ある日の正午前
「ギルガメッシュ。昼飯を食べに逝くぞ。」
「ほう、我様も多少腹が減ったところだ。いいだろう。」
言峰が我様を食事に誘うとは珍しい。興味を覚えた我様は誘いに乗ることにした。
そうして着いたのは商店街唯一の中華飯店、紅洲宴歳館、泰山。
「ついたぞ。ここは私の行きつけの店だ」
窓ガラスは擦ガラスになっており締め切っているので中の様子が全くわからず開いてるかどうかもわからない。一言で例えるなら”怪しい店”だった。
「この店窓を締め切ってるではないか。 本当に開いているのか?」
「大丈夫だ。この店はいつもこんな感じでな。これでも開いているぞ。」
全く問題ないといった感じで言峰は店に入って行った。
まあ開いているのなら入るべきだな。我様も後を追って店に入った。
「いらっしゃいアル〜」
店に入った我たちを迎えたのは変な語尾をつけて喋る怪しい雑種だった。
おい! いきなり怪しい雑種だぞ大丈夫なのか?
「うむ、親父いつもの奴、三つ頼む。」
「アイヨ! 了解したアル。」
我様の意見も聞かずいきなり注文する言峰。そういえば言峰は行きつけの店とかいっていたな。お勧めの料理を我様の分も注文したのだろうか?
だが三つとはどういうことだ?
よく見ればこの店、我様たち以外に客がいないではないか。昼時といえば普通は客でにぎわっているはずであろう。
流石の我もこの雰囲気に少し不安になってきたではないか。 ええい!
「おい言峰。この店はなぜ、この時間帯にも関わらず客がいないのだ?」
「ふむ? さあな。 私は特に気にしてなかったので気づかなかったが・・・。そういえば今日は空いているな。それはともかく、ここの料理は絶品だぞギルガメッシュ。 食べてみればわかるだろう。」
「ふんっ こんなちっぽけな店で世界の王たる我様を満足させるようなモノが出るとは思えんがな。」
我の疑問は完全には解消されなかったが、言峰はここの料理が美味いと言いたいことだけは良くわかった。
「言峰さん、お待ちどうアルよ お兄さんの方はもう少し待ってアルね」
先ほどの怪しい雑種がテーブルに料理が運んできた。だがソレは見た目にも鮮やかな真紅だった。これが料理といえるのだろうか?
言峰はおもむろに蓮華を持つと無言で目の前のソレを食べ始めた。
「・・・・・・」
カチャカチャと蓮華と皿のこすれる音だけがあたりに響く。
「・・ハフハフッ」
一言も喋らず只々ひたすら食べる。
よほど食べるのに夢中なのだろう。我様の視線すら気にすることなく一心不乱にソレを食べている。
「フゥフゥ ホフッ」
手は一切よどみなく動きつづけソレを口へと運んでいく。まるで無我夢中で食べる餓鬼のようだ。我様は一つのことにこんなにも夢中になる言峰を見るのは初めてだった。奴に召喚されて10年にもなるが、こんな一面を持っていたとは気づかなかった。それほどこの料理は美味いのだろうか?
普段見ない言峰の一面を発見した驚きとともに、あの真紅の料理に対して興味を持つようになっていった。言峰があれほどの食べッぷりを見せるほどだ。美味いに違いない。夢中になって食べている言峰を横目で眺めつつ、未だ来ぬ料理に対する期待が高まっていった。
「・・・・・・」
まだ来ないのか! この我様を待たせるとはいい度胸をしている!
