フェカラ


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1: ダワ (2004/02/25 01:35:00)[modeactive at msn.com]

良く晴れた春のとある日。
陽光が良く入る道場の中に一人の少女が正座をしていた。
彼女の名はセイバー、衛宮家の居候である。
聖杯戦争の終了後、彼女はどういうわけか現世に留まっていた。
理由は・・・この話と特に関係ない事なのでカットする。
決して考える事が面倒とかではない。考えてもわからないのだ。作者が。
彼女は道場の中で何をするわけでなくただ正座をして、この家の主、衛宮士郎が学校から帰ってくるのを待っていた。
彼女にとって待つ事は苦痛ではない。
王として国の未来(あす)のために何もせず、行動を起こさずにただ静観していただけという時もあった。
それに比べたら彼が帰ってくるまでの数時間、ただ座して待つ事など大した問題ではない。
(・・・今日の夕飯はなんでしょう)
セイバーがボーッとそんな事を考え始めようとすると家の呼び鈴が鳴った。
呼び鈴は誰かがこの家を訪れた事を知らせる音だという事を知っている彼女は立ち上がり玄関へ向った。
今この家の主である士郎はこの家に居ない。
もし、士郎を訪ねてきた客ならば彼女はおもてなしをしなければならないし、怪しい者ならば全力で退治しなければならない。
これは留守を任されている者としてセイバーが自らに課した役目だった。
セイバーはゆっくりと玄関の扉を開ける。
そこには三人の意外な人物が立っていた。
「よう、セイバー久しぶりだな」
「ラ、ランサー・・・?」
セイバーは目の前に居る三人の人物のうちの一人の名前をしぼるように言った。
青い髪の飄々とした顔の男の名はランサー。
飄々としていてにくたらしい事この上ないのだが、どこか憎めないランサーのサーヴァントだった男である。
彼はもう現世には居ない。聖杯戦争は終わり彼を現世に繋ぎとめるための魔力の供給はなくなってしまっているし、そもそも彼のマスターはもう・・・
だが、おかしいのはランサーが居る事だけではない。
「どうしたのだ、セイバー、鳩が豆鉄砲食らったような顔をして、なにかおかしい事でもあったかな?」
嫌らしい微笑を浮かべながらそう尋ねてくるアーチャーも居れば・・・
「・・・・・」
無言で重圧を周囲に漂わせているバーサーカーまで居る。
この二人も先の聖杯戦争でそれぞれの名を冠するサーヴァントだった男達である。
彼等もランサーと同様に現世に居る事は出来ないはず。だが彼等は確かにここにいた。
なぜ彼等がここに居るのか、セイバーは皆目見当もつかなかった。
「いえ、なんでもありません、それよりあなた方はなぜ現世に留まる事が出来ているのですか?」
セイバーは誰もが考える疑問を口にする。
「自分を棚に上げて良くいうぜ、おまえだってここにいるのはおかしいじゃねーか」
すると、ランサーが横から茶々を入れてきた。
「ム、ならばあなたは私達が現世にいる事が出来る理由がわかるのですか?」
セイバーは茶々を入れてきたランサーに疑問の矛先を向ける。
「ア?そんなの俺がわかるわけんねーじゃん、それに考える必要もねーだろそんな事」
「考える必要もないですって?あなたは現世にいる事が不思議ではないのですか?」
「確かに不思議な問題だよな、でも考えたってわかる問題じゃねーし、それだったら今を楽しんだ方が良いだろ?ほら良く言うだろ、気にしたら負けだって」
「言いません!そんな事」
セイバーはランサーの言った事を否定する。
「そんなこと言ったてなぁ、バーサーカー」
ランサーは助けを求めるようにバーサーカーに言った。
「そうあれです、気にするな、ですよ」
ランサーに同意を求められたバーサーカーは平然と喋った。
「・・・バーサーカー、あなたはなぜ言葉を発するのですか?」
セイバーは偏見とも取れられかねない発言をする。
