Fate/Moon light 伝説之幕開(士郎×凛 ラブコメ)


メッセージ一覧

1: Cry wolf (2004/03/22 21:19:38)[jin at miz.st]

1・覚醒

心地よい布団の中でゆっくりと意識が覚醒していく。
二度寝を誘発する極悪犯Aさん ─世間では布団というらしい─ の誘惑を開始1.57秒でK.O.し、脳内HDDが活動を始める。

「ん……」

目をあければ、そこは雪国……じゃない、目を開けたらそこには目を閉じた赤い悪魔兼恋人の顔がドアップで映っていた。どうやらまだ寝ぼけているらしい。
そもそもこんな時間に遠坂がいるはずがないのだから。
もう一度目を閉じて、脳をリブートする。起動時間9.42秒。モバイルパソコン並みである。
……いや、ちょっと遅いか。
そんな事はおいとこう。
今直面している問題の方がはるかに重大だ。
もう一度目をあける。

「───おはよう 
……遠坂?」

どうやらこの幻覚はかなり性質(たち)の悪いものらしい。
薄目を開けていた遠坂の顔が一瞬で目をまんまるに開き、だんだんその顔が赤く染まっていき……

「き……」

き?
幻聴まで聞こえてきたなぁとおもいつつ、頭の奥のほうでがんがんと警報が鳴る。
オマケに「○ャイアンズ・マイク起動!総員すみやかに退避し、耳栓装着!」なんて文字が点滅する。
まるで性質の悪い三文小説だ、とそこにいたるまでの所要時間わずか0.5秒。
なにやってっかなーなんて頭の片隅で思いつつ、目の前の現象をだんだん頭が理解していく。
こういうときはどうするべきか……剣の丘から必死に自分が勝てるものを「創造」する……
検索結果……該当件数0件。
見覚えのある赤い背中が地平線の向こうで「あきらめろ」と告げているようなきがする。
と、こんな下らない事を考えている間に目の前の顔はトマトのように真っ赤になって爆発3秒前。

  3秒前
  2秒前
  1秒前

……ゴッド、私何か悪い事しましたか?
当然答えがあるはずもなく……

「きゃあああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
バチーーーーーーン!!!!

快音とともに衛宮士郎は覚醒したのであった。
「いい朝だねぇ」なんて微笑む親父が見えたとか見えないとか。



Fate/Moon light 伝説



「ホントごめんってば士郎〜」

目の前で悪魔が頭を下げている。
頬にはその悪魔が起きた途端につけてくれた真っ赤なもみじ。

……冷えたトマトがしみる……










覚醒とともに横っ面を景気よくひっぱたかれて、オマケにどこぞのガキ大将の歌並みの攻撃を受けた鼓膜がしびれている間に、どたばたと廊下から足音が近づいてきて、

「大丈夫、士郎!?」
「先輩、大丈夫ですか!?」
「シロウ、なにがあったのですか!?」

三者三様の声を聞く。
三人とも部屋の中の様子をぱっと見回し、固まった。
……いや、正確には二人は。
この家で一番の常識人(他称)である桜は、俺の頬にまっかに咲いたもみじと、さきほどのすばらしい絶叫を上げた遠坂とを見比べて、次の瞬間ものすごい勢いで詰め寄ってきた。

「先輩! 姉……遠坂先輩に何したんですか! こんな朝から……じゃなくて説明してください!」

壁に背を預けて座り込んでいる俺に詰め寄って、腰に手を当ててこちらを見下ろす。
む、このアングルからだとただでさえ大きい胸がより強調されて見え……

「シロウ」

冷ややかな声に我に返る。
煩悩退散、喝!
まったく、朝からどうしたというのだ俺は。

「いや、なにもしてないぞ、まったく。っていうかむしろ俺が聞きたい。何で俺はあさっぱらから張り倒されてオマケに絶叫されなきゃいけないんだ?」

濡れ衣のかぶる前に、とりあえず自己弁護をしておく。
とゆーかむしろ俺が聞きたい。

「つーか遠坂! いくらなんでもグーはないだろグーは!」

真っ赤になって人の布団にすわりこんでいる赤い悪魔に抗議する。

「う、うっさいわね! しかたないでしょう!?」

いや、なにがしかたないんだ?
まったく、理不尽な二段コンボを受けた後にさらに理不尽な罪をかぶせられ、挙句の果てに理不尽な理由で避難されたとあっちゃさすがの俺だって……うん、逆らったらこわいからとりあえず今は現状把握としましょうか。