数分経ったがまだ我様の分はまだ運ばれてこなかった。既に言峰のソレは大半が食べ終えており、あと3口も食べれば完食といった感じだ。
流石に我様も食べたくていらいらしてきた。基本的に俺様は食い物と女に関しては我慢するのが大嫌いなのだ。目の前の言峰に向かって殺気を飛ばすが、奴は我様のことなど既に目に入っておらずひたすらソレを食べていた。
「フゥ〜」
満足げに息を吐き何も残っていない皿に蓮華を置いた言峰は水の入ったコップを口に運びながら俺の方へ視線を向けてきた。
「・・まだおまえの分は来てなかったのか?」
さも気づかなかった風に言峰は我様に言ってのけた。
寛大な我様も流石にその発言は頭に来てしまった。
「ああ!なぜ貴様が先に食べて我様が貴様の後で食べねばならんのだ!?」
我様も怒りを抑えることができずついきつく言ってしまった。
我様が怒っているというのに奴は顔色ひとつ変えずカウンター向こうの厨房の方に顔を向けて
「親父 すまんが早めに頼む。どうやらこいつも待ちくたびれているようだ。」
我様を唖然とさせる発言をしおった。
「なっ! なぜ俺様があんな雑種の作った料理なんぞを待ちわびねばならんのだ!」
そこらの雑種の作った料理を待ちわびるなんぞ俺様のプライドがゆるさん。
「では、先ほどはなぜあんな発言をしたのだ? 早く食べたかったのではないのか?」
くっ、痛いところをついてくる。
「ふんっ 王たる我様は普通おまえ達より先に食べるのが当たり前だろう。その考えを言ったまでだ。」
我様的考えを奴に言ってやると奴はなるほどと納得してしまった。
「すまなかったな。私はここの料理には目がなくてな一度食べだすと用がない限り周りが目にはいらないのだ。私は何時も二つ食べることにしている。だから先に一つ食べてもいいだろうと考えたのだが。考えが足りなかったようだ。」
謝られてしまった。
「まあいい。では我様の分をさっさと持ってこさせるがいい。」
詫びということで我様は料理を急がせるよう促すことにした。これですぐに我様のところに料理が運ばれてくるだろう。
言峰が怪しい雑種に急ぐように伝えて数分・・・
「いや〜 お待たせしてすまなかったアルね。 その代わりに腕によりをかけたアルよ。」
やっと我様のもとに真紅のソレが運ばれてきた。
見た目はアレだが先ほどの言峰の奴の態度と食べっぷりからみて美味いに違いない。
思わず笑みを浮かべながら俺様は蓮華を取りソレを口に運んだ。
口に入れた瞬間俺様の脳に電撃が駆け巡るような衝撃が走った。
始まりの刑罰は5種、生命刑、身体刑、名誉刑、財産刑、
様々な罪と泥と闇と悪意が回り周り続ける刑罰を与えよ
『断首、追放、去勢により人権排除』『名誉栄誉を没収する群体総意による抹殺』
『資産財産とを凍結する我欲と総決による嘲笑』
死刑懲役禁固拘留罰金科料、私怨による罪、私欲による罪、
無意識を被る罪、自意識を謳う罪、
内乱、勧誘、窃盗、強盗、誘拐、自傷、強姦、放火、爆破、侵害
過失致死、集団暴力、業務致死、
辛い辛い辛い
過失致死、集団暴力、業務致死、
過信による事故、誤診による事故、隠蔽。
益を得る為に犯す。己を得る為に犯す。愛を得る為に犯す。
特を得る為に犯す。自分の為に■す。
窃盗罪横領罪詐欺罪隠蔽罪殺人罪器物犯罪犯罪犯罪
私怨による攻撃攻撃攻撃攻撃汚い汚い汚い汚い
桜は汚い償え償え償え償え償えあらゆる暴力あらゆる罪状
あらゆる被害者から償え償え『この世は、人でない人に支配されている』
罪を正すための良心を知れ罪を正す為の刑罰を知れ。
辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い
人の良性は此処にあり、余りにも多く有り触れるが故にその総量に気付かない。罪を隠す為の暴力を知れ。罪を隠す為の権力を知れ。
人の悪性は此処にあり、余りにも少なく在り辛いが故に、その存在が浮き彫りになる。百の良性と一の悪性。バランスをとる為に悪性は強く輝き有象無象の両親と拮抗する為強大で凶悪な『悪』として君臨する。始まりの刑罰は五に■す自分の為に■す自分の為に■す自分の為に■す自分の為に■す自分の為に■す自分の為に■す自分の為に■す自分の為に■す自分の為に■す自分の為に■す自分の為に■す自分の為に■す自分の為に■す自分の為に■す自分の為に■す自分の為に■す自分の為に■す勧誘、詐称、窃盗、強盗、誘拐、自傷、強姦、放火、侵害、汚い汚い汚い汚いおまえは汚い償え償え償え償え償えあらゆる暴力からあらゆる罪状から被害者から償え償え『死んで』償え!!!!!!
辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い
なっ 何だ今脳裏を突き抜けていった感覚は・・・。
まるで聖杯の中の泥を浴びたときのようではないか。
「っ おい 言峰 これは一体・・・!?」
我様はすでに意識が飛びそうだがなんとか言葉を伝えた。
言峰は見せたこともないにっこりとした慈愛の笑みを浮かべて
「どうだ、美味いだろう。」
この瞬間我様は悟った。
こいつの味覚絶対にはおかしいと。
耐えることを止めた我様は意識を手放した。
...
..
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DEAD END
ダイガー道場へ逝きますか?
ごめんなさい逝けません。