聖杯はきみへの・・・5


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1: non (2004/02/29 19:45:38)

             聖杯はきみへの・・・5






夜の道をアーチャーと歩く。
残る敵サーヴァントは、

ライダー、キャスター、バーサーカー、そしてセイバーとなった。

そのすべてがマスター不明で所在も不明。
セイバーについてはどんな英霊が召喚されたのかさえ不明。

それに俺たちの前にアサシンと戦っていたサーヴァントが
近くに潜んでいる可能性もある。

わからないならば地道に足で探していくしかない。
何時、犠牲者が出るかわからない状況で、家でのんびりなどしていられない。








「どうやら待ち伏せされていたらしいな・・・。」


薄暗い坂の上を見ながらアーチャーが言った。
そしてその口元は「手間が省けた」と言っているようだった。


そこには、生きては返さぬとこちらを睨むバーサーカーと
見たこともない老人がいた。



「こんな時間に外出とは関心しないなご老人、家でおとなしくしていたらどうだね?」


「衛宮の倅が呼んだのは、口のへらぬ弓兵のようじゃな。」


バーサーカーと化したヘラクレスのマスターになんて並大抵の魔術師では
なれない、あの老人は危険だ。
俺のことも知られているらしい。



「バーサーカー、手加減無用じゃ。」

その言葉に反応してバーサーカーが疾風となり、駆ける。

その宝具、十二の試練(ゴット・ハンド)、あの化け物は十二回殺さねば死なない。



前回の聖杯戦争でアーチャーはアレに対して単独で戦い、
敗北までに六度奴を殺した。



カリバーン(勝利すべき黄金剣)の前に敗れたバーサーカーが言った回数を計算したらそうなった。
遠坂はえらく驚いていたようだけれど、〔あいつ、ほんとに強かったんだ・・・〕
俺にはなんとなくわかってた。そう、


「どんな敵にも簡単に破れるような奴じゃないってことぐらいは・・・。」


ならば後の六度は俺が殺せばいい。



目の前には、夫婦剣でバーサーカーの攻撃を受け流すアーチャー。
まともに打ち合わず、嵐のような剣戟を凌ぐ。







「ランサー、行って!」

その一言で彼女のサーヴァントは理解したらしく、一瞬で
見えなくなった。
その後ろを彼女は追う。

あの魔力には覚えがある。
前回の聖杯戦争で彼女のサーヴァント、
アーチャーを倒したサーヴァント最強と呼ばれるバーサーカー。


きっとあの二人に逃げるなんて選択肢は頭の中に浮かばないに違いない。
でも士郎はもうアヴァロンを持っていない、
簡単に死んでしまう半人前の魔術師(人間)なのだ
きっと気づかないで正面から戦おうとしているに違いない。

「だから馬鹿だって言うのよ!!」






俺の手にはすでにカリバーンが握られていた。
いくらアーチャーと言えどいつまでもあの攻撃を凌ぎきれる
とは、思えない。


現に、バーサーカーの攻撃の前にアーチャーは
じりじりと後退を強いられていた。

一撃だ、勝負は一撃でつく。



目の前まで来ていたバーサーカーにこちらから駆け寄る。
こんな所で負けるわけにはいかない。


「カリバーン!」


真名と共に放たれた一撃は、アーチャーによって剣斧を逸らされていた
バーサーカーの胸に、突き刺さ・・・らなかった。


歪に曲がり砕け散るカリバーン。 信じられなかった。

「嘘だろ・・?」

その一瞬が目の前の化け物には、百殺に値する。



気がつけば体は空を舞っていた。
バラバラにならなかっただけ幸運か、

左腕が動かない、どうやら折れたらしい。


あの一瞬の間に、アーチャーが俺とバーサーカーの間に盾を投影
してくれていた。

明らかに劣勢に追い込まれているアーチャー。

血まみれの体に魔力をぶち込んで無理やり立ち上がる。


こんなところで負けられない。
セイバーに再会するって決めたときから覚悟は決めていた。




カリバーンで勝てないならばそれを超える剣を生み出せ。

あらゆる勝利の因子をつぎ込め、

すべての知識を動員しろ、

足りない魔力分は命を削れ、

激情を持って骨子をつくり、

願いによって形をつくる、

故にその剣は、

カリバーンの輝きを持ち、

エクスカリバーの鋭さを持ち、

カラドボルグの制約を持ち、

グラムの栄光と破滅を持ち、

デュランダルの奇跡を持ち、

ハルペーの神性スキルを持ち、

ヴァジュラの突撃性を持ち、

ダインスレフの宿命を持つ。


「再会を確約された無限幻想の剣(アンリミテッド・ファンタズムブレード)」





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キーボードがぶっ壊れて買いなおしてまいりました。
お待たせしてすいません〔誰も待っていないかもしれませんが〕。
もうパソコンの前でコーヒーは飲みません。
あと二話くらいで完結にしたいですな。
感想お待ちしています。


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