空の月


メッセージ一覧

1: うり坊 (2003/10/12 15:12:00)

1.
カラーン!カラーン!
「おめでとうございます!」
その鐘の音は、商店街に響き渡った・・・・


「ただいま〜 あれ? どうしたの琥珀さん そんなに嬉しそうに?」
玄関を開けるとそこには、いつもよりニコニコしている琥珀さんの姿があった。
「実はですね…商店街の福引きで温泉旅行が当たったのです。」
「へー、すごいですねー」
「日ごろの行いがいいですからー」
ご飯に毒を盛ったことがある人が?
「ところで、何名までなの」
「8名までのですが〜私と翡翠ちゃんに秋葉様と志貴さんそれとシオンさんを入れても5人ですからあと3名分余ちゃいます。」
「3人分どうしよう。」
どうしようかと考えているとき・・・
「い〜や、さすが俺の心友(心の友と書いて)連れてくれるなんて。」
「志貴―私も連れていってー。」
「遠野君 私も連れて行ってください。」
どこからともなく聞いたことのある声が聞こえてくる。
「ぶっ!?」
「なんで!先輩にアルクェイドそれとなんで有彦までがいるんだ!」
「ふっ…気にするな。」
「そうよ、志貴」
「せっかく3人分余っていますし。」
それぞれが意見を勝手に言い始めている。
気のせいだろうか首筋が寒くなってきている。
「だめです!!」罵るように言う秋葉がドアの前で仁王立ちしている。
「あ、秋葉・・・」
十分なほど殺気をみなぎらせている、心なしか後ろでは赤いオーラが発生しているようにも見える。
「まあまあ 落ち着いてください秋葉様、みんなで行ったほうが楽しいとおもいますし。」
琥珀さん、あんたは仏様だ。
「それにチャンスです。」
「チャンス?」
「はい、チャンスです。」
少し考えて、いきなり顔を赤らめる秋葉・・・
「……そ、そうね、確かにみなさんといくのもいいでしょう。」
秋葉・・・なぜ、獲物を見る様な目で俺を見る。

「では、○日の朝の9時に屋敷の門に集合です。おやつは300円までです。」
なぜか秋葉が司会をしている。
「はーい、質問」
「なんですか、乾先輩」
「バナナはおやつにはいるのか。」
なんて幼稚な質問だ。
「はいりません。」
「それでは、解散。」
 ・
 ・
 ・
一方、伽藍の洞では…
「幹也君  カニをたべたくないか。」
「食べたいけどそんな事よりお給料ください。」
「いや、それなのだがな、実は無いのだ。」
「スタッフ○ービスに連絡しますよ。」
「落ち着け このパンフレットに山奥だが『カニ食べ放題』と書いてあってな、気がつけばもう入金してしまっているのだ。」
「電話、借りていいですか?」
「最後まで話を聞きたまえ、この前、式と一緒にどこか旅行に行きたいと言っていたじゃないか。」
「それは、そうですけど」
「もしかしたら、むこうで『若さゆえの過ち』があるかもしれん。」
「・・・・・橙子さん、いつ行くのですか。」
「○日だ。」
いきなり席を立ち橙子さんに
「橙子さん、これから式の所にいきます。」
「わかった、あっ、それと・・・・もういないのか…」
「さて・・・・もう、出てきてもいいぞ。」
ドアが開きそこから鮮花があらわれた。
「いつから、わかりました。」
「私が、『若さゆえの過ち』と言った時からだ。」
「橙子さん、私も行ってもよろしいでしょうか。」
「ああ、別にいいが。」
「それと・・・・・もういってしまっのか。」
「さて、おもしろくなってきたな。」
ニヤニヤして、この先のこと想像しながらタバコ吸っている
そう、これから起こる事を知らずに・・・・・・

















