注:後編です ぎりぎりです
ネタばれです
注意書きは前回とだいたいおなじです
両手を伸ばす。
地に置かれている料理は、食い手と認めるように容易くもち上がった。
「だがな、偽物が本場に敵わない、なんて通理はない。
お前が本物だというなら、悉くを凌駕して、その存在を叩き堕とそう」
前に出る。
目前には、千の料理を持つサーヴァント。
「いくぞ英雄王――――飲料水の貯蔵は十分か」
「あの」アーチャー最終章 後編
―世界の真中で辛いと叫んだサーヴァント―
「は―――思い上がったアルな、雑種―――!」
敵は"門"を開け、無数の料理を展開する。
食堂を駆ける。
異なる二つの料理群は、ここに、最後の衝突を開始した。
「はっ――――!」
繰り出される辛味回鍋肉に同じ料理を合わせる。
互いの料理は空中で相殺し、大気に肉片をまき散らす。
「おのれ、調子に―――」
ヤツの背後に器が出現する。
「乗るなというのアル、小僧―――!」
より速く、
足元の肉団子のスープ煮を抜き、一文字に薙ぎ払う―――!
「っ―――!」
空舞うスープに後退するギルガメッシュ。
その間合いに踏み込み、すぐさま棒棒鶏を拾い一閃する。
「ぐっ、何故アル…!
何故負ける、雑種の料理に…!」
矢継ぎ早に現れる料理に辛味を合わせる。
「はぁ―――はぁ、はぁ、はぁ、は―――!」
何も考えていない。
体も心も立ち止まれば止まる。
だから前に進むだけだ。
ヤツの料理を見た瞬間、手元に同じモノをたぐり寄せ、渾身の力でぶちまける―――!
「馬鹿な―――押されているのか、この我が、このような贋作に…!?」
「ふっ、は―――!」
油の音が響き渡る。
ヤツは俺の一撃を捌ききれず、その辛味を相殺される。
―――それが、ヤツの敗因になる。
千を越える料理を持ち、その全てを扱うギルガメッシュの器の大きさは、
よく判らないが英霊の中でも頂点に位置するものだ。
なのか?
だが、ヤツはあくまで"作り手"にすぎない。
それを食べるという"食い手”ではない。
相手が欠食童子なサーヴァントなら、こんな世界を造ったところで太刀打ちできない。
無限の食事を作ったところで、究極の胃袋を持った敵には対抗できない。
ギルガメッシュにはあるのだろうか、それだけの身体能力が俺にはない。
故に―――俺が肉薄できるサーヴァントはこの男のみ。
同じ料理、同じ"作り手"であるのなら、既に料理を用意している俺が一歩先を行く…!
そして辛味だけの勝負なら俺の方にさらに分がある!
「おのれ―――おのれ、おのれおのれおのれおのれおのれ…!!!
貴様風情に、よもや我の初料理を食わすことになろうとは・・・!」
既にアルをつける余裕もないギルガメッシュ。
ギルガメッシュの腕が動く。
その背後に現れた料理の皿は、ただ一つこの世界に存在しないあの料理―――!
「食えるか――――!」
ジュッ
「がっ――――!?」
迸るマーボー。
咄嗟にたぐり寄せた麻婆豆腐は、皿を掴もうとしたヤツの腕に降りかかる―――!
「な―――」
片腕を火傷し、己が初料理を取り落としたヤツは完全に無防備だった。
「は、あ―――!」
思考より先に体が動く。
勝利を確信した手足は、なお鋭く英雄王へと踏み込み、その口にマーボーを叩き付ける―――!
「――――っ」
跳び退く体。
渾身のマーボーを紙一重でかわし、ギルガメッシュは更に後退する。
「く――今はおまえが強い…!」
この場での敗北を認め、ギルガメッシュは離脱する。
「逃が―――」
させない。
はたして食事と言えるかどうかは不明だが、
食事中に席を立つような事はさせない。
勝負はここで、この料理の熱が冷めないうちに付けなくては―――!
