志貴争奪戦その2


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1: ササミー (2003/06/10 15:26:00)

ダラダラダラダラダララララ・・・・
どこからかドラムの音が聞こえてきた。音の方向を見ると翡翠となぜか弓塚さんが一諸に叩いていた
ジャーン
シンバルの音・・・気にしないことにした
いつの間に出現したのか大きな看板のようなものがあった
そして音にあわせて壁の一部が回ってお題が登場した
「はいっ、最初のお題は・・・しりとりですっ!」
「なんでっ?」
なんで嫁としりとりが関係あんの?
「いけませんよ、志貴さんしりとりを馬鹿にしてはいけません」
「そのとおりです。しりとりによって頭の回転の速さ、ボギャブラリーの豊富さ、さらには周囲に笑いをもたらす意外性を確認できます
これは夫婦生活の言葉のコミュニケーションを円滑にするために必要なことだと書いてありました」
「別にしりとりじゃなくてもいいんじゃあ・・・」
「では、細かいルールですけども。まず『ん』が最後についたらだめです。これは基本ですね。あと、一回でも間違えれば失格です
回答は前の人の3秒以内に答えてください。同じものは1回のみ。2回目は失格です
ですがこれだけではなかなか決着がつきませんので特別ルールを設けました
禁止事項として人名、当人、または特殊な人にしかわからないもの、日本語以外の使用、があります
また、言葉は3文字に限定させていただきますが漢字で3文字はOKとなります
そしてこれが一番の難関ですが・・・志貴さんが不愉快に感じたらペナルティとします」
「えーなにそれー、そんなのわかんないじゃんかー」
ぶー、ぶーとアルクェイドが言う
「アルクェイド様、これは志貴さんのお嫁を決めるものですよ。旦那様を不愉快にしていいかどうかお考えくださいな」
これにはアルクェイドもむー、と黙った
「なお、ペナルティは2回で失格とさせていただきます。ではよろしいですね?」
「では志貴さま。順番をこのくじで決めてくださいひいた順に時計回りに進めていきます」
といわれても
「どうやって?」
そういわれてあ、と翡翠は言った。だが琥珀さんは
「はいこの紐を咥えて引っ張ってください。先には名前が書いてあります」
と言って紐の束を差し出した
「せめてほどいてくれませんか?」
「ささ、お選びくださいな」
聞いちゃいねぇ
俺は諦めて咥えた。これは見ようによってはかなり屈辱的な光景だ
そして決まった

まずは弓塚さん、次にアルクェイド、琥珀さん、晶ちゃん、シエル先輩、秋葉、翡翠の順番になった
「それではいきますよー。暗黒大魔王しりとりすたーとー」
「ちょぉぉぉぉぉっとまったぁぁ!!」
「もー水を差さないでくださいよー」
「なんですかその暗黒大魔王とかゆーのは!」
「ふふふ、これは翡翠ちゃんがつけたんですよー」
「翡翠!なにあれ!」
「それは・・・」
「あーしかたないですねーほんとは最後のお楽しみにしようと思ったんですけど」
「実は、各お題の最下位の方には罰ゲームをしていただくことになっているのです」
「「「「「「「罰ゲーム?」」」」」」」
全員が声をそろえていった
「はい、姉さんがそのほうが盛り上がると言いましたので」
「まあ、その方が盛り上がるかもしれませんね」
これはシエル先輩
「そ、それで何なんですか罰ゲームって」
晶ちゃんが怯えた声を出す
「ふふふーそれは秘密です」
こほん、と言って琥珀さんは
「では、気を取り直して。最初は遠野の『の』でいきますよ。暗黒大魔王しりとり、すたーとっ!」
死闘は始まった

