路空会合1話6


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1: 烈風601型 (2002/03/13 10:42:00)[kouji-sugi at mtj.biglobe.ne.jp]

俺は部屋に戻ると直ぐに引き出しからある物を取り出した。
それは明らかに年代物と分かる巻物と、二・三十年前に書かれた物と思われる書物で
表紙には達筆な字で『七夜歴代当主録』と書かれている。
これらの代物は、俺が七夜の記憶と力を取り戻し暫くしてから見つけた物だった。
その時俺は無性に自分の故郷と言うものを見てみたかった。
何か残っている事に関しては、全く期待していなかった。
あの虐殺の後、里は全て焼き払われたと聞く。
しかし、それでも見てみたかった。
たとえ、ほんの数年しかいなくても七夜志貴が人生を紡いできた地を・・・
そして気がつけば俺は街から街を、木から木を、そして山から山へと次々と風のように
飛び移り、僅か四時間程で『七夜の森』の中にある、七夜の里跡に足を踏み入れていた。
やはりと言うべきか殆どの家屋が焼き払われていたが、唯一つ、当主が住んでいたと思われる
屋敷のみは何処も焼かれず無事であった。(もっとも、もはや朽ち果てていたが・・・)
そこに俺は何かに誘われる様に入った俺は腐った畳の下に隠されていた、隠し階段を見つけ、そこから地下に下りたのだ。
そこは、薄暗い所為でよくは見えなかったが、書庫の様だった。
土が剥き出しの床にはござを敷いていて、三方の壁に手作りと思われる木製の本棚に二・三十冊の
書物が並んでいた。その中で俺は正面の本棚の二列を使っていたこの二つと、後もう一つある物を持ち出した。
そして俺はひとまず、外に出ると大急ぎで屋敷の帰路に着いたのだ。
門限に間に合わなくなる事を今更ながら思い出して・・・
まあ、結局間に合わず秋葉にはこっぴどく責められたが・・・
ともかくも俺はこいつを使い七夜鳳明を調べるつもりだった。
きっと何かわかると確信しながら・・・

一方居間では・・・
「妹ー志貴、あれから戻ってこないよー」「ですから!その妹と言うのは止めて下さいと、何度言えばわかるのですか!!」
志貴が自分の部屋に篭ってから既に六時間経過している。
しかし、志貴が未だ居間に戻ってくる気配は無い。
流石に秋葉達も苛立ちと不安がいよいよ高まってきた。
しかし、先刻の事もあるため強引に入る事には気が引いていた。
「遠野君、一体何を調べているのでしょうか?」「無論、『ナナヤホウメイ』さんについてでしょうね」
「一体何者なのかしら、翡翠なにか心当たり無い?」「いえ、ただ今朝の志貴様は苦しそうな寝顔をしていたと言う事だけでした」
「それにしてもちょっと早とちりしちゃいましたねー」
「当然です。私はただ部屋で心配をかけまいと、気持ちを落ち着かせようとしていただけです。
皆様いかに志貴様を信用していないか、良い証拠では無いですか。
・・・そ、それに浮気なんてそのような事をする訳無いじゃないですか。私という恋人がいるのに・・・」
翡翠の言葉に四人ともしゅんとなって聞いていたが、最後の呟きに全員色めきだった。
「翡翠ちゃん、今何を言ったのかな?志貴さんは私という人形に、人のぬくもりをくれた、最愛の人なんですからね」
「翡翠、琥珀二人とも何を寝言を言っているの?兄さんと私はあの時私を守ってくれた時から、私と結ばれる運命ですからね」
「あら、でも遠野君と秋葉さんはまかりなりにも兄妹なのですから、近親相姦を遠野君が望むとは思えませんが」
「そうだそうだー志貴は将来私の死徒になって夫婦で死徒退治するんだぞー」
「なっ!!何を言っているんですか!!遠野君は私の公私ともに一番大切なパートナーになってもらうんです!!」
そんな事を騒いでいると誰かが階段を下りる音が聞こえてきた。
志貴が下りてきたようだった。


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