終わりと始まりの丘2(傾:シリアス M:?


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1: オルガット (2004/03/06 17:49:40)


 
 
光が収まり、目開けた

 そして、俺を呼び出したあの時代の遠坂を・・・・・・・

 ・・・そこに、居るべきはずの遠坂の姿はなかった・・・



 なんでさ?


 「なんでよ――」


 怒った声で叫びながら、遠坂は壊れた扉を蹴飛ばしこの場所へやってきた

 内心では「それはこっちが聞きたい」と言いたかったが聞かないことにする
 
 触らぬ神に祟りなし、うむ、我ながら賢明な判断

・・・それでいいのか?俺・・・

 「・・・・・・」

 居間の惨劇を見て少し動揺したようだが、すぐさま遠坂は俺を睨んでくる

その後、遠坂は時計を見て、なにやら一人納得したようだ

 「・・・・また、やっちゃった」

 額に手を当て、心底後悔しているように呟く、いや実際しているんだろう
 
以前聞いた話では遠坂は、万全を期すために魔法陣を宝石で溶かして書いたらしいのに

その結果が召喚したサーヴァントは居間にいるわ、居間はメチャメチャだわ

あげくのはてにサーヴァントは正体不明、正直目も当てられない結果だろう、

 「・・・やっちゃった事は仕方ない。反省」

 あっさり立ち直る、やはり遠坂は切り替えがはやく、こういう所が好きだと感じる自分が居る


「――それで、あんた、なに?」

再び俺を睨みながら遠坂が口を開く

・・・初対面の人にいきなりそれかよ、でも安心した、やっぱり遠坂は遠坂なんだよなあ

こういう理不尽な態度を取られると何故か安心できる自分がいる


それにしても・・・困った

遠坂にどう返すべきなんだろう?間違っても真名は絶対に言えないし

かと言って言わなければ大魔神・激怒って感じになるのは明白だ

・・・いきなりの難関だ、白状しよう
 
衛宮士郎は再会できたことが嬉しくて・・・その後の事なんかなんも考えてなかったのである



本気で困った、沈黙の中ただ突き刺さる遠坂の視線が本気で痛い

とりあえず、ここはお手本に習って答えるのが得策だろう

何言っても怒られるのはわかってわいるが、俺にとってとても印象に残った言葉だった

「−−−−問おう。君が俺のマスターか?」

口調を変え、俺を睨む遠坂の目を真剣な目で見つめ返す

そしたら途端に遠坂が慌てだして、顔を赤らめてたりする

なんでさ?長い間、遠坂とは共にすごしたものの、遠坂はたまにこいう風になる

たぶん、遠坂にしてみれば予想外な事なんで慌ててるんだろう

そりゃあ、そうだ、10秒近い沈黙の後、俺が喋ったことは質問の答えになってない

一応、サーヴァントだとは伝わった思うが・・・



「そうよ、私が貴方のマスター、それで貴方のクラスは?」

しばらく慌てていたがそれを無かった事にするかのように、コホンと咳払いをしてから問いかけてくる

 クラスか・・・この身がアーチャーのサーヴァントだと分かってはいるが

「アーチャー」と、遠坂に呼ばれるのは避けたい


それは遠坂を守り抜いた、あの赤い騎士の特権だと思っているから

それにあの男と同じ名で呼ばれるのはなんとなく気に入らない


やはり真命を隠す事もあるし、ここはなんとかごまかしておこう

 

伊達にあくま2人と共にすごしてきたわけではない

俺だって多少の隠し事や嘘がつけるようになった、成功確率はもの凄く低いが・・・

「・・・すまないがそれは言えない・・・」

あくまでもすまなそうに、少し視線を逸らしながら顔をうつむけるのがポイントだ

露骨に視線を逸らすのではなく、あくまで申し訳ない気持ちからきた行動のように

「――貴方、本気で言ってるの?マスターである私が訊いてるのよ?」

遠坂は「あんたは私をバカにしてるわけ?」と言いたげな表情で俺を睨みつけてくる

そりゃあ怒るよな、自分の正体を、ましてやクラスすら言えないなどとは

サーヴァントにあるまじき行為だ、けどここで折れるわけにいかない

「―――それは、記憶の所々に混乱が見られるからだ
 言っておくがこれは君の不完全な召喚のツケだ、本来聖杯から与えられるはず
の知識が綺麗に抜け落ちている。その上自分の素性までもが曖昧な程の記憶の
混乱だ。まあ、深く気にすることなんてないさ、さほど重要な事でもないんだしな」

無論、嘘八百だ。嘘のつくコツはもっともらしいことと相手の弱みを攻めること

召喚が上手くいかなかった事は遠坂もわかっているだろうし、納得するしかないはずだ

「気にする事はない―――って、気にするわよそんなの!
  あんたがどんな英霊か知らなきゃ、強さが判らないじゃない!
そもうえクラスすらわからないなんて、作戦の立てようがないし
相棒である貴方がそんなんで戦っていけるワケないじゃない!」
 
言いたいことを叫び終わった後、深いため息をついてる彼女を見る
 
確かに、正体不明のサーヴァントでクラスまで分からないときたら絶望的だろう

確かに正体は語れないがせめて信頼関係は結びたいと思う

遠坂は自分に自信を持っている、ならそこを突いて自分の忠誠を彼女に示そう

「マスター、呼び出されるサーヴァントはその魔術師の腕前に比例する
 君は俺が今まで見たきた最高の魔術師だ、ならば、この俺が最強でない筈がない」

視線を逸らさず、彼女の目を見据え、嘘偽りの無い絶対の信頼を口にした

比例するかはどうかは嘘だ思うが、もっともらしいので信じてもらえるだろう
 
比例するのならば俺がアーサー王たるセイバーを呼び出せるわけがない

「な――――――――」
 
絶句し。徐々に顔を赤らめていく遠坂
 
「――――――――」
 
 
 
なんでそこで、赤くなるのだろう?ホントなんでさ?
 

