his healing hand will pull her out of fire2


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1: らむだ? (2004/03/03 22:15:40)

今日は俺が作る日だ。遠坂は、その、今日のデート見た映画のパンフレットを桜と一緒に見ている。しかし、思い出すとなんだか恥ずかしいな。
「シロウ、リン、話があります。そのままでいいですから聞いてください。」
セイバーは外から帰ってくるなりそんなことを言う。はて?いったいなんだと言うのだろうか。
「ん?どうしたんだセイバー。」
「シロウ、実は…、あるばいとをしようと思うのですが。」
あるばいと?ああ、バイトか。バイトね。 …? 何でいきなりこんなことを言い出すんだ、セイバーは?
「ええーーーー!!何で急に!」
俺は驚いたが遠坂は
「あ、そう。すれば?」
などと軽く言っている。
「まあ、かまわないけど。セイバー、何でバイトしようなんていう気になったんだ?」
「それは…、」
む、セイバーが視線をそらす。ああいうことをする場合大抵何かあるのだ。
「シロウ達が学校に行っている間私は何もしていない。更にいえば最近は特に事件もなく、これでは私はタダ飯喰らいだ。」
た、タダ飯喰らいって、
「いいじゃないか、今のセイバーはいわば食客なんだから。」
食客と言うものはいざと言うとき以外何もしないものなのだ、とやたらと評判の悪い某大河ドラマで言っていた。
「む、しかしですね。私は王だ。ゆえにあのような立場に甘んじることは出来ない。」
…それを言うなら王をサーヴァントとして使役すること自体無茶苦茶だよなあ。金ピカにせよセイバーにせよ。
ガラガラガラ
「ただいまーー!!士郎、珍しいの見つけたから無理矢理連れて来ちゃったー!!」
藤ねえ、世間一般ではそれを人攫い、もしくは拉致って言うんだぞ。
「ふざけんなタイガー!いい加減放せ!!」
あ、聞き覚えのある声。一年ぐらいぶりだろうか。それより今言っちゃいけないことを……、
「……って…な。」
「あ?聞こえねえよタイガー。」
「タイガーって呼ぶなーーー!!」
あ、藤ねえがキレた。もうほとんど料理は出来てるけど机に持っていくのはもう少し待とう。
「いい加減にしろっつってんだろ!!この馬鹿虎ーーーー!!」
おお、藤ねえに逆ギレ出来る人なんて俺の知る限り1人しかいない。恐る恐る廊下に出る。
想像通りあの人だった。
「葉崎先輩。」
「おう、久しぶりだな。士郎。見ての通り藤村に拉致られた。」
…藤ねえにコブラツイストをかけているこの状況のどこが見ての通りなんだろうか。この人は本当に人間だろうか、実は英霊なのではないだろうかとすら思えてしまう。と言うか、なんでこの人は藤ねえに勝てるんだろう。理由がわかっても俺には、いや他の人には無理だろうけど。ああ、セイバーとの特訓で一番最初に思い知らされたっけ。世の中にはどうやっても勝てない相手がいるんだって。いかん、思考が遠くへ行ってしまった。とりあえず場を収めよう。
「あ、士郎〜、助けて〜。お姉ちゃんのピンチ〜。」
個人的には日ごろの恨みを込めてもう少し続けて欲しいくらいだけど。
「先輩、とりあえず藤ねえを解放してください。さっきからギブしてます。」
もう少しシメたいとこだが、と言いながら藤ねえを放す。
「ねー、士郎。お姉ちゃんお腹すいちゃったー。早く食べようよぅ。あ、葉崎君も食べていくでしょ?」
「有無を言わさず拉致しておきながらいまさらそれか、藤村。」
「葉崎君、ちゃんと先生って付けなさい。」
卒業してからもさん付けで呼ぶようになどといっているが、先輩がそんなこと聞くはずないのに。
「Yes new Ms.Tiger.」
うわー、時々思うけど先輩って勇気あるを通り越して実は無謀なんじゃないかな。
「うわーん、またタイガーって言われたー。しかもオールドミスってつけられたー。」
「聞き間違いだ、藤村。」
しかも扱いに慣れてるんだよなあ、この人。どうして10年の付き合いの俺が扱えないもの3年の付き合いの先輩が軽く扱えるんだろう。聞くところによると1年の頃からこんなだったって言うし。
「とにかく、せっかくだから先輩も食べていってくださいよ。」
「帰ってから作るのも面倒だからご馳走になろう。代わりにデザート作ってやるよ。」
これは純粋にうれしい。先輩の作る菓子は本当に美味しい。先輩には料理や菓子作りを教えてもらったことがあるが、和風なら勝てそうだが洋風はいまだに敵いそうにない。泣く子も黙るどころか、多分暴走する藤ねえをも黙らせられるだろう。試したことないし試したくないけど。
「期待してます。」
「いいねえ、言葉はタダだから。どれだけ料理が上達したか見てやるよ。」
やっぱり、変わってない。こんな風に言われて不愉快にならないのはひとえにこの人のもつ雰囲気の性だろう。
「シロウ、その、出来れば夕食を早くして頂きたいのですが。」
「あ、悪い。すぐ用意するからもう少し待っててくれ。」
あれ、いつもだったら、はい、って言ってすぐに机の前に座って待ってるのに。
「先ほどはお世話になりました。それで、その、名前を教えていただきたいのですが。」
うわあ、珍しい。セイバーが耳まで真っ赤にしてるよ。
「あ、ああ。俺は葉崎凌斗。こいつが所属してた弓道部の元部長。」
あ、先輩もだ。先輩は俺の視線に気付いてこっちを見ると、
「士郎、桜だけじゃ飽き足らずこんなきれいな娘まで連れ込んでハーレムでも作る気か?」
「は、ハーレムってそんな!お、俺が好きなのは遠坂だけです!!」
しまった、つい言ってしまった。思わず顔が真っ赤になる。
「若さだな、士郎。それにしても2年の遠坂までいるのか。面倒だな。」
え?面倒って、何が?



後書き?
彼は遠坂とは別の方法で藤ねえの暴走を止められる人間です。
面倒な理由は次かその次の話で、


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