「のぞき」
・・・いいのか?女の子としてそれで
「きなこ」
「こぶた」
「太平洋」
「牛若丸」
「る・・・留守宅」
おお、今のはちょっとすごかった。心の中で拍手
「くるみ」
「三ツ星」
「し・・・うんと、えっと」
お、アルクェイドが苦戦してる
「し、し、・・・死体!!」
「まてまてまてー!!」
「えーなんで?ちゃんと3文字だよ。し・た・い・ほら」
「そーいう問題じゃねー!死体っつー言葉がダメ!そんな単語使うなよ!」
「あはーアルクェイド様、ペナルティ1つですねー。気をつけてくださいね」
「むー、志貴のいじわるっ」
そんなこんなで再開
「しらす」
何で吸血鬼がそんなもん知ってんだ?
「酢飯」
おお、料理人ならではの技
「試合」
「いるか」
「空手」
・・・・・
以後15分間に渡り死闘が繰り広げられる
この間思ったのだがこいつら何気にすげえ
「空き巣」
琥珀さんがそう言った直後
「えっと、えっと、す、す、スパイ!」
・・・
「あ!」
次の番のはずのシエル先輩が声を上げて晶ちゃんを見た
「な、なんですか?」
「晶さん、今スパイって言いましたよね」
「?・・・ああ!」
「うふふー。瀬尾様失格ですねー日本語以外は禁止ですよー」
「あううぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」
「ということは、そのこが罰ゲーム?」
「はいー、ですが先に勝負を決めちゃいましょう」
「ちなみに誰かが失格になったとしても前いった言葉はだめですよー」
といってまた死闘が始まった
・・・・・・・・
思ったより早く決着がついた。3文字限定の上に一度しか使えないし日本語以外禁止はすぐに言葉を詰まらせるようだ
一位は秋葉、二位は琥珀さん、以下シエル先輩、翡翠、弓塚さん、アルクェイドとなった
「ふふふ、やはり兄さんにふさわしいのは誰かはっきりしたわね」
「むー、妹なんかに負けるかー」
「さてさて、みなさん、落ち着いてくださいな。これよりお待ちかねの罰ゲームの時間ですよ」
ぴくっと晶ちゃんが反応した。心なしか肩が震えている
「あうううう、お、お手柔らかに」
「うふふ、安心してください。まだ罰ゲームを回避するチャンスはありますよ」
「本当ですか?」
「はい。ではとりあえず翡翠ちゃん、箱を持ってきて」
「はい」
そういって翡翠が持ってきた箱は見ているだけで気持ちが悪くなってくる色をしていた
晶ちゃんの顔色が悪くなっていった・・・当然か
「では、一位の秋葉様引いてください」
翡翠がそういって秋葉に近づいていった、その時俺は信じられないものを見てしまった
隣で晶ちゃんが小さく悲鳴を上げた
見てしまったか、・・・
俺ははっきりと見た
その箱には確かに