「ま、いっか。誰にも正体が分からないって事なんだし、敵を騙すには味方からって言うしね」
  
そう言って、彼女は顔を背けた。まだほんのり顔が赤い気がするが

おそらく召喚の際に魔力を持ってかれて本調子ではないんだろう

 「分かった、しばらく貴方の正体に関しては不問しましょう。―――、最初の仕事だけど・・・」

 話の途中で語尾を濁らす遠坂、その顔はなんだか真剣に悩んでいる様にようみ見えるが

おそらく最初にどのサーヴァントを倒すか決めているのだろう、なら答えがでるまで俺は待とう

だがセイバーと、いや過去の俺とは同盟を結ばせたい、

そして過去の俺が道を間違えなければ、みんな幸せになれるのだろうか?

いや、きっとなれる、適わないことなど無い、何故なら俺の願いは、俺の理想は

俺の大切な人たちを守りたい、英霊となった日にそう決めたのだから

「ねえ、ところで貴方ことを何て呼べばいい?初めはクラス名で呼ぼうと
 思ったんだけど、クラスがわかんないしね、あ、それと私の名前は遠坂 凛
あなたのマスターの名前だけど好きに呼んでいいし、面倒だったらマスターで良いわ」

呼び名か、うん、やっぱり遠坂はいい奴だ、俺達は力ずくによる契約で

名前の交換などは意味をなさない、それでも彼女は自分の名前を告げた

けど、やはり正体を言うわけにはいかない、遠坂のために明日あたりまでに

嘘のクラスを考えておこう、すでに全てのクラスは埋まっているから架空のクラスを

本当はセイバーはまだ埋まってないんだが、もう決定されているようなものだ

「わかった、マスター、今は名もクラスも思い出せ無いが、明日までには
 クラスくらい思い出す、記憶が戻った際には必ず真っ先に君に伝えよう、」

真剣な目で彼女を見つめ答える

「あと、言っておくが呼び名は思い出すまではサーヴァントで構わない
 それと、君の名前は名乗ってもらったのに悪いがマスターと呼ばせてもらう、
いや、単に初対面の女性を名前で呼ぶと言うのも変だしかといって自分のマスター
を苗字で呼ぶのはどうかと思うからだ、けして面倒だからではないぞ。」

本音を言えば「凛」と呼ぶには恥ずかしすぎる、かと言って遠坂と呼ぶのは不味い

だからここらが妥協点だろう、けど、赤い騎士は「凛」と呼んでいたか



・・・やっぱり自らのクラスを明日遠坂に伝えたら「凛」と呼ぼう

そうしないとなんとく、あの赤い騎士に負けた気がするから

「ふーん、意外と紳士なんだ、まあいいわ
 それで最初の仕事だけど・・・これね」

そう言いながら遠坂は箒とちりとりを投げてよこした

これは、ここの掃除をしておけと取ればいいのだろうか・・・

「待った!君はサーヴァントをなんだと思ってるんだ」

セイバーお約束の待ったのポーズをしながら問いただしてみる

・・・遠坂、おまえサーヴァントを完全に使い魔として扱ってないか?

「使い魔でしょ? 正体不明で少し怪しいけど」

さらりと言ってくる彼女の声の響きは懐かしさを感じさせる

まあ、こっちは隠し事をしてるんだ、これくらいなら聞いてもいいかなあと思ったが

 少しくらい反撃してもバチは当たらないと思う

「了解だ、地獄に落ちろマスター」

それだけ言って彼女に背を向ける、背を向けていても彼女が満足気な顔で

部屋から出て行くのが、容易に想像できる。

事実、彼女は大きな欠伸をした後、さっさと部屋から出て行った




それから黙々と掃除を始める、彼女に教えてもらった魔術で

居間を修復するのも忘れない、掃除をしてる時に名乗るクラスの事や

これからの行動について考えるのももちろん忘れない、それにしても、

どう気を引き締めても顔がにやけてしまう、たぶん俺は掃除するのが

久し振りで楽しんでいるんだろう、ルヴィアの家で磨かれた執事魂が燃えてるのがわかった



ふと、あの赤い騎士もこんな事をやっていたのかと思い

苦笑して作業を続ける、そしてあの赤い騎士も赤いあくまも

驚いて声が出ないほど綺麗に、完璧に直そうと誓って作業を進める





懐かしい過去を振り返りながら




続くのかな?


あとがきのようなもの

期待してくれている人が2人もいたから続いてしまいました

洋さん、make×2さん応援ありがとうございます

我ながら文才ないなあとか、ランサーのマスターは僕っ子(勝手に決定)のバゼットで行こうかとか

キャスターのマスターはルヴィアでアサシンのマスターは一成か美綴にしようとか

この話には実はアルトリアはでてこないとか(何

1話めを書き直そうとか色々考えています

続くかもしれないんで、脱字誤字等を指摘してくれるとうれしいです


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