うさぎさんはさみしいと… CG:ASH おまけSS:阿羅本 |
駄目。もう。 身体の芯が熱くなっちゃって、肉と肌の中でぐにゃぐにゃに融けている。気 持ちいいって身体が感じると、だんだん駄目になって力が抜けてくる。骨を繋 ぐ筋が煮込んだオックステールみたいになっちゃってる。 あいつに触られると、肌が狂いそうになる。 こんな風になっちゃうと、手を握ってるだけで頭の中がかっかとしてくる。 それなのにあいつはリードしなくてもじもじしてて、だから私がこんな風にし てやらないと、だって―― 「ば……馬鹿、私だって恥ずかしいのよ、これは」 なんて言い訳を口にする。 それは嘘で、本当は気持ちよくなりたいから、する。身体がばーって広がっ ちゃって、ベッドの上であいつを包み込んでやりたくなる。こんな風に、一番 感じる所に指を添える。 「あ………ん」 いつもベッドの中でするみたいに、あいつの指だって思う。こんななよなよ したんじゃなくて、ゴツくて力加減を知らない指だけど。 股の切れ上がったこのスーツの、一番下の部分を撫でる。インナー履いてる けど、もうじっとりして来ちゃって…… あーもう、私、何してるんだろ…… せっかくおろしたてのバニースーツを着てみて、それであいつにされること を期待して一人で、触ったりして。だけど気持ちいいなって感じちゃうと、こ こで止めるともっと駄目になりそうな気がする。 このまま、コートを引っかけてあいつの家に行ってしまったり。それも身体 はこんなに火照ってるし、スーツの中は立ってるし、濡れてるし、この遠坂凛 という女の子が今やまるで黒い皮で熟した果実を包んだみたいになってる。 それで、ハイヒールであの夜の坂を下る。 うさぎの耳を着けたままで、見られたらもう恥ずかしくて死んじゃうかもし れない。あいつの家まで辿り着いたら、門の前でもうくたくたになって、果て ちゃうかもしれない。 玄関で、コートの下がバニースーツで、真っ赤な顔をしてイっちゃう私。そ れをあいつはどんな目で見るんだろ? 「だって……私だって、こんな……の」 ベルベットの生地の上から撫でて、感じるところを指で撫でている。スーツ にストッキングにインナー、3つも重なってるからもどかしくて、びりって破 ってそのまま指を入れたくなる。 そんな刹那的で自堕落な快感より、こうして……ゆっくりゆっくり撫でてる と、じわじわっと気持ちよくなってくる。あいつ、服のこと気にしてずっと生 殺しで撫でてくれるかも知れないな、胸も、ここも……そういうの、悪くない けど。 「は……あ……あ、はぁ……」 自分で聞こえる自分の喘ぎ声。 甘くて、バニースーツの中で茹だる私があげる湯気みたいな声だった。自分 で聞いてても、すごくえっちだなぁ、まるでオトコが欲しくて一人泣いてる女 の子みたいじゃないのよ、とか思うけど―― くやしいけど、ビンゴ。 もしあいつが魔法でも使ってここに現れれば、それがなんでも許しちゃう気 になれる。頭の中がぼーっとしてきて、首の後ろが気持ちよさで攣りそうにな る。身体はもう腫れるみたいになってて、胸はかたくなってスーツの中で痛気 持ちいいくらいだし、あそこ……こんなにぐちゃぐちゃになってる。 「ぁ……は……」 脱いでショーツの中を眺めてみたら、死にたくなるほど情けないくらい、感 じて濡れてる。だってあいつに触られてるんじゃなくて、触られたらどうなる だろうって妄想するだけでこんなになって、えっちな考えでもっと興奮したり して――馬鹿みたいだけど、もう、こんな恰好したときから私は馬鹿以外の何 にもなれないって分かってた筈。 だから、感じたい。 自分一人でするのは寂しいけど、このまま私は我慢なんか出来ない。バニー さんの恰好で、今で寝ころんで、喘ぎ声なんかだして胸とあそこを撫でてる私。 「は……あ……く………」 見られたい。 こんな事をしてるなんて知られたくないのに、あいつにこの姿を見てもらえ たらなって思う。遠坂凛なんて偉そうにしてるけど、本当は馬鹿なことも馬鹿 だと思いながらも止められないオンナノコんだって、だから抱きしめてよ、あ んた、オトコなんだから――さ。 「見る、だけじゃ……だめ、だから」 抱きしめて欲しい。 抱きしめられたらどんなことをされても良いし、どんなことだってしてあげ る。赤い顔でいいよ遠坂そんなこと、とかいってもしちゃう、今の私ならもう 頭も身体もアツクなってて、これがすこしでも気持ちよくなれるなら、何でも 出来る気がする。 身体が感じやすくなってる。 指が一回撫でるたびに、びりびりって来る。肌が気持ちいいんじゃなくて、 骨が叩かれて痺れるみたいな快感。もう止まらない、染みだしちゃってるな私、 はしたないオンナノコみたい、って思いなながら。 「……こんな……さみしいうさぎさん、嫌い?」 なんて、鼻に掛かった声でおねだりする私。 ぞくぞくっと、自分の言葉で感じでしまう。指が止まらない、もっともっと 気持ちよくなって、髪の毛が全部逆立ってしまって、もう遠坂凛がトオサカリ ンであるのをわするほどに、気持ちよく、なりたい。 「あ……んっ、はっ、はぁぁっ、ああっ!」 息が荒れる。 誰もいない私の家の中に、私の甘ったるい声が響く。 誰も聞いてない、悲しい、あいつに聞いて貰いたい。それであいつの荒い息 を聞いて、指でまさぐられ、弄ばれ、可愛いペットみたいに愛玩されたい。 だから、ね、ほら――もっと。 「あっ、はぁ……ああっ、く、はぁ――――――」 ぎゅっと、一番感じるトコロの上を押し込んで。 そこが一番感じるボタンみたいなところなんだけど、自分でするときはもっ と柔らかに撫でる。でも、あいつにされてる、ウサギさんの恰好で可愛がられ て、きゅーんと泣きながらいっちゃうんだから、こんな風に強くされるんだろ うな、って―――― 「はっ、ああっ、あああ――――」 血が足りなくなって、快感が無理に頭の中に足される。 見上げたシャンデリアの明かりじゃなくて、銀色の光が見える。その中に照 らされて、私は震えながら。 「は……………はぁ……」 イっちゃった。 エクスタシーの心地よく、それでもう何もしたくなくなる疲れが全身を浸す。 べとべとになった身体と、弾んだ息。それなのにバニースーツで絨毯に横たわ る私。 「はぁ……あああ、やっちゃった……」 ……まったくもう、何してるんだろ。 あいつにされる前に、自分で感じてたら訳ない……けど、予行演習だとおも えば。 「こんな事に予行なんかしなくてもいいわよ、それよりあいつが引いた方が ――はぁ」 まだ寝っ転がっていたいけど、そうも行かない。 一人で汚しちゃったからクリーニングにかけないと行けないし、お風呂に入っ てさっぱりしないとこれからどうしてくれようかもゆっくり考えられない。 さて、うさぎさんのオンナノコから遠坂凛にがんばって戻るとしますか―― 「あ………」 鏡の中で、寂しいウサギさんが顔を火照らせている。 でもね、あいつがちゃんと可愛がってくれるわよ、あんたを。 「ね……だから覚悟なさい、衛宮くん」 《fin》 |