凛と剣と永久の旅人 その3


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1: レッドアイ (2004/03/21 05:23:33)


 遠坂凛は不意打ちの出来事に弱い。

 それは事実だ、認めよう。

 しかし。

 たとえ不意打ちに強かったとしてもこの状況は予想できないだろう

 ……いきなり女の子に襲われるとは思わなかった。







 凛と剣と永久の旅人 その3







「…ん……むぅ…」

 葉月の下が私の口内まで侵入してくる、私の唾液をすべてかき出そうとしているかのように、私の口の中を動き回る。

「んーーー!んむぅーーー!」

 無論私は抵抗している、しているのだが、頭をものすごい力で押さえられていて、抜け出せない。

「うぅん……あ…」

 葉月の顔が少し離れる。

 混ざり合った唾液が糸を引き、私と葉月の唇の間に橋を架けていた。

「あ―――――」

 葉月は唾液の橋が切れると自分の唇を舌でぺろりと舐める。

「…初…美……」

 眼はうつろで、その表情、その仕草は。

 とてつもなく艶っぽかった。




 ――――ヤバイ、とにかくヤバイ、遠坂凛は今、貞操の危機を感じた。

 相手は女なのだがそんなことは問題ではないと。

 私の本能が告げていた。



 とりあえず私は女に貞操を渡すつもりはない、ならば全力で脱出しなければ目の前の相手からは逃げ切れない――――

 ――――魔力により脚力強化。

 葉月の足の間に強化した足を挟む。

 葉月の肩を掴み―――強化した足を振り上げる!


 奥義・魔術強化巴投げ



 どさり



 結構飛んだ、葉月はベッドから落ちて床に墜落。

 とりあえず引き剥がすことには成功、しかしこのままだとまた襲ってくるかもしれない。

 そう思うと私は瞬時に布団を引っ掴み、葉月を埋めた。




「………はぁ」

 葉月が埋まっている布団の山が動く気配はない、どうやら本当に寝ぼけていたようだ。

「お姉さん役から今度は恋人役とは…………あれ?」

 何か違和感がある、恋人役?

「……初美って、言ってたわよね」

 ………女……?   
















 部屋から逃げて居間に来た、葉月は起こすと怖いので埋めたまま置いてきた。
 
 今は遅い昼食をとっているところだ。



 さて、さっきまでいろいろあって混乱していたが、落ち着いた、さっさと気持ちを切り替えて、聖杯戦争の方針を考えなければ。

 ……ファーストキスが女だったなどというのは忘れてしまえ。

 ……しかしあの唇の感触は――――
 
「……おはよう」 

「―――――!」

 いつの間にか葉月が隣にいた。

「え…えぇ、おはよう」

 そう言いつつ、ついつい葉月の唇に眼が行ってしまう。

 ……だめだ、とんでもなく緊張してしまう。

「顔赤いよ?凛」

「―――――っ!」

 そういわれるとますます恥ずかしい。

 必死になって止めようとするが、私の顔はもう真っ赤だろう。

「あ…ご飯食べる?」

 とりあえず話題をそらしとこう、これ以上無様をさらすわけには行かない。

 ……女のプライドとかそのあたりが傷つきそうなので。

「うん……ありがとう」 


 

  

  
 
 葉月と一緒にご飯を食べる、葉月は無言、こちらも食事中に話すことはしないので静かになる。

 葉月の食べ方はとても優雅でお手本にしたいほどだ、なのでついつい葉月を見てしまい、時々眼が合う。

 なんとも緊張感漂う食事だった。













 


「葉月、外に行くわよ、案内してあげる」

 食事が終わった後、そう言って葉月を連れ出した、やはり葉月にはどこに何があるかを把握してもらわないといけないだろう。




「………………」   

「………………」

 道行く人々の視線が集まる。

 男女問わず。

 例外なく皆足を止めてその姿に見入る。

 私の横にいる存在に。

「なんか、すごい目立ってるわね」

「………………」

 葉月は綺麗だ、女の私が見てもドキドキするほどに。

 さらに私まで一緒に歩いているのだから、これで視線を集めないわけがない。

 ……まぁ葉月より私に向けられる視線が少ない気がするが気にしないでおこう。



 





 その後、正体不明のマスターの監視に気づくがそれ以外は私を見上げてるやつがいたぐらいで、戦場の下調べは終了した。

 ただ私が葉月を連れまわしただけに見えるが気にしない。

 きっといつかこのときの行動が役に立ってくれるはず。



  




 ――――で。

 深山町に帰ってきたときは、9時を過ぎていた。

 この時間にはもう出歩く人影はなくなっている。

 私と葉月はさすがに疲れたので家に向かっているところだ。

 ……と。

 なんか、前を行く人影があった。

「……あれ、桜……?」

 まずい。

 今は顔をあわせづらい。

「葉月、ちょっとこっち来て」

「………………?」

 葉月を引っ張って手ごろな場所に身を隠す。

「……どうしたの?」

「あそこにいるの知り合いなのよ、今日学校休んだから、顔を合わせたくないの」

 そのまま、前方の人影を観察する。

 桜と……知らない外国人が話している。

「凛、知り合いは女の子のほう?」

「ええ、外人のほうは知らないわ」

「………そう」

 すぐに話は終わったらしく、男は私たちがやってきた道を下っていった。

 桜も坂を上っていく。

「……なんだったのかしら」

 外人のほうは少なくともマスターではないようだった。

 桜の知り合いだろうか。







 


 遠坂凛は気づかなかった。

 間桐桜を見る葉月の眼には、確かに怒りが存在していたことを――――















 あとがき


 う〜む、会話が少ない。

 場面飛んでるし。

 やはり無口なキャラには元気なキャラがそばにいないとダメっぽい。

 見せ場がないな〜。

 ボロボロじゃん。

 最後にちょっと伏線張ってみたり。

 まだまだ頑張らねば。

 あと、18禁にはなりませんよ、たぶん。




  


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