あいかわらず琥珀さんは元気だった
「次のお題は・・・・これですっ!」
ジャーン
またシンバルの音がした。そして『しりとり』の横の壁がひっくり返った
「次のお題は・・・性格です!」
「性格?」
「そのとおりです」
まあ確かに性格は大切だしな
「これは勝負を必要としないものですので皆さんは座っていて結構です」
琥珀さんはなにやら大きな紙を持ってきた
「実は先日皆様に自分の性格は?とお聞きしました
その結果がこちらです」
アルクェイド 一緒にいて楽しい、可愛くて美人のお姉さん(スタイル抜群)
秋葉 凛とした気品に物腰穏やかな名家の令嬢
シエル 美人で聡明、人当たりもよく理想の彼女
弓塚さつき 健気に想いを寄せるクラスのアイドル
瀬尾晶 リタイアのため削除
翡翠 主人に絶対服従。どんなことでもかまわない、愛する人だから。まさに理想のメイド
琥珀 腹黒策士、影の支配者、食事毎に盛るといわれている
・・・・・
・・・・・
・・・・・
全員にそれぞれ言いたいことが山ほどあるがとりあえず置いといて
「っていうか性格じゃないじゃん。自分のイメージとかだろ?」
「まあ似たようなものだからいいじゃないですか」
「なんですかこれは!誰のことですか可愛くて美人のお姉さんっていうのは!」
「あらシエル、目の前にいるじゃない。まったくしっかりしてよねー」
「何を言うかと思えばこのあーぱー吸血鬼が。頭だけじゃなく目まで悪くなりましたか」
二人の舌戦に秋葉が加わる
「それももっともです。ですが時にはご自分のことも考えてみてはいはかがですか?」
「なによ!妹なんかどこが物腰穏やかなのよう。まあ胸は穏やかだけど」
「というより穏やかすぎますね、まるで何も無いように」
「なんですって!」
ああ、みんな俺の気持ちを代弁してくれてありがとう
「はい、みなさんそこまでですよー志貴さんは争いごとが嫌いですから失格になりますよ」
「「「うっ」」」
とたんに静かになる三人
「ところで琥珀さん」
俺はどうしても気になることを聞いてみた
「なんですか?」
「なんで琥珀さんはあんなこと書いたの?」
全員うなずく
どうやら同じ意見だったらしい
「えーっとですね、自分の性格っていわれてもよくわからなくって
それでいつも皆さんが言ってるあれでいいかなって思いまして
でもこんなことに使うならもっと良いこと言っておけばよかったですねー」
なんて、琥珀さんはあははと笑って言った
「さてさてそれでは、これは五百人にアンケートをとりましてどの方が志貴さんにふさわしいか投票し、得票数順に順位を決めます」
と言っている琥珀さんの下に何かの紙の束が降ってきた
どこからかは気にしないことにした
「おや、これは・・・どうやら集計が終わったようですね。では結果を発表いたします
ここは一気にババッと全部いっちゃいましょう。
では、発表ですっ!」
全員ごくりと喉を鳴らした音がする。俺以外
・・・・
そして勢いよく広げられた一枚の紙
それを見てみると
6位 秋葉
5位 シエル
4位 弓塚さつき
3位 翡翠
2位 アルクェイド
そしてなぜか
1位 琥珀
次の瞬間空気が、いや大気が揺れた
「ちょっと!何故私が6位なの!?」
「なんで私が5位なんですか?納得いきません!」
「えー、4位かあ。もうちょっと上が良かったな」
「あはっ、2位だ。でも一位じゃないのは納得いかないわね」
「というか姉さんが1位ということがおかしいです」
翡翠がそういった瞬間秋葉が琥珀さんに詰め寄った
「そうよ!細工でもしたんでしょ!姑息な手を使って、どういうつもり!?」
「えー?私なにもしてませんよー」
「うそおっしゃい!でなければあのような結果になるはずがありません!」
「う〜ん、それもそうですが・・・」
琥珀さんも知らないみたいだが全員琥珀さんを詰問している
と、いきなり大声がこだました
「はーっはっはっはっは。その疑問には俺が答えよう!」
ざわっ
だれだ?