2.「ではー、みなさん集まりましたか?」
門の前で琥珀さんが確認をしている。
「「「「「「「「はーい」」」」」」」」
「そろいましたね、それではバスへ案内します。」
琥珀さんについて行くと、そこには、大型のバスが地面からゴゴゴッと唸りながら出てきた。
「・・・・・・・こんな設備もあるのですか・・・・・」
「驚くのは、まだ早いですよー、このバスはですね、遠野グループが開発した試作型自動運転バス『翡翠ちゃん0号機』です。」
えっへんと、胸を張る琥珀さん、誰も言わないが、恐らくと言うか絶対、琥珀さんが、名づけたのだろう。
「さてと、バスに入るとするか。」
中に入り、適当に座ると
「志貴―、隣いいかな。」
と、話しかけるアルクェイド
「「なに、言っているのですか!」」
怒鳴る先輩と秋葉
3人が言い争っているなか、シオンが、なにか言いたそうに立っていた。
「あの・・志貴、その私と一緒に・・・・」   ガシッ
シオンの両腕がメイドシスターに捕まりズルズルと言い争っている3人の元に引きずられて行く。
「抜け駆けはいけませんよー」
と言う琥珀さん
「えっ! あの、その、いや――――」
「・・・・・・」
「遠野!」
いきなり後ろの座席から声をかけてくる有彦
「うおっ! いたのか、有彦!」
「まあな、ジュース飲むか?」
「ああ・・」
有彦が腰の小さいポーチからペットボトルが二本、出てきた・・まるで未来のあるロボットの様に・・・
有彦からジュースを受け取り、飲んでいると、
「ところでよ、お前の隣にいるの、誰?」
「へっ?」
俺は自分の横を見てみると・・・・・・・
体は幼く、髪は水色、そして、漆黒のドレスを着ている女の子は・・・
「ぶっ! レ、レン!」
危うく、ジュースを吐きかけそうになった。
なんか、前にもこんな風景があったような・・・・
「なんだ、遠野、有間のところの妹か?」
どうやら幸いに都ちゃんと勘違いしているようだ。
「あ、ああ、そうなんだ、せっかくだから連れてきたんだ。」
この時なにか、頭のなかでひっかかているが、それがなんなのか解らない・・・・
「ほ――う・・・」
疑念を持つ有彦の声は最後まで言えなかった。
ゴスッ!   
「有彦・・・安らかに眠れ・・・・」
バタッ!!
なにやら、鈍い音と人が倒れる音が・・・近くには、泡を吹いている有彦の姿が・・・
そんなこんなんで、一行は、目的地へ向かう。


今の状況は、いまだに信じたくないが、夢なら覚めてほしいと願うがそれは、やはり、現実だと思い知らされる・・・
「兄さん、なにか喋らないのですか。」
右側から実の妹の鮮花の声が聞こえてくる。
「そうだ、コクトー」
そして、左側からは、両義 式の声が聞こえてくる。
「いや、その、・・・・・・・」
黒桐 幹也は、二人の女性に挟まれている。
どちらと話をすればいいのか、二人共ピリピリしている、このままでは、二人共、痺れを切らして大変なことになるのが、目に見えている。
こっちが、大変な時に秋巳 大輔 独身は、呑気に橙子さんとお喋りの最中だ。
「大輔兄さん、あとどれ位かかるの?」
「そうだなー、まあ、あと2時間ぐらいかな?」
この言葉に軽い目眩がおきた。
あと2時間もこの状態が続くのか・・・・・
「楽しそうね、幹也君。」
と微笑みながらこちらを見る橙子さんがいた、この前のスタッ○サービスに電話しようとしたことに、まだ根を持っている。


「ん、生きている・・・・、みんなは・・無事か・・・」
湖の近くの森にバスが立っている、と言うよりも・・・地面に突き刺さっている。
なぜ、この様になったのか、30分前にさかのぼる。
「みなさん、これからカラオケしませんか?」
琥珀さんが話しを進める。
「賛成―」
ピーピーピーとサイレンみたいな音が鳴っている。
「琥珀さん、あの音、何?」
「ちょっと、まってください・・・・・・・・・・・・・・みなさん、バスの自動運転が故障しました。」
「「「「「「「へっ?」」」」」」」
全員が、口を開ける。
「みなさん、しっかり座席に摑まって下さい、次のカーブで落ちますので・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
キキッ―――――    ガシャン

