あんな蒼い水、みたこと無かった。
ねぇ。
あなたはどうして、
そんなにわらうの。
/1.
薄暗い城。その一室の洗面台にわたしはむかう。
手のひらのクレンジングクリームをまぜ、頬を洗った。
タオルで顔を拭く。ふと、何の前触れもなくため息がもれた。
オーテンロッゼ殿は、ブラックモア殿の事件以来、城の地下に篭りっきり。そのお姿を、わたしはまだ拝見していない。
今日は化粧のノリがすこぶる悪いだろう。あんな光景をみてしまったのだから。
ある日、地下へ続く深い螺旋階段へ下っていったあの方を、わたしは追っていた。
あの方はめざとい。注意深く追跡しなければすぐに感づかれていただろう。
だがわたしとて二十七祖一厘の花。とっさに固有結界『虚空幻楼』を展開させ、あの方の『色』の認識を変えた。
死者も連れずに、あの方は湿った地下の階段を、静々とたった一人で降りていく。
いつも取り巻きの死者を囲み、力の顕示を好むあの方にしては珍しい光景だった。
気付かれている様子はなかった。もっとも、気付かれるようなへまなどしない。
城の書庫に隠されていたブラックモア殿の出自の秘密も、この追跡でわたしは得ることが出来たのだから。
完全に壁の色に同化するわたし。スミレには、リタってカメレオンみたいだね♪とよくからかわれていたっけ。
酔っ払い娘の物言いに少し腹は立つが、あながちはずれではなかった。
そして、地下の一際湿潤している一室で、わたしは目撃することになる。
オーテンロッゼ殿の……
洗顔を終え、わたしは自室に戻った。
鏡台に向かう。濃いピンクのラメ入りアイシャドーを丁寧に薄く塗る。
化粧は自らの本性を隠し、社会生活を円滑に営むための手段と、人間だったころ読んだおぼえがある。
化粧という仮面をつける。そうでもしなければ、発狂してしまいそうだ。
昨日の出来事は正直、わたしの今までの認識をひっくり返されるほどの衝撃だった。
わたしはどのようなことも、自分のまなこで確認しないと気がすまない、自他ともに認めるやぶ蛇の性分だ。
だけど、あれだけは見なければ良かった。あれは
「リタ様。」
わたしの思考は、音も無くあらわれた老人の声によって遮られた。
「ノックぐらいしてもらえませんかしら?」
「いや失敬失敬。扉の鍵がかかっておりませんでしたので、勝手に入らせてもらいましたよ。」
いけしゃあしゃあという、割腹のよく、白髪をまとめたこのご老体は『魔城』ヴァン・フェム殿。
オーテンロッゼ殿と親交のある死徒二十七祖の一人であり、最近はオゾンホール拡大に伴う地球温暖化にひどく心を痛めているらしい。
この御仁、普段は礼儀正しく品のよい気質なのだが、時々予想をくつがえす行動をされることがあり、あまり読みきることが出来ないお方だ。
「ヴァン=フェム殿、貴婦人のお色直しにぶしつけに入ってくるとは、よほどの事なのですね?」
皮肉をこめていう。わたしは怒っていた。オーテンロッゼ殿の真意を図りかね、なおかつレディの部屋に勝手に入られて機嫌がいいはずは無い。
だが、ヴァン=フェム殿は、堀の深い顔を豊かにゆがめて笑って会釈する。
「はっはっは、どうかお許しください。一刻もはやくお知らせたかったので慌ててしまいました。
スミレ様が、この国にきていますよ。」
え。
「会いにいかれては、いかがですかな?」
スミレが?
