても無視。もういらないし。
そんな事より、と辺りを慎重に探るギルガメッシュ。
周りには細心の注意を払ったはずだが。落ち着きなく再度警戒する。
あのソフトは、セイバーにだけは見られるわけにはいかんのだ。
少し前の事。ランサーがとある雑誌を買ってきた。セイバー似の女のあられもない格好が載っているA+級の一冊である。そしてそれを我に譲れとばかりにランサーと言い合いをしている所を、何故か偶然セイバーに見られた。
それは聖杯の泥を引っかぶった時より恐ろしい地獄だった、と彼は語る。
ランサーと二人、縛り上げられてちょうど真向かいに立たされ、虎竹刀とかいうなんの変哲もないくせに冗談みたいな威力を持った武器で滅多打ちにされた。
よろめかないように精一杯踏ん張ってないと叩かれた衝撃でランサーとマウストゥマウスという悪夢そのもののサドンデスを延々と。アレはもう我は勘弁。許してエンキドゥ。
ぶるぶると震える。悲劇は繰り返してはならないのだ。
そんな葛藤をしているうちに、殺気はいつのまにか消えていた。
「……ふぅ」
と息を吐き出した、その時!
ニャー。
びくう! と背筋を伸ばしたギルガメッシュが振り向くと、そこに居たのは一匹の黒猫だった。
「ね、猫、だと」
猫である。どこからどう見ても黒い仔猫である。
まさか我はこのようなモノに怯えていたというのか。
「雑種の分際で、よくもこの我を愚弄し」
エクスカリバー
「約束された勝利の剣ー!!」
爆砕。
直撃を受けたギルガメッシュは、木の葉のように空を舞った。
墜落した。
「がふっ!」
吐血した。
よろよろと起き上がり、衝撃の発生源を見やる。そこには、
「やっと追い詰めました。今度こそその罪を購いなさい!」
「すまんセイバー!」
「……は?」
沈黙。
がばっと頭を下げるギルガメッシュと、ぽかんとしたセイバー。
いつの間にやら、猫の姿は消えていた。
「――それで、昼食の魚を奪った猫を追っていたと?」
「はむ。ええ……はむ……そうです……はむ」
時は少し過ぎ、セイバーとギルガメッシュはベンチに腰掛けていた。
セイバーは手に持ったどら焼きをこくこく頷きながら食べつつ、ギルガメッシュを吹き飛ばした経緯を説明していた。隣でそれを見聞きしているギルガメッシュは何やら辛抱堪らなそうにこちらを見ていたが、取り合えず無視。
セイバーとて鬼ではない。幾らギルガメッシュが気に入らないからといって、いきなり迫ってこないうちからぶっ飛ばしたりはしない。
決してどら焼き奢ってもらったからではないですが。
「それにしても、いいのですか? どら焼きなど奢っていただいて。しかも三つも」
「構わん。后を養うのは王の役目だ」
「それは間違いかつどうでもよいのですが。――それより、先ほどは何故いきなり謝ってきたのですか?」
「いやほらそれはもういいだろうセイバー! 我の奢りだ。食え。たーんと食え!」
「は、はあ」
何か冷や汗をたらしながら急かすギルガメッシュを怪訝そうに見ながらも、セイバーはどら焼き二つを平らげた。残り一つはお持ち帰りである。
よし、これで満腹度も少しは回復。
今ならちょっと不思議な洞窟くらいは攻略できそうだ。
(エクスカリバーももう一発くらいいけそうですね)
まだ撃つ気か。
立ち上がり、ギルガメッシュに礼を言ってから追跡再開しようとしたその時、セイバーは向けられた視線に気付いた。
いや、向けられているのはセイバーではなくギルガメッシュだ。彼のほうを見ると、いつもと変わらぬ不敵な笑みを浮かべている。まっすぐに、前を向いて。
幾つもの視線。辿った先に『彼ら』は居た。
「――あれは」
思わず呟いた。ギルガメッシュはふん、と笑って立ち上がる。
「また来たのか。雑種どもめが。……ああ、すまんなセイバー。我もお前の相手をしてやりたいのだが、その前にあの身の程知らずどもを片付けねばならん」
「ギルガメッシュ! 彼らは――」
「性懲りもない奴らよ。敗北の味、再びこの我が刻んでやろう」
声を荒げるセイバーを無視して、ギルガメッシュは彼らの前に歩み出た。
「さあ、我に引導を渡されたいのは誰からだ?」
そして――
「ふはははは。これで貴様も終わりだな。喰らえパオウザケルガ!」
