路空会合2話一


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1: 烈風601型 (2002/04/25 11:50:00)[kouji-sugi at mtj.biglobe.ne.jp]

意識が覚醒していくと同時に俺は周囲に複数の視線を感じた。
(今日は翡翠は?)
脳裏にそんな事を考えたが、半ば本能で目を開ける。
そこには、「志貴ィ!!」「遠野君!!」「兄さん!!」とゼロヨンのロケットスタート顔負けの
突進で俺に突っ込んでくるアルクェイド・先輩・秋葉の姿。
「・・・志貴様・・・志貴様・・・志貴様・・・」
俺の名を繰り返し呟きながら泣きじゃくっている翡翠と、「あはー志貴さん目が覚めましたか?」
と、泣きながらにっこり微笑んでいる琥珀さんがいた。
「ち・・ちょっと、皆どうしたんだ?まるで臨死までいった人間が奇跡的に回復したのを祝っているみたいじゃないか?」
「似たようなものです!!私達、兄さんが本当に死んだと思ったのですよ!!」
「そうだよ!昨日翡翠が泣いたの無理ないよ!!今朝の志貴本当に死んだと思ったよ!!」
「遠野君!!体の調子はどうなんですか!」
「えっ・・・」
俺は秋葉達の思わぬ言葉に絶句した。
「翡翠・・・今日・・・と言うか、今朝の俺、そんなに酷かった?」
「・・・・・・」翡翠はまだしゃくり上げていたがはっきりと首を立てに振った。
「志貴さん、実は翡翠ちゃんが志貴さんを起こしに言った時にすごい勢いで翡翠ちゃん降りてきたので、
どうしたのかと思ってここに来たら、志貴さん・・・いつも以上に顔色が蒼白で、秋葉様なんて卒倒する寸前でしたよ」
表面上冷静に俺に説明する琥珀さんだったがその事を思い出して不安になったのだろう、みるみる内に眼に涙が溜まってきた。
「志貴・・・本当に大丈夫なの?」「ああ・・・体の方は大丈夫・・・と言うよりこんなに好調なのは久しぶりだ」
そう・・・別に以上は無い。
いやそれどころか、体は近年に無い位絶好調でこのまま一気に七夜の森まで行ける位だ。
しかし・・・昨日は・・・ああそうだ。
見たんだ・・・ナナヤホウメイノユメ・・・ナナヤイチゾクサイキョウノトウシュノ・・・
ソシテ・・・デンセツノ・・・『・・・』ノユメ・・・・
「ニイ・・・ニイさん・・・兄さん!」「えっ?・・・ああ、ごめん秋葉、ここんところ、ぼうっとしてばっかりだな」
「遠野君、やはり体調が優れないのではないのですか?今日からの旅行は・・・」
「いや、先輩体の方は本当に絶好調なんだ。それに仮に不調だとしても、俺は七夜の森に行く気だし」
そう、なんとしても七夜鳳明の記録を手に入れなくはならない。
「そうですか・・・では朝食を皆で食べますか」「えっ?まだ朝飯食っていなかったのか?」
「うん!そうだよ!今朝くらいは皆で食べようって妹が言ったから!」「はい〜それに時間もまだ一杯ありますから」
琥珀さんがそう言ったので時計を見ると時間は六時半前。
「ああそうか・・・だから翡翠や琥珀さん仕事着なんだ。じゃあさっさと飯食わないとね、二人の私服早く見たいから」
「あは〜いやですよー志貴さんったら」「あっ・・・」
はは、二人ともそれぞれの表情で顔を赤くしている。
「・・・兄さん・・・」「・・・遠野君・・・」「志〜貴〜」
びくっ!!ま、まずい・・・ここには後三人いたんだ。
「じゃ、じゃあ俺はこれで!!」
完全に包囲される寸前俺は咄嗟に脱出に成功させるとそのまま一階に逃げ込んだ。
「あーっ!!志貴逃げた!!」「待ちなさーーい!兄さん!!」「遠野君!!ずるいですよー!!」
・・・後ろから恨みがましい声が聞こえてきたが敢えて俺は無視した。
なぜならまだ俺だって命が惜しい。