わたしは握っていた化粧品の瓶をおとし、カーペットにぶちまけていたことにすら気付かなかった。
「ヴァン=フェム殿!?それはまことですか!?あの子が」
「ウソをついて、私の利潤につながることはなにもありません。
車ならご用意いたしましょう。オーテンロッゼ殿には、私のほうから上手くいいくるめておきますよ。」
嬉しさと懐かしさが同時にこみあげてきた。スミレ。わたしの唯一の友達。
会いたい。
会って、話がしたい。
「結構です。」
本心とはまるで正反対の言葉を、わたしは言っていた。
ヴァン=フェム殿は予想外のことに驚かれたのか、皺の深い額に眉間をよせていた。
「リタ様?スミレ様は流浪の身、この機会を逃せば次は何百年後になるかわかりませんぞ。
スミレ様の動向を掴むことができるのは、彼女が出現したときのみなのですから。」
わかっている。そんなことは。
あの子の水中での動きは、人間たちがつくった魚群探知機ですら掴みきることはできない。
「おほほほほほほ。せっかくの申し出ですが、断らせていただきます。
あいにく、気まぐれな酔っ払い娘に構っているほど、わたくしヒマではございませんの。
ヴラドとも決着をつけませんと、悔しくて絵画に没頭することすらできませんわ。」
わたしは笑った。
うそだ。
本当だったら今すぐにでもあの子のいる場所にいきたい。
ごまかした。自分でも嫌になるくらいの高飛車笑いを、わたしは続けた。
ヴァン=フェム殿はそれに気付いたのか、気付かないのか、気落ちしたように目を伏せる。
「リタ様。それは、オーテンロッゼ殿への義理なのですか?」
「おほほほほほ。出来の悪い親ほどかわいい。というではありませんか。」
そう。わたしにとってオーテンロッゼ殿は、父ともいえる人。
あの方は、自尊心が高く、浅薄なところもあり、人格的に色々と欠けるものがあるのは否定しない。
だけど、わたしはあの方の厚顔のなかにある優しさを知っている。
前15位の一介の死者でしかなかったわたしは、あの方に見初められて今の地位を得ることが出来たのだから。
それに何より、
スミレを、何も知らないあの子を、巻き込みたくない。
「わかりました。無理強いはいたしません。」
ヴァン=フェム殿は、深いブラウンの瞳をゆらした。最近よくみかける仕草だ。
扉に手をかける老人は、退室していく。
「ヴァン=フェム殿!!」
気が付いたら、わたしは美麗とは程遠い、はしたない大声をだした。驚かれたヴァン=フェム殿は、わたしに振り向きなおる。
「かわりにといってはなんですが、一つ頼まれごとをお願いできませんか?」
/2.
空は、雷雲が立ち込め、水滴の飛散が絶え間ない、どしゃ降り模様。
労働者たちが行きつけのくたびれた酒場に、不釣合いな黒塗りのリムジンがとまった。
運転席には、つぎはぎのない人間そっくりの人形がハンドルを握っている。
「まさかあなたが僕を呼びつけてくるとは、夢にも思いませんでしたよ。」
その車内には、後部座席に二人の人影。
長い金髪を後ろでまとめ、純白のスーツに身を包む美貌の紳士は、隣の老紳士と談合している。
老紳士は、アゴヒゲをさすりながら忌々しげに呟く。
「ふん。本来君のような性欲の塊ごとき俗物を、私のリムジンに一秒でも乗せることはタ・イ・ヘ・ン不愉快極まりないことだが、
彼女がどうしてもというから連れてきたのだよ。」
「人形作りに没頭している根暗な成金ジジイよりは、幾分マシかと存じ上げますが。アッハッハッハッハ。」
老人は品のよい顔を台無しにして、隣の額に手をついて笑う青年を睨む。
「一応断っておくが、彼女に手をだせば私は許さんぞ。
