伝説のサーヴァント第2章 (傾:ギャグ M:アレなバーサーカー


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1: こんてにう (2004/03/14 03:07:55)

はじめに
実在の人物および歌とは一切関係ありません
バーサーカーの正体がアレだったらな話です
今回は凛ルートを弄っています


「―――――ねぇ、お話は終わり?」

幼い声が夜に響く。
歌うようなそれは、紛れもなく少女の物だ。
視線が坂の上に引き寄せられる。

―――そこには。

いつのまに雲は去ったのか、空には煌々と輝く月。
影は長く、絵本で見る猩猩のように異形。
仄暗く青ざめた影絵の町に、酷く、あってはならぬモノがそこにいた。

「―――バーサーカー」

聞き慣れない言葉を漏らす遠坂。
意味するところは判らないまでも、あの巨人が持つ異質さは嫌というほど感じ取れる。
アレは人間ではない
ならば―――セイバー達と同じ、サーヴァントと呼ばれる存在だ。
だけどさ。

「こんばんはお兄ちゃん。こうして会うのは二度目だね」

微笑みながら少女は言った。
その無邪気さに、背筋が寒くなる。
少女の姿は背後の異形とあまりにも不釣合いで、えーと、幼女連れ去りの現行犯を見ているようだった。

「―――驚いた。単純な能力だけならセイバー以上じゃない、アレ」

舌打ちをしながら、頭上の怪物を睨む遠坂。
その背中には、俺と同様の絶ぼ……俺の絶望は別の意味だが―――それに負けまいとする、確かな気迫が感じられた。
「アーチャー、アレは力押しでなんとかなる相手じゃない。ここは貴方本来の戦い方に徹するべきよ」
呟く声。
それに、姿のない騎士が応答する。
「君がそう言うなら了解するが……凛ではアレのアレは防げまい」
バーサーカーの正体を知っているのか、アーチャーはすごく不本意だ。
「こっちは三人よ。凌ぐだけならなんとでもなるわ」
それにしぶしぶ頷いたのか。
遠坂の背後に控えていた気配は、一瞬にして何処かに消失した。

「―――衛宮くん。逃げるか戦うかは貴方の自由よ。
……けど、出来るならなんとか逃げなさい」
今すぐこの世界から逃げたいです。

「相談は済んだ? なら、始めちゃっていい?」

軽やかな笑い声。
少女は行儀良くスカートの裾を持ち上げて、とんでもなくこの場に不釣合いなお辞儀をする。

「はじめまして、リン。わたしはイリヤ。
イリヤスフィール・フォン・アインツベルンって言えばわかるでしょ?」
「アインツベルン―――」
その名前に聞き覚えでもあるのか、遠坂の体がかすかに揺れる。

そんな遠坂の反応が気に入ったのか、少女は嬉しそうに笑みをこぼし、

「――――じゃあ殺すね。やっちゃえ、バーサーカー」

        ガッツ
歌うように、背後の異形に命令した。

ガッツが飛ぶ
バーサーカーと呼ばれたモノが、坂の上からここまで、何十メートルという距離を一息で落下してくる―――!

「―――シロウ、下がって……!」

月の下。
流星じみた何条もの“弾丸”が、落下してくるガッツをつるべ打ちにする……!

    OKボクジョーーーー
「■■■■■■■■■■■■――――!」

正確無比、とはこの事か。
高速で落下すガッツを射抜いていく銀光は、紛れもなく“矢”による攻撃だった。
否、矢と呼ぶなどおこがましい。
機関銃めいた掃射、一撃一撃が秘めた威力は岩盤すら穿ちかねない。

―――それを八連。
家の一つや二つは容易く蜂の巣にするだろうそれは、
しかし。

「うそ、効いていない――――!?」

黒いガッツには、何ら効果を持たなかった。
激突する剣と拳。

“矢”をその身に受けながらも落下したバーサーカーの大拳と、その落下地点まで走り寄ったセイバーの剣が火花を散らす……!

「ふっ…………!」
   OKボクジョーーーー
「■■■■■■■■■■■■――――!」

ぶつかり合う剣と拳。
バーサーカーの拳に圧されながらも、セイバーはその剣を緩めない。

―――闇に走る銀光。
あの小さな体にどれだけの魔力が籠められているのか。
明らかに力負けしている筈のセイバーは、けれど一歩も譲らなかった。
旋風にしか見えないガッツの右を受け、弾き、真正面から切り崩していく。

「――――――――」

息を呑む音は、俺だけではないだろう。
あのガッツのマスターである少女も、俺の傍らで呆然とセイバーを見つめている遠坂も、その姿に見惚れていた。

「……っ! アーチャー、援護……!」

咄嗟に叫ぶ遠坂。
それに応じて、またもや何処からか銀の光が放たれる。

銀光は容赦なくガッツのこめかみに直撃する。
大気を穿ちながら飛ぶアーチャーの矢は、戦車の砲撃に匹敵する。
あの巨人がガッツであろうと、それをこめかみに受けて無傷であろう筈がない。
「――――取った…………!」
間髪入れず不可視の剣を薙ぎ払うセイバー。
しかし。
それは、あまりにもガッツな一撃によって、体ごと弾き返された。
「ぐっ……!?」
飛ばされ、アスファルトを滑るセイバー。
それを追撃する黒いガッツと、
追撃を阻止せんと奔る幾つもの銀光。
だが効かない。
正確に、一分の狂いもなく額に放たれた三本の矢は、悉くガッツの体に敗れ去った。
   OKボクジョーーーー
「■■■■■■■■■■■■――――!」

ガッツは止まらない。
振るわれる大拳を、セイバーは咄嗟に剣で受け止める……!

