Dream (M:翡翠 傾:日常)


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1: 月影朧 (2002/05/23 23:06:00)

8年前の懐かしい夢を見ていた。今ではもう手に入らないと思っていた、あの頃の夢。

屋敷の敷地内という限られた空間が世界の全てと思い、
時間が無限にあると信じて遊びまわったあの頃。
志貴さまがいて秋葉さまがいて、まだ四季さまが反転してなくて私がいて、
そして姉さんがいた。そのことがとても嬉しくて、とても悲しかった。
ただ、これでこれが夢であるとわかってしまった。
私が「そのこと」を認識してしまったとたん眼が覚めてしまった。
明けない夜が無いように、覚めない夢も無い。それはそんなとても単純なコト。

そんなコトをぼーっとながら考えていると目覚ましが鳴り始めた。
時刻は午前4:00、さぁ、仕事をはじめる時間だ。私はいつものメイド服に着替え、気合を入れる。

少しでもあの人の役に立てるように。そのために私はいるのだから。

「おはようございます、姉さん」

「はい、おはようございます。翡翠ちゃん。
どうかしたんですか?嬉しそうですよ」

志貴さまが帰ってきてから姉さんも明るくなった。
前みたいな張り付いた笑顔ではなく、本当の笑顔を見せてくれるようになったと思う。

「今朝の夢見が良かったんです」

「それは良かったですねー、志貴さんでも出てきましたか?」

「……違います」

「それじゃあ、お仕事がんばりましょう」

「はい」

屋敷にある窓という窓を開け放ち、屋敷内のよどんだ空気を朝の新鮮な空気と入れ換え、
屋敷内いで目に付く所を簡単に掃除をする。そんな事をしているうちに、時刻は6:30に。
さあ、志貴さまを起こしに行かないと。

階段を上り、二階にある志貴さまの部屋へ向かう。扉の前で深呼吸をして気を落ち着ける。
……中から変な物音はしない。またあの方がいることは無いようだ。
ほっと胸をなでおろし扉をノックする。

 コンコン

「失礼します」

     さぁ、今日も頑張ろう。
     もう四季さまはいないけど、何時かあの夢が現実になるように

あとがき
 はじめまして、月影朧といいます。
翡翠の朝の日常を書いてみたくなって、書いてみたものです
まだまだ精進の余地ありですな。それではまた何処かで


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