空の月6


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1: うり坊 (2004/02/04 22:01:00)

14、
シエルは一人、森の中を歩いている。
と突然、闇から何かが飛んできた。
それはまっすぐにシエルの心臓を目掛けて来た。
「ハッ!」
シエルは飛んできたモノを黒鍵で叩き落す。
と闇から14・5歳ぐらいの少年が姿を現した。
髪は水色
「子供!?」
シエルは驚く。
「失礼だな!これでも君より年上だよ?」
「見た目が子供でも騙されてはいけないわけですか・・・」
「子供、子供て失礼だな!僕にはちゃんと雹鬼という名前があるだよ。」
「・・・・・」
何も答えない・・・・
答えている隙に命がないかもしれない・・・
相手はそれ程の実力を有している。
「・・・そろそろ始めようか?」
喋り終わると手から水が出てきた。それはまるで意思があるかのように蠢き何か形を作り始めた。
「斧?」
「いいでしょう?」
自慢しながら言うがその斧はシエルの身長の倍はあるかも知れないほどの長さ、刃は一振りで大木なんて簡単に斬れてしまう大きさだ。
「そんな大型の武器で!」
大型の武器はスキが出来やすい。
そのスキを狙えば簡単なことだ。
「じゃあ・・・・試してみようか?」
ニヤリと笑った瞬間、少年は消えた。
ザン
巨大な斧が地面を割る。
「くっ!」
何とか避けれたが法衣の一部が切れる。
「凄いね・・・・けど、いつまで避けられるかな?」
少年は巨大な斧をいとも簡単に持ちながら間合いを詰め寄る。
「ハアッ!」
黒鍵を3本投げる。
「甘い!!この程度の武器で何が出来る!」
投げられた黒鍵は全て斧で叩き落された。
「それなら!」
更に3本投げる。
今度は火葬式典
「効かない!火が水に勝てると思うのか!?」
さっきと同じように叩き落され全て地面に刺さる。
「これでどうです!」
と1本の黒鍵が少年の目の前に刺さる。
次の瞬間、少年の回りに刺さっている黒鍵がバチッと音を立てながら光る。
そして、それは電撃に変わり少年を襲う。
「ぐっ!雷撃だと!?」
「どうです、雷葬式典のお味は?」
「ふっ・・・少しピリッとしただけだよ。今度はこちらの番だ・・・・」
斧の形状が変わる。
それは斧から段々と細くなり、やがては『槍』・・・いや、それは単に先が鋭くなっており『槍』とは呼ぶにはあまりにも不恰好な代物だ。
「いくよ・・・」
タン、と左足を前に踏み込む。
次の瞬間、シエルの体が後方に吹き飛ぶ
「くっ・・・・」
体は後方にある木に当たる。
今のは雹鬼が『槍』をシエルに正面から突き出した。それは神速とも呼べる速さだ。
だがシエルは咄嗟に両手に持っている6本の黒鍵で防御するが黒鍵はモノの見事に砕け散った。しかし、それで『槍』の攻撃力は落ち、体に穴が開くという結果だけは避けれた。
「ふ〜ん・・・今の一撃で即死だと思ったんだけどな?なかなかの腕だね。次は・・・」
「はああああっ!」
シエルは雹鬼の言葉を聞かず、すぐに立ち上がり法衣の中に仕舞っている黒鍵をひたすら投げた。
黒鍵の数は初めに投げた比にもならない数を投げつける。シエルは機関銃のごとく投げつける。
が、雹鬼は避けようともせずにそのスベテを『槍』で落とした。
それは一点の無駄の無い防御
そしてシエルの黒鍵がなくなる。
「もう終わり?じゃあ今度はこちらの番だね?」
と『槍』が収縮されていく、そして雹鬼の手に野球ボールぐらいの水球が出きた。
そして、それを投げた。
シエルはとっさにその場か跳躍して避ける。
そのまま闇に身を潜めた。
「なっ!?」
シエルは先程までいた場所に驚く。
後ろに覆い茂っていた木々が一発の水球によってなぎ倒されていた。
「よく避けたね・・・・ボクの水虎弾から・・・・けど今度は絶対に避けられない技でいくよ・・・」
少年の回りが水びだしになる。
そして殺気・・・・恐ろしく冷たい殺気がビシビシ体に伝わる。
「くっ!?」
避けられない・・・・そう確信してガードをするが・・・
「構えても、無駄だよ・・・いけ、大蛇よ・・・・・」
いくつかの蛇の形をした水がシエルに襲う・・・避けても追いかけてくる・・・・首を絡めようと動くが無駄なことだそれは水だから・・・
そして・・・
1匹は手を・・・・1匹は足を・・・・1匹は胴体を・・・1匹は顔を・・・・喰った。
バキリと砕かれる音、柔らかいニクも音、飛び散る紅い液体、死のニオイ