その時は、アルトルージュ様には申し訳ないが、我七大ゴーレムの総力をあげて君を潰す。」
老紳士の瞳が渦をまく紫に染まった。魔眼。老紳士の人間社会では絶対にさらけ出さない怒りの具現である。
それを叩きつけられる青年の紳士は、同じく魔眼を金色に輝かせ、老紳士の殺意にも似た気迫に臆していない。
「それは彼女の出方次第ですよ。最初に姫様に牙をむいたのは彼女の方ですから。
それと、くどいようですが六大ゴーレムの間違いでしょう?ヴァン=フェム殿?」
ヴァン=フェムは、皮肉が得意な隣の死徒を、今にもゴーレムの腕で引き裂きたい衝動にかられた。
だが、矛をおさめた。ここで怒りにまかせて戦争をはじめるほど、ヴァン=フェムは浅はかではないし、短慮でもない。
「まあいい。行きなさい。彼女はお待ちだ。(とっとと失せろ。ホ○。)」
アルトルージュ護衛の一人、『白騎士』フィナ=ヴラド・スヴェルテンは、雨天のなか、後部座席のドアから颯爽と現れた。
「送迎感謝いたしますよ。美しくない木偶人形のわりには安全運転でしたねぇ。」
「ふん。君に迎えの車などないよ。(一人で帰れ。ホ○。)」
ドアは乱暴にしめられ、リムジンは急発進した。スピンがかかったタイヤのゴムは汚泥を飛ばし、ヴラドのスーツに塗りたくる。
「人形マニアのジジイ、いつか必ず、美しく葬ってあげるから覚悟しておきたまえ!フハハハハハハハ!!」
走り去ったリムジンを、泥だらけのヴラドは魔眼全開でにらみ、雨の中妖しく笑っていた。
/3.
夕方の酒場は、仕事帰りの男たちで賑わっていた。
その喧騒の中に、カウンターに一人の女性がすわっている。
長い金髪は上品にまとめ、若干派手さを抑えたピンクのワンピースをリタは着ていた。
「やぁ、リタ。」
「来てくれたのね。ヴラド。」
リタ・ロズィーアンのとなりの席に、フィナ=ヴラド・スヴェルテンは腰掛けた。
「わかっているとおもうけど、このことは極秘だよ。姫様につまらない心労をかけたくないからねぇ。それで、ご用件は?」
「せっかちですのね。」
リタはカウンターの店員に、ビールを頼む。
店員は、底辺の酒場にはいささか不釣合いな、端麗な男女に一瞥しながらも、グラスにビールをそそぐ。
ヴラドの前に置かれたビールは、美しい白い泡を絶え間なくたて、リタに会釈したヴラドはそれを喉に流し込む。
グラスがカウンターにおかれる音。リタはヴラドに目を合わせずに尋ねた。
「ヴラド。あの子、スミレが、アルトルージュ様の城にきたそうね。」
それを聞いたヴラドは、天を仰がんばかりに笑った。
「君のお友達のウォータ・ボトルかい?彼女の破天荒ぶりは美の極みだねぇ!
下水道を逆流させて、城の浴場を派手にぶち壊してくれたし、
姫様を『ちゃん』づけで呼ぶのは、世界広しといえども彼女くらいなものだろうさ。ハハハハハハ!!」
ヴラドの話を聞いたリタは、無表情を保っていた顔に笑みをこぼしていた。豪勢な仮面の内側の、彼女の本当の笑顔があった。
「ヴラド。スミレは、この戦いには何も関係ありませんわ。」
「君が心配することはないよ。彼女には陽気こそあれ、殺気は微塵も感じなかったからねぇ。」
リタは心のそこから安堵したようだった。
横目でそんなリタの様子をみるヴラドは、疑問をぶつけてみた。
「リタ。一つ聞いてもいいかい?」
「よろしくてよ。」
「どうして君は、ウォーター・ボトルをそんなにかばうんだろう?自分が僕に殺されるとは思わなかったのかい?
頭のいい君らしくないねぇ。」
リタは、ヴラドの質問に笑っていた。
「退屈な昔話を、聞いてくれる?」
「ハッハッハ。退屈になら不自由してないさ。」
/3.
