風王結界 (傾:シリアスもどき


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1: シン (2004/02/21 18:59:00)[ken126 at m4cty-net.ne.jp]

戦いの雌雄は決した。

敵軍の将は我が王との一騎打ちで破れた。

だが、王も致命傷を受けており―――余命いくばくも無いのは明らかだった。

しかし、私はそんな―――いかに王とて血を流しすぎれば死ぬという―――戦場では当たり前のことを認めたくないがために、

あの湖を目指して馬を走らせていた。

無駄だということは理解していた。

湖に着く前に王は死ぬだろう。

それでも、認めたくなかったのだ。





















「もうよい。降ろせ。」

そう王が言ったのは湖からそれほど離れては居ない場所だった。

「あと少しです。お気を確かに。」

「ここでよい。降ろせ、ベディヴィエール。」

仕方なく馬を止め、王を降ろす。

「騎士ベディヴィエールに命ずる。我が腰に有る聖剣エクスカリバーを、湖の婦人の手に戻して参れ。」

「それはっ・・・」

「王の命だ。我が”騎士”ベディヴィエールよ。」

「・・・っ・・・了解しました。」

そうして王の聖剣を預かり、再び馬に跨り湖を目指した。






が、程なくして馬を反し

王の下へ帰った。

―――どうしても王の死を認めたくなかったのだ。

それが分かれ目だったのだろう。

そうして

『契約する。我が死後を捧げよう。代償として、我が命ある内に我が手に聖杯を―――」

聞くべきでないことを聞いた。




「まだ・・・戦われるのですか?」

「ああ、契約した以上死した後も戦わねばならんし、無論聖杯を手に入れるためにも戦う必要があるだろう」

気づかれていたのだろう。王は私がここに居るのを当然の如く扱った。

「もうお休みになられても宜しいのではないですか?」

あれだけ認めたくなかったことが、今はあっさり口から出た。

死んで欲しくないのは今も同じだが、安らかに逝って欲しいとも思っていたのだろう。

「まだ、ならぬ。」

「・・・っ・・・何故ですか!?貴方様は全力で国を守られた!」

「その結果がこれか?」

「ッ・・・」

「もはや世界との契約は成った。今更問答したところで無意味であるぞ。」

「・・・わかりました。しかし貴方様は有名すぎます。
その抜き身の剣を見ただけで、貴方様の正体は看破されるでしょう。そうして弱点も。
しかしながら貴方様は剣を隠すべき鞘をお持ちでない。」

「それがどうしたことだ。お前が仕えた王はそこまで弱いか。」

「いいえ。しかし正体は隠されたほうがよろしいでしょう。
だから―――――私が貴方様の仮初の鞘となる。」

『契約しよう。我が死後を捧げる。我が力の全てを持って、我が主の剣を隠せ』
















これは彼女の剣が”風王結界”と呼ばれるようになった時の話。


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