ロリコン疑惑


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1: アラヤ式 (2004/01/31 01:21:00)[mokuseinozio at hotmail.com]

「あんたロリコンだろ?」

( ゜Д゜)ハァ?

いきなりのことに、俺は某巨大掲示板共通言語を使ってしまった。

とある酒場での珍事。

俺は飲み仲間の姐さんことスミレに、いきなり幼女趣味の宣告をいいわたされた。

しかも姐さんのハスキーボイスは、よく周りにとおるもんだから、

酒屋のおやじたちが、俺のことを触れてはならぬ目でみやがる、これまた居心地悪い。

「ちょっと待て。 そりゃどういう……」

「だってあんたってば、あのアルトちゃんに手ぇ出したじゃん。
 前から鬼畜だとは思っていたけどさ、
 あのヴラドの領域までいっちゃうと、さすがのあたしもひくぞ」

「ちがうわボケー!!」

テーブルをひっくり返して俺はきれた。

いい加減にしろ、そんな暴行だの陵辱だのを連想させる台詞を吐かれつづけたら、

この世に俺の居場所がなくなってしまう。

たしかにオフィシャル設定ではアルトルージュと恋人になる(?)のかもしれんが、

この話はただの二次創作に過ぎんだろうがー!って何言っているんだ俺は……。

しばらく俺は呼吸をととのえたあと、何事もないようにビールをあおる半魚女に、

自分がいかに正常な性癖の持ち主であるか、事細かに説明を開始する。

「いいか姐さん。
 たしかに、俺がアルトと一線超えちまったのは認めるよ。
 だがな、あれから向こうからは何の音沙汰もねえし、
 あくまでほんとにまじで合意の上だったんだからな!」

「そうかそうか。
 アルトちゃん何もいえなくなるくらい辛くて痛かったんだね、初めてなのに。
 あんた獣だからさ、ベッドの上だと理性なんてかっ飛んで特大ホームランだったろ?」

「ちょっと待てやー!!」

俺は再びテーブルを持ち上げて投げ飛ばそうとした。

いや、だめだ。

この酔いどれ女のペースに乗せられるな。乗せられたら負けだ。

俺はテーブルを元通りの位置に直し、こぼれたビールを掃除すると正座になる。

攻める方向を変えよう。

「姐さん、俺はアルトには手を出したが、ロリコンじゃねえだろ」

俺は真剣、一切ギャグぬきの態度でのぞんだ。

「……あたまでも打ったのか? いい精神病棟なら紹介するぞ」

「俺は正常だ」

さすがに絶句してスミレ、ここまでは計算どおりだ。

「いいか姐さん、世の中には七十の爺と十歳の女が結婚した事例もある。
 ましてやアルトルージュは実質何世紀も生きているんだぜ?
 俺は実年齢100もいってねえ。
 ロリコンてのは筋違いな上にお門違いなんじゃねえのか?」

どうだ。

久しぶりの理屈攻撃、これ以上はないだろ。

「……ふーん」

スミレは空になったグラスをみつめながら、考えにふけっているようだ。

よし、勝った。

これでこの話は終わりだ。余計な噂は広がるまえに禍根を絶つにかぎる。

「わかった。 あんたは見た目が若かったら手をだす種付けマシーンなんだね」

「首しめるぞクソアマー!!」

本日三回目の空中浮遊をみせたテーブルは。足とかが折れてそろそろ限界っぽい。

俺は体内の酸素を使いはたし疲れきっていた。

「かんちがいしないでよ。
 あたしは別になにもロリコンが悪いっていってるわけじゃないぞ」

「まだいうかこのアマ……」

「ただ最近多くない?
 魔法使いの爺さんはロリモードのアルクちゃんにハァハァしてたらしいし、
 オーテンロッゼもアルトちゃん嫌いなふりして実は萌えてるわけだ。
 シュトラウトも実はむっつりでアルトちゃん萌えだし、
 いや、もうなんつうか、男どもは揃いも揃っていい趣味してるね〜」

スミレは散々いいたい放題、戦争でもふっかけてるとしかおもえない発言を繰り返す。

こめかみのあたりが痛くなってきた。

「姐さん帰るぞ」

「え〜? まだ全然あおってないじゃん。 付き合いわりいな〜」

「誰のせいだ、たく」

だって酒屋の親父とかが、あきらかに早く帰ってくれオーラを醸し出しているんだ。

俺は急いでコートを羽織り、領収書を手に取った。

紙面におどる金額がえらいことになっていた。この短時間で瓶十五本も開けたのか。

眠りこけているスミレにちょっと殺意がわいた。

俺はスミレを肩から担ぎ、居酒屋をあとにする。

暖房の効いていた店を一歩出ると、夜風が肌につきささる。

冬ももうすぐ寒さのピークをむかえているようだ。

「エンハウンス〜」

「なんだよ。 まだ咎めたりないのか?」

「女が体を許すってことはね、そいつに人生託したってことだぞ。
 あんたはそれを受け入れた。
 その意味、履き違えるんじゃないよ」

スミレはそれっきり、人の背中で寝息を立てはじめる。

俺は姐さんがのこした台詞に釈然としない思いをかかえながら、今夜の家路へと急いだ。


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