そして物語は・・・


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1: グリフィンドール生 (2002/12/28 23:44:00)

「その色々・・・ありがとうございました。」
と、頭を下げられた。
「・・・いいよ別に、それよりこれからどうする訳?。」
ここは、山道の入り口。夜なので他には誰もいない。
下山していた時、俺はある物を見つけた。斧だ。まさか、と思って拾おうとした時、千鶴が起きた。
それが日神の物である、と断定された。恐らくもう・・・。
そして沈黙の中下山した。
「まだ、退魔ってやつを続ける訳?。」「はい、それが今の私がするべき事だと思ってます。」「そう・・・。」
もっと楽に生きろよ、と言いたかったが、俺に相手の人生に口を出す資格は無いと思うのでやめた。
「困ったら・・・。」「はい?。」「何かあれば協力するよ。っていうか辛くなったら会いにきなよ。・・・それしか出来ないから。」
何て自分勝手なのだろうか。俺には彼女を助ける力も知恵も無い。それでもこんな事を言うなんて・・・。
「はい、ありがとうございます。・・・でも私は・・・。」「とにかく、またな。」
俺は笑ってみせた。これしか俺にはできないから。・・・千鶴も笑ってくれた。
「そうですね。それでは・・・また。」
そして彼女・・・千鶴は森へと消えていった。



それから俺は駅に向かった。何故なら帰るためだ。<車>で。



気づいたとも思うが俺は監視される立場なのだ。屋敷、学校、友達の家、街中、と常に見張りがいる。
だが、こちらもそのまま引き下がる気は無い。プライベートは確保したかった。で、その時の状況に適応した方法で逃げまくった。今回もだ。
まあ、手口は簡単。
まず自分の荷物の中に発信機が無いか調べる。
次に町を歩く。(特に人込みが多い所)
次に大きい建物などに入る。
で、そこから出る荷物にまぎれる。(カンタンカ?コレ。)
そして・・・。
まあ、後は想像に任せる。今回もこれを応用した手口で逃げた。
しかし、迂闊にも追跡者を一人だけ許してしまった。
まあ、別にいいやと思ってそのまま山に登ったのだ。そしてこれだ。
恐らくもう捜索隊が出てるだろう。世間体を考え隠密裏だろうが。


        で、言った通りそのまま帰路についた。


「何を考えてるんですか。まったくいつもいつも・・・・・・・・。」
さすがに今日は怒られた。と、言っても屋敷の使用人長の原切さんだが・・・。
久我峰の人は俺とあまり関わろうとしないのだ。(斗波さんはよくわからないが・・・)
で、必然的にこうなる。原切さんは50歳を超えながらも未だに現役のおばさんだ。着物が似合う。
まあ、叱る人も人生には必要だと思う。でも・・・。
「大体いつもだらしが無い・・・これでは・・・とにかく・・・。」


それから俺は丸々3時間話を聞いていないといけなかったのはさすがにつらかった。

でその後、当分外出禁止(学校関係は除く)が言い渡された。





年が明けて1月、久我峰家の行事は俺には関係が無いので、暇つぶしに屋敷の骨董品や絵画を見て暇を潰していた。
これが結構面白かった。なんせここは一応金持ちの家なのだ。探せば色々ある。
・・・まあ、裏ルートで入手した物もあったがいいとしよう。・・・でも。

ルーブルにあるはずの<モナ=○ザ>があったのは何故だろう。(しかも、隠し部屋に・・・)


2月、バレンタイン・デーで学校中が緊迫状態だった。
ちなみに義理チョコなら10個ほど貰った。(・・・ホントウニ<ギリ>カ?。)


3月、ホワイト・デーなのでお返しをしといた。
でも、皆悲しそうにしていたのは何故だろう?。(オカエシノシナヲ、ゼンブモチナガラ、ガッコウヂュウアルケバ、ソウナルダロウ。)
その後、学校中の男子に睨まれた。何故だろうか?。(アンダケ、ミセマワリ、オンナヲナカセレバ、ソウナルッテ。)


4月、2年になりクラス編成、まあメンバーが変わってもそれなりなんとかなった。


5月、やはりクラスにグループが出来た。男は三つ、女は四つぐらいになった。俺は特定というのは無く、個人同士で付き合った。ある意味中立と言えた。
でも、女の子の中で一人だけ仲間はずれがいた。・・・まあ、俺はほとんど関わる事は無かった。


6月、いじめが起きた。まあ、どこの学校でもよくある事だ。しかし、厄介なのは男と女では<いじめ>というのがまるで違うという事だ。
男は集団暴力がほとんどだ、でも女は集団無視だったり暴力だったり色々でやりにくいのだ。
それに、いじめは本人が強くならないと根本的な解決にならない。だから、無闇に「やめろ」と言えばいい訳ではない。

ある日、その女生徒が担任に相談しているのを見た。何とか解決してくれればいいが。


7月、夏休みを控えたある日、その女生徒の鞄が滅茶苦茶にされた。さすがに俺は片付けるのを手伝った。で、先生はどうしたか聞いた。泣きながらも職員会議で話をしてくれると言い、校長先生も聞いてくれたそうだ。その後で友達から聞いたがこれが一度や二度ではないらしい。それにもっと酷い事になっているようだ。教師は何をしているのか。

次の日、俺は担任にこの事を聞いた。しかし、「いじめはない」なんて言葉が返ってきた。俺は色々言ったが無視された。さすがに殴りたくなったがなんとか耐えた。しかし、その現場を彼女に見られた。そして・・・。

