七夜神話


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1: 蒼月 (2002/08/04 11:55:00)

―――遥か神話の時代、この古の日本で神と邪神の闘いがあった。
この地に突如現れた邪神は天災などの禍を人間達に与え、苦しめた。それを見かねた天津神々は、一人の神を地上に送り出した。
神は勇気のある者達――人間達を率いて邪神と戦った。
人間達は一般に超能力者と呼ばれる者達で、名を、「草薙・八尺瓊・八咫」の三種の神器の三宗家と、
退魔一族の四大宗家、「両儀・浅神・巫浄・七夜」と言った。それらをまとめ束ねた神は
「スサノオノミコト」であった。
退魔の者は邪神が造り出し、魔と化した哀れな亡者達の始末に回り、三神器の一族は神と共に邪神の処断に回った。
戦いは7日7晩続き、両者ともに満身創痍の状態のはずだった。だが、邪神は弱まるどころか、ますます力が膨れ上がっていた。
スサノオはこちらが不利とみて、最後の攻撃に出た。自身が持っていた神剣「天叢雲」を天に向かって思い切り投げた。
雲の彼方に消えた後に、五芒星の印が浮かび、その光が邪神を照らした時、邪神から力が抜かれていくのが分かった。
「今だ!――かかれっ!!」その言葉に三神器の八咫が周囲に結界を張り、八尺瓊が「封ずる炎」を邪神に放って身動きを出来なくし、
草薙が「薙ぎ払う炎」を、邪神にぶつけた。それは、この世の全てを焼き尽くさんばかりの凄まじい真紅の轟炎だった。
ドゴグワアァァァァァァァァァッッッ!!!!!
紅き閃光の後、そこにあったのは一面の焼け野原と、もうすでに死に体の邪神だった。
「・・・これで、狂った世界の理も元に戻る・・・。」スサノオが言った。
「―――見事だな。だが、これで我が滅ぶわけではない・・・」
邪神が空を見上げながら言った。「!!!」驚く人間達。
「我はこれから永き眠りに就くだけだ・・・。悠久の時の果てに我は再び蘇ろう。それまで、束の間の平和をせいせい楽しむがいい・・・。」
邪神はそう呟いた。スサノオは一息ついて、「その時は人間達が必ずそなたを完全に滅ぼす術を見つけてくれるだろう。」そう告げた。
「フフフ・・・楽しみにしてるぞ・・・」その言葉を最後に、邪神は眩い光に包まれ、そして、淡い光の粒子になって消えていった。
草薙が八尺瓊に「終わった――のか?」言った。八尺瓊は「さあ、な・・・」呟いた。
七夜「八咫殿、――こちらは全て事を終えました。」八咫「あ、えぇ、ご苦労様です。」
スサノオ「――皆の者・・・。よくやってくれた。心から礼を言う。」
三神器と退魔一族が彼の者に跪き「いえ、貴方様の御力がなければ、私達は負けていました。こちらこそ、感謝の極みでこざいます。」
スサノオ「ふふ・・・。――っ!」ごぶっ!  スサノオが微笑んだとたん、急に血を吐き出した。
その時、スサノオの体が空気に溶けるように薄くなりつつあった。
人間達「!!!!!!!」驚愕する人間達。「大丈夫ですか!?スサノオ様!!」
スサノオ「くっ、・・・。よい。どうやら・・・此処までか・・・。」そう呟くと、天を仰いだ。
―――主よ。我は高天原へ還る時がやってきました。ですが、その前に、遠き未来に来るべき危機に備える為に、我が力を此処に残してきます。
スサノオ「・・・七ツ夜よ、前へ来よ。」七夜「はっ!?御意!」七夜がスサノオの前に跪ずき、神の言葉を待った。
スサノオ「七夜よ。我が力、そなたに授ける。」七夜「―――!」スサノオ「我は在るべき処に還る。その前にそなたに託したい。」
七夜「・・・何故、私などに?私以上の力有る者なら他にいましょう?」スサノオ「七ツ夜・・・この言葉は別の意味で死を司るとされる。」
七夜「・・・」スサノオ「そして、遥か未来に蘇るだろう邪神を、そなたの末裔に滅ぼしてほしいのだ。だが、力は代を重ねるごとに薄れていってしまう。」
七夜「―――――」一瞬の驚愕。だがすぐに取り直す。「それで・・・?」スサノオ「我が力を絶やすことが無い様、その血で純度を保ったまま、受け継いでいくのだ。」
三神器・両儀・浅神・巫浄「・・・・・・・・」それぞれ顔を見合わせながら驚いている様子だ。
スサノオ「―――頼む。我がスサノオノミコトの名にかけてこれを命ずる。」しばし考え、七夜は「・・・分かりました。その力、我が一族の血を以って末代まで伝えてみせましょう」
そこに、迷いはなかった。スサノオは満足し、右手を掲げた。スサノオ「立て。」七夜「はっ。」スサノオは右手の掌を七夜の胸に着け、力を一点に集中する。そして、
スサノオ「はっっ!!!!!」七夜「―――――!!!」バンッッッ!!!衝撃音が響き渡った。
七夜「・・・こ、これが・・・神の力・・・。」七夜は全身に漲る力を恐るべきまでに感じていた。
スサノオ「そうだ。その力、決して悪行に使うではないぞ。」七夜は跪き「御意のままに」
スサノオ「うむ、では頼んだぞ。・・・さらばだ。そなたたち人間の未来に繁栄と平和あらんことを願う―――」
そして、スサノオは淡い光の玉となって天に帰っていった。地にはこの国を救った神に深い敬意と感謝、祈りがいつまでも続いて行った。

その頃、遠き異国の地、山奥の開けた草原に聳え立つ、千年城で一人、真円に輝く月を見上げた者がいた。
ソレは、この世界の原初の存在にして究極の一、――朱い月のブリュンスタッドだった。
流星を目に留め、「・・・彼の者はどうやら滅びたか・・・。」嘲笑を浮かべ、「まだ時期尚早だったという事だ。愚かなり、邪神よ。」
朱に染まる月を見上げ――、「我には時間が味方してくれる。我にとっては悠久の時などただ流れゆく川のようなもの。待つ事は苦痛ではない。」
真紅の双眸を金色に光らせ――、「そして時が満たせば、我は使命を果たそう。邪神よ、貴様の二の轍はふまん。・・・さらばだ、ガイアと共に在り、我と同じ自然の代弁者でもある」
「オロチよ―――」

そして、幾星霜の時の果てに、死を究極とする者――七ツ夜と、究極の一の存在――朱い月は出会う。
この二人の出会いは破滅をもたらすのか、それとも永き眠りに就いている邪神を呼び起こすのか―――?


後書き
 初めまして。ふとSS書いてみたくなって打ってしまいました。
 ヘボですね(汗)これをみて、何か感想か(苦情?)をくれると
 嬉しいです。ではでは、次に暇があればまた書いてみたいと思います。
 ごきげんよう〜☆


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