第2話 満月の夜  ( 傾 月姫 シリアス


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1: レイト (2004/03/11 03:02:20)

第2話 満月の夜






時刻は0時を過ぎた
こんな時間に出歩く人など皆無だ
そんな中公園に独りの人間がいる
遠野志貴
彼は独り噴水の縁に腰を掛け月を見ながら考えている
彼が此処にいるのは今日だけではない
あの日からずっとだ   毎晩此処で考えている
そうあの・・・・・・・・・シキを殺したその日から
なぜなら彼はわからなかったからシキの行動の意味が・・・・・・・・
あの時・・・・・・・・・・










俺は翡翠と共に学校に行き気配を頼りにそこについた
シキ 秋葉 琥珀さん のいる場所へ
戦況は・・・・・シキが有利だったのだろう 秋葉に疲れの色が見える いくら琥珀さんというエネルギー源があるとはいえやはり限界はある

「志貴さん・・・・・・・・」

琥珀その声に全員が反応する
シキさえも・・・・・・
そのシキが俺を見たのは一瞬だった
それを隙と考えた秋葉が髪をシキに絡ませた
否 絡ませようとした そうできなかった それは隙ではなかった
シキはそうくるとわかっていたのであろう自分の血で秋葉に目隠しそれを回避していた
次の行動など誰にでもわかる

(秋葉を殺すそして琥珀さんをも・・・・・・・)

だからろう翡翠が走ったのはそれを見てやっと志貴が我にかえり走った
志貴は悔いた 反応が遅れたことを
その遅れのせいでもう琥珀さんと秋葉を助けることはできないそう思った
しかし・・・・・・・・違った
ここからのシキはおかしかった
シキの秋葉の心臓を貫・・・・・・・・・・こうとした手が止まり首に手刀を入れた
秋葉が倒れる
そしてシキが琥珀さんに近づく

「−っ姉さん!!」

シキの琥珀さんの心臓を貫・・・・・・・こうとした手をもう片方の手で切断した
その切断された手が床に落ちる前にシキは俺の方に走ってくる
やばい!
俺の前には俺より先に走り出した翡翠がいる!

「−っ くそ!」

加速する なんとしても翡翠の前に! シキと翡翠が合う前に!
左手で眼鏡をはずし 右手でポッケトから短刀を出し逆手に持つ
しかし間に合わなかった
翡翠とシキがすれ違う・・・・・・・なにごともなかったように
そして
シキと志貴が・・・・・・・動きを止める
対峙するかつて兄弟・親友だったその人と
かつて己を殺したものと
かつて己が殺したものと
先に動いたのは志貴、七夜でシキの線をなぞる
それに対しシキは・・・・・・・・ぴくりとも動かないで切られる
それを志貴は不思議に思い 死に逝く彼に聞いた

「なぜ・・・・・・攻撃してこなかった・・・・・・なぜ・・・・・・・・・殺さなかった?」

蒼い眼で彼を見ながら
彼は答えなかった ただ消えるその時まで笑っていた
残ったのは結果彼は遠野家に住む人に怪我を負わせなかったという事実だけ


そしてその後は琥珀さんが毒を飲み一命は取り留めものの記憶喪失になり七夜さんになった
それから・・・・・・・・・・・・・秋葉が寮にもどされたり・・・・・・・・・





志貴は立ち上がり月に向かって言う

「シキ なぜあの時俺を攻撃してこなかった・・・・・・なぜあの時誰も殺さなかった・・・・・・・」

その声は誰もいない公園の闇に消えていく・・・・・・・

(わかっている 答えなどかえってこないことなどけれども知りたいあの時の・・・・・あの最後の・・・・・死を迎える時の彼は・・・・・・・・・シキだったのか?・・・・・・・・・それとも・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・四季だったのか?)

「・・・・・・・シキ・・・・・・・・・・」

「こんな時間に何してんだ遠野? しかも自分の名前なんか呼んで?」

声のした方向に振り向く


そこには 乾有彦 がたっていた







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