聖杯はきみへの・・・3


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1: non (2004/02/22 14:38:00)[nonn at poppy.ocn.ne.jp]

聖杯はきみへの・・・3



翌朝、目が覚めると六時だった、いつもの起床時間より少し
遅いが、まあ許容範囲内だろう。
朝飯の準備をしようとキッチンへ向かうとアーチャーがいた。

「朝から、キッチンで何しているんだ?」

「寝ぼけているようだな、衛宮士郎。朝、キッチンですることは一つしかあるまい。」

つまり奴は朝飯の準備をしている訳だ。なるほど・・・
たいした驚きも見せず俺はキッチンに入っていった。

「まだ寝ぼけているのか?」

「いや、手伝う。」

奴はそんな俺に一瞬苦笑すると、わかったと言って包丁をこちらに渡した。

「もう一つ準備しなければならない物があったのを忘れていた。
後は、まかせた。」

そしてなぜか玄関から出て行った。+

大体の準備が終わり、後は遠坂が起きて来れば完了となった。
どうしたんだろう、目覚ましをかけ忘れたのだろうか。
呼びに行こうかと考えをめぐらせていると、ふらふらーと遠坂が起きてきた。


「おはよう士郎。」

「ああ、おはよう」


自分の席にドスンと座るとなにやら動かない。
二度寝したのかと思い、顔を覗き込もうとしたら、



「なにをやっている。」



帰ってきたアーチャーに見つかってしまった。
アーチャーが再びキッチンに戻り、しばらくすると紅茶の匂いが漂ってきた。
紅茶はあまり飲まないからよくわからないが、おそらくいいものなのだろう。

「凛、紅茶を淹れてやったぞ。」

どうやらアーチャーは紅茶を取りに
わざわざ遠坂の家まで行ってきたみたいだ。

「・・美味しい。」

どうやら遠坂は紅茶によって目が覚めたらしい。


朝食が終わると襲撃前最後の作戦会議となった。

「前列は私とランサーで行く。」

この二人のタッグなんてほかのサーヴァントから見れば反則だろう。
たがそれだけでは万が一が発生しないとも限らない。


「お前は、遠距離攻撃などできんだろうからそのすぐ後ろだ。」


俺の投影した武器は手元を離れるとすぐに劣化が始まってしまう。
強力な武器を維持させるための魔力の練りこみが足りないのかもしれない。
あるいは担い手を離れることによって武器自体の存在が薄れてしまうのか。


遠坂には後ろをついてきてもらうことになった、
なにかトラップが発動したとしても十分に守れる位置ということだろう。
これは俺の戦いである以上、遠坂に怪我はさせられない。



時刻は真昼、俺たちは寺の前にいた。

「行くぞ。」

目の前には対象的な赤と青、かなりの速度で階段をかけ上がっている。
なんとか付いていけているのは日ごろの鍛錬のおかげだろう。
門の前には、あの魔剣をたずさえたアサシンがいた。


「今日は、ずいぶんと忙しい。先ほどまで別の輩と死合っていたのだがな・・・」


「引き返すのならば斬りはしない、この門を通るなら私が相手をしよう。」


アーチャーとランサーを前にしても、アサシンは平然と言い放った。

「面白れぇ、俺が相手をしてやる。」

その言葉に触発されたのかランサーがそう答えた。
アーチャーはアサシンを一瞥すると、

「ならば、任せたぞ。私は見物させてもらおう。」

一言言って背中をむけた。

アーチャーが降りてくる。その瞬間、戦いは始まっていた。

槍と剣、本来ならばリーチの違いから接近しなければ勝負にならないはず。

だがそれは拮抗していた、目で追いきれないほどの連撃を繰り出すランサー。

それをあのアサシンの剣は、完全に防ぎきっていた。


それを魔剣と呼ばずしてなんと呼ぶか、ランサーの点の攻撃に
対して、アサシンは曲の動きでそれを迎撃しているのだ。


お互いのリーチはほぼ同じ、ひたすら火花散らせるランサーとアサシン。

ランサーが速度を上げた、アサシンは涼しい顔でそれに対応する。

数瞬続いたそれはランサーの後退で幕を閉じた。

仕切りなおしか、獣じみた動きで一瞬にして後方に下がるランサー。

「てめえ、今のは・・・」

「まさか、殺気だけで感知されるとは、私もまだまだ未熟だな。」

あの苛烈な剣戟の合間にアサシンは何かをしようとしていたらしい。

目で追うことすら限界を超えようとしていた俺には、

まったく感知できなかった。

「お前は、ここで殺しておいた方がよさそうだ。」

ずいぶん遠い距離で槍を構えるランサー。

禍々しい気配と共に槍に魔力が注がれていく。

「いくぞ。」


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休日、目覚めてからそのまま書き出した三話目。この更新速度の維持は不可能っす。
次回から、すこしペースを落としてじっくりいきたいと思ってます。
ようやくバトルシーンに入れた、なぜか戦っているのは士郎でなくて
ランサーですが、アサシン対ランサーって書いてみたかったんですよね。
次回、ゲイボルクVSツバメ返し、一騎打ちが似合うやつらです。


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