それは有り得たかもしれない物語 そのなな


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1: 久遠 (2004/03/16 20:15:28)

  
 注意1:この作品の弓さんはアーチャーではないです。
 注意2:これはfateもしとは一切関わりがありません。
 注意3:これは電波による二次被害作品です。
     fateもしを書いていて本編で使用不可な電波がきたため別の作品として誕生しました。

 以上を踏まえた上で読んでやってもよいという奇特なかたは下へどうぞです。


    





 

 
        それは有り得たかもしれない物語 そのなな



 side by エミヤ

 夢を見た。

 この身は執事とはいえ英霊である。
 夢など見よう筈が無い。
 なのにあの時の、
 衛宮士郎が衛宮切嗣の代わりに正義の味方になることを誓った日の夢を見た。
 オレはその誓いを破り執事として生きる道を取った。
 このことに後悔はしていないが、

 もし切嗣に会えたならなんと言われるだろうか?
 

 side by 凛

 う〜、眠い、果てしなく眠い。

 昨日は流石に疲れた、
 ランサーに始まりセイバー、そしてアーチャーとの戦闘。
 初めての戦いに精神が疲労している。
 だがのんびりしてるのもいただけない、
 というわけで起きたのだが。
 ここは何処だろう?

 え〜と……そうか、昨日衛宮君の家に泊まったんだった。
 疑問は解消したが頭はいまだにすっきりとしない、
 とりあえずなにか飲み物を貰おう。

 居間に行くと既に衛宮君は起きて朝食の準備をしていた。

 「おはようって、と、遠坂……?
  なんだその顔は!?
  何かあったのか……!?」

 朝から失礼なことを言ってくる、
 ちょっとカチンとくるが自分の朝の状態を考えれば頷ける。

 「おはよ、別に朝はいつもこんなだから気にしないで。
  とりあえず紅茶を――」
 
 「それならもう用意してあるぞ凛」

 ――その声に振り向くとバトラーが既に紅茶の準備をし終えていた。
 さすがは執事、主人の要求に即座にというより、
 前もって対応してくるとは……すごく便利かも。

 バトラーの淹れてくれた紅茶を飲む……お、おいしい。
 家にある高級な茶葉で淹れたのよりも数段おいしく感じる。
 
 「バトラー、この紅茶はどうしたの?」

 「ああ、それは執事の秘密ということで黙秘させてもらうとしよう」
 
 なんて言ってきた、

 「あら、主人に対して秘密を持つなんて執事としていいのかしら?」
 
 おそらく私は今かなり上等な笑みをしている筈だ、
 って、そこ、衛宮君! 何怯えた顔してんのよ!?

 「ふむ、昔私の執事の師匠が言っていたことだが、
  "主人に対して十や二十の秘密は当たり前"らしい。
  最終的には"主人を使って如何に自身が楽しめるかを極めろ"とも言っていたな」
 
 どんな師匠だ、それは。

 その道は絶対に間違ってるわよバトラー。

 「よし、遠坂。
  朝食の用意はできたぞ、
  ってセイバーを呼んでこないと」

 「衛宮士郎、それならば私が呼んできてやろう」

 そう言って居間を後にするバトラー。
 ……なんか変ね。
 
 side by エミヤ

 「衛宮士郎、それならば私が呼んできてやろう」

 気がつくと口から勝手にそんな言葉が出ていた。

 オレ自身このなんとも言いがたい感情を持て余している、
 まーそのことで仕事に支障が出ては執事の名折れである、
 きっちりと仕事はこなさなくてわ。

 そう考えながらオレの足は自然と道場に向かう、
 前回もそうであったしおそらくそこに彼女はいるだろう。

 道場に入るとそこには、
 あの日と同じセイバーがいた。
 凛とした空気の中、背筋を伸ばして正座をし目を閉じている。
 一瞬、心を奪われ見惚れていたが直に用件を思い出す、

 「セイバー、朝食の準備が出来た。
  君も早く来るといい」
 
 オレの言葉と共にその目を開けこちらを見る、
 オレは目を合わさないように既に振り返って歩き出している。
 そこに、

 「バトラー、尋ねたいことがあります」

 朝の空気と同じ凛とした声が響いた。

 
 side by セイバー

 「バトラー、尋ねたいことがあります」

 私の口は勝手にそんな言葉を紡いでいた。
 彼はリンのサーヴァントであり、
 今は共闘していると言ってもいずれ敵になる存在だ。
 なのに、
 
 「貴方と私は何処で会ったのですか?」

 私が朝から記憶を辿ってみても答えは一切出てこなかった、
 私と以前会ったことがあると言った彼。

 「戦場だ、私はそこで君に出会い、
  ……君に命を助けられた。
  そうだな、言っておいて罰は当たるまい、
  セイバー、君に感謝している」

 そんなことを振り返りもしないで言ってきた。
 ……やはり覚えていない。
 戦場で彼ほどの強さの者を助けたことがあったか?
 私が考えていると。

 「セイバー、料理は出来たてがやはりおいしい、
  作り手のことを考えるなら早く行って食べてやるべきだ」

 そう言い残し歩き去ってしまう。
 私もあわてて後を追う。
 彼のことを疑問に思うが、今はお腹を満たすこともまた重要だ。
 
 朝食を食べてから彼についてじっくり考えよう。

  
 ふぃん


 あとがき
 どうも久遠です。
 四日目朝……進まないです。
 ここはfateルートだと士郎君は怪我の為寝坊しているところ。
 このSSでは怪我してないから朝食を作ってます。
 どうか笑って、もしくは見なかったことにして見逃してくれると助かりますです。


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