びゅくるんびゅくるん、と俺のペニスは音を立てた――と思った。
秋葉の顔に、俺から迸った白濁液がぴゅっぴゅっと飛び散って……
先輩の手に導かれるまま俺は――射精した。
「あ、ああ……んぅ、あ……」
「あはは、べっとり掛かってますね、秋葉さんのお顔に……こんなに沢山遠野
くんのセーエキが……乳液みたいですよ」
先輩はそんな風に秋葉を笑っていた。
秋葉は口を鼻から口に垂れた俺の精液を、舐める。こんなに顔一杯に広がっ
たら苦しいんじゃないんだろうか、というほどの量の精液を、秋葉は舌を伸ば
して舐めた。
「兄さんの……兄さんの精液が……こんなに……」
「遠野くんに沢山出して貰って、嬉しそうですね……でも」
先輩はローターを落として、俺の肉棒をぎゅっと握る。
射精した後で固さが落ちてきた俺の肉棒を、その硬度を確かめるように擦っ
ている。あの痺れるようなローターの刺激が無くなって、ほっとするような、
それで居てなんとなく物足りなく感じる俺だったが……
「秋葉さんには、志貴さんのおちんちんは上げません」
「……え?先輩?その……それは……」
先輩は名残惜しそうにちょんと俺のペニスを指で押すと、俺の背中から身体
を離す。
俺は振り返って先輩が何をするのかを確かめようとすると、先輩と……今ま
でそこにあったのに、気が付かなかったモノがあることを知った。
跳び箱の上に、禍々しい紫のバイブレーターと、パールネックレス。そして
縄だの鞭などといった怪しげなアイテムの数々が。
先輩はこんなモノを用意していて、秋葉を縛り付けたのか……俺は感心する
のだか、呆れるのだかどうしたらいいのかわからない。
先輩は膝の辺りに下がったままだったブルマを脱ぎ捨てると、その――男性
器を模したバイブレーターを手に取った。つるりとした表面ではあるが、サイ
ズもなかなか大きめで淫具ゆえの毒々しさを帯びている。
先輩は撫でさすると、そのバイブを秋葉にかざす。
「秋葉さんにはコレで愉しんで貰いますね」
「ちょ……ちょっと、シエルさん……そんなのは……」
秋葉は俺の精液を顔にくっつけたまま、そんな慌てた声を上げる。
だが先輩は、すたすたと――まだ一個のローターを身体の中にしまい込みな
がらも秋葉の元にやってくると、縛られた秋葉の元にしゃがみ込む。
先輩の背中に秋葉が隠れるが、俺はすこし位置をずらして二人を覗き込む。
胸までまくり上げた体操服だけの先輩と、胸をむき出しにして縛られている秋葉。
二人とも学校の中でしている恰好では、ひどく――乱れている。
先輩は紫のバイブを持つと、秋葉の顔に近づける。
そして、鼻筋に添うようにして――そのプラスチックの亀頭に俺の精液を塗
りつけていた。
「そんな……兄さんを……」
「ダメです、普段なあんなに遠野くんを独占しているおしおきですよ……もち
ろん、これは遠野くんと同じくらいのサイズですから、秋葉さんでも大丈夫で
すよね」
そう言って先輩は、秋葉の身体をずいずいとマットの方まで引っぱってくる。
そうして秋葉を横たえると、先輩は合わせて立てられたその膝に手を掛けた。
秋葉もそこだけを開かせまいと力を込めているようだったが、先輩の力の方
が強かったのか、じりじりと秋葉の膝は広がっていく。やがて先輩どころか俺