「なんだかんだと聞かれたら!答えてあげてもいいかもね。そんなこんなでお久しぶりです!乾有彦の登場!」
とうっ
そんな声が聞こえて有彦の奴がはるか上空から下りてきた
「有彦。生きていたのか、しぶといやつめ」
「それはないぜ親友。俺はお前のために一仕事してきたというのに」
「なに?」
そこへ琥珀さんが
「あ、乾様ご協力感謝します」
「いやいや、これくらいお安い御用でござる」
ござる?
「乾君、疑問に答えてくれるというのは本当ですか?」
先輩がかなり鋭い目つきで言った
「先輩!それはもっちろんでっす。ずばりお答えしちゃいますよー!」
なんかキャラ変わってるような
「まず、おれは琥珀さんにアンケートの収集を依頼された。そこで俺はたくさん人が集まっている我が校で集めたのだ
ここまではいいかね?
そこでおれは「女の敵、遠野志貴にふさわしい女は誰か」
といって集めに集めまくったというわけだ」
「気になる所もあったがひとまず置いといて。それでどうして?」
「どうして悪いイメージの琥珀さんが一位なのかと皆さんは言いたいようだな」
うんうん、とうなずく5人
「それは簡単なこと。いつもおいしい目にあっている遠野に男達がいい評価の人物のところに票を入れると思うか?
答えはノー!ぱっと見て秋葉ちゃんや先輩とかわかる人物に入れてたまるか!と皆の目が言っていたぞ」
「俺はなにか?女たらしの男の敵みたいに思われているのか?それはちょっと心外だぞ」
「遠野、それ本気でいってんのか?」
「ああ」
「はあ、これだから・・・」
「志貴ってホント鈍いよねー」
「そうです、ちょっとひどいです」
「まあ朴念仁なのはわかってましたがこれほどとは予想以上です」
「秋葉様、私も同感です」
「あはー、志貴さんがんばれー」
・・・・・
頑張れ、俺
「なるほど、そういうわけか」
「あはー、皆さん納得しましたかー?」
「くう、しかたがないわね。まあ二位だしいいとするわ」
「はい、ではみなさん。お待ちかねの時間がやってきましたよー
翡翠ちゃん箱を持ってきて」
「はい、こちらに」
「では、今回の最下位の方は・・・あはー秋葉様ですね。ご愁傷様です」
「なっ」
秋葉は顔を青くして後ずさりをした
「さ、では一位の私が引かせてもらいますね」
秋葉はいやいや、と首を振った
「大丈夫ですよ。何が出るかはわかりませんが、たぶん2回連続でお料理はないと思いますので」
そう言って琥珀さんは『死の箱』に手を入れた
それにしても「たぶん」って言ったがありえないわけじゃないってことだよな
恐るべし『死の箱』
「うんと、これにしましょう」
そう言って琥珀さんは紙を引っ張って出した
秋葉は固まっている。当然か
「えっと罰ゲームは・・・狩猟ごっこですね」
なんだって?