「だから、気にするな、ですよ」
バーサーカーはそう繰り返した。
「それで納得いくはずないじゃないですか、いい加減な事ばかり言ってないできちんと答えて下さい!」
セイバーはバーサーカーの首を抑えんばかりの勢いで言う。
「相変わらず頑固なのだな、君は」
すると、アーチャーが呆れたように言った。
「相変わらずとはどういう意味です?アーチャー」
「どういう意味もなにもそういう意味だ、これではあの小僧も苦労しているのだろうな」
士郎の名を出されてセイバーは少し怯んだ。
「ふん、あなたに士郎のなにがわかるというんですか?彼はわたしに頑固などと言った事はありません」
流石はセイバー、力強く否定した。
例え実際にあったかもしれない事でも自分にとって都合が悪い事ならばなかった事にしてしまうのが王の力。アナザーパインツゥアーダストである。
「頑固過ぎるセイバーは嫌いだ、くらいは言うさ」
敵のアーチャーも負けてはいない。
セイバーにとって急所である士郎という存在を的確に突っつく。
「だから、あなたになぜそれがわかるんですか?」
セイバーは先程と同じ事をアーチャーに尋ねる。
だが、先程までのような勢いはなかった。少し傷ついたのである。
「わかるさ、あいつと俺は同じ男の子だものな、ランサー」
「ああ、その通りだぜアーチャー、バーサーカーもそう思うだろ?」
「あぁそうだな」
三人はそう同意しあってセイバーが尋ねた事に答えた。
(男同士、だからってわかるはずがないでしょう)
そうセイバーは思った。だが、それを口に出しても「それは君が女だからわからないのだよ」などと言って問題にしないに決まっている。
不毛な事をわざわざ言う気はセイバーにはなかった。
「ふん、だいたい、私は頑固などではありません、物分りが良い、良い子ちゃんです」
セイバーは自分が頑固である事を否定するためになんら恥ずかしがる事無く言う。
アーチャー、ランサー、バーサーカーの三人は一瞬、石になったように硬直する。
「フフフ、そうか、セイバーは物分りが良い、良い子ちゃんなのか、ならば我々がここにいる事を気にするな、ハハハハ」
アーチャーは端々に笑いを混ぜながら言う。
「なにを笑っているのです!?アーチャー‼」
自分が年甲斐もなく良い子ちゃんなどと言っている事で笑われている事に気付いていないセイバーはアーチャーがなぜ笑っているのか怒りを混ぜながら言う。
「アハハハハハハハハ、まぁまぁ落ち着けよ、良い子ちゃん」
「ええい、あなたも笑うのですか!?ランサー‼」
セイバーは並みの男ならば失神しかねない、剣幕な態度をかもし出しながら言う。
だが、ここにいるのは並みの男などではない。三人とも歴戦の勇士である。
セイバーの剣幕さなど歯牙にもかけずに笑い続ける。
「ブハハハハハハハハハハハハ、良い子ちゃん良い子ちゃん良い子ちゃん良い子ちゃああああああん」
バーサーカーなど腹を抱えて地面に転げ回りながらほとんど絶叫しながら笑っている。
最初とバーサーカーの口調がかわっている事を気にする者は誰もいない。
アーチャーとランサーは笑っていて、セイバーは怒りでそんな余裕がないのである。
「あなた達、いい加減にしなさいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ‼」
セイバーはバーサーカーに負けないくらい大きい声で叫ぶ。
こうして彼女はステータス画面に真名XXXXX(良い子ちゃん)。
保有スキル、アナザーパインツゥアーダスト(B)。
あった事をなかった事にする能力、普通に生きるうえでは時を戻す必要はなくこの程度で十分である。
と、記される事になるのだった。良かったね良い子ちゃん。
「わかりました、もう気にしません、えぇ私は良い子ちゃんですからね」
セイバーは怒りで頬をプリプリさせながら言った。
いまだに良い子ちゃんと言っているあたりが流石はセイバー。
「いやよぉ、折角俺等生き残った事だから、この世界の宴会でもやろうと思ってよ、俺等四人でな」
