これは、まあ外伝みたいなものです。
途中で誰かのキャラが壊れます。
読むなら――Interlude 6-1――のみにしてください。
読まなくとも次の話は読めますので、流してくださって結構です
◇
悪い予感がする。嫌な考えが頭を過ぎる。
どうか、この予感が本当にならないよう、願った。
◇
――運命の輪―― 5.5話 ”A Funny Short Story.”
◇
――Interlude 6-1―― 柳洞寺にて
クチャ、クチャ、クチャ
嫌な音が響いている。
そこは、柳洞寺の裏にある池。
黒い影が、心の臓を抜かれた青い痩身――ランサーの屍を飲み込んでいる。
次第にヒトの形をなくし、魂を吸収される槍兵。
その池の傍らで、静かに佇むモノが居た。
白い髑髏の仮面。
包帯を解かれた片腕は、自身の身長を上回る長さを持つ。
槍兵の心臓を飲み込み、新たな知識を得たソレ。
「ふむ」
先程までとは違うはっきりとした言葉で喋る。
その声はランサーの声と同一であった。
「さすが、ランサー。心臓のみでココまでとは。なかなか有名な英霊だったようだ」
感心した声を上げるのはアサシン。
佐々木小次郎の血肉を奪い、その臓物から生まれし真の暗殺者。
彼の目は肉槐とも呼べぬほど、悲惨な状態になった槍兵の残骸に向けられている。
その残骸も影に飲まれ、跡形も無く消え去った。
そして生まれた一つの姿。
「―した――を―どまら―るか、いや、まったく恐ろしいモノだ」
それはアサシンの声。言葉は掠れ、良く聞こえない。
賞賛している内容のようだが、込められた感情は限りなく無。
その声が向けられたのは――
――Interlude out――
――Interlude 6-2―― 教会にて
「む、」
声を上げたのは、教会の自室に座っていた、言峰のものであった。
「どうした、言峰」
傍らに座る金髪の青年――ギルガメッシュが問う。
ソファーに座り、グラス片手に座る彼には、王たる威厳が存在した。
言峰はただ
「なに、偵察に出ていたランサーが倒されただけだ」
そう答えた。
自身のサーヴァントを倒されても、焦りや苛立ちなどの感情は彼には見られない。
ギルガメッシュも何の興味も示さず、手に持つワインを飲み干した。
「誰がアレを倒したのだ。雑魚とはいってもアレを倒せるものは限られるぞ」
言峰に問うギルガメッシュ。
「アサシンのようだ。あの出来損ないの剣士ではなく本当のな。ヤツの宝具に気付かず、心臓を奪われたらしい」
「サハンにか。所詮クー・フーリンも不意打ちに敗れ去ったか。我と同じ半神半人の英雄でも、器の違いというものだな。」
死んだ槍兵を嘲る英雄王。
その英雄王に、言峰がもう一つ付け加える。
「ギルガメッシュよ、いいコトを教えてやろう。マキリの小娘、どうやら聖杯に適合しているらしい」
「なに?」
「聖杯の出来損ないを期待していたようだが、あのままではアレに届くやもしれん」
それを聞いたギルガメッシュは暫し沈黙する。
その手に持つワイングラスに赤い液体を注ぎ自分のものを用意する言峰。
「……そいつの選別は我が行おう。暫し様子を見、アレに届くほど完成すれば、直々に手を下してやろう」
そう言って赤い液体を口に含むギルガメッシュ。
途端、その液体を噴き出し、ワイングラスを壁に投げる英雄王。
「言峰!!貴様、これはなんだ!」
「?なに、とは」
「我のグラスに注いだ液体のことだ!とても飲めたものではない。辛すぎる」
「――ふむ、ラー油はお気に召さないか」
「ラー油はそのまま飲むものではない!」
「ではタバスコを」
「用意するな、我を侮辱しているのか!?」
「我が侭が過ぎるぞギルガメッシュ」
「人ならば(英霊だけど)当然の感想だ!!」
異様に辛いものを用意するマスターを叱るサーヴァント。
ある意味、衛宮士郎とセイバーの関係に似ているかもしれない。
「何故、ボトルの中に年代モノの香辛料が詰められているのだーーーー!!!」
彼の悲痛な叫びは聞き入れてはもらえなかった。
――Interlude out――
to be Continued
あとがき
挽回の仕方を間違えました、どうも鴉です。
六日目、終わったと思ったんですけどね〜。続きましたよ、何故か。
一番短い話ですね、三十分も掛からず書き終えました。
ギルガメッシュが他の作者様に影響を受け壊れました。同じく言峰も。
副題の意味は『小話』です。(たぶん)
次回、七日目