his healing hand will pull her out of fire1


メッセージ一覧

1: らむだ? (2004/03/02 21:14:37)

む、おいしい。
柔らかなスポンジ、イチゴのわずかな酸味が甘すぎず、それでいてしっかりとした生クリームの味を引き立てる。
まさに職人技というべきだろう。
リンにおいしいケーキ屋さんがあるからと薦められてきたが、これほどとは思いもよらなかった。
私がケーキの味に浸っていると、ウェイターがベイクドチーズケーキを持ってきた。
「? 私は頼んでいませんが?」
「お客様、当店のパティシェからのサービスでございます。それからメッセージとして“余計な仕事を増やしてくれてありがとう”だそうです。」
「む、それはどういう意味ですか?」
少々、気に食わない。仮にも客に対してこのようなことを言うなどと…、
「お客様、気を悪くしないでください。腕はいいのですが忙しいのが嫌いなのと、こういうものの言い方しかできない人なんです。」
忙しい?そういえば私が入ってから30分、入った頃には若干空席があったのに、今では満席で待っている人までいる。今まで気にしていなかったがなぜか私に視線が集中している。そんなことを考えていると、
「悪かったな黒桐、こういうものの言い方しか出来なくて。さっさと他の席に行って注文をとって来い。」

「悪かったな黒桐、こういうものの言い方しか出来なくて。さっさと他の席に行って注文をとって来い。」
「いや、それはその、つ、作るのは終わったんですか?」
わかりやすいごまかし方だ。これだからこいつをいじめるのは面白い。
「終わった。少なくとも焼きあがるまでの後10分は仕事はない。」
最近は下が育ってきたからデコレーションや盛り付けをまかせてもいいくらいだが。
「…注文取ってきます。」
それにしても、目の前にいるこの子。実に可愛い、これであれほどおいしそうに食べられたらそりゃ客足も伸びるというものだ。んー、…よし、
「さて、座らせてもらっていいか?」
「…どうぞ。」
「さて、時間もないから手短に言うが、うちで働かないか?」
「は?」
「時給は最初は800円、後は君次第。」
「い、いや、私は……、」

「時給は最初は800円、後は君次第。」
目の前の男はいきなり何を言い出すのだろうか。
雰囲気としてはランサーに近い。彼を少し丸めた感じだ。
長い髪を後頭部の高いところでまとめてまるでアサシンのちょんまげのようだ。
ひげは生えていない。きっと毎日剃っているのだろう。……というかなんで私はこんなことを考えているんだろう。
「い、いや、私は……、」
私はそのようなことは、と言いそうになって止まる。考えてみればシロウとリンが学校に言っている間私はやることがない。
更に言えば多少なりともお金を入れなければこれではただの大飯喰らいである。
「更に、おやつとして好きなケーキ1日一つ。ただし条件が一つ。って聞いてるか?」
私の心は決まった。シロウに負担をかけないためにもこの店で働こう。


後書き?
ケーキ1日1つにひかれた、と言うのは言っちゃいけない。エクスカリバーやられるぞ。
タイトルの元ネタがわかる方は心友です。
凛good後の話です。セイバーの恋が始まる!かも


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