「とりあえず説明しろ。起きた途端に目の前に遠坂の顔があって、おはようと声をかけたらグーで殴られオマケに絶叫され、あげくのはてにぬれぎぬをかぶせられる、これの何処がしかたないんだ?」

ああ、思い出すだけでなけそう。なんで俺はこんな目にあわなきゃいけないんだ? いや、本気で。
と、なぜか布団の上でエンジェルズスマイルをむけてくるデビル一号(士郎命名)。
本能がやばいと叫んでいる。

「ひどいわ衛宮くん。 私に迫っておいてぬれぎぬだなんて……!」

布団の上で肩を震わせる遠坂。
あれ間違いなく、泣いてるんじゃなくて笑ってるんだよなぁ……
しかしいい塩梅に切れた野生のトラ(他称)にそんなことがわかるはずもなく ───いや、普段もわかるのかというとかなり疑問だが───

「士郎!ちょっとそこになおりなさい!っていうか問答無用!!!」
支離滅裂だぞ、タイガー。
「タイガーっていうなーーーー!!!!」

あ、声に出してたか。
……なんか最近自分が遠坂に似てきた様で悲しい。

「衛宮君? 何か言ったかしら?」

とびっきりの笑顔で重圧をかける赤い悪魔。
タイガーも遠坂も、ちょっとは桜を見習ってほしい。
……いや、いろんな面で。

「「士郎……」」

……どうしよっか、また声に出してたらしい……

「「ふざけんなーーーーー!!!!!」」
どすっべきっげしっめきっぐちゃ!
……最後にものすごく危険な音がしたきもするが、気のせいだろう。

なんで俺は朝から親父の顔を二度も見なければならないのか、と世の無情に心を震わせながら俺の視界はフェードアウトしていった。

















そんなこんなで、ぼろぼろになった俺はなんとか誤解を解き朝食にありついているわけである。

「ほんとにごめんってば〜 もうしないからさ、ね?」
「ホントか?」
「……ごめん、自信ない。」

……この悪魔、ひょっとしないでもまったく反省してないだろう?
むすっとして黙っていたら、怒っていると思ったのか遠坂が本当に申し訳なさそうな声で誤ってきた。

「本当にごめんなさい……士郎、怒ってる?」

うう……だからその上目遣いは反則だって言ってるのに……
頭の中をいろんなものが駆け巡るが……色即是空、渇。
一成のようなことをいいながら、精神統一。

「いや、怒ってないよ。……痛いけど。」
痛いけど、にちょっと力を入れる。もしかしたら俺まだ怒ってるのかも。
ちょっと大人気ないかな、なんて思いつつも悪いのは遠坂なわけで……

ちゅっ

「#&%¥@×□△!?」
「ごめんね?」
アップになった遠坂の顔。
うう……これでゆるさなかったら本当に子供じゃないか、俺。

「もういいよ、遠坂。怒ってないから。」
そう言って笑いかけると、遠坂もほっとした顔で席に着いた。
と、正面からなにやら危険な気配が……なんか覚えのある……そういわゆる「殺気」って奴だ。
ちなみに朝食の配置は俺の隣が遠坂、正面が桜、桜の隣が藤ねぇとセイバー。
つまりこの死線……じゃない、視線は桜からの、という事になる。

「先輩方、まことに申し訳ありませんが、そういうことはお二人の時になさっていただけません?」
とげとげしい声と裏腹ににっこりと最大級の笑顔。
……いや、これは笑顔だけど笑顔じゃない危険の兆候、そう遠坂と一緒なのだ。
その証拠に、持っているコップがひび割れている。
頼むからこれ以上家計を火の車にしないでくれ……