の視界にも、それが目に入る。
「うわ……秋葉……」
「兄さん……はぁん、こんな……こんな姿を兄さんに……」
秋葉はブルマの上を緊縛され、股縄まで噛まされていたが……そのブルマが
じっとりと湿って色が濃くなっている。
秋葉は必死に身体を捩って逃げようとしてたが、先輩の手から逃れることは
出来ない。
髪を振り乱し、精液まみれの顔を歪める秋葉の顔は――美しくも俺の目には
見えた。
「やっ、やあっ、やめて下さい、シエルさん!」
「ふふふ、本当は秋葉さんもこのままだったらあそこが物寂しいのに……我慢
しなくてもいいんですよ?」
「そんなことは……んっ、はっ、あああ!」
先輩の指が、秋葉の股縄に触れる。
その上をぐいと押し込むように動くと、秋葉の膝がびくんと震える。
しばし先輩はその反応を確かめるかのようにぐりぐりと秋葉のブルマの恥丘
を弄んでいたが、やがて――先輩の爪がすっと、結び目の多い股縄の上を横切った。
快刀乱麻を断つ――そんな感じで、先輩の指は縄を断ち切っていた。
はぁっ、と戒めから解放された秋葉が声を上げる。だがそれはすぐに安堵から……
「いっ、やっ、やだっ、止めて下さい!兄さんも!」
「…………」
「ダメですよ、遠野くんも興味津々ですから。こんなにぐっしょり濡らして……」
紫のバイブが、秋葉のブルマに触れる。
秋葉は首を起こしておそるおそるその光景を見守っていた。股間に陣取る先
輩は、そのバイブをブルマと太股の間に潜り込ませるように――
じゅぷり、と淫肉が音を立てたように思えた。
秋葉のブルマを分け入って、バイブが秋葉の秘所を襲う。太めの人工肉棒は、
秋葉のブルマの中を膨らませてその形が見て取れた。先輩の軸を握る手首が動
くと、ぐいっと中に押し込む。
秋葉のブルマの中にバイブは飲まれた。
途端に秋葉の背中が弓のように反った。
「あああああっ!あー!」
「たっぷり濡れてますから、遠野くんの精液を着けなくても十分みたいだったですね。
でも、まだまだ本番じゃありませんよ」
先輩はそんな風に囃しながら、ぐいぐいとバイブを秋葉の肉の中に埋めて行く。
俺が固唾をのんで見守る。秋葉が先輩にバイブ責めにされている……自慰の
妄想でもよくしなかったこの光景を見せつけられると、またもやもやと俺の中
で血が沸き立つ。
秋葉はその薄い胸を反らせて、顎を突き出して叫ぶ。
「やっ、は……はぁぁぁ……うっ、はぁぁぁぁあああん!」
「ん……これくらい入れればいいですかね?秋葉さん?」
ぐっぐっと秋葉の中を偽造性器でいたぶる先輩。
やがてゆっくりピストン運動させていたバイブを奥に進めると、先輩はその
底にあるスイッチに触る。俺がごくりと唾を飲むと、先輩は俺を見上げてふっ
と笑い、指先を跳ねて――
「あっ、うっ、あああああ!」
スイッチが入り、秋葉の中に埋め込まれたバイブが震え出す。
ヴーンヴーンと鈍い音を立て、秋葉の股間に生えた紫の棒は、反動でぐるぐ
ると頭を回して踊り始めた。内側からかき回される感触のためか、さっき以上
に秋葉の背中は暴れ出す。
「はぁぁん!いっ、い……あああん!うぁ!」
「いつもは遠野くんのおちんちんを入れられて、こんなに悶えているんですか?