「え、えっと琥珀?それはどういうものなの?」
秋葉は震える声で聞いた
「えっとですね、ほら、漫画とか映画である中世の貴族たちがやってるあれです
つまり秋葉様は狩られる側ということです」
「ふーん、つまり私と猟犬との勝負ってことね?」
「まあそういうことだと思ってください
それでルールですが秋葉様は15分間逃げ切れば終了です。これだけです。あとは何をやってもかまいません」
おい、それだとあんまり罰ゲームじゃあないぞ。むしろ生贄は猟犬の方なんじゃ
「その他の皆様は秋葉様が範囲内から出ないようにしてください。翡翠ちゃんも心を鬼にしてくださいねー」
「琥珀?私が逃げるとでもいうの?」
「いえいえ、あくまで仮にというものですよ」
「ふん、まあいいわ。早く始めなさい」
秋葉はそう言った
「では、猟犬の登場です!どうぞ!」
すると琥珀さんの隣にいきなり何かが出現した
それは・・・思い出したくもないものだった
「ふっ、久しいな真祖の姫よ、それにいつぞやの人間もいるな」
アルクェイドが言う
「あ、あなたネロ・カオス?どうして?たしかに志貴が・・・」
そうだ。確かに俺は死の点を突き奴を殺した
「そのとおり、確かに私は死んだのだ」
「じゃあなぜ?でもいいわここで殺してあげる」
アルクェイドはそういって目を細めた
だが奴は予想外のことを言った
「姫君。早とちりしないでもらいたいな。私は争うために来たのではないのだ」
「そうですよアルクェイドさま。ネロ・カオス様はゲストなんですから」
ゲスト?
アルクェイドも口を開けたまま突っ立っている
「はい、そうなんですよ。特別にお喚びしたんです」
いまよぶの字が変だったような
「それに安心したまえ。私は23時に契約が切れてまた消えるのだ」
契約?
「だから、今日くらいは仲良くやりましょうよ。そのほうが絶対楽しいですし」
琥珀さんはこぶしを握って力説した
俺はそんな姿を見て思わず笑ってしまった
「あははははっ。いいよ、アルクェイド。今日一日くらい大目に見てあげようよ」
「う、まあ志貴がそういうんならそうするけど。でもいい!少しでも妙なまねをしたらただじゃおかないわよ」
「まあ、あなたがそういうんでしたら何も言いませんが」
先輩は黒鍵をしまいながら言った
「はい、では罰ゲームを始めますよー」
ん?
「ねえ、琥珀さん。まさかとは思うけど猟犬って・・・」
「はい、猟犬の提供はネロ・カオス様よりお願いします」
「うむ、承知した。ではいくぞ、人間の女よ」
そう言うと奴の体から3匹の馬鹿でかい黒犬が秋葉めがけて飛び出していった
「う〜ん、妹の実力を見るにはいい機会かも」
こいつはこいつで無責任なこと言ってるし。聞こえてんだよ
「秋葉、逃げろ!逃げまくれ!」
だが秋葉はキッと犬を睨んだ。すでに髪は真っ赤になっている
それを異常な速度で反応してかわす
秋葉はすぐに前転する
ついさっきまで秋葉の頭があった所に犬の牙が襲いかかった
それをすぐさま睨んで『略奪』しようとするが横から犬が飛びかかってきた
秋葉も異常な速度で反応してかわす
「妹、どうやらかなり成長したようね」
そうか、毎日のようにアルクェイドやシエル先輩と喧嘩してるうちに鍛えられていたのか
そういってるうちにも戦闘は続いている
どうやら秋葉はかわすのが精一杯のようだ
いくら人外といってもそれは攻撃に使うもののこと。身体能力は別にたいしたことはないはずだ
なのに黒犬の攻撃を紙一重ながらかわしている。これは驚嘆に値した
そんなことが10分以上も続いた
が結局秋葉はボロボロになりアルクェイドとシエル先輩が止めに入り秋葉は失格となった
だが秋葉はその前に疲れ果てて気絶してしまった
それにしてもなんてことだ。あの死の箱は本当に恐ろしい。2回が2回とも『死』だ
もっともアルクェイドとかが2回目のだったら問題ないけど
「さてさて、秋葉様お疲れ様でした。どうぞごゆるりとお休みくださいな
それでは次のお題は・・・・これですっ!」
琥珀さんは声を上げた
それにしても俺はいつまで縛られてなければならないのか
「あはー、次回はほどいてあげますからご心配なさらずに」
「ありがとう琥珀さん」
俺は・・・騙されないぞ
あとがき
よくわからん
今度は秋葉がリタイア
犬の数匹くらい楽に倒せんだろっていうつっこみはしないでおくんなまし
それじゃあまた明日
・・・たぶん