終わりと始まりの丘 その6(傾:シリアス M:?


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1: オルガット (2004/03/14 19:10:40)[sktaguro at yahoo.co.jp]




 ―――が、大橋の所で、思わぬ敵と遭遇した。



 「―――――ライダーのサーヴァント・・・」

 目の前の紫髪の女性、ライダーを睨み、投影の準備を開始する。

 しかし、腑に落ちない点がある。

 何故奴がここにいるかだ。ライダーは慎二のサーヴァントだったはず。

 今頃慎二と、学校に結界を張る準備をしているはずだが。



 「何故、私のクラスを知っているのです?」

 ライダーが冷たい声で問いかけてくる。当たり前だ。

 ライダーは宝具を出していないのに、クラスを見抜かれたんだ。

 疑問を持たないはずが無い。

 「それに答えると思ったか?ライダー」

 こちらも冷たい声で、少し相手を見下した態度で返す。

 自分から手札を晒すわけにはいかない。

 「一応聞きますが、あなたのクラスは?」

 ライダーもこちらが答えるとは思っていないのだろう。

 言葉には何の感情も篭っていない。

 その質問を無視して、干将・莫耶を投影する。



 ライダーの雰囲気が変わる、あちらも臨戦態勢にはいったようだ。

 手には、なにやら鞭のような武器が握られている。

 が、ライダーの強さは過去で体験済みだ。

今の俺ならそう苦戦する相手ではない。

 ギルガメッシュとの戦いのためにも、速攻で決着をつける!




 ライダーの振るう鞭の様な物を斬り払い、間合いを高速で詰める。

 ライダーの武器は接近戦には向いてない。接近さえしてしまえば!

 背後から迫りくる釘を払い、ライダーに斬りかかる。

 ライダーはそれを鎖で防ぎ後ろに飛ぶが、逃がしはしない!

 干将・莫耶を投げつけ牽制する。

 が、ライダーの鎖で弾かれ、夫婦剣はライダーの後方へ飛んでいく。

 干将・莫耶を再び投影し、ライダーに斬りかかる。

 干将は手元に戻した釘で止められ、莫耶は鎖に阻まれる。

 が、甘い! 投げつけた干将・莫耶を引き寄せる。

 背後からライダーの脇腹に干将・莫耶が突き刺さる。

 動きが止まったライダーの首を干将で斬り付ける!

 しかし、ライダーは俊敏な動きで横に飛び、斬撃を避ける。

 だが、避けたところで無駄だ!



 「詰みだ、ライダー!」

 に弓を投影し、同様に『矢』を投影し、構える。



 「ブロークン・ファンタズム!」

 ライダーに突き刺さった干将・莫耶は光に包まれ、

 内側からライダーの身体を破壊する!

 そして――――この一撃で貫く!


 「――――I am the bone of my sword.」
      我が骨子  は 捻れ 狂う。

 「―――“偽・螺旋剣”」
     カラド、ボルク!


 偽・螺旋剣を放つ瞬間、



ライダーの目隠しが外された。



 ――――その瞬間、反射的に捉えていたライダーから目を逸らした。



 放たれた偽・螺旋剣は、ライダーを捕らえることなく、空を切り裂いた。



 ―――身体が重い。

重い身体に鞭を打ってライダーに視線を戻す。

しかし、ライダーの姿はすでになく、そこには無限の闇が広がっていた。



 逃げられたか・・・それに、予定以上の魔力を消費してしまった。

 ここは引こう。今はギルガメッシュを相手にすべきではない。

 それにライダーは重傷だ、しばらくは動けないだろう。

 今回はライダーの正体を掴めただけでも良しとしよう。



 そうして霊体に戻り、凛の家へと駆ける。



 その途中学校に行ってみたが、結界等張られていなかった。



 ドアをすり抜け家の中に入る

 そこには、



 仁王立ちしたあかいあくまが待っていた。



 「おかえりなさい、セイバー」



 にっこりと微笑んで俺を迎えてくれるあくま。

 やばい・・・こういう時は怒ってる時だ。

 反射的に「ただいま」なんて、言ってしまった自分のバカさ加減に嫌気がさす。

 「で、何処で何をしてたか説明してくれるんでしょうねえ」

 うわっ、背後に怒りの炎が見えるぞ。

 「ライダーのサーヴァントと一戦やらかしてきただけだ」

 ボロが出ないように、できるだけ簡潔に答える。

まあ、ギルガメッシュの事等は流石に話さないが。

 「で、なんで私を起こさなかったのかしら?」

 一見笑っているが、こめかみの辺りがピクピクしている。

 不味い、本気で怒っている。下手な事は言えないな。

 「ライダーの方もマスター不在の偵察の様だったからな、
 その程度の事でマスターの睡眠を妨げても悪いと思ってね」

 すました顔でそんな事を言うが、内心ヒヤヒヤしてる。

凛に嘘を言うのは、実に心臓によろしくない。

 「第一、コソコソ動き回るような小物は、
 凛が気にするまでもない。俺が一刀の下に斬り捨てるよ」



 凛のサーヴァントである限り、単独行動は難しいな。

 これからやるべき事が多いんだが、なんとかなるかな?



