夜の一族 改


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1: ぐまー (2004/01/15 19:38:00)[moonprincess_type_moon at yahoo.co.jp]




「誰だ!」

そう言って八雲がクナイが飛んできた方を睨む。
だが見る見るうちに八雲の顔が青ざめていく。
ゆっくりと体をそっちに向ける。
そこに立っていたのは一人の女性だった。
和服の上に白と青の羽織のような物を纏っている。
髪は腰まで伸びていて、顔立ちもハッキリしている。
一言で言うなら美人だ。
その相手を前にして先ほどまで殺気を放ちながら戦っていた八雲の面影はない。

「どういうことかしら? 貴方の仕事は七夜志貴への忠告と伝達のはずよ。 それとも指令の内容を覚えていなかったのかしら?」

目の前の女性は先ほどの八雲とは比べ物にならないほどの殺気を発している。

「い、いや。 こ、これには訳があるんだ。 七夜の実力を試しておこうと思って・・・・・・」

「そう。 そのついでに志貴を亡き者にしようと考えていたわけね? なんなら今ここで貴方を亡き者にしてあげましょうか?」

「い、いや。 だから、その、・・・・・・つまり。 俺には全くそんな気はない。 ただ七夜の実力を知っておこうかと思って・・・・・・」

「そう。 つまり貴方は私が下した指令より、自分の楽しみを優先するというのね。 もういいわ。 先に戻ってなさい。」

その言葉には有無を言わさぬ雰囲気があり、実際八雲は黙って闇に消えていった。

「さてと。 お久しぶりね、兄さん。」

目の前の女性は先ほどまでの雰囲気が嘘のような、穏やかな雰囲気でそう言った。

「っえ? ・・・・・・・・・えぇぇぇぇぇぇ。 に、兄さん? 今兄さんって言った?」

「 !? ひっ、酷い! 私のこと忘れたの? ずっと守ってくれるって言ったくせに。 それとももう私のことなんかどうでも良くなったわけ?」

「い、いやそうじゃなくて、あのな・・・・・・」

何時の間にやらその女性は目の前に移動してきていた。
そしてお互いの顔が引っ付きそうなくらい近づいて泣きそうな顔でそんなことを言ってくるのは反則だ。

「その・・・・・・つまり・・・・・・君は誰?」

「なっ、・・・・・・やっぱり私のことなんてどうでも良くなったのね。 兄さんの嘘つき!」

「いや、あのな。 まず落ち着いて俺の話を聞いてくれ。 俺は九年前に遠野槙久に暗示を掛けられて九年前より以前の記憶がないんだ。 でも最近少しずつだけど思い出してきてるんだけど全部を思い出したわけじゃないから、・・・・・・」

「・・・・・・・・・そう・・・だったの・・・・・・。 御免なさい兄さん、取り乱して。 それじゃあ仕方ないわよね。 私は・・・貴方の妹の七夜雪之よ。 七夜の一族の生き残りで確認されているのは私と兄さんだけよ。」

「確認されている? どういう意味だ。 それに遠野槙久は七夜の一族は俺以外皆殺しにしたっていってたぞ。」

「それはあいつらがあの森にいた人間を兄さんを除いて皆殺しにしただけの話よ。 あの日七夜の森を離れていた者も何人かいるのよ。 でも七夜の本家で生存が確認されたのは私だけだったは。 何人かは遺体が見つからなかったのよ。 だからもしかしたらまだどこかで生きているんじゃないか?って言う意味で確認されているのはって言ったのよ。」

「なあ雪之、俺の家族って他に誰かいたのか?」

「弟で志由って言う子がいたは。 なかなか私たちには懐いてくれなくていつも部屋の中に引きこもっていたけど。 あとは父様と母様だけよ。」

「志由の遺体は発見されたのか?」

「いいえ、あの子の遺体はあの場所からは発見されなかったは。」

「そうか・・・・・・・・・・・・・・・。」

親父が死んだのは知っている。
レンが一度夢で見せてくれた。
母親は確かあの紅い鬼から俺をかばって死んだはずだ。
つまり雪之の家族で所在が確認されているのは俺だけか。
ということは・・・・・・

「そんなことより兄さん。 これからはまた一緒に暮らしてくれるんでしょう?」

やっぱりそう来たか。
まあ雪之にしてみれば今まで一人で暮らしてきたわけだし当たり前といえば当たり前か。
しかし雪之と一緒に暮らすということは遠野の屋敷を出るか雪之を遠野の屋敷に住ませるかのどちらかになる。
まず間違いなく後者は秋葉が黙って頷きはしないだろう。
翡翠や琥珀さんは反対はしないだろう。
けど心中はどうだかわからない。
やっと手に入れた平穏を思いもよらぬ所から表れた実の妹に壊されたのではたまったものではないだろう。
けど雪之を一人にするわけにもいかない。
ああ、どうすればいいんだ。
そうだ。
まずこういう時は落ち着いて、よく考えることだ。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
ダメだ。
全く何も解決策が思いつかない。

