気が付いた時は居なかった
どこだろう
たまに早起きするのは知っている
学校に好きな人がいるらしい
いつも、洗面台の鏡とにらめっこしている
でも、今日はいない
お母さんもお父さんも心配している
それでも、私は学校へ行った
学校から帰って来ても・・・居ない
お母さんが捜索願をだした
最近、通り魔がいるから心配
夜、まだ帰ってこない。
お母さんが寝なさいと言ったので、寝る
でも、心配
だから、こっそり家を抜け出した
始めて一人で夜の街を歩く
いない
いない
いない
あれ、だれか路地裏に入っていく
行ってみよう
少しだけ声が聞こえる
「弓塚、・・・・・・手を隠してるんだ」
「バレちゃった?遠野・・・・・・昔っからいいなあ・・・・・・志貴くん」
ああ、やっと会えた
会いたかった
でも何で
体が震えて動かないの
ピチャ、なんて音が聞こえた
「・・・・・・生きていくためには・・・・・・仕方なく<殺した>んだから」
えっ?今何て言ったの
何を言ってるの
「待っててね、・・・・・・一人前の吸血鬼に・・・・・・会いに行くから」
ザッ。何かが通り過ぎた
ダッダッダッ、人が目の前を通り過ぎた
二人とも私に気が付いていない
何、何、何、今何て言ったの
殺した?吸血鬼?
私は震える体を無理やり動かしながら家に向かった
次の日、私は学校を休んだ
お母さんもお父さんも居る
私はまだ震えていた
もう、頭では理解している
でも、心では否定している
そして、また夜がきた
もう一度、街に行く
あれは、全部夢だった
そう、に決まっている
いない
いない
いない
疲れた
喉が渇いた
公園の近くの自動販売機でジュースを飲む
?
何か音がした
もしかして・・・
私は公園に入った
また、声が聞こえてきた
「今夜は、わりと楽しめそうだよね、志貴くん?」
動けない
動けない
ここから、先には行ってはいけない
その時、悲鳴が聞こえた
「あっ。」
でも、私は動けない
走り去る音、それを追う音、
私は凍ったように固まった体を動かした
早く
早く
もっと早く
どれくらい経っただろう
私は道端に座り込んだ
もう、体が言う事を聞かない
タ、タ、タ、タ・・・足音が聞こえてきた
見ると、そこには
昨日の男の人が居た
でも、こちらには気づかずに通りすぎた
まるで、魂を抜かれたような顔
その時わかった
私の<お姉ちゃん>はもう・・・
もう、どうやって帰ったかわからないが
私は自分の部屋で寝ていた
その後は色々あった
警察の人が来てお姉ちゃんは死んだと言われた
お母さんは泣いた
お父さんも泣いた
私は・・・泣けなかった
もう、知っていたから
その時からだろう
私の周りが少しずつ
おかしくなっていったのは・・・
後書き
弓塚さつきに兄弟がいたらどうなるか、そう思って書きました。