その身は、剣で出来た聖剣の鞘 第一部その1 M士郎


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1: kouji (2004/02/25 11:29:00)[atlg2625dcmvzk84 at ezweb.ne.jp]

1士郎視点
ライダーとの戦いを終えた翌日、俺は、買出しに商店街にやってきた
セイバーは今到底戦える状態じゃない、宝具を使ったお陰で魔力は底をつき、
今にも消えそうな体をかろうじて留めているだけらしい

「結局、俺のせいってコトだよな」

ため息と供にそうつぶやく
どうしようもないとは言え
俺に力があれば、せめて、ちゃんとした形で契約できていればこんなことにはならなかっただろうに

「む? 衛宮、どうした? 買い物か?」

と、声をかけてきたのは、知り合いの柳洞一成だった、

「あぁ、昨日からこっち……」

セイバーが倒れて、と言いかけて口ごもる
一成は柳洞寺に住んでいる
そして、柳洞寺は今、他のサーバントとマスターが陣取っている
あのアサシンは兎も角、セイバーが戦えない状態だなんてばれたら俺の命はない
遠坂は兎も角、アーチャーのやつには借りを作りたくない
何故かは解らないが、あいつとは意見が合わない
アレは多分、その、考え方の根っこが違うんだろうな

「どうした衛宮?」

一成が不振そうに俺を見る
半端なところで言葉を切ったので怪しまれたか?

「いや、スマン、口止めされているので、聞かないでくれるとありがたい」

「ふむ、それはここ数日の欠席と関係があるのか?
例えばセイバーさんと何かあったとか?」

う、結構鋭いな一成

「そうだと言えばそうだが、口止めされているのでこれ以上は言えないぞ」

「いや、別に問題はない、…………これの役目はお前を足止めすることなのだから」

「?!」

突然、口調が変わると一成は俺につかみかかってきた

セイバーとの鍛錬のお陰か咄嗟に避けられたが、
これはまさか……

「だれだ、柳洞寺にいるやつだろう!! 姿を見せろ!!」

まさか無関係のやつを人形に使うとは思わなかった
まて、今こいつ、足止めとか言わなかったか?
まさか……


2アーチャー視点
カランカラン、カラン
私がその音を聞いたのは、部屋でそれをしているときだった

「アーチャー今の音は?」

「この家の結界だ、警報機の役にしかたたんが」

無いよりマシだ、さて、

「どうやら、今のうちにこの足手まといを始末しに来たらしい」

部屋の真ん中にしかれた布団に寝ている人物を見下ろして言う
傍から見れば小柄な西洋人の少女にしか見えんだろう
が、ここに寝ているのは人にして人にあらず、盟約の元に世界にこの身を捧ぐ為、
無限ともいえる時の狭間を死の間際に彷徨う事を余儀なくされた騎士の王だ
現在その身は未熟なる魔術使いの無様な制約の元、不自由な使い魔に身をやつし、
その男の無様さゆえに、その身を存在させることもままならぬ身である

「気配が多いな、使い魔でも使役しているのか、
だとすればキャスターか」

舌打ちし、双剣を手に立ち上がる
磨耗した記憶をたどる、確か、キャスターはまだ動かなかったと思うが?
何かが変わったと言うことか、なら私の目的を達する機会も来るやも知れん

「凛、ここに居ろ、私が始末をつけてくる」

「解ったわアーチャー、……たくっ、士郎のヤツ、何処で油売ってんのよ」

「知らん」

ここにいない騎士王の主を罵倒する
同感だが仕方あるまい、あの男は狂人の主にとらわれているはずだ
さて、騎士王が目覚める前にあの魔女を叩くとするか


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