「あら兄さん。 外が騒がしいと思ってきてみれば、そちらの人は一体誰ですか? もちろん紹介していただけますよね。」

「兄さん? 貴女私の兄さんの何なの? 赤の他人に私の兄さんに対して兄さんと馴れ馴れしく呼ぶのはどうかと思うのですが?」

さ、最悪だ。
よりにもよって秋葉がこの場に来るとは。
おまけに雪之は堂々と秋葉に喧嘩を売ってるし。
秋葉は秋葉で髪を赤く染めて不敵な笑みを浮かべてこっちをみてるし。

「ああ、・・・とりあえず二人とも落ち着いて。 まず話し・・・・・・」

「「兄さんは黙っていてください。」」

もうダメだ。
二人ともすでに戦闘態勢に入っている。
くそ、何とかして止めないと。

「いいから二人とも話を聞けってば。 どうしても聞かないって言うなら力づくで大人しくさせるぞ。」

どうだ?
二人とも思いとどまってくれたか?
もし二人とも思いとどまってくれなかった場合、俺一人でこの二人を止めるのは無理だろう。
さっきの八雲を殺気だけで圧倒できる所から見て、雪之の実力は俺と同等だろう。
それなのに秋葉が向こうに加勢するとあっては全く勝ち目がない。

「わかりました。 兄さんがそこまで言うなら話を聞きましょう。 まあもっともそこにいる泥棒猫はどうだか知らないけど。」

「なっ、誰が泥棒猫ですか。 貴女こそ突然現れて私の兄さんを勝手に兄さんなどと馴れ馴れしく呼ばないでください。」

「ああもう、ふたりともやめやめ。 全く俺の話を聞いてないじゃないか。 ともかく話を聞くのか聞かないのかハッキリしてくれ。」

「「だから聞くといっているでしょう!」」

はぁ〜。
どうしてここまで息が合うんだろう。
この二人に事情を説明するのはとてつもなく難しく思えてきた。

「わかった。 それじゃあ秋葉、居間に上げるけどいいな?」

「兄さんがそうするというなら・・・」

雪之は何か言いたげだったがとりあえず俺が小さく「頼むから争い事はやめてくれ」といったので思いとどまってくれた。
居間について雪之と秋葉を向かい合わせに座らせその間に座った。

「さて、まず何から話そうか?」

「「決まってます。 この女は誰ですか?」」

「ああ、・・・・・・・・・まず秋葉。 俺の実の妹の七夜雪之だ。 で雪之、俺の妹の遠野秋葉だ。」

「 !? 七夜ですって?」

「ふーん。 貴女が遠野秋葉さん。 貴女のことは伺っておりますわよ。 遠野家の現当主、七夜志貴の慢性貧血持ちの原因を作った遠野四季の実の妹。 そしてその原因を作った時死ぬはずだった七夜志貴を助けたのも貴方ね。 そしてその後反転した遠野四季はつい最近まで生きていたが一年前に兄さんの手によって抹殺されている。 ・・・・・・・・・どこか間違っていた所、あったかしら?」

「貴女、なぜそこまで知っているの?」

「あら、退魔七頭目の長ですもの。 それくらいの情報はいやでも耳に入るのよ。 まあもっとも、この件は私も情報収集をしていたからことの詳細まで知ってますけどね。」

「・・・・・・それで、退魔七頭目の長、七夜雪之さん。 貴女は何をしに来たの?」

「決まっているでしょう? 兄さんを連れ戻すためよ。 今までは兄さんの命が安定していなかったため無理に連れ戻せば兄さんの体に負担を掛けてしまうから黙っていたけど、兄さんの命が安定した今その必要もなくなったわ。 それにここにいたら兄さんを危険にさらすことになるし。」

「それはどういう意味ですか?」

「暗夜の生き残りがここを、というより遠野の者を狙っているからよ。」

「暗夜?」

「あら、知らないの?」

「そのような名は聞いた事もありません。」

「ふふっ。 そう、それなら教えてあげる。 暗夜というのは退魔七頭目の元となった一族よ。 正しく言うなら暗夜と明朝の両族によって作られたものだけど、今から十二年前、暗夜の家は滅びたわ。 原因は未だ不明。 唯一知っているのが今言った暗夜の生き残りというわけよ。 まあ兄さんは八雲から大方聞いているとは思うけど。」

