「あの」アーチャーvsバーサーカー


メッセージ一覧

1: (2004/02/24 04:22:00)

注意:・これはセーバールートのネタばれです
   ・固有結界の限界ぃ・改を見てから読んだほうが楽しめます
   ・一応作者はアーチャー嫌いではないので勘違いしないでください(笑





V.S バーサーカー

「……………」
遠坂はアーチャーの背中をみつめている。
・・・・・・かける言葉などないのだろう。
遠坂も、自分の命令が無茶だと解っている筈だ。
自分たちを逃がすために、アーチャーに死ね、と言ったのだから。
「…………アーチャー、わたし」
何かを言いかける遠坂。
それを。

「ところで凛。一つ確認していいかな」

場違いなほど平然とした声で、アーチャーが遮った。
「……いいわ。なに」

伏目でアーチャーを見る遠坂。
アーチャーはバーサーカーを見据えたまま、
「ああ。時間を稼ぐのはいいが― 別に、アレを食わしてしまっても構わんのだろう?」
そんな、トンデモナイ事を口にした。
アレって何だ?
「アーチャー、アンタ――」
心無しか青い顔の遠坂。
「――ええ、遠慮はいらないわ。がつんと痛い目にあわせてやって、アーチャー」
「そうか。ならば、期待に応えるとしよう」
二人の間では会話が成立してるらしい。

アーチャーが前にでる。
バーサーカーまでの距離はわずか十メートル。
その程度の距離、アレは即座に詰めてくるだろう。
「っ、バカにして…! いいわ、やりなさいバーサーカー!
そんな生意気なヤツ、バラバラにして構わないんだから…!」
ヒステリックなイリヤの声。
意にも介さず、遠坂は背中を向けた。
「――行くわ。外にでれば、それでわたしたちの勝ちになる」
遠坂は俺とセイバーの手を握って走り始める。
…俺も、背後にアーチャーを残したまま玄関へと走り始めた。
その背中に。
「衛宮士郎」
背を向けたまま、アイツは呼び止めた。
「いいか。お前は戦う者ではなく、生み出す物にすぎん」
「余分な事など考えるな。お前に出来る事は一つだけだろう。ならば、その一つを極めてみろ」

アーチャーの片手があがる。
その手には、いつの間にかレンゲが握られていた。
・・・。
……。
………レンゲ?
「忘れるな。イメージするものは常に最強の自分だ。外敵なんてあの似非中国人だけで十分だ。お前にとって暖かう相手とは、自分のイメージに他ならない」
なんかおかしい事言ってるような気が。

アーチャーとバーサーカーの衝突を見届ける事なく走り出した。
遠坂とセイバーは玄関に辿り着いてる。

――振り向く事なく走る。
嫌なにおいがしたからな…。
赤い背中が、ただ、食えと告げていた。

― 二時間後 ―

そうして、両者の戦いは終わった。
彼らの戦いは、赤い騎士の消滅で幕を閉じたのだ。
絢爛を誇っていた広間は一片していた。
床には妙に赤っぽいものがまきちらされ。
壁にも刺激臭の強い赤い物がそこらに飛び散っている。
階段ぬるぬるで、砕かれた豆腐は大豆となって風に散った。

空間は異臭で立ち込められ、広間にかつての面影はない。
「―――――」
その異臭の中心に相応しくない彫像が建っていた。
2メートルを優に超すそれは、巨岩を荒々しく削って作った人の像に見える。
まあ、異常な異臭をはなっているのと、所々真っ赤にペイントされてなければだが。
巨像は不動だった。
その全身は赤く、額に汗を浮かべている。
健康な箇所など巨人には存在しなかった。
一、目は刺激臭で充血している。
二、口は物が言えないほど赤く腫れあがっている。
三、喉はまるで焼け爛れたようになっている。
四、胃は突然の異物に不調を訴えている。
五、腸はさらにヤバイ、早くトイレに駆け込めと体をせかす。
六、皮膚は煮えたぎったモノをかけられたせいで火傷をしている。
七、火傷の追い討ちに辛いモノが火傷に染みる二重苦である。
八、言わずとも鼻はもう致命傷だ。

バーサーカーは動かない。
いや、動いたらやばい。
胃と腸が不調を訴え、嘔吐感はあるのだが喉が痛くてそろどころでもない。
とにかく色々とやばい。
当然だろう。
あれは、どうみても人間の、いや英霊でさえ食べれる物ではなかった。
戦い自体は、半刻で決着がついていた。
ただバーサーカーのマスターも刺激臭のせいで五感の大半が奪われ、
うごけぬ状態だったのだ。
アーチャーのマスター、遠坂凛の言っていた痛い目、
意味は違うだろうが正に痛い目に会っていた。
「―信じられない。なんだったのよ、アイツ」
忌々しげに呟く。
ここで行われた戦いは、少女にとって屈辱以外の何物でもなかった。
「ああもう、頭にくる!どうやって明日からここに住めばいいのよ!」
掃除してもちょっとやそっとじゃ落ちそうにない。
「それにあんなヤツに八回もやられるなんて、手を抜いてたんじゃないでしょうね!」
・・・彼にしてみても、今回の戦いはあまりにも異常だった。
彼の宝具は、あらゆる攻撃を無効化する。
超一流の攻撃でなければ、どのようなモノであろうと彼の肉体には通用しない。
むしろアレは攻撃だったのだろうか?
まあ、バーサーカーにとって致命傷に近い純度の攻撃を、実に幾度とアーチャーは行ってきた。
その全てが違うパターンだった。
かける、食わす、まきちらす、ectect。
いい迷惑である。
…異常だというなら、それこそが異常だった。
何故彼は、麻婆豆腐で戦ったのだろうか…。






次のサーヴェントに続く(ぇ
アーチャーvs他の英霊達との戦いを
「固有結界の限界ぃ・改」の同列世界からの中継でお送りしました。
反響がそれなりにあったなら続きを書こうと思います(笑
書くとしたら次はキャスターかランサーかな?


記事一覧へ戻る(I)