其の弐      シリアス


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1: わこう (2004/03/07 20:23:12)

          



                      其の弐                      



                 −−−−−昼休み−−−−




        「まだやるの士郎?はあ、、一週間もやれば懲りると思ったの
        に、読みが甘かったか。」

        「なんだ、 遠坂は俺が一週間でやめると思ってたのか。」

        「まあね、効果なんてあまり期待出来ないし、第一、一日中体
        がだるいのよ、私ならソッコーで止めるわね。」
                                             
         なに?遠坂の奴いま、、、

        「ちょっと待て、効果がないってどう言うことだ。」

        「え、言ってなかったっけ、一週間ぐらいじゃ効果なんて出ない
        わよ、せめて一年はやらないと。」

        「ウソ、マジで。」
                 
         俺、呆然。

        「マジよ。」
            
         遠坂は平然と。

        「、、、、、、、、、、、、、、、、、。」

        「、、、、、、、、、、、、、、、、、。」

        「、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、。」

        「、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、やめる?」

        「くっ、、、い、いや続けるぞ!今度は一ヶ月分所望いたす。」

        「いたすって、、、はあ、、解ったからムキにならないの。」
        
        「むきになんてなってな!たく、こっちはわらにもすがる思いだ
        ってのに、、、、、。」
               
         そんな事を呟いていると、

        「ねえ士郎、、、、。なんでそんなに急いで強くなろうとするの?」

         そんな声が聞こえてきた。

        「              え?」

        「え?じゃなくて、どうして士郎は力を求めるのか聞いてるのよ。」

        「そ、  それは、、、、、」

         言いよどむ、、、、そう言えばどうしてだろう、なぜ俺は、、

        「、、、、急いでるように見えるか?」

        「うん、見える、、、だから聞いたの。  だって士郎はもう戦わなく
        ていいじゃない、聖杯戦争は終わったんだから。」
        
         そうだ、急いで強くなる必要なんてない。   ならなぜ?
         
                          (ドクンッ)

         心臓がはねる、、、、、そして脳裏には一つの映像。

         紅に染まった体で、、剣を杖がわりに立ち上がる少女の姿が、、

        「後悔、、、かな、、、、。」

        「え、、。」

        「ん、ああ。あまりにも魔術師としての自分が未熟だからさ、、
        だからじゃないかな、だって目の前に立派な魔術師が居るん
        だぜ、あせらないほうが変だ。」

         ジトーーと遠坂を見る。

        「、、、、、ふう、くだらない劣等感いだかない。第一私と士郎
        じゃ天と地ほどの差があるんだから。」

         容赦無く斬られました。

        「それに、士郎は魔術師じゃなくて魔術使いでしょ。」

        「は?それってどういう、、」

        「それくらい自分で考えなさい、この件に関してはノーコメント
        それともなに、私を怒らして楽しいのかな?衛宮くんは。」

        「わ、解ったから睨むなって。  で、薬の方は、、、。」

        「そうね、夕方にでも取りに来て。用意しとくから。」

        「わかった、じゃあ夕方にな。」
       
        そして遠坂と別れる。俺は一人、空を見上げながら、

        「そうか、、、、後悔、、、してたんだ、、、、、、、。」

         もうココには居ない少女を思いだす。     なにもわからず
        、ただがむしゃらに走っていた自分、そのせいでたくさん傷つけ
        てしまった。あの時もう少し強かったら傷つけずにすんだのでは
        ないか。そう思う自分がいる。   
 
        「難しいな、、、、、本当に。」
     
             
        
        






                        遠坂邸
 
  


