サーヴァント一家の平凡な朝の風景(M:セイバー,傾:壊れ


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1: 非国民 (2004/02/17 23:44:00)[lc23-tri at sea.plala.or.jp]




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※壊れSSです。苦手な方は今すぐ左上の戻るをクリックする事をお薦めします。
※このSSに『設定』などと言う上等な物は存在しません。
 「この設定はおかしい」と言う方は諦めてください。
※キャラが不当な扱いをされる事がありますがご了承ください。
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チチチチチ……

小鳥のさえずりが響く、ある晴れた朝。
いつもの通り、彼女は目を覚ました。

自然に光る、金の髪。
翠色に輝く大きな瞳。

名をセイバーと言う。

起きてすぐに、着替えを始める。
パジャマから私服へ着替えた後は、髪を編み上げる。

ゆったりとした動作で洗面所に行き、洗面、歯磨きを終わらせると、居間へ。

セイバーは欠伸を噛み殺し、中に入った。



サーバント一家の平凡な一日



「おはようございます」

「おう、オハヨウ」

まず最初にセイバーに話し掛けたのは、新聞を広げていた六人兄弟の四男、ランサーだった。
セイバーにとって面倒見のいい兄で、学校などでもいい兄貴分として慕われるような人格者である。

「早速だがセイバー、今日の朝飯は期待しねぇほうがいいぞ」
「……? 何故ですか?」

ランサーは顎をしゃくるようにして、台所を指し示す。
その先を見るだけで、セイバーは何か大切な物に裏切られたような気分になった。

見ると、七人兄弟の母であるキャスター(年齢不詳)が長女であるライダーと調理をしている真っ最中だった。
ランサーとは双子である三男のアーチャーが傍で(表面上は)涼しい顔で見守っている。

あ、ライダーこけた。
これで目玉焼きが一個ダメになった。

「…妹殿はよくあれで生活できる物だな」

横から出てきたのは次男のアサシン。
剣道の達人で、目下、修行中のセイバーの目標である。

外では結構女たらしだとかいう話はセイバーにも伝わってきている。

「以前、あれを貸してもらった事があります」
「ほう? どうだったのだ?」
「……盲目とはかくも恐ろしい病気だったのだと再認識しました」
「……そ、そうか」

そんな事を話している内に、調理が止まる。
どうやら終わったようだ。

「はい皆お待たせ、朝ご飯出来たわよー」
「・・・・・・・・・」

妙に嬉しそうに料理のお皿を持ってくる母。
無言で運んでくる姉。
頭でも痛いのか、額の辺りを押さえる赤い兄。

二人目まではともかく、三人目の悲痛そうな表情は最悪のパターンを連想させる。

配膳が終わり、自分に与えられた分を見る。

ご飯、みそ汁、焼き魚、目玉焼き、キャベツ。
まあ見た目は普通……よく見ると目玉焼きに埃が付いてたりする。

さっき落としたやつかよ。

「あの、お母様」
「ああ、ごめんなさい、間違えたわ」

ホッとした。
嫌がらせでやった訳じゃなく、ただ間違えただけ。(よく考えれば当り前だが)

