Fate 銀色の守護者 傾 シリアス 士郎 オリキャラ


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1: ドラゾンビ (2004/03/20 07:02:28)

このSSは一部ネタばれを含んでいますが、それ以上に登場人物の背景などが一部変わっており、外伝・再構築と言うよりも、Fateの世界観を使った別の物語と考えて下さい。

その為、Fateの世界を大切にされたい方は読まれない方がよろしいかも知れません。
































昔の夢を見ている。

10年前のあの悪夢を。

あの日、突然街を覆い尽くした炎によって、僕こと士郎は優しかった両親、親しかっった人達、そして帰るべき家を永遠に失った。

居場所を失い孤児となった僕は、衛宮切嗣と名乗る人物に引き取られ「衛宮士郎」となった。

切嗣は自分が魔法使いだと言った。

いくら僕が子供とは言え、さすがに本気で信じる事は無かった。

だが、それが誤りだと気づくのには半年と掛からなかった。

切嗣は本当に魔法使いだったのだ。

ただ、切嗣が言うには「魔法」と「魔術」は似て非なる物らしく切嗣は「魔術士」との事。

僕は切嗣に魔術を教えて欲しいと懸命にせがんだ。

魔術が使えればあの日の様な事を繰り返さなくてすむかもしれない。

そう思ったから。

ただそれだけの事。

初めは渋っていた切嗣も、僕の熱意に負けたのか魔術を教えてくれると言った。

今思えば、切嗣の事を「親父」と呼ぶようになり、ぼくが「衛宮志郎」に成ったのはこの頃からだったと思う。

10年前の事。

今思えば、これが新しい全ての始まりだった。




















Fate 銀色の守護者












朝5時に起きて道場での鍛錬。

その後、朝食とお弁当の用意をして学校へ。

これが5年前、親父が死んでからの「衛宮志郎」の朝の変わらぬ日課だ。

「おはよう衛宮」

と、玄関を出て坂道を下る途中、慎二と合う。

「間桐慎二」、俺の同級生で同じ弓道部の副主将。

そして数少ない友人の一人でもある。

慎二と知り合ったのは中学生の時で、それ以来の付き合いだ。

結構軟派な性格の為誤解を受け易いが、一本筋の通ったしっかり者である。

雑談をしながら交差点まで来ると

「おはよう遠坂」

と慎二が駆けだした。

「おはよう間桐君、衛宮君」

「おはようございます先輩」

「おはよう遠坂、桜」お互いに挨拶を交わす。

「遠坂凛、桜」姉妹。

姉の「凛」は同級生で、成績優秀・容姿端麗・スポーツ万能と三拍子そろった学校のアイドルだ。

妹の「桜」は一学年下で弓道部の後輩。

姉の凛とはタイプが違うが、やはり美少女だ。

近所では評判の美人姉妹である。

慎二は遠坂に話しかけている。

慎二は女子にモテるのだが、遠坂は慎二をまるで相手しない。

それにもめげずに、慎二は遠坂にアプローチを繰り返してる。

どちらもある意味大したもんだと思う。

「じゃあ先に行くけど、遅れるなよ慎二、桜」

慎二と遠坂姉妹を置いて部活へと急ぐ。

正直な所、俺は遠坂姉妹を出来る限り避けている。

実の所、今此処にいる四人は、冬木の土地を住処とする魔術士だったりする。

遠坂と間桐は、古くからこの地に住む家系だが、俺の親父・切嗣は潜りの魔術士らしく、この地に勝手に住みついてしまった。

その為、冬木の地の管理者である遠坂に俺が魔術士だと知れたら色々とヤバイのだ。

遠坂凛の魔術士としての実力を考えれば、すでにばれてる気もするが、何も言ってこないので此方からも何もしない。



「すっかり遅くなったな」

この日、俺は弓道部の備品の手入れを部活の後にやっていたので遅くなってしまった。

「早く帰えらなくっちゃ」

現在一人暮らしの俺が帰宅を急ぐのには理由がある。

昨日の晩、冬木の街。

それもかなり近い所で立て続けに3個の大きな魔力の出現を感じた。