「「「「いってきます!」」」」

今日はひさしぶりに早めに家を出る。
なぜかというと、先日弓道部で大会の地区予選があったのだが、そこでどっかの教師が旧友と再会、愛すべき敬称で呼ばれたために暴れて会場は混乱を極めた。
その後片付けに俺まで駆り出される、という始末である。
遠坂は関係ないのだが、一人で登校してもつまらないでしょ?ということで一緒に向かっているわけである。



そんなこんなで、相変わらずな生活を送っています。
……最近やたらと赤字が見えたりオヤジが見えたり裸が見えたりする以外は。

いや〜、視力よすぎるのも考えモンだな。
……いや、関係ないな。
───現実逃避すらさせてくれないのか、正直者はつらいよ。




※あとがき※
初投稿です。
わけわかんなくてすみません。
ただカワイイ凛が書きたかっただけなんです!
ってなわけで、シリーズ物に手を出してしまいました。
初投稿でシリーズって何よ?
そんなわけでよろしくお願いします。

ちなみにタイトル表記、メインヒロインのところに男性キャラ入れてたり複数入れてる人が多いのでよくわかりませんでした。 というわけで、こんな表記方法にさせていただきましたが、許してください。

2: Cry wolf (2004/03/23 19:43:06)[jin at miz.st]

2・ある夕餉の風景

「いや〜、働いた後の一杯は格別だねぇ〜!」
この一杯のために生きているようなものよ、と言いながらえびちゅビールを飲み干す藤ねぇ。

……藤ねぇ、それはきちんと働いた人のみが言っていい台詞だ。
決して、「生徒のためを思って」指示を飛ばすだけしかしていなかった教師の言っていい言葉じゃない。

「ええ、シロウのご飯はいつもおいしい」

ありがとうセイバー、その一言のためにこのご飯を作ったんだよ。
……いや、比喩ではなくそうでないとこの首が……

唐突だが、セイバーは怒っていた。
なぜ怒っていたかというと、朝の一件で硬直してしまったセイバーは見事に朝食を取り忘れてしまったのだ。
二匹の魔物の攻撃を受けた俺はきれいさっぱりセイバーのことを忘れてしまっていた。
思い出したのは夕方、片づけを終えて帰って来た時だ……あれは怖かった。
レッドデビルもかくやという笑みで俺を迎えてくれた天使。
ああ、彼女はまさに天使だった。
かの天使の名は最強の天使、ゼルエル。
その魔眼にとらわれ石化した俺は「シロウ、夕食はまだでしょうか?」という言葉に我に返って台所に走り、冷蔵庫の中身から思いつく限りの料理を作った。
昔テレビで見たことがある、凶暴な同居人に脅されながら料理を作るパイロット(♂・14歳)の気持ちがわかった。

……そんなこんなで、セイバーに「おいしい」と言わせないと首が危なかったのだ。

「先輩? 誰に向かってしゃべってるんですか?」
「……っと、なんでもないよ桜。 あとお疲れ様」
不思議そうな顔をして話しかけてくる桜に笑みで返して、飛ばしていた魂をもどす。
……うむ、我ながら今日の夕食はうまく出来ていると思う。
と、桜が変な顔をしているのに気付いた。
「桜? なんか変なとこあったかな?」
「…………っ! い、いえ、な、なんでもありませんからっ!!」

真っ赤になってぶんぶんと音がしそうなぐらい首を振る桜。
……そんなに辛いもの、あっただろうか?

と、はぁ、というためいきが聞こえた。
「遠坂、どうかしたか?」
「なんでもないわよ。 ちょっと桜がかわいそうになって……どうせ何の自覚も無いんでしょ、あんた」
これだから朴念仁は、と「同情するわ」といったジェスチャーをする遠坂。
……む、確かに味付けを間違えたのは俺の所為かもしれないがそこまでいうこと無いだろ。
そういったら、はぁ?、と聞き返されて今度こそ完璧に呆れられた。
───なんでだ?