「セイバー……!」
そんな叫び、何の意味もない。
バーサーカーの一撃を受け止めたセイバーは、それこそボールのように弾き飛ばされ――――だん、と坂の中程に落下した。

「――――!」
目が眩んでいるのか。
セイバーは地面に膝をついたまま動かない。

「――――トドメね。シリアス潰すわよ、バーサーカー」

少女の声が響く。
そろそろ、例のヤツを始めるのだろう。

だから、いつまでも、マジメに戦わないでくれ。セイバー。
ついでに遠坂も。
どうせ俺たちの攻撃は通じない。
あのガッツは“屈強”なんて次元の頑丈さじゃない。
アレは何か、桁違いのヘンな力で編まれた『法則』に守られた不死身性なんだから。

「いいよ、うるさいのは無視しなさい。
どうせアーチャーとリンの攻撃じゃ、アナタの宝具を越えられないんだから
バーサーカー。室町時代に金閣寺を建てたのは誰?」

「ん…やり手の大工」

響く少女の声。
薙ぎ払われりガッツの一撃。
それを。

凛々しい視線のまま剣で受け止め、セイバーは二度、大きく弾き飛ばされた。

―――坂の上、何十メートルと吹き飛んでいく。
セイバーは一直線に、それこそ剛速球のように、坂道から外れた荒れ地へと叩き込まれた。

「セイバー――――!」

荒れ地に駆け込む。
……と。
そこに待っていた光景は、俺の予想通りだった。
両者の立場は、ここにきて逆転している。
バーサーカーに比べてあまりにも小柄な彼女の利点。
障害物に阻まれるバーサーカーと、
障害物などないかのように振舞うセイバー。

「やっぱりね。怪しいとは思ったけど、バーサーカーの一撃を受けたのはワザとだったわけか」
ぽつりと。
感情のない声で遠坂は呟く。
つまり、金閣寺を建てたのがやり手の大工というのは。

ある意味正解。

支離滅裂奇想天外意味不明な回答をしない限り、彼女がバーサーカーに遅れをとることはない。
「入った――――!」
指を鳴らす遠坂。
彼女の歓声通り、セイバーの剣がバーサーカーに届いたのか、それとも足場を失ったのか。
今まで決して揺るがなかったバーサーカーの体が、ぐらりとバランスを崩す。

ディズニーAとBって何処にあるんだー
「■■■■■■■■■■■■――――!」

苦し紛れに薙ぎ払われる一撃。だがそれは、イリヤの問いがなければ、何がなんだかわからない。
それを大きく後ろに跳んで躱し、セイバーは剣を両手で構え直す。

――――それで決着だ。

苦し紛れの一撃を躱されたバーサーカーはさらにバランスを崩し、
セイバーは渾身の力を込めて踏み込もうと膝を曲げる。
あぁ、なんかまともに終わりそうだ。

その時。

「――――え、アーチャー……? 離れろってどう言う事……?」
首をかしげる遠坂の声と、遥か遠くから向けられた殺気に気が付いた。

「――――――――」
背後。
何百メートルと離れた場所、屋根の上で弓を構える赤い騎士の姿を見た。

「――――――――」
あーなんかすっごくやな予感。
ヤツが構えている物は、弓だ。
今までと何も変らない弓。
直撃したところでバーサーカーに傷一つ負わせられない物。

なら、そんな物に脅威を感じる必要など――――

「――――――――」
――――やな予感がする
ヤツが弓に添えているものは“矢”ではなく、もっと別の物であり。
その殺気の標的は、バーサーカーでもない。

「セイ――――」
足が動く。
俺は――――

「セイバー――――っっっっっ!!!!!」

気が付けば、物陰から飛び出していた。
「ちょっ、待――――!」
全力でセイバーへと走る。
「な、シロウ――――?」
きょとん、とした顔。
セイバーは俺を見て、バーサーカーへと踏み込むのを止めてくれた。

“間に合う――――!”
背後に迫る危機感。
「な、なぜ出てきたのですか、貴方は……!」
セイバーの叱咤も無視して、とにかく全力でセイバーへと駈け寄り、その腕を掴む――――!
「正気ですか、マスター……!」
「話は後……! いいからこっち――――」
セイバーを抱き寄せて、そのまま彼女の目を隠した。彼女に、アレを。見せるわけにはいかない。

――――“矢”が放たれる。

今まで何の効果も出さなかったアーチャーの矢。
そのような物、防ぐまでもないと向き直る黒いガッツ。
だが、その刹那。

「■■■■■■■■■■■■――――!」
黒いガッツは俺たちに背を向け、

金色の線条を残して飛び去って行く“矢”を――――
全力で追いかけていった。

空の彼方に飛んでいく刹那、おかしな物が見えた。
「……短剣……?」
否、それは“矢”だった。
黄金の鞘と曲線を描く白き刀身を持つ矢。
それが――――

―――理由もなく、これがこの物語のオチだと思った。

「……くっ、見直したわリン。やるじゃない、アナタのアーチャー」
何処にいるのか、口惜しげな少女の声が響く。
「ちょ、ちょっと待ちなさいバーサーカー。つまらないモノ追うんじゃないー」
白い少女は無理矢理笑いながら、

「それじゃあバイバイ。また遊ぼうね、お兄ちゃん」
そう言い残して、

「―――こら戻りなさい、なんで戻んないの? 戻ってバーサーカー!
そんなに■■■の方がいいのかこらー」

んんっ、そう言い残して、炎の向こう側へ……逃げた、のかな?
「………………」
それで、突然の災厄は去ってくれた





あとにかくもの
この文章が支離滅裂だー

前回ルビ死んでます、なんで少なめにしました。
ええと。
……まだわからない人は土曜10時の日テレ系を一時間じっくり見てください。

来週もは○わ次第でつづきますw
他力本願


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