要注意!! これはギャグです。
今、出しています『路空会合』とは一切無関係です。
軽い息抜きとして考えてください。
「ひーーーん!!助けてくださーーーーい!!!!」
この日の朝は翡翠の呼びかけでなく、この悲鳴から始まった。
突然、俺に女の子が抱きついてきたのだ。
「うわっ、ちょっと・・・あれ?君どこかで・・・あーーー!!あの時有彦の所に居た子か!!」
「あれっ?あなたは、有彦さんのお友達の方ですか?」
「ああ・・・そうだけど・・・ところでさ・・・そろそろ離れてくれないかな?」
後ろで、レンがこれ異常無い位の無表情で睨み付けているのが振り向かなくても良くわかる。
それにこんな所を誰かに見られた日には・・・地の果て・・・いや、異世界まででも逃げないと・・・いや駄目だな。
あいつ等ならどこまで逃げても追いかけてきそうな気がするから・・・
現に・・・この前海外逃亡を図ろうとしたらインターポールから国際手配を受けていたな。
おまけに、ようやく逃げ込んだアメリカじゃあ、FBIやCIA、果ては大統領命令で軍隊まで追って来たし・・・
遠野家はアメリカ大統領にまで影響力を持っているのか?
その気になれば世界征服も可能じゃないのか?
おまけに、BIPクラスの待遇で遠野家に連れ戻された際秋葉は冷たい声で
「今度逃げようとしたら・・・そうですね、ちょうど遠野家個人で飼っているスペツナズの残党の方々が暇をしていましたから、彼らに任せましょう」
おいおい秋葉・・・お前は旧ソ連にまでパイプ、持っていたのか?
しかしその後ろで「あはは〜秋葉様それよりもどこかの国の収容所に送って、死ぬまで反省してもらう手もありますよ〜」
割烹着の悪魔・・・いや、人の皮を被った悪魔が悪魔に悪知恵を吹き込んでいた。
それよりも琥珀さんそのネタ、今の時期はやばいですよ。
脱線したが・・・とりあえずこの子は一体何者なのか聞かないとな
「・・・君が?・・・あの?」「はい、そうなんですぅ」
俺はその女の子(?)の話を聞いて絶句した。
この子が?あの第七聖典の精霊?
「あの・・・第七聖典って・・・あれだよね?あの超重量級の重火器の?」
そう、シエル先輩の持つ、食らった相手には転生すら許さない、いわば道具版の『直死の魔眼』とも言うべき物騒極まりないもの・・・
正直な話あれを持って、殺そうと迫る先輩の姿を一週間連続で悪夢で見たのは俺だけの秘密だ。
「はいぃ・・・今はそうですぅ」「今は?」「はい、私は元々は清き聖典・・・つまり本だったんですよ」
「はあ・・・」「それをマスターはかっこいいからと言って・・・」
それから俺は延々と彼女のマスター・・・先輩の事への愚痴を聞かされた。
「・・・酷いでしょう?そして今では私はあんな姿にされて・・・それこそ聞くも涙語るも涙の話なんですよぉ」
「は、はあ・・・で、何でここに?」
そしてようやく一区切りついた所でようやく俺は本題を切り出せた。
「あーーーーーっ!!!!そうでした!!そうでした!!!!お願いです助けてください!!このままだと私永久に聖典に戻れません!!」
「えっ?それって・・・」
その時、こんこんとノックの音が聞こえ、直ぐに
「志っ貴っさーーーんおはようございまーす♪」
語尾に音符までつけて心底楽しそうに琥珀さんが入ってきた。
「ああ、こはくさんおはよう・・・って!!なにもっているんですかぁーーーー!!」
俺が驚いたのも無理は無かった。
琥珀さんは、巨大な十字架を手にしていた。
鋼鉄製の無骨な十字架でちょうど中心部分には取っ手が付いている。
しかし・・・なによりも・・・
「琥珀さん・・・どうやったらその十字架を片手で持てるんですか?」
「あらら〜志貴さん、だめですよー見た目で判断しちゃあ、これって結構軽いんですよ」
嘘だ、絶対に嘘だ。
「で・・・琥珀さんそれ・・・」「あーーーーーーーっ!!!」
俺がそれが何かを尋ねようとしたら、急に、ななこちゃん(本人がそう呼んでくれと言った。有彦につけてもらったようだ)が突然大絶叫した。
「えっ?どうしたの?」「それですぅ!それが第七聖典です!!」
「へっ?」
俺は一言間抜けな声を発してから、その琥珀さんの十字架をまじまじと見た。
「・・・サイズ違っていないか?・・・っと、そうじゃない。琥珀さんこれどうしたの?」
「はい、実は昨日屋敷の門の前に大きな物がありましたから、持って帰って改造したんですよー。ちょうどいい、参考がありましたから」
そういいながら琥珀さんは懐から一冊の本、いやマンガ本を取り出した。
題名は『ト○イガン・○キシマム』。
「・・・・・・」「・・・・・・」
「で、この引き金をこうしますと・・・」
絶句した俺たちを尻目に琥珀さんは取っ手部分をぐるっと回した。
その途端、ガシャン、と十字架の一番長い部分が二つにわれ中からマシンガンの銃口が鈍い光を浮かべている。
