前回のは不備があったので削除しました。
時刻は深夜零時前。
いつもの日課――“魔術”の鍛錬を行うため土倉に降りる。
そしてまず、結枷趺坐に姿勢をとり、呼吸を整える。
頭の中はできるだけ白紙に。
そして、外界との接触はさけ、意識は全て内界に向ける。
「――――投影(トレース)、開始(オン)」
自己に暗示をかけるよう、言いなれた呪文を呟く。
本当に自今暗示でしかない呪文を。
次の瞬間、左手の甲に鋭い痛みが走る。
「痛ッ!」
それと同時に目映い光の中、それは、俺の正面に現れた。
思考が停止する。
それが少女であることしか判らない――否、判らなかった。
直後、少女の情報が流れ込んでくる。
これはいつものことだ。10年前の大火災で助かって以降、俺は知りたいことがあるとその情報が流れてくるのである。
っと少し考え込んでいると少女が、
「―――問おう。貴方が、私のマスターか」
凛とした声で、そう言った。
その言葉に反応し、土倉に差し込む銀色の月光に照らされた騎士の姿をした少女を見てしまった。
そして、ただ、目前の少女の姿のあまりの美しさに、言葉を失っていた。
「サーヴァント・セイバー、召喚に従い参上した。―――これより我が剣は貴方と共にあり、貴方の運命は私と共にある。――――ここに、契約は完了した」
そうすると、もう一度、その凛とした声が土倉に響いた。
契約という言葉に反応に俺は、
「セイバーだっけか、ちょっと待ってくれ。今、理解してるから」
そんなことを言っていた。
それを聞き、セイバーは訝しげな顔をしつつも頷いてくれた。
………
……
…
「あー、大体理解できた。つまり、聖杯戦争の為にアルトリアはセイバーとして俺に召喚されたってことだな」
彼女は驚き固まった後、
「間違えてはいませんが、なぜ私の真名を? あと真名では普段呼ばないでください。何かと不利ですので」
と、もっともな疑問と忠告とを口にした。
「あ、それか、俺は知りたいことがあるとその情報が流れてくるんだよ。それと、後の件も了解、セイバー。あと、悪いんだけど実はいくつか言うたいことがあるんだ。」
「なんでしょうか」
「まずひとつ目。俺、誤ってセイバーを召喚したみたいなんだ、つまり正規のマスターじゃない」
「大丈夫です。契約を交わした以上、貴方は私のマスターです。貴方を裏切るようなこともしないので警戒の必要もありません」
「そうなのか、それなら頼もしいな。」
次のことは何があってしっかり言っておかないと、
「で、ふたつ目……これは約束だ。人を…人を殺さないで欲しい、サーヴァントは聖杯戦争を終わらせるために仕方がないかもしれない……でも、マスターならそれこそ悪になるべくしてなったようなヤツ以外は…殺したくない」
「マスター、それがどれだけ険しい道か、判って言ってますか?」
「ああ、判ってる。でも…それでも、これは曲げられない」
「はあ、判りました。この身は貴方の剣となり盾となることを誓いましたし」
「恩に着る、セイバー。それとこれが最後なんだが、一番大事な交換だ。俺は衛宮士朗、魔術使いだ」
そして、右手を差し出す。
「あ……私はサーヴァント・セイバー、真名はアルトリアです」
と微笑み、手を握り返してくれた。
あとがき
プロローグ的なお話です。
本編では、一日目の夜に当たります。