ランサーはどうにか笑を噛み殺しながら言った。
「はぁぁ、このメンバーでですか?」
セイバーは目の前に居る三人を見渡しながら言う。
「そうだぜ、なにか不都合でも?」
「はい、ありますね、あなた方はないのですか、アーチャー、バーサーカー」
「ない」
「ありませんですぅ」
セイバーの言った事をアーチャー、バーサーカーという順番で否定する。
(どうやら、この二人は完全に敵のようですね)
セイバーは不敵に笑っているアーチャーとバーサーカーを見ながら悟る。
宴会と言われてセイバーの心は動いた。
宴会という事は豪華な食事、しかも大量に出てくる。それはつまり理想郷。
なのだが、セイバーには留守番という大事な使命がある。それを無視して宴会に行ってしまっては騎士としての存在に関る。
「お誘いは嬉しいのですが私には留守番という使命があります、それを無視して宴会に赴く事は出来ません」
騎士としてのセイバーは強い。宴会という欲求が彼女の心の中に広がりセイバーはそれと死闘を繰り広げて見事に打ち勝ったのである。
「あぁ安心しろよ、セイバー、宴会はここでやるんだよ」
だが、セイバーの死闘を無下にする一言をランサーは言った。
「如何様にして?」
思った事をすぐにセイバーは尋ねる。
「見ていればわかる」
そう言ってアーチャーはセイバーの横をすり抜けて家の中に入っていった。
彼に続いてランサーとバーサーカーの二人も家の中に入っていく。
(まぁ大丈夫でしょう、彼等も英雄、盗人のような真似はしないはずです)
そう信じながらセイバーも家の中に入った。そして、場所は衛宮家の居間に移動する。
「で、誰が料理を作るのですか?」
居間に移動してから間髪いれずにセイバーは一同に尋ねる。
「君は本当に食べる事しか考えていないのだな」
アーチャーが半ば呆れた様にため息を吐きながら言った。
「何を言うんです!失礼な!宴会と言えば、食って飲む、その二つのみなのではないですか‼」
セイバーはそう力強く力説した。
すると、アーチャーはセイバーの事を憐れむ様に見ながらこう言った。
「最近の宴会はそれだけではないのだよ、セイバー、宴会というのはみんなで楽しく騒ぎつつ飲んで食う事だ、決して食って飲むだけではないぞ」
ドグサァ、とセイバーの心の中にとてつもないなにかが刺さったような音がした。
「まったく意地汚ねぇなぁ、セイバーは、なぁミッキー」
「アハハハ、まったくもってその通りだね、ランサー」
ランサーとバーサーカーは声を揃えて言った。
(よりにもよってこいつ等に・・・)
セイバーは拳を深く握り締めながら思った。しかし、怒りを表すわけにはいかない。非は宴会という言葉を取り違えた自分にある。ここで怒りを面に出しては更に馬鹿にされるに決まっている。そう彼女の第六感が告げていた。
「フゥゥ、ではどのように騒いで宴会をするのですか?」
息を吐き、自分を落ち着けながらセイバーは言った。
「最近の宴会、それは歌だ!」
「はぁぁぁ、歌ですか・・・」
「そうだ、みんなで唄って騒ぐのだぁあああああああああああ‼」
ランサーは力強く叫んだ。
「どうやってですか?」
セイバーは冷静に尋ねた。しかし、セイバーは尋ねてばっかりだな・・・まぁ気にしない方向で。それはともかく確かにみんなで唄って騒ぐのは楽しいだろう。しかし、皆さん知っての通りこの部屋にはテーブルしかない。それなのにどうやって歌を唄うのうか彼女にはわからなかった。
「ハハハ、それはこいつにお任せだ、お願いだよぉ、バーサーカー」
「わかったよ、ラァンサァくぅん」
バーサーカーは物凄い女の濁声を発しながら、セイバーが見た事もない機械をだした。
「それはなんです?」
セイバーはまた尋ねた。
「これはね、無限の作曲(セ○カ○)といってね、いつの時代のどんな場所の歌でも入っている、秘密宝具だよ、セイバーちゃん」
「へぇぇ、そうなのですか、バーサーカー」