        「ありがとう。遠坂、恩に着る。」

        そう言いながら薬の袋を鞄にしまう。

        「そう言えば、明日はイリヤと町に出るって本当?」

        「ああ、本当だ。でもなんで遠坂が知ってるんだ?」

        「イリヤの体の調子を診てる時に聞いたの。すごくうれしそうに
        話してたわよ。」

        「そっか、んじゃま明日は気合入れてサービスしますか。」
              ....
        「そうね、しっかりサービスしてあげなさい。」
                  
        「ん、解った。じゃあな遠坂。おやすみ。」

        「おやすみなさい。衛宮くん。」  





                       衛宮邸 




        「じゃあ、ちゃんと戸締りするんだよ士郎。」
         
         靴を履きながら藤ねえが言う。
      
        「解ってるって、子供じゃないんだから大丈夫だよ。」

        「解ってるんならいいけど、くれぐれも変な気は起こさないよう
        にね。」
       
        「なに言ってんだよ。いいから早く帰れ。」

         今日は桜は来てない、用事があるとかでこれなかったのだ
        それはいいんだが、、、、、、、、、、、

        「イリヤ、なんで靴履かないんだ?」

         当たり前のように俺の横で藤ねえを見送ってる少女に声を
        かける。

        「なんでって、今日はシロウの家に泊まるからよ。」

        「、、、、、、、、、、、、、、。」

        「、、、、、、、、、、、、、、。」

        「、、、、、、、冗談だよな。」

        「、、、、、、、冗談じゃないわよ。」

        「                   おい!藤ねえ!これはどう言
        う事なんだ、、、、。」
      
         バイーーーーンギャルギャルギャルバイーーーーーーーン!

         もう居ないし。

        「なにしてるの?早く部屋に戻ろうよシロウ。」

         なんか、ここの所ずっと俺の意思とか意見なんてものが無視
        されてるような気がするのだが、、、、いいのか?俺。


         そして居間で二人テレビを見ながら過ごす。
        
         とくに話をするわけでもなく、ただ同じ空間で同じ時を過ごす。

         それは懐かしい感覚を呼び起す、、、、そう、まるで家族と居
        るような感覚、とても懐かしいココロ。

        「、、、ロ、、。、、シ、、ロウ。、、、、シロウッてば!。」

        「えっ。あ、ああ、なんだイリヤ。」

        「もう、お風呂にお湯が入ったから入るよって言ってるの。」

        「ああ、そうか解った、あんまし長風呂するなよ。」

        「え、、一緒に入るんじゃないの?、、、、、。」

         、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
         、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
         、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
         、、、、、、、、、、、、、、、はいーーーーーーーーーー??

         なんとかイリヤを説得し、一人で入ってもらった。ただ部屋
        を出る間際、

        「ふふ、シロウったらお子様なんだから。」
       
         なんて言われました。その後五分くらい部屋の隅で体育座
        りをしていたのはだれにも内緒だ。

         その後は俺が風呂に入っていると、イリヤが背中を流しに
        入って来たり、風呂から出ようとすると、服を着せようと待ち構
        えていたり、、、、特にこれと言った事はなかった、、、、、、、、
        、、、、、、、、、、、、、、、そういう事にする。そう決めた!

         そして就寝。
         イリヤが寝静まる頃を見計らっていつもの鍛錬に入る。
 

       



                         土蔵




         いつものように干将莫耶を投影する。

         後はこれをどれだけ長く保てるかだ、剣を手にしたままいつも
        通り振りまわす。

        「ふんっ!}

        「はああっ!」

        「せいっ!」
 
         正直、剣の型なんて解らないから、しかたないのでアイツの動
        きを真似する。

         薬の方も体が慣れたのか、あまりだるくない。

         そうしていると、、、、、、。

        「、、、、、シロウ、何してるの?。」

         そんな声が響いてきた。
        
        「えっ?     イリヤ?」

         振り返ると、土蔵の入り口にイリヤがいた。

        「え?イリヤ? じゃない、シロウ、こんな所で何してるの。」

        「ええっと、その、、日課の鍛錬なんかをちょっと、、、、、。」

         そう言いながら手にした剣を見せる。

        「あっ、それって投影して作った剣?」

        「ああ、アーチャーの奴が使ってた剣なんだ、、、、、アイツの
        剣を真似するのは嫌なんだけど、どうしてかぴったりくるから
        仕方なく使って、、、、、、、イリヤ?」

         見ると不機嫌な顔をしたイリヤがいた。

        「イリヤ?  なんか不機嫌そうに見えるけど、、、」

        「不機嫌なの!なんでシロウがあんな奴の剣なんて使ってる
        の?私あいつ嫌い、英霊としての正体も解らなかったし、な
        により私のバーサーカーを六回も殺してるのよ。」

                  ドクンッ

        「イリヤ、、、、、、今、、なんて、、、、」
    
        「ん?何、シロウ。」

        「い、今アイツがバーサーカーを六回殺したって、、」

        「うん、言ったけど。」

         どうしたの?なんて顔を向けてくる。

         だけどこっちはそれどころじゃない、あの絶対な死を放つ巨人
        をアイツはただ一人で六回も殺したのか?俺とセイバーと遠坂
        の三人で一回殺すのに一苦労したあの巨人を六回も、、、

