ごそごそと、ベッドの中で遠坂が身じろぎしてる。
 ……まぁなんだ、さっきまであんなことしてたんだから。

「……士郎、なにかいやらしいこと考えてるでしょ」
「な、なにを藪から棒に」

 間近でじろっと睨まれると、たじろぎそうになる。
 だっていやらしいこと考えてない訳ないじゃないか。さっきは遠坂と前から1回…
いや、そんなことを考えるとドツボだ。

 にやっと笑う遠坂の、不穏な物腰。

「その顔はすっごくいやらしいこと考えてる顔ね、衛宮くん?」
「ぬぁ、遠坂、あんなにさっき良い感じだったのにすぐ拗ねて……遠坂で考えてない、
って言う方が失礼なんじゃないのか?」
「………………………む」
「流石にセイバーのこと考えてたら刺されても文句言えないけどな。遠坂にならやっ
ぱり、その、えっちなこと考えてた、ごめんなさい」

 ぷう、と遠坂の頬が膨らんだ。
 嬉しいのか拗ねてるのか、どっちか判らない。多分どっちでもない。
 こっちを向いてる遠坂の身体に、絹糸みたいに長い髪が流れている。

「……………」

 そんなしなやかで綺麗な遠坂の姿に、見入っていると
 ……遠坂の細い指が俺に伸びてくる。

「……ふん。きっと士郎ならこんなの考えてたに違いないわね」

 とかなんとか言いながら、コメカミをちょんと触って

「――――Zeigen eine Phantasieabbildung.」

 

「ぶっ!」

 思わず吹いた。
 なんだってPCのピの字も見ただけで卒倒しかねない遠坂がwebオークション
なんてネタで……やたらに頭の中に奇妙に克明なイメージが浮かんできた。

 これは遠坂が俺にこんなのを見せて――いぢめか?

「なんで遠坂、ネットオークションなんか知ってるんだ!?」
「……昨今の基礎常識じゃない。私はやらないけど綾子に教えて貰ったわよ」
「それは意外。というか……」

 こんなのを見せられると、遠坂の顔をまともに見られない。
 でもって、遠坂は得意満面で鼻を鳴らしている。
 よっぽどこのエロなオークションに自信があるのか……

「きっと士郎はこんなこと考えてむふふって笑ってるのね、やーらしー、不潔ー」
「……………体重103ポンド?」

 なかなか消えない頭の中のイメージを読み取った。
 えーっとポンドは半分引いて一割引でkg換算だから……
 遠坂の顔がみるみる青ざめていくけど、気にせずに換算修了。

「……47kgか、もうちょっと軽いかと思ったんだけど自己申告ならきっと……」

 ドグウゥ!

 いたい!いたい!コブシ、拳で腹を!
 なんでこんな寝そべった状態で発剄を!背中に抜ける!

「はぐぁぁ!」
「何でそんなところ念入りに読むのよ! 見るところは他にあるじゃない!」
「ぐ、げは……ウェストもインチ?」
「だからなんでそんなところに拘るのよ! ほら!」

 なんかばんばんと頭の中でイメージにアンダーラインが振られていく。
 ……見せる気なかったらモザイクでもかけておけっていうのはナシか。

 ――でも、遠坂が強調するのは、その……
 こっちのほうが恥ずかしくて顔が赤くなりそうだった。
 おまけに遠坂はこっちもあっちもまだすっぽんぽんだし……

「………士郎ったら私にこんなことしたいって、絶対考えてるわね」
「と、遠坂、お嫁に行く前の女の子がマゾ奴隷とかアナル調教とか考えちゃ
その、こ、困るだろう! 俺が!」

 俺が困ってどうすんだかまったく。

 説教交じりに叫ぶけど、こっちには至って不満そうな眼差しを返してくる。

 ……いや、神に誓って言いますけど、そんなこと微塵も考えたことがない。
 そりゃ確かに俺だって男なわけで、遠坂にあんな事やこんな事をしたいな、
とは考えたことがあるけど……しかし、これは……

 ――――まさか、遠坂に限ってこんなことないよな、って。
 おそるおそるうかがうと、口をへの字に曲げた遠坂の機嫌の悪さ。

 なんとなく、そうなんじゃないのかな……いや、まさか。

「……………あのさ」
「なによ、えっちな衛宮くん」
「こういうこと、されたいのか、遠坂?」

 ぽふん、と。
 音がして弾けそうなほど、遠坂が真っ赤になった。

「なっ、なっ、何を言い出すのよ士郎ったらぁぁ!!!!」
「だ、だってそうだとしか考えられないじゃないか」
「考えなくて良いわよ、そんなこと!」
「そうか判った、俺のレパートリーが貧弱だからさっき怒ってたんだな、でも
遠坂、悪いけど俺、アナル調教なんかどうやって良いのか判らないし、見るだ
けで発情するマゾ奴隷っていったいどーしてそうしたらいいのか――」

 困って唸ると……

 ――今度は至近距離でみぞおちに蹴り
 いやまずいわ、そんなの喰らったら夜食がリバース決めるわ、ってほどの。

「へぐあああああ!」
「こ、これはたとえばの話よ! そんな私があ、アナル調教されたいだなんて……」
「……いやなのか? もしかしたら気持ちいいかも……ぺぐっ!」

 懲りずにまた一発蹴られる。
 でも遠坂が真っ赤になってると、不謹慎だけどからかい甲斐がある。
 それに、髪が乱れてる裸の遠坂は、色っぽくて……

 ダメだ、我慢できない。

「な、そ、そんなの気持ちいいなんてウソに決まってるじゃない!」
「……じゃぁ、遠坂、試してみよう。俺も初めて痛かったら止めるから」
「あ、や、士郎……ばか……んっ、はぁ……ああ……」




「ああ……ん……士郎、触ってる……私のおしり……ああ……」




「あっ、やだ、そんなの……入ってる……ん……指……ああん……」




                                    (ToBeContinued?)
Picture by Mr. Acid Rin
Appendix Text by Aramoto