わたしの主、前15位は、死者を増やし広大な死都をもつ典型的な死徒だった。
その従者であった私の役割は、雑用担当といったところね。
主人のいうことに従って、人間を狩り、その力を主人に還元する。ほんとう、芸術も何もない乾燥した毎日だった。
そんなとき、あの子はいきなりあらわれたの。
―― こんにちは~♪あたしスミレっていうの。姓はスミレ、名もすみれ、覚えといてね♪
びっくりなんてものじゃなかった。城内は死者で蠢き、リビングデッドが完全に周りを常に徘徊している完全警護の要塞。
あの子はそれらに一切気付かれることなく、いつのまにか、人間の血をすすっていた私の後ろにいたわ。
吸血鬼には全く似つかわしくない、幼いこどもみたいな笑顔で。
右手には、常にウィスキーを持っていたけど。
―― そんなに構えないでよ~。ねぇ、そんなことしてないでさ、あたしと一緒に遊びにいかない?行く?OK?決定~♪
勝手に決められたわ。私はわけもわからず、よりによって日光が燦々とふりまく屋外に連れ出されたの。
直射日光に焼かれかけた私に、あの子は『ごめんね~。太陽のことすっかり忘れてた♪』とかいいながら、
日焼け止めクリームを必死で私の体中に塗りたくって斜光フードを被せてくれた。もう訳がわからなかった。それと同時に、少し楽しかった。
そんな彼女が私を連れてやってきたのは……
「どうしたんだい?」
リタの語りは、急にとぎれた。
「……なんでもありませんわ。」リタは涙を払うと、話を再開した。
湖だった。
透き通るぐらいに蒼かった。水面にうつる空の蒼さがかぶさって、例えようもなく美しかった。
光が降り注ぐ森の緑は、私が人間だったころハイキングにいった記憶を思い起こさせた。
死者になってからのわたしは、ずっと人間を狩っていて、昼間の世界なんか見たこともなかったから。
―― あたしのお気に入りなんだよ。ここって唯一汚染されてない場所だからさ♪
そういってスミレは、嫌がるわたしの手をひっぱって水の中に誘ったの。最初は殺す気か!って思ったわ。
―― 大丈夫、あたしは泳げるし。あなたもきっと泳げるよ!無問題~♪
当時、あの酔っ払い娘はウォッカをひっかけていたみたいで、いつもよりさらにデキあがっていたみたいね。
当然わたしは死にかけた。流水と日光の混合色を喰らえば、二十七祖クラスの死徒だって水泡に帰してしまうわ(怒)。
泳いでいるうちに酔いが覚めて、正気に戻ったあの子は、慌ててわたしを岸に引き上げてくれた。
―― 死なないで~!!あたしがわるかったよ~!!傷は浅いから~!!
自分で死地に引き込んでおいて、あの子は目を真っ赤にして泣いていたわ。わたしは水をクジラみたいに噴き出して、なんとか息を吹き返した。
ほんとう、おかしくて、わたし大声で笑った。あの子のはじけぶりは、もうわたしの常識なんか壊していた。
わたしはあの子にたずねたの。どうして二十七祖のあなたが、たかが一人の死者でしかないわたしにこんなことをするの?って。
―― 暇つぶしで城に忍び込んでいたときからさ、あなたのこと気になってたんだ。だってあなた、かわいいもん♪
屈託のない笑みで、あの子はそういったのよ。
『かわいい』なんていわれたこと、わたし、人間だった頃でも一度もなかった。
嬉しかった。嬉しくて、その場でわたしは泣いた。泣くってことをわたしは久しく忘れていた。
―― 大丈夫?もしかしてまだ日光辛かったりするの?
そうじゃないのよ。
―― よかった~。そういえばまだ聞いてなかったね。あなたのお名前教えてよ♪
わたしの名前はリタ・ロズィーアン。リタって呼んでね。スミレ。
/4.