「あははははっ!!!所詮はこの程度か?」
笑う・・・・・勝利の歓喜、だが・・・・
「それは如何ですかね?」
不意に後ろから声が聞こえた・・・
「何!?」
後ろを振り向く。
「まだ終わっていませんよ?」
そこに大蛇に喰われたはずのシエルがいた。
「何故だ!?幻術?いや、僕には効かないはずだ!?それに確かに手応えがあったはずだ!」
「それもそうでしょう・・・あれは人形ですから。」
と散乱した死体に指をさす。
「なんだと!?」
「貴方が先ほど水虎弾とやらを撃ったときに入れ替わったのですから。」
「くっ!お、大蛇!!」
再び水の蛇が襲う・・・・今度は跡形も無く喰った・・・
「ハズレ・・・それも人形・・・」
今度は耳元・・・・
「うっ!?」
ドン!
シエルの第七聖典が打ち込まれる。
だが・・・・
「こっちだよ。」
声が聞こえる。
「なっ!」
さっき打ったはずの少年が木にいる。しかもピンピンしている。
自分が打ったものを確かめる、確かに少年に打ち込まれている。その時、打ち込まれている少年の顔がグニャリと歪みそしてそれはパシャと音を立てながら水になる。フェイクだ。
ドスッ!
「くはっ!」
水の矢が両肩に刺さる。
これでは肩はしばらく使い物にならない。つまり武器を持つことは出来ない。
そして石に躓きそのまま地面に倒れる。
「もう一個、人形を用意しておくべきだったね?」
クスクス笑いながらシエルに歩み寄る。
「確かに・・・」
「面白かったよ・・・・・じゃあサヨナラだ。」
シエルの喉に水の刃を突きつける。後は簡単・・・・少し押せばいいのだから。
もう間違いなくシエルの負け・・・・しかし・・・・・・・
ビューン!
と突然、巨大な『光』が遮る物を消滅させがら一瞬で通り過ぎた。
「なんだ!今の光は!?」
とっさに避けたが右腕が『光』に当たり消滅した。
「はっ!そうだあの女は!?」
辺りを見るが抉れた大地しかなく、『光』によって消えたのか、それとも・・・・・・・
トスッ・・・・・・
「あれ?」
自分の胸を見る。そこには黒鍵が刺さっていた。
「な・んで・・・・カハッ!」
口から血から出る。
心臓を一突きされてもなおも喋る。
「終わりです・・・・」
と後ろで口に黒鍵を銜えながらシエルは言う。
「そ・・・・う・・・か・・・・まだ・・・・そ・の・・・・口が・・・・・・あったん・・・だね」
まるでゲームに負けた少年のような口調
「けど・・・・ま・だ・・・終わりじゃない・・・貴女も・・・・・」
と言い終わるとそのまま地面に倒れて動かなくなった。
「これは!?」
少年が倒れた場所から徐々に水が流れてくる。
『終わりじゃない・・・』少年が最後に言い残した言葉の意味に気がつき急いで逃げる。
少年は死してなお最後の攻撃・・・自爆、その威力が分からない以上どこまで逃げて良いのか分からない。
それに傷ついた体では遠くまで逃げることが出来ない。
「くっ!間に合うかどうか!」
森の中を全力で走る。
少年の回りはもう水びだし・・・・その水の範囲はおよそ30m
と水の表面が動いた。
それは生きているかのように動き先程シエルに見せた大蛇が出来た。
けどその数は比べ物にならない程の数が形成された。
ガサリと何かが動いた瞬間、それは『動いた』。
目に見える物、木や草、昆虫、小動物それら全てがなぎ倒された。
およそ10分後、半径2キロは残骸しか残っていなかった。
大蛇は術の効果が切れて水に戻った。
と地面がごそごそと動く。
「ぷはー!死ぬかと思いました。」
土だらけになった法衣を掃いながら出てきた。
「これは、酷いですね・・・・・」
辺りを見回しても木の残骸しかない。
「まさか埋葬式典で助かるなんて・・・」
逃げられないのなら隠れるまで、そう考えたシエルは埋葬式典で自分を地中に埋めた。 
もともと対死徒用の攻撃にシエルが独自で開発したがまさかこんな時に役立つなんて思っても見なかった。
「・・・・・・・・・・」
なにやら様子がおかしい、すると・・・・・
ドサッ!
地面に倒れる音がした。
この場に誰かがいたら死んだのかと思うけど・・・・
「く〜〜〜く〜〜〜〜」
あまりの戦闘で体力を回復させるために体が強制的に眠りについたのである。
「マスター!こんなところで寝たら風邪を引きますよ!」
と第七聖典から声が聞こえたのは無視しよう・・・・・


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