「それで、雪之。 その暗夜って奴の実力はどれくらいなんだ?」

「そうね、少なくとも七頭目全員で行かなきゃ勝てる相手ではないわね。」

「なっ! 七対一でなきゃ勝てない相手なのか?」

「七人全員でなら勝てる見込みは高いというだけで、絶対ではないわ。 まあ一対一なら確実に勝てないわ。」

「・・・・・・・・・・・・そうか。 ・・・・・・・・・それと、もう一つの明朝っていう家はどうなったんだ?」

「明朝の家はいまだ健在よ。 そして七頭目を影から支えてくれいるわ。 そうね、明朝の力を借りれば三対一ぐらいでも勝てるかもしれないわ。 ただ暗夜の能力はいまだ不透明だから、確実にとは言い切れませんが。」

「それで、なぜその暗夜の生き残りが遠野を殺しに来るのかしら?」

「さあ、それは暗夜の生き残りに聞いてちょうだい。 まあ暗夜の家も退魔を生業としてきたんだし、その使命をまっとうしようとしているとも考えられるけど・・・・・・。」

「なあ、雪之。 ・・・・・・頼みがあるんだけど。」

「なに、兄さん。 兄さんの頼みなら全部聞いちゃう。」

「・・・・・・・・・秋葉を守るために力を貸して欲しい。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なぜですか?」

あっ、ちょっと怒ったかな?

「別に雪之が大切じゃないって言ってるわけじゃないけど、俺にとっては秋葉も大事な妹なんだ。」

「ちょっと兄さん。 どういう意味ですか?」

「言ったままの意味だよ。 俺だけじゃお前を守りきる自信がない。 聞いただろ? 七頭目で一対一なら勝てないって。」

「だからって何も。 そんな人の力を借りなくても。 逃げればいいじゃないですか。」

「逃げる? 誰から? 暗夜から逃げ切る? そんなことができるならまだこの世界には魔が闊歩しているわよ。 暗夜とは魔にとって恐怖の象徴。 一度狙われたら逃げ切れないからあらゆる魔から怖れられた。 暗夜の名が裏世界でも知れ渡らないのは暗夜の名を知った者は誰一人として生きて帰れなかったから。 そんな化け物相手に逃げ切る? できるものならやってみなさい。」

「そ、そんなにすごい奴なのか。」

「暗夜の力は正に人知を超えていたと聞きます。」

「明朝の家も暗夜みたいに恐れられたのか?」

「明朝は退魔の方法が暗夜とは全く異なります。 暗夜は相手を殺しますが、明朝は法力、いわゆる魔術で相手を封印してましたから。 暗夜ほどは恐れられてはいません。」

「どうして?」

「そもそも暗夜は相手を狩るときは大抵相手に気付かれずに忍び寄り、例え相手が気付いても手遅れの状態で相手を殺します。 いわゆる暗殺です。 それゆえに怖れられていましたが、明朝は法力を用いて相手を活動停止、または封印するだけで殺しはしませんでしたのでそれほど怖れられてはいませんでした。」

「ふーん。 ・・・・・・それで、雪之、力を貸してくれないか?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・わかりました。 他ならぬ兄さんの頼みごとですもの。」

「ありがとう、雪之。」

「聞いてもいいかしら。」

「何?」

「私を守るといったけど、具体的にどうするの?」

「貴女ここから放れる気はある?」

「どういう意味?」

「言ったままの意味よ。 ここからもっと安全な場所に移動してそこで暗夜を迎え撃つ。 それがいやなら七頭目がここに来て守るという方法もあるけど、どちらにするの?」

「私はここを離れる気はないわ。」

「なら決まりね。 すぐに収集をかけるわ。 最低でも五日以内に全員ここに集結するわ。」

「どうしてそんなにかかるのかしら?」

「全国各地にいるのよ。 定例会議以外は七頭目は各地に散っているの。 ここから一番近くにいるのは両儀の家ね。」

「秋葉、俺はアルクェイドと先輩の所に行ってくる。」

「な、何を考えているんですか!」

「真祖の姫と第七司祭の力を借りようとしているのね? いい案だわ。 正直全員集まるまでに襲われたら終わりだもの。」

「だからって・・・・・・」

「秋葉っ! いいかよく聞け。 これからお前を守ろうとしているんだぞ。 そのために皆に協力してもらうんだぞ。 だったら我侭言わずに俺の言うことを聞け。 いいな?」

「・・・・・・ハイ。」

「よし決まりだ。 とりあえずこれからどうする?」

「そうね、とりあえず私はここに残るわ。 兄さんには八雲をつけるわ。 万が一兄さんが教われないとも限らないし。 それと、もし襲われたら無理に戦わずに逃げることを優先して。 その間に八雲が私に連絡をくれるから。」