「すかってんだ、このヤロウ―――!」
「チィ――――!」
避けれぬと悟ったのか、ヤツは残った腕で背後から中華鍋を引き出す。
だがこちらが速い。
その間に、今度こそ―――
「――――え?」
「なに―――?」
声が重なる。
その異変は、一瞬だった。
背後―――池の方から走り抜けた閃光が、辛味の丘を消していく。
強大な魔力が、消えかけていた固有結界を消し飛ばしたのだ。
―――それはいい。
勝負はついている。
この手の麻婆豆腐を振るうだけで、このサーヴァントは打倒できる。
だがその後。
黒い孔。
人間一人を飲み込めるほどの丸い孔が、
俺の目前――――ギルガメッシュの体に、現れていた。
「な――――に?」
愕然と、ギルガメッシュは自らの身体を見下ろす。
…その体がめくれていく。
黄金のサーヴァントは、自ら空いた穴に、内側から飲まれていた。
「待―――」
待て、と言いたかったのか。
孔は容赦なくサーヴァントを飲み込んだ。
…逃れる術などなかったのだろう。
なにしろ孔はヤツ本人に空いていたのだ。
「―――今のは、一体」
呆然と立ちつくす。
目前の孔は刻一刻と小さくなっていく。
…これがなんなのかは判らない。
ただ、遠坂たちは聖杯を壊せたようだ。
おそらくは、ヤツの初料理が落ちた時ついたものとマーボーが偶然重なのだ。
「…はあ。ともかく、これで」
全て、終ったんだ。
マーボーが消える。
体を占めていた魔力は急速に薄れていき、同時に、
「あ―――やば」
疲れという疲れが一気にやってきた。
「―――そうだな。こっちも、少しは」
休んでいいのかもしれない。
そうして、ほう、と大きく呼吸をした時。
「なっ―――!?」
一本の麺が、俺の腕に巻きついた。
「っ……!」
呼吸が止まる。
腕に絡みついた麺は容赦なく俺を、あの黒い孔へと引きずり寄せる…!
「あ、く…!」
手足に力を入れるも、まるで抵抗できない。
踏ん張った足は地面ごと、ずるずるとあの孔へと近づいていく…!
「く―――悪食め、同じサーヴァントでも食おうとするとは…!」
「おまえ・・・!」
孔から這い出たソレは、紛れもなくヤツだった。
だが―――その体は所々が溶解している。
あの孔は、取り込んだものを消化していくのか・・・!
「く、この……!」
麺を引きちぎろうとするが、ビクともしない。
これはバーサーカーさえ拘束した麺だ。俺がどうあがいたところで外せる物じゃない…!
「あ、ぐ―――」
眩暈がする。
体はもう踏ん張っていられない。
…死ぬ。
最後の最後で、耐えられなかった。
なら、どうせ耐えられないのなら、力を抜くべきか。
そうすれば少なくとも、ヤツをもう一度あの孔に叩き込め―――
「―――って、舐めるな・・・・!こんなことで道連れになんてされてたまるか…!」
萎えかけた手足を奮い立たせる。
こうなったら最後の最後まで全力で抗って、派手に散ってやろうじゃないか…!