さぞや眼幅なコトでしょうね、遠野くんは」
くすりと笑って、先輩は俺を振り返る。
俺は汗の染みた柔道着を肩に掛け、下半身は丸出しで息を荒くして秋葉と先
輩の姿を見つめている。俺は荒い息のままで、また固く膨らむ股間を抱えながら……
「よいしょ、と……」
「あっ、ああ……ん……」
先輩は秋葉の身体の上に乗っかる。広げられた股の上に被さるように四つん
這いになった。
ぷるんと大きなお尻が揺れて、股間から伸びたピンクのコードが目に映る。
ああ、まだ先輩の中にはローターが入ったままか、と思う俺に、お尻を向けた
先輩は振り向く。
ブルマの股間に紫のバイブを突っ込まれて喘ぐ秋葉。
その上に四つん這いになって、お尻を見せる先輩。
先輩は臀部の肉を片手を添え、そのまま横に――
「あ、先輩……」
「さぁ……今度は私を愉しませてください、遠野くん」
くつろげられたお尻の中には、はしばみ色の窄まりと、その下のピンク色の
ぐちゃぐちゃに濡れた秘裂の襞があって。
食虫植物の花みたいに、俺を誘う先輩の秘部。俺は、そんな先輩にふらふら
と近づいていく。
「……うっ、ああ、あああんあ……やぁ、ふっ!」
秋葉の秘めやかな喘ぎ声が漏れている。
俺は膝をついて、秋葉の股間と先輩のお尻をまじまじと見つめる。秋葉の足
はシエル先輩の膝で押さえつけられていて、閉じられないようにされていた。
秋葉のブルマにきつそうにバイブが食い込んで、ぶるぶるとその紫の軸を揺ら
せている。
俺がふと、秋葉のバイブに手を触れる。
「あっ、あああ……ん、あ!」
「遠野くん、秋葉さんじゃなくて、この私にして下さい」
先輩にむっとしたように口にする。俺はそんな先輩の、お尻の穴に埋もれた
ローターの先を目で追う。先輩の太股に、半分剥がれかけたテープで止まるコ
ントローラー。
俺はぺりぺりとそれが剥がして手に取る。
「遠野くん、それは……」
「先輩、ここに入れてたんだ……そうだね、うん」
俺は得心して頷く。先輩はコントローラーを握る俺を不安そうな顔で見返す
が、俺は……まずは股間の肉棒を扱き、腰を上げて先輩の秘所に高さを合わせる。
ローター二個によってずっと捏ねられ、どろどろになった女性の襞。
俺の亀頭がぬたぬたに濡れた先輩に触れて、ぞくっと震えるような快感を覚える。
ああ、さっきは先輩の手に握られてあんなにも気持ちよかったので、もしこ
の中に入れれば、どんなに気持ちいいのか……そう思うと、背筋を駆け上がる
快感がある。
「そこです……入れて下さい、遠野くん。私を貫いて下さい……」
「やっ、う……あ、あああ……」
「じゃぁ……いいかな?先輩」
はい、と先輩の蒼黒の髪が頷く。
俺は先輩のお尻に指を埋めると、そのまま――腰を進めた。
ずぷり、とその感覚はうっとりするほど官能的だった。入り口はぎゅっと俺
の進む肉棒を締め付けてくるけども、その奥はどろりと融けるようで。それで
いて全体に俺を刺激する先輩自身はあまりにも爛熟していて、青い果実のよう
な秋葉の中ともまた異なっていて。
ぉぁあああ、と俺は喉の奥から上がる声を禁じ得なかった。
先輩も俺のペニスを受け入れ、嬉しそうに背中を震わせる。ただ、肩越しに
見える秋葉の顔は無きそうに歪んでいた……お預けを食わされた子供のような。
そんな先輩と秋葉を見ながら俺は……手に持ったコントローラーのスライダ
に指を掛ける。
「はぁん……いいです、遠野くん……ん、んぅ……ん!」
「……これをこうすると、俺も先輩も……」
そんなことを呟きながら俺は、ローターの強度を強めるべく、親指に力を掛
ける。
その指の動きの反応を感じたのは、俺の亀頭だった。先輩の中に埋もれた亀
頭の上の辺りに、鈍い振動が肉越しに伝わってきて。
なんとも――気持ちがいい。
「あっ、あ、あああああー!」
俺がそんな振動を心地よく感じる一方で、先輩は腕の力を失って秋葉の身体
に倒れ込む。お尻の中に埋め込まれたローターをこんなに強くされたんじゃ無
理もないな、と思う。
だけども俺は、そんなこととを思いながらも……先輩のお尻を掴んで、ゆっ
くりとストロークを始めていく。
先輩の中の、振動する直腸と膣との仕切の肉を刮ぐように。
「あっ、あああ、ああ……ひぅっ、ああっああああん!