「痛たたっ・・・この『試作型』は、失敗ですね。」
などと淡々と言う琥珀さん
「どうするつもり、琥珀。」
少し怒っている秋葉
「おそらく、この湖の反対に見えるのが、目的の旅館のはずです。」
「じゃ歩くとするか・・・」
「そうですね。」
荷物を持つとある物が、見えた。
「湖の真ん中に見えるのなんだろう?」
「たぶん、祠なんかでしょ。」
「ふーん」

誰も解っていない、そう・・・これから、起こること誰も解っていない・・・・・・













3.「やっと、ついた・・・」
バスから歩いて、20分弱・・・
「疲れちゃいましたよー」
「早く宿で休みましょう。」
「賛成―」
ガララッーと昔ながらの戸を開けると、そこには、和服の着物を着た女性がいた。
「いらしゃいませー、この旅館にようこそ、私は、ここの女将です。」
「予約を入れた、遠野ですけど・・・」
「はい、遠野様一行ですね、人数を確認しますので・・・1,2、・・・・7,8,9人?  1人、多いようですけど・・・・・」
その言葉に首をかしげる
「私と兄さんと琥珀に翡翠に乾先輩とシオンと泥棒猫(アルクェイド)それとシエル先輩に・・・・・・・」
さっき、なにかがひっかかていると思ったが、・・・・・・
「レンちゃんの分を忘れていましたね・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
長い沈黙が続く・・・
「あのー、もし、よろしかったらお一人、サービスしますので・・・」
「えっ?あっどうもすみません。」
「それでは、これが、お部屋の鍵です。」
女将さんから、鍵を手渡される。
「お部屋は、この先の階段を上がって、なすの間、きのこの間、たけの間です。」
「わかりました。」
部屋割り
・ なすの間、志貴、有彦、レン
・きのこの間、秋葉、琥珀、翡翠
・たけの間、アルクェイド、シエル、シオン
みんなが、部屋に行き、女将さんにお礼をした。
「そういえば、湖の真ん中にある祠てっ、なんですか?」
「アレはですね・・・1000年前に悪鬼を封じこめている祠なのです、まあ、伝説みたいなものですね。」
「そうですか。」
そして、部屋の方に行った。



「ここだな、 けっこう大きいな・・・」
車から降りて感想をいう秋巳兄さん、こっちは、2時間も緊迫の中にいたせいで、死にそうだ。
「ごめんくださいー」
戸を開けて、旅館の人を呼んだ。
「はーい」
奥から声が聞こえてきて女性が歩いてきた。
「ようこそ、私はここの、女将をしております、長旅、ごくろうさまでした。」
ニッコリと微笑む女性
「黒桐様一行ですね、お部屋は、この廊下の奥の犬の間、鹿の間です。」
「では、これが、お部屋の鍵です。」
部屋割り
・犬の間、幹也、大輔
・鹿の間、式、鮮花、橙子
「ほら、いくぞ。」
「そうですよ。」
式と鮮花が呼びかけた。
「あ、待てよ。」
そうして、僕は、部屋の方に、歩いて行った。





「遠野、風呂いかねーか?」
日が暮れ、外が少し暗くなり始めた時、有彦は、俺に聞いてきた。
「別にいいけど・・・」
ざぶとんを枕代わりにしながら、有彦に言葉を返す。
「よし、そうと決まれば、秋葉ちゃんもさそうか!」
ゲシッ
俺は、有彦のわき腹に蹴りをいれた。
「ぐっ・・・な、なに・・するんだ・・いきなり・・・」
畳の上で倒れながら喋る有彦
「なにを考えているんだ。」
「そんなもの・・解っているはずだろ・・風呂といえば・・・女風呂を・・覗くに・・決まっているだろう。」
少し苦しげに言う。
「あほか、お前は・・・」
「じゃあ・・俺だけで行くからな・・」
「待て、有彦・・・誰も行かないとは、言っていない。」
すかさず、否定の言葉を言う。
「さすが・・心友(心の友と書いて)・・では、いくとするか。」
有彦は、その言葉を待っていたかのように言う。
「さて・・・レン・・お願いなのだけれど、秋葉達を誘ってくれないかな?」
レンは、コクンと頷き部屋を後にした・・・
「では、男のロマンに行くか・・・」
と、有彦が言う
「そうだな・・・・」
その言葉に頷く様に返事をする。