”……ふん。おまえの勝手だが、その前に右に避けろ”
「え?」
咄嗟に振り向く。
視線は遠く、荒野となった境内へと向けられる。
―――すれ違うように、赤い何かが通り過ぎた。
そして、べちゃって音がした。
「貴様――――アー、チャー」
振り返るとギルガメッシュの顔には。
麻婆豆腐が皿ごとくっついていた。
あの沸沸と煮え立ったマーボーを顔にダイレクトヒットか…。
……麺が外れる。
ヤツは最後に。
「…食べ物を粗末にしちゃいけないアルよ…」
あれだけの事をやっておいて、最もな事を言いながら、天華の麺を放していた。
「―――」
尻餅をつく。
唖然とする俺の前で、孔は手の平ほどの大きさまで縮み、やがて消え去っていった。
「今、のは―――」
立ち上がる事も出来ず、背後の荒野に視線を移す。
―――夜明けが近い。
昇りかけた日を背にしているのは、赤い外套をまとった騎士だった。
「あい、つ―――格好、つけやがって」
つい文句が口に出る。
けれど、呟く口元は自分でも仕方ないぐらい、嬉しげに笑っていた。
「―――ふん。まあ、言いたい事は」
俺にはないし、いい加減眠らせて欲しいから黙っていよう。
一面の荒野となった真っ赤な大地。
そこに佇む騎士と、そいつめがけて駆けていく遠坂の姿を認めて、背中から地面に寝転んだ。
告げるべき言葉は、遠坂が代わりに告げてくれる筈だ。
―――だから、今は眠ろう。
顔を合わせればまたケンカになるだろうし、自分自身に別れを告げる事なんて慣れていない。
…そうして、最後にもう一度。
忘れぬよう自分の理想を目に焼き付けて、ゆっくりと目蓋を閉じた。
違う理想になろうと…。
踏みしめる大地は、いつか見た荒野に似ていた。
あたりには何もない。
あるのはただ飛び散った料理と辛味の異臭だけ。
――――戦いは、終ったのだ。
聖杯を巡る戦いは終幕が過ぎ、彼の戦いもまた、ここに幕を閉じようとしていた。
それがどのくらい長かったなど、彼には判らない。
ただ、永遠に自己を縛り付けるであろう積念が、今は無い。
終わりはただ速やかに浸透し、この時代に現れた彼の体をとかしていく。
「アーチャー…!」
呼びかける声に視線を向ける。
走る余力などないだろうに、その少女は息を乱して駆けてくる。
「アー、チャー」
遠くには夜明け。
地平線には、うっすらと黄金の日が昇っている。
「残念だったな。そういう訳だ、今回の聖杯は諦めろ凛」
特別言うべき事もないのか。
赤い騎士はそんな、どうでもいい言葉を口にした。
「―――」
それが、少女にはなにより堪えた。
今にも消えようとするその体で、騎士は以前のままの騎士だったのだ。
信頼し、共に夜を駆け、皮肉を言い合いながら背中を任せた協力者。
振り返れば………………………………「楽しかった」と断言でき……るかもの日々の記憶。
「アーチャー」
何を言うべきか、少女には思いつかない。
ここ一番、何よりも大切な時に、この少女は機転を失う。
「く―――」
騎士の口元の、かすかな笑みが浮かぶ。
そんな事は、初めから知っていた。
赤い騎士にとって、少女のその不器用さこそが、何よりも懐かしい思い出だったのだから。
「―――な、なによ。こんな時だってのに、笑うことないじゃないっ」
むっと、上目遣いで騎士を見上げる。
「いや、失礼。君の姿があまりにもアレなものでね。
お互い、よくここまでボロボロになったと呆れたのだ」
返してくる軽口には、まだ笑みがのこっている。
「―――――凛」
呼びかける声に、少女は俯いてた顔をあげる。
涙を堪える顔は、可愛かった。
胸に沸いた僅かな未練をおくびにも出さず、遠くで倒れている少年に視線を投げ、
「私を頼む。知っての通りおかしなヤツだからな。―――君が、助けてやってくれ」
ギルガメッシュの一戦で明らかに味覚が壊れた辛味無限再生者を、
他人事のように、騎士は押し付けた。
それは、この上ない迷惑な別れの言葉だった。
…まあ、未来は変わるかもしれない。
少女のような人間が衛宮士郎の側にいてくれるなら、エミヤという傍迷惑英雄は生まれない。
そんな希望が込められた、遠い言葉。
「――――アー、チャ―」
…けれど、たとえそうなれたとしても、それでも―――既に存在してしまっている赤い騎士は、永遠に守護者で有りつづける。
彼と少年は、もう別の存在。
もう、この騎士に与えられる救いはない。
かわらぬ現象となった青年に与えられる物なんてない。
私を頼む、と。
そう言ってくれた彼の信頼に、精一杯応えるように。
「うん、わかってる。わたし、頑張るから。アンタみたいに危ないヤツにならないよう頑張るから。
きっと、アイツが全ての料理を好きになれるよう頑張るから…!