「あー!」
「ずりー! ギルずりーよ! 強いカードばっかじゃん!」
「ふん。当然だ。我は英雄王。弱者など従える価値もない」
――そして呆然と、セイバーはその光景を眺めていた。
目線の先。嬉々として腕を振るう英雄王の手に握られているのは剣ではなく。
相対する『子供たち』もまた、同じようなカードを手にしている。
子供とカードゲームに興じる英雄王。理解の範疇外の光景だった。
「ねーねー、お姉ちゃんだれー?」
びくんと震えて視線をやると、そこには子供集団のうち数人が傍に寄ってきていた。
「ね、お姉ちゃん、ギルのこいびとー?」
「断じて違います」
「わ。そくとうされた」
「ほらー。だから言ったじゃん。ギルにこんなきれいなこいびとなんてできるわけないって」
「ギルだもんねー」
彼の英雄王に言いたい放題である。流石のセイバーも彼に同情した。どら焼き三個分くらい。
「――あなたたちは、どうして彼と遊んでいるのですか?」
「え? ギル?」
「あのね、えちごやさんがね、子供がこわがっちゃうからって連れてきたの」
「でね、ギルがカードやってて」
「すごいよね、ギル。キラカード当てるのおおすぎ」
「しかもすごい古いのも持ってるし」
「いまどきラクロアの勇者から全部キラ揃ってるってありえないよね」
「ねー」
「???」
つまり。
セイバーは何度も質問し、内容を噛み砕いて理解した。
少し前の事。教会の伝統で、地域と協力してのゴミ拾いという催しの際。悪役顔でいつも子供に怖がられてばかりの言峰神父(通称越後屋)がギルガメッシュとランサーを同伴。そこで子供達と知り合いになり、彼がカードダスというモノの蒐集をしていて、かつそのレアものを引き当てるのが上手い(黄金律の一種だろうか?)ことから意気投合。こうして度々勝負をするようになった、という事らしい。
(……三人で、ゴミ拾い?)
思い浮かべる。言峰、ランサー、ギルガメッシュ。たとえこの世が終わってもそういうのとは縁のなさそうな組み合わせだった。
だがまあ、子供達が言うなら事実なのだろう。世界は広いのだ。きっと。
汚れた町並みを眺めて悦に浸っていただけの駄目神父とか、カリスマを発動させて周りに命令していただけの金ピカとか、偶然拾ったオトナの本を持って一人姿を消した青いのとかの実状を知らないセイバーは、素直に感心した。無知は時に人を救う。
「――そういう、わけだったんですか」
取り合えず納得しておうこう。遠く、ふははまた我の勝ちだ、という声が聞こえる。子供に混じって遊ぶギルガメッシュという事まで気にしだすと頭が痛いので深くは考えない。
もう、行くとしよう。十分休んだし、猫を逃がすわけにはいかない。
セイバーは立ち上がり、子供達に、それでは、と微笑んだ。
ふと気になって一つ聞いた。
「それにしても、彼は……ええと、カード、でしたか。それは、強いのですか?」
「ギル? えー、ふつー」
「強いのは強いけどね」
「強いカードしか出さないから」
「ほじょ系とか、そういうの使わないっていうか持ってないからね。ひっくり返そうと思えばかんたーん」
「でもギル負けるとすぐスネるし」
「それにきげんいいと、たまにカードくれるしね」
「ねー」
イッツ・ア・クール。
セイバーは、遠く子供達と戯れている英雄王を見る。
「また我の勝ちだぞ。どうした雑種共。所詮その程度か? ふはははは」
「……」
くるり、と背を向け。
ばいばーい、と手を振ってくる子供達に軽く手を上げて、セイバーは公園を後にした。
背後から聞こえてくるのは子供達の笑い声。大きなお友達も約一名。
冬木市は今日も、概ね平和です。
あとがき
ええと、これはギャグなのでしょうか。
前作といい、どうも壊れまったりというか微妙な日常風景と呼ぶべきなシロモノに仕上がりました。セイバースキーなのにシリアスセイバーが書けない自分が憎い。
キラカードばかり引き当てるギルと、言峰はバッドエンド好き、というネタが浮かび、それを話にまとめようといじくりまわしている間にまた珍妙に。アサシンとかランサーとか好きですよほんと。
それでは、またしても馬鹿話に付き合ってくださりありがとうございました。