そうして、俺らは、風呂場へ行った・・・・・








4.ガララッーと男風呂の戸が開く。
「おおっ!広いじゃん!」
「確かに・・・」
すると、塀の向こう側から声がきこえてきた。
『へえー、けっこう広いわね。』
先輩の声だ。
『そうですね。』
それと、この声はシオンだ。
『妹、胸なさすぎー』
アルクェイド・・・それは、禁句だよ。
『なんでっすてー!(怒)』
秋葉・・・・
「むっ!あの声の主は・・・・」
「では、遠野君・・・見るとしますか・・・」
「そうだな、有彦君・・・」


「いやー、それにしても、この光景は、目の保養になりますなー」
「同感だ。」
「それにしても、俺ら・・・よく落ちないよな。」
そう・・今の志貴の状態は、高い塀からみるために、桶を一直線に積み重ねて見ているのだ。
しかし、これは非常に足場が不安定なのだ。
「別にいいじゃん、そんなの・・・今は、この光景を見るのに集中しとけ。」
「・・・・・、そこ!」
いきなり桶を投げつける秋葉。
「うおっ!」
間一髪よけたが・・・・有彦の顔面にヒット!
「くっ・・・・こ、このぐらいで・・・諦めるかー!」
さすが、有彦、しぶとい。
「あらあら、しぶといですねー」
いつもどおりに笑う琥珀さんだが、その笑顔は怖い・・・・
「さあ、みなさんで、覗き犯を撃退しましょう。」
などと、提案を出す琥珀さん
「おもしろそうね。」
「私もやるー」
「それでは、私も・・」
どうやら、全員が参加のようだ。
「では、これらの桶で日ごろのうっぷんをはらしましょう、覗き犯で。」
琥珀さん・・・あんたは、鬼だ・・・
「それじゃあ、最初は、私が・・・」
一番手、シエル
「いきますよー、ハッアアアー!」
先輩が投げる桶は、まるで・・・・・マシンガンだ。
マシンガンの弾のような、無数の桶が、こちらに飛んでくる。
「せ、先輩、本気ですか?」
なんとか、俺はかわしたしたが・・・有彦、全弾命中・・・
「ま、まだだ・・・・」
しぶとい・・・・
「次は、私がやるー」
二番手、アルクェイド
「そ――れっ!」
アルクェイドが、投げた桶は、二つ・・二つとも、マグナム弾並の威力がある、こんなのに当たれば間違いなく、アウトだ。
しかし、俺はかわしても・・・・一般人の有彦が・・・・
ガスッ!
やはり、命中・・・・・
「き、効いたぜ・・・・」
あれに当たっても生きているとは・・・・・
「では、私が・・・」
三番手、シオン
「せいっ!」
まったく違う方向になげるシオン、しかし俺には、見えた・・・桶に光る糸が・・・それは、エーテライトだ!
「有彦!しゃがめ!」
慌てて有彦に言うが・・・・
メッキャ!
またもや、命中・・・・ついでに今のは、桶にくくりつけた、エーテライトで別の方向に投げ、木などを支点代わりにして、こちらの背後から桶が飛んでくるようにした。
「まだ、いける・・」
死ぬぞ、有彦・・・
「こんどは、私たちが。」
四番手、琥珀、翡翠
「では、失礼します。」
「いきますよー」
翡翠が桶を投げるが、有彦でもかわせるほどのスピードだ、・・・・いや、待てよ・・・琥珀さんが、こんな生易しいことをするはずがない・・・・・まさか、これは囮か!?
「・・・・上だ!有彦!」
「はっ?」
ゴン!
またまた命中・・・そろそろ有彦がやばいかも・・・
「まだ、終わちゃいないー」
叫ぶ有彦。


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