「で、これを引きますと・・・」「「うわああああああ!!」」
俺たちは慌てて床に這った。それと同時に頭上からズガガガガガガガガガガ・・・と、すごい轟音が響いてくる。
暫くして、音もやみ恐る恐る顔を上げると、そこは・・・言葉では言い尽くせない凄惨な状態と化していた。
「と、言う訳なんですよー」「と言う訳じゃあありません!!」「そうですぅ!!私も危うく消滅するところだったんですよ!!」
確かにななこちゃんの場合は洒落にならない。自分に殺される様なものだからな・・・
そんな事を考えていると、唐突に残った窓枠が盛大に壊され当の」シエル先輩が乱入してきた。
「セブン!!こんな所に居たのですか!!」「あっ!マスター・・・ふぇぇぇぇんマスター」
するとななこちゃんが感極まったのか泣きながら先輩に抱きつく。
「??どうしたのですか?セブン?」「助けてください!マスター!このままだと私、二度と聖典に戻れませーーーん!!」「はあ??」
先輩は何が何なのかさっぱりわからず、俺に視線を向けた。
「遠野君、どう言う事なんですか?」「・・・あれです、先輩」
答える気力も無かった俺は、そう言うと琥珀さん・・・正確には琥珀さんの手にした第七聖典のなれの果てを指差した。
「??」暫く先輩は何の事なのかわからず、まじまじとそれを見ていたが気が付いた様だ、不意に
「琥珀さん!!」「は、はい・・・」
先輩がすごい剣幕で琥珀さんに詰め寄る。
ぶるぶると体を震わせている。
さすがの琥珀さんも少したじろいでいる。
「・・・貴方がこれを?」「はい・・・そうですよ・・・」
さすがに先輩も怒ったのか・・・琥珀さんも気の毒だけどいい薬だろうな・・・そう思った瞬間、
「・・・すごいですっ!!!!琥珀さん、あれをここまですばらしい形に改造できるなんて!!!」
俺とななこちゃんは見事にこけた。
どうやら、感激のあまり体を震わせていたらしい。
「あは〜そうですよね、そうですよね!!」
琥珀さんも一転して満面の笑みを浮かべて、機関銃の様に喋り捲る。
「あっやっぱり『トラ○ガン・マキシマ○』でしたか?私もそれに改造をしようとしたんですけど、上手くいかなかったもので」
「そうですか?結構楽でしたよ」「そうなんですか!!」「はい、こう見えても私模型作りが趣味でしたから」
そんな会話を俺たち二人は呆然として聞いていたが不意に会話が危険な方向に向かった。
「でも私としてはまだ不満なんですよーアニメ版で出ていた十字架型のダブルマシンガンあれを造りたかったですから」
「私の場合は、原作に出てくる両腕に装着させるタイプあるじゃないですか?あれにしたかったんですけどねぇー」
「じゃあ、二人で造りませんか?これを四つに分割させてそれぞれで造ると言うのは」
あの・・・琥珀さん、先輩、随分と危険な発言が出たんですが・・・あっななこちゃん声も上げられない様だ。
そうだよなぁー四つに分けれるのって痛そうだよなぁー
そんなことを考えていると、
「で、シエルさんは登場する時にも『埋葬機関に属する者その機能こそ存在のすべてと知れ』とか言って登場したらどうですか?」
「あっいいですねぇー一度そういう登場してみたかったんですよ。」
先輩・琥珀さん、それ作品違います・・・
「そうと決まったからには!」「はい、善は急げとも言いますしね」
そう言うと、琥珀さんは軽々と十字架を担ぎ、先輩は俺にしがみつく様に隠れていたななこちゃんをむんずとつかむと引きずる様に部屋を出て行った。
「いやですぅぅぅぅぅぅ!!!・・・志貴さーーーーん!!・・・たーーーーすーーーー・・・」
ななこちゃんの悲痛な悲鳴がしばし聞こえていたがやがてそれも聞こえなくなった。
・・・ごめんななこちゃん、俺にあの危険な兆候の二人を止める事は出来ない。せめて強く生きてくれ・・・
そうして俺はずたずたとなった部屋で唯一無事なベットに再び潜り込むと今度は翡翠がくるまで再度の惰眠をむさぼるのだった。
後日、遠野家から女性の悲痛な悲鳴と悦にいった不気味な笑い声が響いてくると言った噂が流れた。
真偽の程は・・・説明の必要も無いだろう。
また、埋葬機関の第七司教が巨大な十字架を担ぎ、両腕にはやはり小型の十字架を装着しているとの噂が人外達の間で広まっていると言う事を俺はアルクェイドから聞いた。
これについても説明の必要があるだろうか・・・・
後書き
今回は自分の息抜きの意味でこんなバカな作品を書かせて貰いました。
実はギャグや暴走物も自分は大好きです。
ですが、自分では書いても、たいして上手くないですから、今まで控えていましたが・・・いかがでしたでしょうか?
まあ、今回は性質の悪い悪ふざけとして大目に見てください。
その分『路空会合』は真面目にいきますので。
その『路空会合』ですが年末に出来れば一作書いて今年を終わらせようとは思っていますが・・・期待外れで終わるかも知れません。
気軽に待っていて下さい。