バーサーカーの物真似にいちいち付き合う気がないセイバーはいつも通りの言い方で言った。まぁしずかちゃんの物真似をするかしないかはともかく、これは歌の曲だけを流す機械だという事をセイバーは理解した。
「おっしゃー、じゃあ一番手は俺‼」
そう言ってランサーはバーサーカーが機械と一緒に出した、リモコンとデ−タ本を使って無限の作曲に歌う曲を入れた。
「CHA−LA HEAD−CHA−LA」
すると、バーサーカーが出した機械の画面がそう記した。その後に子気味良い音楽が部屋中に流れた。CHA-LA HEAD-CYA-LAとは言うまでもなくドラゴンボールZのオープニングテーマでアニソン界のプリンス、影山ヒロノブ代表の一曲である。
「sparking!」
そんなシャウトでランサーの歌は終わった。
(彼らしくて軽くて気持ちが良かったな)
歌を聴き終えた後にセイバーはランサーの歌にそういう感想を思った。
「ふん、君らしいなカラッポで中身がない」
データ本を見ながらアーチャーはそう洩らした。
「んだとコラァ!」
アーチャーの一言に対してランサーはマイクを使って反論する。
セイバーが持った感想とほとんど同じような意味なのだが、言葉が違うだけで意味は大分かわる。本当に日本語って難しいよね。
「ふん、言った通りの意味だ」
「なにぃ!?」
「ふん、心して聞けよ、ランサー、私が我等に相応しい歌を唄う」
そう言ってアーチャーはリモコンで歌の番号を押して送信した。
「人間はもう終わりだ!」
画面にデカデカと血文字でそう出た後にイントロが始まった。
「人間はもう終わりだ!」馬鹿ばっかりでなにも進まねぇ!」
そして、アーチャーはそれはもう楽しそうに唄っていた。
人間はもう終わりだ!とは真心ブラザーズの曲である。これを聴いた後は本気で人間はもう終わると確信し反省する事も出来る素晴らしい名曲である。それ故にお勧め。
「縁起でもねぇな、おまえ」
この歌を聴いた後にランサーはそう述懐した。
(確かに縁起でもない)
ランサーと同じような感想をセイバーは持った。
「ふん、これの素晴らしさはおまえ達のような凡人にはわかるまい」
だが、アーチャーは自身を持ってそう言った。彼は本気でこの歌が気に入っているのである。
「んだとぉ、よしセイバーおまえがなにか唄って見返してやれ!」
そう言ってランサーは歌のデータ本を強引にセイバーに手渡した。
だが、セイバーにはどのような歌を唄って良いのかわからなかった。まぁこの時代の人でない彼女はそれが当然。しかし、彼女には直感の保有スキルがある。それを最大限に駆使してセイバーは歌を選びリモコンで機械に入れた。
「プリズム」
プリズムとは元JUDY AND MARYのボーカリストYUKIのソロ活動第二弾シングルである。優しくどこか切ないバラードでこの歌を一言で表現すると、まさに奇跡。と、作者が勝手に思っている名曲なのだ。
「私はこのまま信じていけるわ、愛の強さ故、優しき獣故」
セイバーは音程にあわせて必死に唄った。どんな時でも誠実で手を抜くという事をしらない、セイバーは魂を込めて唄っている。魂が込められた唄は人の心を震わす魔法である。その証拠に一同はみな、彼女を引き込まれたように見つめていた。
「ナナナー、ふーお粗末」
唄いきったセイバーはそう言ってマイクをテーブルの上に置いた。
だが、誰も一言も発しようとしなかった。
「あ、あの・・・酷かったですか?」
誰も何も言わないのでセイバーはおずおずと尋ねた。彼女は唄う事に必死で自分の唄がどのようなものかわからないのである。
「反則だな、君は」
深いため息をゆっくりと吐いた後にアーチャーは言った。
「んな・・・それはどういう」
「バーカ、自分に聞け」
そう言ってランサーはマイクを手にする。
アーチャーとランサーの二人はセイバーの唄に心奪われてしまったのである。それを隠すために二人は何も言わないのである。だが、一人だけセイバーに対抗心を燃やす男が居た。