団欒とした空気と緊張感を持った空気が微妙に混ざった空気の中、俺たちは朝食を済ませた俺達(翡翠・琥珀さんは着替えに手間取っているようだ)は八時五分前には玄関前に集合していた。
「へへーどう?志貴?似合う、似合う?」「あのなあ・・・アルクェイド似合うも何もいつも通りの格好だろう」
アルクェイドはいつもどうりの服装で背中には標準のナップザックを背負っているのが唯一の違いだろう。
「むぅー志貴、こういう時には嘘でも誉めるものだって雑誌に書いてあったよ〜」
俺の答えにご機嫌斜めになったお姫さまは膨れっ面で俺を睨んでいる。
「なんだ、お前嘘でも誉めてもらいたいのか?だったら無い事、無い事並べてやっても良いが」
「うー志貴の意地悪〜」
すっかり拗ねてしまった猫を放っておいて、「へぇー先輩そんな服も似合うんですね」
「当たり前です!!私もロアに支配される前は普通の女の子だったんですからね!!」
先輩は淡い水色のワンピースとスカートを着て、顔を軽く紅くしてそう反論した。
「ははっごめん先輩、先輩と言うとうちの制服か法衣しか見ていなかったから。でもそう言う服装も似合っているよ」
「もうっ」先輩はそう言いながらも嬉しそうにしている。
「では兄さん私の服装は似合わないと仰るのですか?」
「おい、秋葉何言い出すんだ?お前だって充分似合うぞ。そのなんだ、秋葉らしい服装と言うか」
秋葉は黄緑を基調としたロングスカートとブラウスをを身に纏っているがとてもよく似合っている。
「あっありがとうございます」
俺の言葉に秋葉は満面の笑みを浮かべた。
とそこへ、「志貴様お待たせしました」「すみませーん!!私服なんて本当に久しぶりだったので少し手間取っちゃいましたー」
そんな声がした。
翡翠達が来た様だった。
「ああ遅かったねひ・・・」俺は振り返ったがその瞬間、頭がショートしていた。
「?・・・志貴様・・・やはり似合いませんでしょうか?」「駄目じゃないすか志貴さん。翡翠ちゃんは不安で一杯なんですから、志貴さんちゃんと誉めてあげてください」
俺の沈黙をどう受け止めたのか、翡翠は不安そうに琥珀さんは琥白さんは少し怒ったような口調でそんな事を言ってきた。
「・・・いや・・・二人共余りにも可愛かったから言葉が出なかった・・・」
俺が二人のメイド服や割烹着に見慣れ過ぎていたかも知れないが、それを差し引いても、俺の視線は二人に釘付けとなっていたに違いない。
翡翠は深い蒼を基調として、琥珀さんは淡い黄色を基調とした、ワンピースにカーディガンを羽織り、ミドルスカートを身に纏っていた。
おまけに・・・琥珀さんはあの時の白いリボンを結んでいる・・・
これは文句なしで可愛い・・・
「・・・あ、有難うございます志貴様・・・」「あは〜照れちゃいます〜」
そう言いながら二人とも顔を真っ赤にしながら俺を見ている。
やはり服を誉められると嬉しいらしい。
しかし、後ろから「「「むぅーーーーー」」」何だかんだで機嫌が良かった三人が、今度は不機嫌そのものの表情でこちらを見ている。いや、あれは睨んでいると言った方が良いかもしれない。
「さ、さてと、じゃあ行くとするか。・・・っておいアルクェイド、昨日言っていた、使い魔はどうしたんだ?行きたくないのか?」
「あら、もう来ているわよ。それも志貴の足元に」


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