『死の箱』


と書いてあった。・・・赤い字で 
「じゃあ、瀬尾。悪いけど引かせてもらうわ」
心なしか秋葉の顔も引きつっている。あれに手を入れたくないのだろう
がさがさ
どうやら中身は普通らしい
そして秋葉は一枚の紙を取り出した
「秋葉様、読んでください」
「う、うん。えっと・・・」
あれだけうるさかったのに今はとても静かだ。セミの鳴き声すらしていないのは何故だろう
全員が(琥珀さんは笑顔だ)固唾を呑んで見守る中秋葉は思い切って開いて中を見た
が全員の予想とは全く異なる反応をした
「え?」
と間抜けな声を出した
「ん?どうしたんだ秋葉」
声をかけると秋葉ははっ、と我に返り
「い、いいえ。なんでもありません」
「それでなんでしたかー、秋葉様」
「えっと、罰ゲームは料理です」
ん?思ったより死にそうにないじゃないか
全員がそう思い胸をなでおろした
が俺は琥珀さんが小さく笑ったような気がした
気のせいだと思いたい
「では、翡翠ちゃん用意をしてください」
「はい」
そういって翡翠はテーブルの上に3つの料理を置いた
といっても蓋がしてあって中身はわからない
「はい、瀬尾様席へどーぞ。これから罰ゲームの説明を始めますね。皆さんも明日はわが身と思って聞いてくださいねー」
明日はわが身?なんか引っかかる言い方だな
「ではまずテーブルに置かれている3つの料理があります。
当然罰ゲームですからちょっと変なものなんだろーなーとか思ってる方もいると思います
ですがご安心ください。今回は『地獄に仏』をテーマにしておりましてこの中に一つだけ普通の料理がございます
ですから瀬尾様はそれを選べばよいわけですね」
「なるほど、どれか一つに、ですか」
うーん、と唸って言った
「ではまず、料理の内容をおおまかに説明したいと思います
一つは先ほど申し上げましたが普通の中華料理である天津飯です
さて、はずれの物ですが、ふふふ・・・
まず一つは・・・」
皆はごくりとつばを飲み込んで次の言葉を待った
「翡翠ちゃんのお料理です」
琥珀さんはただ静かにまるで終身刑を言い渡す裁判官のような言い方をした
「な、な、な、な」
秋葉はただ口をパクパク動かしていたが
「な、何をばかなことを言ってるの!瀬尾を殺す気なの!?」
「大丈夫ですよ秋葉様、解毒剤は一通り揃えておきましたから」
「そーいう問題じゃ、」
「さあ次のお料理ですが・・・」
今度は全員が晶ちゃんの冥福を祈りながら聞いた
「天津飯です。ただし少々私が『手』を加えましたが」
今度は死刑の宣告だった
空気が完全に凍る
あのアルクェイドやシエル先輩といった面々も恐怖で青ざめている
よく見ると肩が震えていた。誰かの歯がカチカチ鳴る音が聞こえる
晶ちゃんは銅像のように固まって動けない
正に彼女は今十三階段に登っている死刑囚と同じに見えた。いや、もっと性質が悪いかもしれない
「あれ、皆さんどうかしましたかーおーい・・・もしもーし」
・・・・・
それから十分後何とか正気に戻った俺たちは考えを改めることにした
あんまり死にそうにないじゃないか・・・・
そう思った、だがこれでは死と隣りあわせではないか
あらためてこのメイド姉妹には逆らってはいけないことを皆は再認識したのは言うまでもない
「ささ、瀬尾様覚悟を決めてください」
「あうううう」
涙目、ではなく滝のように涙を流しながらこちらを見る
くっすまない俺にはどうすることもできないんだ。いや、応援くらい俺にだって
「あ、晶ちゃん、人生諦めるのはまだ早い!その中で一つは安全なんだ。それに賭けるんだ!」
俺は精一杯声を出した。まあ、全部はずれと言う可能性を捨てきれないがそれは言うことじゃない
「そ、そうよ瀬尾がんばりなさい!」
秋葉が震える声で言った
「は、はい〜がんばりばずう〜」
といったら突然晶ちゃんはぴたりと動きを止めた
と思ったらだんだん顔が青くなっていって
「ひいいぃぃぃぃぃ」
と悲鳴を上げてしまった。
どうやら何か見えたらしい
「どうした、何が見えたんだ?」
「まさか瀬尾、自分が倒れているところじゃあ」
だが幸いなことに晶ちゃんは首をぶんぶんと振って言った
「あ、あ、あ、」
「あ?」
「アルクェイドさんがあ〜」
「へっ?わたし?」
突然振られてびっくりしたらしい
「わ、わたしがどうかしたの?」
「アルクェイドさんがなんか体中痙攣してて・・・」
「・・・・・」
アルクェイドは青い顔をしていた
「そ、そしたらいきなり起き上がったと思ったら『私はお星様よぉー』とかいって空にとんでっちゃって・・・」
なんだそりゃ
「う〜ん、このあ〜ぱ〜吸血鬼ならやりかねませんね」
「やらないわよっ!」
ところが余裕をぶっこいていたシエル先輩に思わぬ爆弾が降ってきた
「そ、それでその隣でシエルさんが地面に穴を掘ってどこか行っちゃって」
「わ、わたしもですか・・・」
なんだかよくわからんな・・・まあ怖いことは確かだが
「さ、瀬尾様時間の都合もございますし早くしてくださいな」
琥珀さんは容赦がない
「はい・・・」
もはや手はなし
「えっと、じゃあこれでお願いします」
そういって真ん中の物を選んだ
そして琥珀さんはそれの蓋を開けて晶ちゃんの前に置いた
「さあ、めしあがれ」
とりあえず見た目は普通、匂いをかいでみるが特に異常は無かった
「じゃ、じゃあいただきます」
晶ちゃんは覚悟を決めた
ぱくり
・・・・
・・・・
「あれ?ふつうだ・・・」
・・・ということは正解?
全員がなぜか涙をこぼしていた
ところがぱくぱく食べていた晶ちゃんだがふと何かに気がついたようだ
「なんか、これ、味があんまりしない・・・かな?」
ここで琥珀さんはポムと手を叩いて逆転サヨナラホームランを放った
「そういえば翡翠ちゃんのお料理の味と匂い中和するの大変だったよねー
それに前は即効性だったのに今では遅効性も使いこなすようになっちゃったんですよね
もう変幻自在の変化球で向かうところ敵なしですねー」
うわー、いい事を聞いたぜぇ
俺がそんなことを思っている傍ら晶ちゃんの顔色がどんどん青くなっていく
「あ、晶ちゃん!吐け!吐くんだ!今ならまだ間に合うかもしれない!」
「瀬尾!諦めちゃだめよ!」
俺と秋葉が声援を送ったがこいつらは台無しにする言葉を言ってのけた
「あーあ、死んだわねあの子」
「ええ、せめて彼女に安らかな眠りが訪れますことを願いましょう」
アルクェイドとシエル先輩はかなりヒドイと思った
その隣で弓塚さんはただ涙を流して手を振っていた、笑って
・・・大差ねー
「あ、ああああ、ああああああ、あ」
やばい!晶ちゃんが!
そう思った次の瞬間晶ちゃんは顔を青どころか黒くして倒れた
・・・・
・・・・
さようなら晶ちゃん、君の事は忘れないよ

エンド










「あはー、まだ終わりじゃありませんよー
ご心配なく。瀬尾様は奇跡的に一命を取り留めましたから。
・・・まあ、後遺症が心配ですけどねー」
琥珀さんは明るい笑顔で言った
それにしても奇跡的にって普通は死ぬってこと?
俺は翡翠の攻撃力を侮っていた
これは認識を改めねば
「では皆様、瀬尾様が体調を崩されましたので棄権となりました」
体調を崩した?
「はいはい、では続けたいと思います
最初の脱落者は瀬尾様でした。はたして最後まで生き残るのは誰か?
翡翠ちゃんはどう思いますかー?」
「全く予想がつかないと言っていいでしょう。このサバイバルを誰が制するのか、非常に興味深いです」
サバイバル?
「はい、解説は翡翠ちゃんでしたー
では早速次のお題にまいりましょーか。はたして脱落するのは誰か
次のお題は・・・・これですっ!」


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