「お待ちなさい!」
その男はそう言いながらランサーを思いっきり殴りつけて彼が持っていたマイクを捥ぎ取った。その男の名はバーサーカーである
「順番的に次は私の番よ、さぁ心して聞きなさい!」
バーサーカーは誰のものかわからない口調で言った。セイバーの唄を聴いて彼も動揺しているのだ。だが、流石は英雄彼の口調がおかしい事等誰も気にしていない。そしてランサーは壁に減り込んでいるが流石は英雄達、誰もそんな事を気にも留めない。
「ぽちぽちぽちっとな」
バーサーカーはリモコンにひびを入れながらボタンを押して送信する。
「孫」
すると、画面に大きくそういう漢字が出てきた。孫とは一時期ヒットした演歌である。
「なんでぇこんなにかわいいのかよぉ、孫という名の宝物」
バーサーカーは力強くこぶしをきかせながら唄った。彼のこぶしもそれは力強く握られていてマイクが壊れてしまうそうである。彼もセイバーと同様に魂を込めて唄っている。
「さて、俺はつまみの準備をするかな」
「じゃあ、俺はトイレ」
「では私は飲み物の準備を」
それをセイバー達は見事にかわした。しかし、それがわからないほどバーサーカーは魂を込めていたのだった。
それから、二時間セイバー達は飲んで唄って楽しんだ。セイバーだけは食って唄ってだったりするのだが、楽しんだ。そして別れの時間がやってきた。
「今日は楽しかったぜ、セイバー」
「うむ、このような催しもたまにはいい、またいずれやりたいものだな」
「I’ll be back」
三者三様の別れの挨拶を告げて三人は消えた。霊体になったのであって実際に消えてしまったわけではない。実は幻だなんてオチはないので安心して欲しい。
「えぇ機会があったらまた」
セイバーはもう目の前には居ない三人にそう告げた。
三人が楽しんでいたのと同様にセイバーも宴会を楽しんでいた。
こういう事ならばまたやりたい、そうセイバーが確かに思っていると・・・。
「あれ、セイバーそんな所でなにやっているんだ?」
衛宮士郎が帰ってきた。
「おかえりなさい士郎」
セイバーは帰ってきた士郎にそう言った。その顔には優しさと暖かさが満ちている。
「た、ただいま、そ、そのなんでセイバーはこんな所に立っているんだ」
「えぇ実は・・・」
セイバーは自分がアーチャー、ランサー、バーサーカーの四人で宴会をしていた事を居間に移動しながら話した。
「へぇぇ、成る程な、そいつは良かったな、セイバー」
話を聞き終えた士郎はまるで自分もそこに居合わせたかのように微笑みながら言った。
「えぇ士郎、あなたも今度私と一緒に宴会をしましょう」
 士郎の微笑みに浸りながらセイバーは言った。
「で、この有様はどう説明してくれるのかな?セイバーさん」
すると、士郎が笑顔のままだが確かな殺気が混ざった声で言った。士郎がなぜそんな声を出したのかわからなくて居間を見た。そしてその意味がわかった。
居間が汚い。宴会をした後に彼等は部屋の片付けをする事を忘れたのである。
それ故に衛宮家の居間は一足の踏み場もないゴミの海とかしていた。
「ねぇセイバーさん、どこをどうすればこうなるのかな?朝はちゃんとキレイだったのにさぁ、ねぇどうして」
はっきりと怒りを露にしながら士郎は言った。部屋が散らかった主な原因はランサーとバーサーカーにある。ランサーがどこからか買ってきた酒を飲んだまま放置し、バーサーカーがパーティー道具と称して様々な秘密宝具を出したためにこうなったのだった。
しかし、騎士である彼女は一度杯をかわした友人を売って自分だけが助かるような真似はしようとしない。
「え、ええと、だからそれはそう士郎、気にするな、ですよ」
だからセイバーは精一杯誤魔化しにかかった。
「そんなので納得いくかぁ!今日は断食でござる‼」
だが、当然の罰を受ける士郎にセイバーなのだった。ちゃんちゃん。


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