授業中、昼放課、放課後、夕食時。
そのすべてを自分が出来る事の検索に当てた。
当てたのはいいのだが、
「……む、ぅ。さっぱり何も浮かばんぞ」
とまあ、こんな具合で夕食を食べ過ぎて、自分のベットにグロッキーなわけである。
色々と考えた。
衛宮士郎に接触。ダメダメ、どう接していいか分からないし、そうした所で何が変わるわけでもない。
じゃあ遠坂に、ってそれこそ駄目だろ。どう説明していいか分からんし、下手な事を話せばそれこそ命が――想像したら怖くなってきた。
それに、セイバーとの問題は今この世界の衛宮士郎が受け持つべきモノであって、今や別人の俺が何をした所でどうにかなるわけでもないのだ。
――だが、それでも。
俺は知ってしまっている。
これからこの冬木の街に何が起こるのか、もちろん死人も出るであろう戦い。
それを『俺』が見過ごせるのか。
答えは否。
けれど、介入する手段もなければ力もない。
ただの一人の人間に出来る事などたかが知れている。
分かってはいたけれど、俺の目指した理想はとんでもなく遠い所に行ってしまったようだ……。
「だけど、それでも」
やらなければならない。
見過ごすなんてできない。
遠坂やセイバーが戦っているのに、自分だけ素知らぬふりで過ごす事なんて出来ないのだ。
「……それに、イリヤも」
恐らく、あの時と同じならば、イリヤの心臓が聖杯であろう事は間違いない。
護ってやりたい。
妹のような存在の彼女を。
だから俺は――――
そこまで考えて思考が途切れた。
死の感覚が俺の全身に纏わり付いている。
「な、んだ……?」
そして家の玄関先に誰かが駆け込んでくる音。
――ダメダ、アレニチカヅイテハイケナイ、ニゲロ。
リアさんが何かを叫んでいる。
俺はその声で体の感覚を取り戻す。
そして階下へ走りこむ。
――そこには
血塗れの魔術師と
俺を殺そうとした蒼い騎士
それに、自分の従姉妹であるはずの彼女の見た事もない表情があった。