「サーヴァント」

人のそれを大きく上回る魔力。

この冬木の地でのみ召喚可能な英霊の使い魔の出現。

それは5度目の聖杯戦争が始まった事を告げていた。

俺の腕にも令呪が現れ始めている。

「令呪」それはサーヴァントを律する三回限りの命令権。

マスターとなった者は令呪を使ってサーヴァントを上手く使いながら聖杯をめざす。

逆を言えばサーヴァント無しで聖杯戦争を勝ち抜く事は不可能だと言う事だ。

故に早く帰ってサーヴァント召喚の儀式を始めなくてはならない。

それがこんな事になってしまうとは。


すっかり暗くなり、弓道場を後にして校舎を出ようとした時、何かの音が聞こえた。

何か金属を打ち付け合う様な音。

校庭の方からだ。

気配を殺しつつ音のする方へと近づく。

そこで見た物は驚愕に値する物だった。

音の正体。

それはサーヴァント同士の戦いだった。

長槍を巧みに操っているのは十中八九「ランサー」だろう。問題は相手の方だ。騎士には間違い無いが妙に小柄な上、振るっている武器が見えない。

そう、見えないのだ。

これにはランサーも戸惑っているようで、間合いが取りにくいようだが、それでも何とか捌いている辺り、流石は英霊だなと思ったりする。

戦いが続く中、もう一度ランサーの相手を観察する。

そしてその正体に気付いた時、正直驚いた。

「セイバー」

それがランサーの相手の正体。

それが分かるのには理由がある。

5年前、親父は亡くなる前に驚く事を語った。

10年前の災害の真実。

繰り返される聖杯戦争とサーヴァントの事。

そして10年前の災害の最後の引き金をひいたのが自分だと言う事を。

驚きや怒りはあったが不思議と憎しみは無かった。

時が過ぎた事と、魔術を学び常識外の常識を知り得たから。

どちらにしても起きてしまった事を無かった事にはできないのだ。

セイバーとランサーの戦いが続いている。

武器と武器が接触する度、魔力の火花が散る。

親父が語った事。

10年前の聖戦争杯の時、親父のサーヴァントだったセイバーがイングランドの英雄アーサー王、しかも本当は少女とも言える年だったと言うのには正直驚いた。

まあ、真実が人の都合の良い様に歪められるのはよくある事だ。

だが、それだけに余計にアーサー王と言う英雄が如何に優れていたのかよく分かる。

一進一退が続く中、先に動いたのはランサーだった。

構えと共に長槍に凄まじい魔力が集まって行く。

宝具を使う気だ。

「ゲイ・ボルク」

真名と共に放たれた一撃がセイバーに迫る。

これを武器で払おうとしていたセイバーが突然全力で後ろに下がった。

それを追うように長槍の先端が有り得ない方向に曲がった様に見えた。

気付いた時にはランサーの長槍がセイバーの胸に刺さっていた。

直感的に悟った。

あの宝具は因果率を歪ませ、放つと同時に敵の心臓に刺さっている事に成る宝具だと。

セイバーは辛うじて致命傷を免れた様だが、苦しそうに胸を押さえていた。

二撃目を構えるランサー。

セイバーが殺られる。

そう思った時、思わず身体を動かしてしまった。

「誰だ!」

ヤバい、見つかった。

ランサーの殺気が明らかに此方に向けられている。

逃兎のごとく逃げる。

サーヴァントに脚で勝てる訳が無い。

校舎の中に逃げ込む。

三階まで駆け上がり手近な教室に飛び込んだ所で追いつかれてしまう。

「見られた以上、消えてもらうぜ!」

目撃者は消すのが、魔術士の暗黙のルール。

その言葉を実行する為、襲い掛かって来るランサー。

人がサーヴァントに対抗できるはずもなく、強化した物でランサーの長槍を掃う程度の事しかできない。

投影でランサーの長槍に対抗できる武器を作っても、それを使う事が人には不可能に近い。

「飛べ!」

声と共にランサーの回し蹴りを喰らう。その蹴りで教室の前から後ろの壁まで飛ばされる。

壁に背中を激しく打ち付けて呼吸が出来無い。