キャスターはセイバーの目玉焼きの皿を取ると、アサシンの前に置いた。
そしてアサシンの目玉焼きの皿を取ると、セイバーの前に置く。

あまりの事にアサシン、目が点。

セイバーの前には綺麗な目玉焼き。
アサシンの前には埃まみれの目玉焼き。

「ちょ…っ、母上、これはあまりにも……」
「3丁目の美代ちゃん」

その言葉を聞き、アサシンは固まった。
辛うじて言い返そうとする。
が。

「あ……あれは」
「新市街の美穂ちゃん」

今度こそ完全に固まる。
アサシン、思わず正座。

セイバーとランサー、アーチャー、ライダーの四人は無言で目配せ。

「「「「いただきます」」」」

食べ始める。

ご飯は少し水っぽかった。
我慢して飲み下す。

「女遊びもほどほどにしないと……」

みそ汁は妙な味。

「姉さん、これ砂糖と塩……」
「…ごめんなさい……」

そんなに申し訳無さそうに謝られると何も言えなくなる。
我慢して飲み干す。

「幸子さんなんか中絶……」

目玉焼きは…うん、まあまあ普通に食べられる味。
どうしようもない物に出会った時のために残しておく。

「こんなんじゃ奥様がたになんて言われるか……」

焼き魚はお約束、半生…いや、生だった。
まだ血が滴っている。

我慢して飲み込む。
口直しに目玉焼き。

「・・・・・・・・・」

説教が止んだ。

「・・・・・・?」

目を向けると、アサシンは既にいない。
キャスターは何事も無かったかのように朝食を食べている。

「お母様、アサシン兄さんは……」
「お仕置き部屋よ」

お仕置き部屋。
セイバーは入った事は無い(正確には子供の頃一回だけあったらしい)が、
入ると、出てきた後三日ほどは死んだような目になり、突然発狂しだしたりするようになったりする。

はっきり言ってかなり恐い。

出来ればお世話にはなりたくないと言うか、一生の中で近づきたくない場所No1である。

キャベツのサラダにマヨネーズをかけて無理矢理胃に突っ込み、お茶で一服。
正直言って物足りないが、そんな事を言ったら同じ物をもう一度出されかねない。

それは流石に御免こうむりたいのでお茶を飲みながら黙る。

『■■■■■■■■ーーーーー!!』

どこかで何かが叫ぶような音が聞こえた。ような気がした。

「なあババ」

何か言おうとした兄、ランサー。
彼はいつの間にかいなくなっている。

「お母様、ランサー兄さんは……」
「お仕置き部屋よ」

先ほどまで黙っていたアーチャーが口を開く。

「なあ母さん、さっきの声って父さ」
「気のせいよ。忘れなさい」
「……分かった」



お茶を飲み終え、ぼうっと時計を見る。
今日は日曜日。10時に友人以上恋人未満である士郎と新市街の広場で待ち合わせ。

時計は9時を指していた。
ここから新市街まで歩いて50分、急ぎ足で30分程度。もうそろそろいい時間帯だ。

腰を上げる。

「あの、ちょっと出かけてきます」
「ええ、坊やによろしくね。
 なんなら泊まりでもいいわよ」
「なな、何を…!
 ベ、別に私達はそんな関係じゃありません!」

顔が火照る。
実際、まだ告白もしていないし、されてもいない。

まあ意識はしているわけで、もしそういう事になったら、とか…

「そうだ! セイバーは我の物なのだからな!」

どこからか響く声。
途端にやる気が失せる。

ちゃぶ台がひっくり返った。
あと畳も。

畳の下からお茶にまみれて生えてきたのは、金の髪に赤い瞳。
名をギルガメッシュと言う漢。
一言で言うとセイバーのストーカーで、士郎の家の居候である。

ギルガメッシュはセイバーににじり寄り、迫る。

来るなよ。お茶くせぇんだよ。

「あんな雑種などにセイバーをやれるか!」
「畳……湯のみ……」

ギルガメッシュが消えた。
見ると、湯飲みの欠片をキャスターが箒とちり取りで集めている。

無駄な事だとは思うが、聞いてみる。

「お母様、ギルガメッシュは……」
「お仕置き部屋よ。
 人の家の物を壊した責任は取って貰わないとね」
「……行ってきます」
「行ってらっしゃーい」

妙に嬉しそうな笑顔のキャスターに見送られる。
なんだかひどくローテンションだけど出発。

待ち合わせ場所までの道の途中、白い女の子と遊ぶ父の姿を見た。ような気がした。

『■■■■■■■■ーーー!!』

気のせい気のせい。……多分。




続く(続かない)

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あとがき
どうもはじめまして、非国民と申す者です。
壊れSS初挑戦…と言うかTYPE−MOON作品のSS書くのも初挑戦ですが、よろしくお願いします。

まず先に謝っておきます。

「小次郎様はこんなキャラじゃないよー」という方。
「キャスターはこんなんじゃねぇよ」という方。

申し訳ありませんでした(平謝り
意外に使い易かったもので、つい…

ここまで読んでくださって、有り難うございました。
また、何か書きたくなったら書きに来ますので。

では、また会う日を夢見て……
                              非国民でした


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