だから、アンタも―――」
―――今からでも、甘味とわ言わず、普通の料理を食べなさい。
言葉にはせず。
万感の思いを込めて、少女は消えていく騎士を見上げる。
―――それが、どれほどの救いになったのか。
騎士は、誇らしげに少女の姿を記憶に留めたあと。
「答えは得た。大丈夫だよ遠坂。オレも、これからも頑張って食っていくから」
ざあ、という音。
騎士は少女の答えを待たず、ようやく、傷ついた体を休ませたのだ。
「――――今のどういう意味。結局、全然判ってないじゃない!!」
無言の想いはまったく通じてなかった。
救いなしの鈍感である。
ぐい、とこみ上げた涙を拭って、もういない彼に話しかける。
あんな顔をされては落ち込んでいる暇などない。
少女はいつもの気丈を取り戻し、倒れた少年の元に駆けていく。
――――黄金に似た朝焼けの光の中。
消えてった彼の笑顔は、いつかの少年のようだった。
――――朝が近い。
閉じた目蓋、眠りについたままの意識で、夜の終わりを感じていた。
残っているのは、心地の悪い胸やけだけ。
下は味付けできないほど麻痺していた、胃には一絞りの胃液も残っていない。
正直に言ってしまえば、衛宮士郎は燃え尽きていた。
「――――」
意識が鮮明になっていく。
赤色だった頭は微垂みに揺れて、次の瞬間にも目覚めるだろう。
その直前。
最後に、あいつの姿を思い出した。
翻る外套は既にいない。
あの、永遠に食いつづけるのだと思っていた世界を引き連れて、あの男は去っていった。
振り返らず何も語らず。
自身を恥じなかった背中だけを俺に残して。
「ん―――…む」
朝の陽射しに目を覚ます。
起こした体は微妙に重く、ところどころ火傷だらけだった。
「…あれ。ここ、俺の部屋だ」
ぼんやりした頭で周囲を見渡して、時計を見る。
「遠坂は…もう帰ったよな。おーい、セイバー。起きて―――」
言いかけて、喉が止まった。
「―――」
起きている筈がない。
いや、そもそも、彼女がここに居る筈が無い。
聖杯はもう存在しない。
人の手にあまるサーヴァントを繋ぎ止められるモノは、この世から消え失せている。
故に―――あの金の髪をした少女は、もう、この世の何処にもいないのだ。
「ああ――――そうだった」
手のひらで両目を覆って、何かを堪えるように天井を仰いだ。
部屋は、静まり返っていた。
冬の朝は冷たく、吸い込む空気は肺を締め付ける。
…長いようで短かった時間。
この二週間に起きた出来事と、この部屋にのこった彼女の面影が通り過ぎていく。
"―――そんなことはない、シロウの料理はとても美味しい"
"―――シロウ、お腹すきました"
"―――シロウ、辛味が足りません”
"―――そんなことはない、シロウはとても美味しい"
まて、思い出。
得に最後のはなんだ。
「ん…腹、減ったな」
セイバーを思い出したせいだろうか。
「うー、さみ」
廊下は冷え切っている。
ぎしぎしと廊下を軋ませて、早足で居間へ向かう。
「―――さて、と」
台所について、エプロンを装着。
フライパンに火かけて、トーストを三十人分切り出して、
賞味期限ぎりぎりの卵三ダースを手に取る。
「よっと」
トーストを焼きながら、卵を割ってフライパンへ。
じゅわっ、という油のはじける音を聞きながら皿を用意して、キレイな目玉焼きを36個作る。
「よし、会心の出来」
目玉焼きを白い皿に載せて、焼き上がったトーストを籠に並べる。
そうして、流し台から居間に振り返って、
「――――あ」
居間には自分以外、誰もいない事を思い知った。
「――――」
はあ、と長く息を吸う。
毎朝、居間で朝食を待っていた、エンゲル指数全快少女はもういない。
ここにきて、ようやく実感できた。
…戦いは、終ったのだ。
聖杯を巡る争い幕を閉じた。
そんな事を、今更―――彼女のいない朝を迎えて、ようやく気が付くなんて、間が抜けている。
「―――分量、間違えちまった」
間違いすぎである。
フライパンを置く。
空腹だったクセに食欲はなくたっていた。
そらそうだ。
エプロンを脱いで居間を横切る。
外はいい天気だ。
なんとなく、初めて彼女とまともに話をした道場が見たくなって、作りすぎた朝食を置き去りにした。
無人の道場に足を踏み入れる。
陽射しは淡く、板張りの空間を白く照らし上げている。
そこに、
ぐきゅるるるぅぅぅぅぅぅ。
聞き間違える筈の無い音の発信源が、堂々と鎮座ましましていやがった。
「は―――?」
目が点になる。
まさか、いつのまにか二週間前にタイムスリップしたとかどうとか……!?