「どうやって?」

「八雲の能力を使ってよ。」

「どんな能力なんだ?」

「それは本人聞いてちょうだい。 本人の了解を得てないから私からは言えないわ。」

「わかった。 それじゃあ秋葉、行ってくる。」

「お気お付けて。」

「ああ。」

そう言って居間のドアを開ける。

「志貴様。」

「志貴さん。」

そこには翡翠と琥珀さんが立っていた。

「翡翠、琥珀さん。 どうしてここに?」

「志貴さん、悪いとは思ったんですがドアの外で立ち聞きしちゃいました。 志貴さん、私たちに何かできることはありませんか?」

「志貴様。 私たちもなにか手伝わせてください。」

「翡翠、琥珀さん。 悪いけど今回ばっかりは手伝ってもらえることは何もない。 今回は今までとはわけが違うんだ。」

「そんな、志貴さん。 なんでもかんでも一人で背負い込むのはよくないですよ。」

「志貴様。 私たちでは力不足でしょうが居ないよりはいいはずです。」

「二人とも、本当に今回はそうは言ってられないんだ。 今回は相手が悪すぎる。」

「そうよ。 もし貴女方がなにかしたいなら何もしないことね。 悪いけど相手が暗夜なら無関係の人間を守っている暇なんて無いから。 だから邪魔にならないところに隠れていて。」

「雪之! それは言いすぎだ。 二人に謝れ!」

「・・・すいませんでした。 でも今回は本当に貴女方では手に負えないわよ。」

「いえ、私たちにしかできないことがあります。 志貴さん、私たちの力をお忘れですか?」

「力って、・・・・・・!? まさか」

「はい。 私たちの“共感”で志貴様をサポートできます。」

「待ちなさい。 今貴女、共感って言った?」

「はい。 言いましたよ。 私と翡翠ちゃんは感応者なんです。」

「そう。 ・・・・・・それじゃあ貴女達だったの。 鋼岩の双子の娘というのは。」

「「えっ。」」

「貴女達が感応者だというなら間違いないわ。 あなた達は巫浄家の者、巫浄鋼岩の娘よ。」

「巫浄・・・鋼岩・・・。」

「そう。 退魔七頭目の一人。 じきにここに来るわ。」

「よかったな、翡翠、琥珀さん。 自分の親が見つかって。」

「鋼岩はとても心配していたは。 あなた方には姉が一人いるんだけどそのせいで貴方たちは分家に出されたのよ。 それで遠野にその家が襲われて滅ぼされたことがあったんだけど、そこに貴女達の遺体が無かったことから生きてるって鋼岩が聞かなくってずっと捜してたのよ。」

「なっ、・・・・・・・・・・・・そんなことが。」

秋葉はかなりショックを受けているようだ。
当たり前といえば当たり前だ。
何しろ俺の家だけでなく翡翠や琥珀さんの家まで遠野家は襲っていたのだから。

「秋葉様、どうかお気になさらないでください。 もう過去のことです。 それに今は私たちの帰るところはここだけです。」

「あら、それじゃあ鋼岩の所に帰るつもりはないの?」

「それは・・・・・・・・・・・・・・・戻りません。 私たちの親が例えその人でも私たちを今まで養ってくれたのは秋葉様ですから。」

「そう。・・・・・・・・・まあどうするのかを決めるのは貴女達次第だから私はとやかく言うつもりはないわ。」

「もう一つ聞いておいていいかしら?」

「何?」

「七頭目の方々についてです。」

「七頭目について?」

「はい。 私が聞いた中では七頭目は貴女と巫浄鋼岩、そして先ほど来ていた八雲という方しか知りませんので。」

「そうね、他には・・・両儀、浅神、御鏡、草薙の四家ね。」

「他には?」

「他にはって?」

「その方達についてです。」

「そうね、・・・両儀は七夜みたいに暗殺に特化しているわ。 異常なくらいね。 草薙と八雲は主に暗殺の中でも狙撃とかかしら。 どちらにしても七夜、両儀、草薙、八雲の四家は魔術は使わずにただ人間がもとから持つ能力を発達させたり、特殊な力を使ったりと肉弾戦が専門です。 ですが御鏡、浅神、巫浄は魔術が発達しています。 知ってはいると思いますが、巫浄は他人に力を分けたり、特殊能力の向上、怪我の治癒、呪術など七頭目の中でもそれほど高い戦闘能力とは言えません。 まあもっとも他の家は好戦的ですので能力もそちらに傾いたのも納得できますが。」

「では巫浄は非好戦的だと?」

「ええ。 おもに巫浄は他の家と組んで仕事に赴いていたので。」

「それじゃあ俺はもう行くよ。 あまり遅くなるとまずいし。」

「わかりました。 ・・・・・・どうかお気をつけて。」

「ああ、行ってくる。 秋葉も充分気をつけて。」

そう言い残して家を出た。
門の所まで行くと八雲が待っていた。

「よう。 話しはもういいのか?」

「ああ。 待たせて悪かったな。」

「気にするな。 外の警護って言うのも仕事のうちだ。」

「そうか。 ・・・・・・それじゃあ行こう。」

そういって屋敷を後にした。


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