「なるほどねぇ。そうして二十七祖でも音にきこえた、仲良しこよし2人組が誕生したわけだ。」
「おほほほほ。その後私は、オーテンロッゼ殿に見初められて身分を昇格し、二十七祖第15位の地位を得た。という訳ですのよ。」
語り終えたリタは、頬を桜色にしていた。寂しげに、儚げに、リタは過去の話に幕を下ろす。
グラスをあけたヴラドは、リタの話に、真剣に最後まで耳を傾けていた。
「そしてスミレとの出会いは、私に眠っていた美に対する創作意欲に火をつけてくれたのよ。
湖の蒼の鮮烈かつ強烈なイメージ。あれはもう運命としかいいようがありませんわ!」
今まで聞き入っていたヴラドはずっこけた。リタの常軌を逸したキチ○イ芸術は、どうやらスミレが蓋を開けたらしい。
薄く笑うヴラドは、席を立つ。
「リタ。今宵は面白い話を聞かせてもらったよ。
でもね、だからといって、姫様と敵対する君に、今後も手加減するつもりは一切ないよ。」
「そのような腹積もりはありませんわ。
スミレはしばらくこの国にいるんでしょうけど、あの子は気まぐれ屋さんだから、またあなたの前にあらわれると思うの。
ヴラド。その時には、私のことは黙っていてくれる?
スミレには、いつも自由でいてほしい。あの子のタイトルに『束縛』は似合いませんもの。」
リタに背を向けるヴラドは、しばらく考え込んだ様子を見せる。
彼はリタに振り向くと、一厘の桃色の薔薇を、彼女の前に差し出した。
「了解だ。ビールの代金と引き換えということで彼女には黙っておくよ。この次は戦場で会おう。リタ。」
「おほほほほほ。感謝しますわ。 でも覚えておいて。私、こうみえても負けず嫌いですのよ。」
薔薇を受け取ったリタを残し、ヴラドは酒場を後にする。
芳しき薔薇の香りを、リタはしばらくの間、たんのうしていた。
/5.
「スミレさん!どうしてあなたは正門から入ってこれないんですか!!」
「あはははは。あんまり怒るとかわいい顔が台無しだよ~。小公女♪」
ヴラドが城に帰還すると、そこには壊れたまな板やら包丁が散乱する廃墟が拡がり、
城のシステムキッチンは、もはや卵焼き1つつくれないであろう破壊の限りを尽くされていた。
その瓦礫の中心で、アルトルージュがスミレに激怒している。
ヴラドは、隣で頭を抱えているシュトラウトに尋ねてみた。
「リィゾ。これは一体どういうことだい?」
「スミレ殿が、今度は台所からの侵入を試みた。」
シュトラウトは、それ以上何もいわなかった。
「人の城を何回破壊すれば気が済むのよ!
志貴くん!エンハウンス!この酔っ払いになにか言ってあげて!!」
ひしゃげたテーブルで胡座をかき、のんきにテキーラをあおっているスミレに、アルトルージュは頬を紅潮させて怒っていた。
「スミレさん。オイタは程ほどにね。」
「姐さん。今夜もイカしてるぜ。」
「……もういいわよ!!」
全然説教していないバカ男二人に、アルトルージュは見切りをつけた。
「水魔、やるわね。いくら私でも、あそこまでアルトルージュには絡めないわ。」
「(秋葉さんに絡んでいることには全く自覚ないんですね。このあーぱー吸血鬼は。)」
瓦礫を掃除するアルクェイドとシエルは、ある意味スミレに尊敬の眼差しを送る。
「ねぇねぇアルトちゃん、このお城にはどのくらいお酒あったりするの?一緒に飲もうよ~♪」
「あなたに飲ませるお酒は一滴たりともありません。お帰り下さい。さようなら。」
アルトルージュは、半ば諦め半分である。
―― リタ。ウォーター・ボトルは面白いよ。
―― 君のお友達選びは、間違っていないみたいだねぇ。
―― たださ、
―― どうして僕の茶室とキッチンが、いつも水びたしになるのかなぁ~~~~~~~!!???
九の字に折れ曲がったお気に入りの包丁を手にとって、ヴラドは悲嘆の涙に暮れる。