Red Venus With Masking Smile!!


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1: 天戯恭介 (2002/05/06 20:51:00)[mad_piero at hotmail.com]


ここに一つの逸話が残っている。

紅い弦を用いて妖を退治する陰陽師の逸話が…。

ここに一つの逸話が残っている。

蒼い弦を用いて妖を狩る陰陽師の逸話が…。

全てにおいて双璧を成す二つの弦…。

人々はそれを…弦師士(げんすいし)と呼んだ。


紅い弦は弱者を守るため……。

蒼い弦は己の身を守るため。


二つの思想の違いから…紅と蒼の弦は憎み合う。

今…その伝説が再び蘇る。

紅い弦を紡ぐのは乾

蒼い弦を紡ぐのは巽

そして死の線を七夜がなぞる――。


Kyousuke Amagi Presents…
Red Venus With Masking Smile!!
Featuring 【ITIKO INUI】


「序曲」

夕方は買い物をする奥様で賑わう繁華街。
おもに中年女性が店の前で数人集まり世間話をしている。
そんな買い物をする人達が賑わう集団の中でこんなにも目立つ女はいない。

薄い赤い髪のポニーテール――

真紅のカラーYシャツに下は色褪せたジーパン――

マルボロを口に咥えながら買い物袋を手に下げる20代前半の臍淑女

乾一子その人に違いない。

買い物袋を手に下げて仏頂面をする彼女は繁華街を行き交う人々の中ではかなり異質だ。
周りの人はそんな危ういオーラを出して突き進む彼女に道をあけるように避けていく。

「……ったく、なんで私が…!!」

ちなみに買い物袋の中身はニンジンやジャガイモ…そしてカレールーが入っているのを見る限り、今晩はカレーでも作るのだろう。

―でも、誰が?―

元来、なにもしようとしないグータラぶりを発揮している乾一子本人にはカレーと言う(しかもレトルトではない)
高等料理が作れるはずはない。では愚弟の有彦か……?

それは否…何故なら乾家には愚弟有彦はいない。彼は現在、宿舎のある専門学校に進学しており、乾家にはいないのだ。

「あ、一子さん」

と、不機嫌のオーラを身に纏う彼女に明るい青年の声がかかる。

「……有間か」

呼ばれた一子さんは呼ばれた方向にだるそうに視線を動かす。
青年の服装は黒いYシャツに黒いズボン…黒を基調としたファッションだ。
長く伸ばした髪を後で束ね、メガネをかけている。
一見、その姿はホストに見えなくもない。

その有間と呼ばれた青年は不服そうに唇を尖らせる。

「一子さん…いい加減その言い方やめません?俺達ってそんな余所余所しい間柄じゃないでしょ?」

青年の言葉にますます陰険…もとい、「不機嫌です」オーラを出す、乾一子22歳。
そのオーラが周囲の人間に警戒心を与えてしまうのか、とうとう二人の間に割り込もうとする人間すらいなくなってしまった。

そして吐き出すように一子さんが叫んだ。

「ああ、そうだな、家にアイツがいなければな!!」

アイツ?

バッチ〜〜〜〜〜ん!!

場所は変わって乾家

「ただいまぁ…」
顔にでっかい紅葉マークをつけて遠野志貴20歳は先ほど乾一子に無理矢理持たされた買い物袋を玄関口に置く。

刹那――

「おっかえりぃぃぃぃ!!」
リビングからこれまた明るい臍淑女の声

この玄関口での何気ない言葉のヤリトリ…だが乾家のヤリトリは少し違う。

「あっ、先せ…げふっ!!」

真正面からの衝撃――

突っ走って志貴のどてっぱらにタックルをかまし押し倒したのは、長い髪の毛を一子さんより真紅に染めた魔術協会ではマジックガンナーの異名を取る。

「せ、先生!!は、離れてください!!」

ミスブルー…蒼崎青子24歳その人である。

「おかえり〜志貴〜♪」

志貴を先生と呼ばせるほど大きな影響を与えた人物は教え子の懇願を聞き入れようとせず、もう志貴にキスの嵐をぶっかけまくる。
その姿はメス猫の求愛をいやがるオス猫のように見えなくもない。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……………!!

その隣で…なんか某少年マンガなどで使われる効果音が起き始めた。

その効果音に青子さんはやっと志貴の隣に乾一子という人間を視認した。

「アレ?一子いたんだ」

「最初からいるわぁぁぁぁぁぁ!!」

その後も続く天を震わせる大絶叫はご近所まで響き渡った。
その後、繁華街では
「奥様、ご存知?乾さんちのこと」
「ええ、何でも痴情のもつれとか………」
一子さん大絶叫の噂にとんでもない尾鰭がつき、乾一子はしばらく繁華街に買い物に出れなかったそうな…。

顔面にキスマークと両頬を紅葉マークでデコレーションされている志貴やんを挟むように
右には破壊真蒼崎青子、そして左には駄目人間日本代表の乾一子が陣取っている。

夕食の席です…コレ

「………」
「………」
「………」

沈黙……三人とも一言も発せぬまま、少し水っぽいカレーを淡々と口に含んでいる。
そして……

「「「ご馳走様(でした)」」」

その言葉を合図に二人がほぼ同時に立ち上がる。
志貴は「またか…」といった面持ちで立ちあがった二人を眺める。

「ほほほ、中々水っぽいカレーで味わったことのない触感でしたわよ、一子さん」
と、先制口撃をとったのは青子さんだ。
お嬢言葉で嫌味口撃。
これもいつも決まって起こるイヴェント…食事当番が二人の時の火、水、木にこのイベントは発生する。

歌月十夜のスキップタイトル風に言うと「大決戦!!赤い彗星VS真紅の稲妻」って感じである。

先手を打たれたのが悔しかったのか、一子さんは口撃ではなく攻撃で返そうとしたがここはぐっと怒りを押さえ
「……そういえば青子さん、先週の卵の殻が混じりまくった蟹玉はと〜〜〜〜っても美味でしたわ♪」

バチバチバチ……!!

二人を中心にびりびりと電流の奔流が竜のように渦を巻き、天に昇る。

志貴はそんな二人を尻目に食べ終わった三つの皿を持ってキッチンの方へ歩いていった。

―なんで二人とも仲良くできないんだろう?―

あの事件から半年経つというのに……。

志貴がこんなうらやま……もとい、こんな面白い状況になったのは半年前のあの「事件」が原因である

ちなみに話しは半年前に遡る。

To be Next SS……「発端」

See you again!!

あとがき/スパロボ第二部突破!!エクセレン(洗脳ver)萌えてるぜスペシャルゥゥゥゥゥゥ!!

お久しぶりの天戯です♪
さて投稿掲示板から月華と月神楽…そしてCageが消えた時…「凪がァァァ!!俺の凪がァァァ!!」と
枕をぬらした人もいるでしょう(いねえよそんな奴)でもご安心を!!なんとまた月華の鎮魂歌並びに月神楽
書き直しけってぇぇぇ!!って、えええええ!?またやるの!?……やります。書き直します。全部…第一話から。
設定も一部変更…(っていうかストーリー全体を見直して組み立て直す。)

でもこの俺的に萌え萌えな先生&一子のSSを書き終わってから…(完結は夏頃予定…)

では気分を一新して書き上げた「Red Venus With Masking Smile!!」
タイトル長いですが、どうかお付き合いください…では!!

戦闘BGM「愛は奇跡(ミラクル)」


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