皿洗いを終えて、満足そうな顔をしたセイバーと道場でいつもどおり稽古をした。
セイバーによれば、少しずつだが上達しているらしい。
もっとも、セイバーに届くにはまだ何十年も鍛錬が必要らしいが……セイバーは飴と鞭の使い方が実にうまい。
さすがは王様、となんでもない事で感心してしまった。


さて、汗をかいたら当然流さなければならない。
となると、風呂に入るわけだが、我らが衛宮家は残念ながら風呂はひとつしかない。
現在屋敷にいる人間は5人、風呂はひとつである。
だから、更衣室の扉を開けたらそこに下着姿の桜がいる、なんてことがあってもおかしくは無いのである。

「……え、っと、その、さくら?」
「………………あぅ…………えと、せ、せんぱい、そ、その……」
硬直している俺と桜。
そういえばなぜヒトは予想外のことがあると固まるのだろうか?
なんてどうでもいいことを考えてしまった。

「せ、んぱい、その…………これから、お風呂はいろうかなって、おもってる、ん、ですけど……」
「………………って、ご、ごめん、ついまちがえてはいってきちゃっただけなんだっ! すぐでてくからっ!!」

バタン!

脱衣所の扉を勢いよくしめて、戸を背をあずけてもたれかかった。
なんで最近こう、ラブコメみたいな出来事が多いのだろうか。
桜もどんどん女の子らしい体つきになっていくし……脳裏についさっきの桜の下着姿が浮かんでくる。
「………………っ!!! 何考えてるんだ俺はっ!!! 桜は家族みたいなもんで、友達の妹だぞっ!!!」
必死になってそのイメージを頭から追い払う。
と、
「本当、衛宮くんはナニ考えてるんでしょうねぇ?」
なんて、今この状態で一番聞きたくない声が聞こえてきた。
ギギギ、なんて首をきしませながら視線を上げると、いた。

"(この世全ての恐怖)レッドデビル"がいた。

「と、遠坂っ! こ、これは事故でして、決してその、やましい気持ちがあったりしたわけなんかじゃないんだいやほんと!」
「ふーん、それで桜の体はどうだった?」
「最近胸とかそのどんどん女の子らしくなってあれは遠坂より大きいかななんて思ったりしてちょっとドキドキしちゃったり……って、何言ってんだ俺は〜〜〜!!!」
つい考えてることが口に出てしまった。
……と、遠坂が黙り込んだ。
「───えっと、遠坂、さん?」
「………………んの……」
「え? 何?」
「……………………こんの、バカ士郎! バカバカバカ!! 痴漢、変態、スケベ、朴念仁、けだもの!!!」

キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン

耳元で叫ばれてしまった。
遠坂はそのまま走りさってしまった。

「ちょっ、まてよおい、遠坂!」
あわてて後をおう。
………………去り際に遠坂の目に涙が浮かんでいたような気がして、気になったからだ。

庭に出て、そのまま道場のほうへ走っていってしまう。
こちらも追いかけて道場に飛び込む。
と、いきなりガントが飛んできた。

「うわっ、なにしやがる!」
「うるさいっ、観念して当たりなさい!」
「出来るかんなこと! オマエ昔より威力上がってるだろ!!」

道場の中を走り回りながらいう。
うん、道場の床とかには当たっても無傷なんだけど、だからと言って当たっても大丈夫、っていうわけでもなさそうだし。
というかむしろ障害物を貫通してくるから怖い。
あわてて干将・莫邪を投影し、よけきれないガントをはじく。

「こら、投影するな! うがーーーーーーっ、おとなしく当たりなさいよっ!!!!」

さらにヒートアップして弾幕をはる遠坂。
これは説得できないなぁ……しょうがない。
向かってくるガントをはじきながら遠坂に駆け寄って後ろから羽交い絞めにする。

「ちょっ、士郎、こら、はなしなさっ」
「あ〜こら暴れんな! いてっ、足踏むな、あててててて!!」

羽交い絞めにしても暴れるので、後ろからすっぽりと抱きしめた。
ようやく遠坂の動きを抑えられたが、まだうなりながら抜け出そうと頑張っている。

「なんでいきなり暴れんだよオマエはっ!」
「うるさいうるさいうるさいっ! あんたが悪いんでしょうこのバカバカバカ! その鈍感どうにかしなさいよっていうかあんた本当にアーチャーになるはずだった人間なの!?」