その次の日、彼女は・・・・・・・・・・学校の屋上から・・・・・・・・・・・飛び降りた・・・・・・・・。

幸い、下に木が有り死ぬ事はなかった。だが、意識不明で入院だった。

当然マスコミが騒いだ。名門私立中学での自殺未遂、これで話題は十分だった。その時だ、自分の力の無さが本当にやになった。だからこの言葉に・・・切れた。
それは、体育館で全校生徒の前で校長先生<様>が言った。ちなみに男だ。
「えー、悲しい事が起きました。みなさん、いじめは・・・。」
ここは・・・良かった。
「みなさん、いじめを無くすには本人が強くならないといけない。でも中には強くなれない人がいる。そんな時のために我々教師がいるんです。」
どういう・・・事だ?。
「何かあれば周りにいる皆さんが何とかしないといけない。それでも駄目なら我々に相談してください。」
それじゃまるで・・・。
「我々は皆さん全員を見てるんですから。」
その場にいる生徒は当然そんな言葉は信じていない。伝わるものなのだ。学校の先生全員が皆このいじめを見て見ぬ振りをしていた事に。
だから、だろうか。普通はこれで話が終わり皆退室する・・・だが。

気づけば俺は校長先生<様>がいる壇上に向かっていた。途中一人の俺の担任の先生<様>が止めに入ったが・・・殴った。
ゴッ。腹に一発。今の俺は<鬼>の力を抑える事しかできない。さすがに最後の一線は超えなかった。
ダッ、ダッ、ダッ、壇上の階段を上る。さすがに向こうも気が付いた。
「き、君、失礼だろ。これについての話なら後で・・・。」
何か言ってるが・・・聞こえなかった。
スッ、ドッ。右ストレートを腹に。<鬼>の力は使っていない・・・はずだが・・・勢いで壇上から落ちた。
バダンッドゴドゴ・・・。落ちた。
「キャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。」
「わーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。」
「こ、校長ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。」
それぞれ五月蝿い声がした。ダダダダダダダダダッ。教員がこちらに来る。ある者は校長先生<様>に、ある者は俺を押さえに。だが、捕まる気は無かった。
校長先生<様>がいた所には大きな教壇みたいな物が有った。俺はそれを持ち上げた。
「わっわわ、よよよせーーーーーーーーーーーーーーーーーー。」
「や、やめろーーーーーーーーーーーー。」
それを下に・・・投げる。
「わーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。」
「避けろーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。」
「いやーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。」
ドオオオオオオオオオガアアアアアアアアンンンンンンンン・・・なんて音がした。とりあえず人には当たらなかった。そして・・・。
「うるせーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。」
俺は大声で叫んだ。
生徒も教師も全員動くのをやめる。
「皆知ってただろうーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。」
そう、これが俺の一番言いたかった事だった。


その後は、よく覚えていない。話によれば俺はそのまま帰ったらしい。当然、久我峰家では問題になった。だが、無視した。
もう、あの学校に行く気は無い。何もかもがやになった。・・・そんな時だった。


8月、それは物置でいつものように倉庫で色々あさっていた時だ。
「隆一様。」
振り向くと原切さんがいた。
「え、あ、どうも。」
頭を下げる。あれから、この人とはほとんど話していなかった。
「まったく、主人が頭を下げてどうするんですか。」
笑いながら言った。
「あの・・・何か?。」
怒られるような事はしていない。まあ、<あれ>を除けばだが。
「立った今、あなた様の処遇が決まりました。」
そうか、やっぱり俺は施設にでも戻されるのかもしれない。あの学校行くよりは良いが。
「で、俺どうなるんですか?。」
心の準備は出来ている。どんな事になっても・・・。
「・・家に一任されました。」「えっ。」
よく聞こえなかった。
「ですから、本家の<遠野家>に隆一様の身は一任されました。」
それは、どういう事だ?。
「それって・・・。」「どうぞ、お幸せに。当主の秋葉様はすばらしい方だと聞いています。」

その後は早かった気がした。
荷物をまとめ<遠野家>に送る。まあ、そんなにあるわけではないが。
そして・・・遂に出発の時が来た。
「それじゃ、お世話になりました。」
門で送ってくれた人にお辞儀した。
そして、一斉に・・・
「「「「「「それではお元気で、いってらしゃいませ。」」」」」」
原切さんを筆頭にほとんどの使用人が見送ってくれた。
「皆さん、色々ありがとうございました。」

そして、俺は<遠野家>に向かった。ちなみに迷惑を掛けたくなかったので一人で行く。お金や迷う心配はない。

果たしてこれからどうなるのか、俺には見当がつかない。

夏の強い日差しが終わりを告げ始めた8月の事だった・・・。





「はあ〜、とうとう、行ってしまったわね。」「そうですね〜。」
それは屋敷にいるほとんどの人が思っている事だった。
「何かよ〜。」「何だ?。」「もう、俺達の作った飯食ってくれないんだよな〜。」「ああ。」
料理人達もだ。
「さみしな〜。」「何かね〜。」「騒動が無いよね〜。」「うんっ。」
使用人達もだ。
「ほっほっ。」「どうされました?。」「いえね、子供が一人居なくなっただけでも違和感が有りましてね。」「・・・。」
主までもが、だ。
「やれやれ。」
原切さんである。彼女も長い年月でこれほど騒がしかった事は無かった。
「皆気が抜けちまって・・・本当に不思議だね、あの子は。」
だが、彼が居なくても時は流れる。
「さてと、ここは一つ皆に気合を入れてやらないとね。」
それが彼女の仕事なのだ。



そうして、話は<遠野家>へと移る。

後書き
 は〜い、見事年内に書けました。やっと本編とクロスします。本当はもっと早くするつもりだったんですがね〜。それでは良いお年を。(ペコリ。)


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