         そんな事を考えてると、


        「見てみたい?        シロウ。」

        「えっ?」

        「見たいのなら見せてあげるよ、その時の映像。」

        「見れるのか!イリヤ!」
  
        「見れるよ、音は聞こえないけど。」

         考える、別にアイツの戦いなんか見ても何か変わるとも思えな
        いし、アイツが実はすごく強いんだぞーなんて所は見たくない。
        けど、

        「頼めるか。イリヤ。」

         そう口にした。

        「じゃあ、目を閉じてシロウ。」

         言われた通り目を閉じる。

         おでこに何か当たる感触、それに疑問を持つ間もなく、

                 映像が目の前を支配した。

         まず思ったことは、”暴風雨” ありとあらゆる物を破壊しながら
        その戦いは行なわれている。
         
         ロビーはもう見る影もない、その中で赤い破壊と黒い破壊がぶ
        つかる。
         
         バーサーカーはその赤を叩き潰さんと斧剣を振り回す。
         
         その度に瓦礫が舞い上がり床や壁がその姿を瓦礫に変える。
         
         その中で赤い外套の騎士が力強く舞っていた。
         
         ただイリヤの位置からだとアイツがどんな攻撃をしているのか
        
        よく見えない。
         
         ただその中で花弁のような盾とドリルのような剣は見てとれた。

         ただ余計に解らなくなる、アイツはなんなんだ?

         何故あんなにも宝具を持っている。

         あれではまるで、あの黄金のサーヴァントと同じではないか。

                      チガウダロウ
                     
         だがおかしい大体この時あの英雄王は言峰に召喚されている。

                     ナニヲイッテイル

         そして赤い騎士が、黒い破壊に潰される直前、イリヤと目が合う

                     イイカゲンニシロ

         イリヤと目を合わしているのに解る、奴は俺を見ている、その目が

                     ワカッテルンダロウ

        (お前はココに辿り着けるか?)そう言っていた。

                         ソウダ

         その目を睨む、そして、その目の奥にある景色が、無 のけ の かが

                     ヤツトオマエハオナジ

                      見えた気がした。

                      ヒトリノニン・・


        「うわあああああああああああああああああああああああああ!」 

         絶叫した、そうしないと全部聞いてしまう、そうしたら俺は、、、、
        だめだ、認めてはだめだ、認めてはだめだ、否定しないと。
         
         そして俺は否定することで自分を保った。

        「シロウ!シロウッてばしっかりして!」

        「あ、、、、イ、、リヤ、、」

        「大丈夫?いきなり叫ぶからびっくりしちゃったけどどうしたの?」

        「いや、、、なんでもない、そうなんでもないんだ。」

        「本当?」

         心配そうに覗みこんでくるイリヤ。

        「大丈夫だよ。びっくりさせて悪かったな。」

         そう言いながらイリヤの頭を撫でる。

        「え、うん、シロウが大丈夫って言うのならいいけど、、えへへ。」

         イリヤは嬉しそうにしながら頭を撫でられる。

        「よし。今日はもう遅いから寝るぞ、イリヤ。」

        「うん。」

         そうして俺逹は土蔵を後にした。

         そう俺は認めてはいけない。
    
         そんな事を思いながら。
        








         襖を静かに開ける。

         そこにはこの家の主である少年が眠っている。

         少女は少年の傍まで歩み寄り静かに座りこむ、そしてやさしい
        手つきで少年の顔をなぞる。

        「ごめんね、シロウ。」

         やさしい声で呟く、彼の為になると思ったからあの映像を見せた
        しかしそれを見て彼は叫んだ、自分には解らなかったがあの映像
        の中で何かを見たのだ、それが辛かった、彼を苦しめたという事実
        が辛かった。

        「ちょっとお邪魔するねシロウ。」

         静かに布団に潜り込む。

         そして彼の胸に耳をあてる。
        
         どくん、どくん、

        「シロウの心臓の音、、、、、やさしい音、、、、」

         ふだんの彼女からは想像出来ないとても慈愛に満ちた声。

        「この音は消させない、誰にもどんな物にも消させない。」

         それは絶対の決意。

        「シロウは私が守る。」

         彼女の囁きはただ闇に吸い込まれていった。










                     其の弐了












                    あとがき


       なるべく読みやすくがんばりました。ただいまだにタイピングスピード
       が遅いので一苦労ですにゃ。まあマイぺでやるのでひまな時、読んで
       見てくださいニャ。     またですにゃ。
       


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