がーーーーーーーっと吼える遠坂。
……む、なんでそこであいつを出すかな……確かにアイツは遠坂が何も言わないでも動いたが……
無性に腹が立って、抱きしめる力を強くする。
「ちょっ、士郎、きついってば!」
「うるさい。 ちょっと黙れ」
「な、黙れってあんたがわるいんでしょう!?」

……うるさいなぁ……

「いいから話なさいってば…………んむっ!?…………」

あまりにもうるさいから、口をふさいでやった。
…………最後にこういうことしたのっていつだったっけなぁ……なんて考えながら。

「………………んむ…………はむっ…………しろ…………う……ぷはっ!」

ようやくあばれるのをやめてくれたので、拘束を緩める。
というか、遠坂は真っ赤になってしまって暴れてる暇なんて無いようだが…………

「遠坂、なんでそんなに怒ってるんだよ」
「なんでってあんたが悪いんでしょ、あんな…………」
「あんな、なんだよ」

口ごもってしまった遠坂を促す。
遠坂はうつむいてもじもじとしたあと、覚悟を決めたように顔を上げて

「その、胸、のこと……桜のほうが大きいって……気にしてるのに……」
「ハァ!?」
「ハァ!?って……しょうがないでしょ、私だって女の子なんだからそういうのも気になるし、その…………」
士郎も大きいほうが好きなのかなって思って、とつぶやく。

…………そんなこと気にしてたのかこいつは…………
───あ、またちょっと腹立ってきた。
どうしようもないぐらい腹が立ったから、うつむいている遠坂の顔を上げさせて、まっすぐその目を見る。

「バカかおまえは……」
「なっ、いうにことかいてバカとはなによっ!」
また暴れだした遠坂を抱きしめて、頬を挟んでこっちを向かせる。
「あのなぁ、胸がちっちゃかろうがおっきかろうが、そんなの関係なく遠坂は遠坂だろうが。 大体遠坂は胸がちっちゃくったってスタイル整ってるんだからこれでいいだろう!」
ぼっ、と火が出たように真っ赤になった遠坂の目をまっすぐに見つめていう。
「それに、ちょっとぐらい欠点があった方が人間らしくていいだろうが。 あんまり完璧すぎちゃこっちだって悪いところ浮き彫りになるだろ」
………………まったくこいつは、人がうらやむような物ばっかり持ってるくせにまだ完璧を求めやがりますか。

「………………ふ、ふんだ。 わかったわよ、許してあげるわよ、ただしやっぱり気にしてるんだからその話題には触れないこと! いいわね?」
そういって、遠坂は俺から目をそらす。
「……ああ、わかった。気をつけるよ。」
そういいながら遠坂の体を離してやった。
そうして、改めて自分が何をしたか思い出して、真っ赤になってしまった。
遠坂も赤かった顔がさらに赤くなってしまい、二人して道場の真ん中で立ち尽くしてしまう。

………………回復が早かったのは遠坂のほうだった。
勢いよく道場の入り口のほうに向くと、そっちのほうへ早足で屋敷のほうへ戻って行ってしまった。
ただ、出ていく直前、こちらを振り返って

「………………でもね、士郎。 やっぱり好きな人の前では完璧でいたいっておもうのは、どんな女の子だろうと思っているのよ。」

と笑顔で言って、去っていった。

───はぁ、とためいきをつく。
………………どうがんばっても、やっぱり遠坂にはかなわないなぁ、と思った。
惚れた弱みっていうのはどうやら治療法が無い上にどんどん悪化していくようである。



※あとがき※
そんなわけで第一話です。
凛様嫉妬するの巻パート1。
まだまだ勢いで書いているところが多くて、性格が壊れてたりするかもしれませんが勘弁してください。
さぁ、これからどんどん嫉妬する凛様を書いていくぞ〜〜〜!!!w


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