「一般人かと思ったが、見習いの魔術士か。ま、それにしちゃ良くやった方だ。ひょっとしたらお前が7人目のマスターだったのかもな」

『7人目?まだマスターとサーヴァントの数が揃ってないのか?それなら』

呼吸を整え精神を集中する。

「投影開始」

頭の中に魔法陣をイメージする。

俺が修行の末身に付けた魔術は「投影」と「強化」の二種のみ。

才能が無いのか、それ以外の魔術は全滅である。

また投影に限って言えば、刀剣類に限って天才的な冴えを見せるが、それ以外は数倍の魔力を消費してしまう。

親父が、「お前の起源は『剣』かもしれんな」と冗談の様に言っていたのを思い出す。

投影した物はオリジナルより能力が劣る、実体化してから数分で消滅する等、制約の多い魔術だが、覚えてみると意外と応用が効く事に気付いた。

例えば、今頭に描いているのはサーヴァント召喚の為の魔法陣である。

それもすでに魔力が満ちている状態で。

実際に一から召喚の準備をする事を考えてみると良い。

確かに魔力の消費は激しいが、大規模な儀式魔術の準備を短時間で可能に出来るのは、まともな魔術を使えない俺には大きなメリットが有る。

それでもこの緊急召喚は一か罰かの賭けである。

失敗すれば命が無いのは勿論の事、最悪もっと酷い事に成る可能性もある。

「運が無かったな坊主。あばよ」

ランサーの長槍が俺に向かって突き出された瞬間、俺の足元に魔法陣が描かれ、その中から人の姿をした光が現れる。

激しい金属音の後に

「本気か、7人目のサーヴァントだと!」

ランサーの驚いた様子の声がした。

光に眩んで閉じていた目を開けてみる。

ランサーの長槍を止めた光の正体。

それは身体を銀のハーフプレートで覆った女性の騎士だった。

「まてランサー。一般人を手にかける事は許さ・・・」

ランサーを追って来たのか、セイバーが教室に飛び込んで来て・・・あ、固まってる。

そりゃそうでしょ。

ランサーを止めようと追いかけて来たらサーヴァントが2人に増えてるんだから。

互いに次の行動を模索する。

「ええ〜と・・・?」

あ、セイバーが動いた。

「エクス!」

こんな所で、んな物使うな〜。

「逃げよう!」

俺は銀のサーヴァントの手を引いて窓から外へと飛び出した。

四肢に強化の魔術を施し無事着地。

そのまま銀のサーヴァントの手を引いてその場から走り去る。

残されたのは呆気に取られたまま固まっているランサーとセイバーの二人。

「セイバー!さっきの一般人は無事?」

走りこんで来たのは、セイバーのマスターとなっていた遠坂凛だった。

ざっと教室の中を見回すが、窓が割れているだけで人の姿はない。

答えを諭すようにセイバーを見る凛。

「さっきの奴なら逃げたぜ。オマケにこの土壇場でサーヴァントまで召喚しやがったのに戦わずにな」

答えはランサーから戻って来た。

その言葉にははっきりと苛立ちが感じ取れる。

さっきの新しいマスターとサーヴァントが戦わず逃げ出した事が気に喰わないのだろう。

こちらに背を向けて去ろうとするランサー。

「どこへ行く。貴公との決着はまだであろう。アイルランドの光の御子よ?」

「ちっ、やっぱりばれてるか。有名過ぎるのも考え物だな」

それでもランサーは背を向けたまま去ろうとする。

「逃げるのか?」

「槍をかわされたのなら帰ってこいだとよ。それに今日のは偶々の遭遇戦だ。7人目が揃ったんなら改めて聖杯戦争開始の宣言を待つのが筋ってもんだろ?」

面倒くさいと言いたげなランサー。

「それにさっきの連中の事も調べなきゃいけね〜しな」

そう言いながらランサーは外へと去っていった。

「凛、追いますか?」

「いいわ。どうせ追いつけないだろうし。今日の所は引き上げて、明日からの戦いに備えましょう」

「わかりました。凛がそう言うのでしたら」

二人は戦いの後始末を付けて、その場を後にする。



俺はサーヴァントの手を引きながら走った。