 「ふん、まあ今回は許してあげる。
 今度からは、ちゃんと私に言ってから行きなさい」

 そう言って凛は、そっぽ向いてしまう。

 口調は怒っているようだが、もう怒っていないようだな。

 さて、ライダーの正体の事を凛に相談するかな。

 強力な『魔眼』を持つことはわかったが、それだけではわからない。

 「凛、ライダーの正体の話だが・・・」

 「ライダーが何処の英霊かわかったの?」

 期待したような声で問われるが、実際はわかっていない・

 「ここで話すのもなんだから居間で話そう」

 そうして凛と居間に移動する。

 凛の分だけ紅茶を淹れて、イスに座り、凛と向き合う。

 「さて、ライダーの正体はわからないが手掛かりは得た。
 強力な魔眼を持ち、それでいて騎乗能力持つ英霊は少ない。
 そこから絞りこんでいけば、正体は掴めるだろう」

 武器がシンボルの英霊ならすぐにわかるが、魔眼持ちの英霊はわからない。

 そもそも他の英霊については、今でもあまり詳しくないんだ。

 「何の魔眼だったかわからないの?」

 少し考え込んでから、凛が尋ねてくる。

 あれほど強い魔眼なら、断定はできないんだが検討はつく。

 「おそらく、石化の魔眼だ」

 ライダーの目隠しが外された瞬間、身体が石のように重くなった。

魔眼を発動していた時間が短かったからよかったが、

あのまま見られていたら、石にされていただろう。

 石化と言えばメドゥーサだろうが、メドゥーサは騎乗しないだろう。

 「それじゃあライダーの正体って、メドゥーサじゃない。
 石化の魔眼と騎乗能力がある英霊は他にいないわよ」

 「なんでさ?メドゥーサって何かに乗るのか?」

 言ってから自分の失言に気づく。やばい、地がでてしまった。

 自分が考えてたことの反対を言われたからなあ。

 過ぎてしまった事はしかたがない。

 「セイバー、あなたもしかしてそれが地?」

 なんかにやけた顔をしながら凛が問いかけてくる。

 この顔は獲物をいたぶるときの猫に、凄く似ていると思う。

 「悪かったな、これが地で。いいさ、サーヴァントらしく
 振る舞おうと努力してたけど、もうやめるさ」

 自分でもどうかと思ったが開き直ってしまった。

 口調を変えるのは結構厳しいし、正体もいずれバレるからいいかな。

 ふん、と拗ねた声で言って霊体に戻る。

 凛が笑いを押し殺した顔をしてるのを見ないようにして、部屋の隅に移動する



 それにしてもメドゥーサって何に乗るんだろう?

 凛に聞いてもいいが、今は聞きづらい。



 それに、メドゥーサだとわかってしまえば、こっちには必勝の武器がある。



 霊体化したままで、凛と今後の方針について話し合ったが、

やはり、凛は学校に行くらしい。彼女らしいと言えば彼女らしいな。

 一通り話を終えて、凛は寝室に戻って行った。



 さて、凛もようやく寝てくれたことだし。

これからの事について考えようかな。



 そして、屋根の上で見張りをする。あの赤い騎士が以前そうしたように。



 実体化し、冷たい空気を肌で感じながら月を眺める。

 そして、思考の海に意識を落とす。



 ランサーのマスターが違うこと、学校に結界を張ってないライダー。

 明日は、いや正確には今日。『彼女』は召喚されるハズだ。

が、学校に結界が張られて無いため、衛宮士郎がランサーに

殺されることはないだろう。そして土蔵に追い詰められることも。

 それらから、今回の戦争は自分が体験した戦争と異なるものだと確信する。

 今回の聖杯戦争がどうなるかは俺にも分からない。



 ――――ただ一つ、分かっていることがあるとしたら。



 俺はこの戦争を最善の結果で終わらせために戦う。



 ただ、それだけだ。





 あとがき?
 
 やはり話が全然進みません。そしてキャスターの事忘れてるサーヴァ士郎に乾杯。

 それと士郎死亡フラグ&セイバー召喚フラグがどんどん潰れている。

 士郎が参戦できるかどうかも怪しいこの話。

 誤字脱字の指摘や、感想をいただけると幸いです。

 
 ちなみに『ブロークン・ファンタズム』は宝具を破壊する技ではなく、
 
 宝具に込められた魔力を解放し、爆発させる技です。この技を使ったら

 宝具は他の物の投影と同じく、形だけの模造品に成り下がります。


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