「―――シロウ?目を覚ましたのですか?
――――もう大事はないようですね。お腹すきました。傷そのものは浅いものでしたから、
そろそろ目が覚める頃だと思っていました。お腹すきました」
「シロウ?どうしたのです、先ほど口を開けて。
…まさか、シロウのお腹すいたのですか?」
「え―――あ、いや、そういうワケじゃない、けど」
こっちの混乱は下手な致命傷よりダメージがおっきくて、
突っ込むところに突っ込むことができない。
「セ、セイバー」
「はい。なんでしょう、シロウ」
「あ……うん。その、セイバーだよな、セイバー」
「見ての通りですが。…それとも、私がアーチャーやランサーに見えるのですか、貴方は」
「―――まさか。見えない。全然、まったく見えない」
ぶんぶんと首を横に振る。
「ええ、当然です。シロウも火傷だらけですが、今まで通りのシロウです」
「ああ。セイバー、どうやってここに残っているんだ。その聖杯はもうないんだろう?なら―――」
サーヴァントはこの時代に留まっていられないのでは、と言いかけて口をつぐむ。
「セイバー…?」
「シロウ。その件でしたら凛に聞いてください。先ほどから今か今かと、貴方が気付くのを待っているのですから」
「え?」
言われて振り向く。
「あ」
「あ、なんて随分な反応ね。セイバーには愛想ふりまいといて」
聞くと手当てなど、藤ねぇへの言い訳なので遠坂はここに残っていてくれてたらしい。
「―――そうか。ご苦労様、遠坂。色々あったけど、こうして戻ってきたな、俺たち」
「ま、そうね。一人も欠けてないし、文句なしに完全勝利だし。おめでとう、っていうのが相応しい絞め言葉よね」
「―――で。それはいいんだけど遠坂。セイバーはどうして・・・?」
途端俺から目を背ける遠坂。
「…食ったのよ」
「―――――――――は?」
「だから、聖杯を食ったのよ。一口だけど。その後美味しくないといって聖剣で叩き斬ったわ…」
そこか悟ったような遠坂
つまりはギルガメッシュと同じ状態らしい。
「はい、シロウの言う通り、あれは私が求めたモノではありませんでした。
シロウの料理のほうがおいしい」
悪食だとは思っていたが―――。
あれを一口でも食べようとしたセイバーは―――。
「あのね。そんな顔で何を考えてるかなんて手にとるように判るけど。
いい、わたし一人でセイバーを維持するのは難しいわ。けど二人で協力すれば、なんとかセイバーを養えるわ」
「シロウ、お腹空きました」
「遠坂の魔術はお金がとてもかかるものなの。とてもじゃないけど家だけじゃ…」
「…わかった。その苦労は俺もしたからわかる」
なんというか。セイバーがいて遠坂がいて。
万全な終わり方のはずなのだが。
何かすっきりしない、終わり方だった。
「シロウ、お腹空きました」
少し静かにしてくれセイバー。
「…ちょっと新たな夜明け流れてるわ!」
耳をすましてみると、たしかに背景に流れていた。
「ちょっとまて、なにか凄く納得できないぞ!」
こんだけ色々振り回されて、この終り方は納得できない!
「シロウ、お腹空きました」
でも
「もうヤケね、行くわよセイバー。朝食の用意はできてるみたいだし」
二人を見ていると
「はい」
これもまた良いかと思う。
というか、思わざるを得なかった。
終
あとがきのようなもの
すっきりしない終わり方(汗
オチがこれでいいのかなぁ・・・
このシリーズ一番壊れてたのはセイバーかもしれません。
また読みたい方方が居ましたら外伝でも書いてみるかもしれません。
長々なシリーズの愛読してくださった人様 ありがとうございました。