学校からかなり離れた所でようやく脚を止めた。

呼吸の乱れが酷い。

少しして呼吸が落ち着いた所で、俺はサーヴァントの手を握ったままだという事に気がつき、慌ててその手を離した。

「あ、ご、ごめん。逃げるのに生一杯で…」

「いえ、あれはあれで助かりました。私はあまり戦いが得意な方ではありませんら」

ある程度落ち着いた所で、改めて自分が召喚したサーヴァントを見た。

身長は俺と同じ位、身体を銀のハーフプレートで堅めている。

右手にサークルシールドを装備している辺り、左利きの様だ。

だが、何より目を引くのは、その容姿だ。

年の頃は二十歳前後、肩より長い銀髪に蒼い瞳と雪の様に白い肌。

さっき見たセイバーも、美しさと凛々しさを兼ね備えた美少女だが、この銀の騎士はそれを上回っているんじゃないのか?。

何か少し得した気がするのはセイバーには内緒だ!。

俺が彼女に見とれていると、

「そういえば、自己紹介がまだでしたわね」

と、俺に向かって姿勢を正し一礼をする。

「サーヴァント・ガーダー、召喚に従い参上致しました。――これより我が盾は貴方と共にあり、貴方の運命は私と共にあります。――ここに、契約は完了しました」

「これからよろしくお願いいたします、マスター」

ガーダーが笑顔で握手を求めてきた。

「俺はマスターなんて名前じゃない。士郎でいいよ」

俺はガーダーの手を握りながら言った。

「ふふっ、わかりました、よろしく、士郎!」



こうして、「剣」は俺の手を擦り抜け、代りに「盾」がこの手に握られた。

この先の物語は誰にも分からない。

全ては時の流れ行くままに・・・









あとがき

すいません、いきなりタイトル等に書き忘れしてしまいました。

どうも、作者のドラゾンビと申します。

まずは御詫びを。

初の投稿SSとは言えヘボい物を書いてすいません。

内容も文書力も全くありません。

でも人間不思議な物で、書きたいと思ったらどんなに時間が掛かっても書いてしまう物なのです。

実際、たったこれだけの物を書くのに二週間かちくかかっています。

ブラインドタッチができないのが一番の問題・・・

一応連載物の予定ではありますが,何時次が書けるかは分かりません。

それでは。






人物設定紹介

衛宮士郎・10年前の聖杯戦争のおり、両親を亡くし「衛宮切嗣」の養子となる。
原作と違い、幼少の頃から切嗣に魔術の手ほどきを受けていた為、かなりの実力を身につけている。
ただし投影と強化だけ。
切嗣の死後、無茶な訓練を繰り返し特殊な魔術回路を持つにいたる。
切嗣の持っていた魔術知識を魔術によってそっくり受け継いだ為、セイバーや聖杯戦争の事も知っており、その為投影のバリエーションも最初からかなり豊富である。

遠坂凛・桜、姉妹
幼い頃、桜を養子に出す話が一時持ち上がったが流れてしまい現在に至る。
遠坂の魔術は元々金がかかる上に、桜まで魔術を習い始めた為、万年金欠状態に成ってしまい、食費なども節約しなければ成らなかった為、姉妹そろって料理の腕では誉められた物ではない。

間桐慎二
間桐の正当後継者。
元々慎二は魔術回路を持っていなかったが、間桐の血筋に強い誇りを持っており、死を覚悟の上で祖父(と思っている)臓硯にたのみこみ、体の中に蟲を移植し、それを魔術回路の代用とする事で魔術の使用を可能とした。
無理な移植の反動で定期的に体を激痛が襲っているが、それを精神力でねじ伏せている。
狂気と暴挙と精神力だけで、士郎や凛と同じラインに立ったすごい人である。

サーヴァント・ガーダー
クラスとしては存在するが、4度の聖杯戦争を通じて1度も召喚された事の無い「盾」のサーヴァント。
飛び抜けた防御力を持つ事意外は不明のまま。
原作で没となったキャラクターを、自分流に解釈したオリジナルキャラ。













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