「シエルさん……羨ましい、こんなに兄さんに責められて、嬉しそうに……」
秋葉の囁く声がした。首を伸ばして覗き込むと、秋葉は……先輩の下敷きに
なりながらも、下から先輩の顔に口づけしている。
「どうですか……兄さんにされるのは……いいでしょう?」
「いっ、いい……お尻の中がぐりゅぐりゅして、ずんずんって遠野くんが突い
てきて……」
「じゃぁ、もっと凄くして上げるよ、先輩」
俺は腰の律動を、激しく強くする。
たっぷりした先輩のお尻は高く掲げられていて、そのお尻に俺の腰を音高く
ぶつけた。
その度に先輩のお尻はぱつんぱつんと嬉しげな肉音を立て、喜びに震える。
前の膣を俺のペニス、後ろの穴をプラスチックのローターで責められる先輩。
コードを飲み込んだお尻の穴がひくひくと動くのを見ると、俺はその穴に指
を引っかける。あ、という先輩の小さなうめき声を耳にしながら……
「あっ、やっ、やぁぁぁぁあああ!」
「ふぅ……あ……あぁ……兄さんのずんずんってリズムが私にも……」
俺は先輩のくつろぎかけたお尻の穴に人差し指を差し込み、じりじりとその
肛門の内側の粘膜を指で犯していく。コードに添って指を進めると、俺の指に
小刻みな振動をするローターが指に触る。底を俺がぐっと奥に押し込むと
「あっ、ああああああん!いっ、いいいいい!」
「先輩は前でも後ろでもこんなに俺のことを美味しそうにくわえ込んで……」
先輩の身体に押し被さりながら、俺は譫言のように先輩の耳に囁きかける。
心臓がドクドクと荒く脈を打つ。息が詰まってきて、だんだん頭の中の動き
が下がってくる。それに引き替え俺の腰は別の生物のように動いていて、先輩
の蜜壺に差し込んだ肉棒はもうとろけてしまいそうで。
俺は先輩の身体と、その下の秋葉の身体の鼓動すら感じている。
そしてそのまま、指を動かし、ローターのコントローラーで悪戯しながら、
腰を――がつんがつんと先輩に打ち付ける。先輩のくわえこんだ秘所が俺から
精を吸い取ろうとぎゅうぎゅうと……
俺はもう、我慢できなかった。
さっきは先輩の手に絞り出されて秋葉の顔にぶちまけたけども、今度は先輩
の中にいれてその奥めがけてたっぷりと――出すんだろう。
息が詰まる。喉奥がぜーぜーと鳴る。だんだん血の気が遠くなってきて、頭
の中にはもやもやとした熱い感覚が溢れ変える。
だんだん、モノを考えるのも億劫になってきて、風景がぐらぐらと歪んでいって。
「せんぱ……い……もう……おれ……はぁっ」
「遠野くん……私の中で……中で……はんぁああんっ!ああ!」
「ひ……兄さん……もう、もう私……いってしまい……ぁああはぁ……」
自分が口にしたのに、三者三様の言葉を聞くような現実感のなさ。
目の中の風景がカラーから、モノクロームに転じる。
ようやく俺は理解した。
まだ柔道の授業で貧血を起こした俺が無理したら、また倒れるって……
でも、もう、それもいい。広がる眠気のような快を感じ、熱い衝動が身体に
命じるままに俺は――
「で……出る……はぁっ!」
「やっ、ああっ、あああっ、遠野くんのおちんちんが……あああああ!」
また、ドクドクと俺の股間は壊れてしまったかのように、精液を先輩の中に吐
き出した。
俺はそのまま、先輩の背中に倒れ込んだ。心地よい射精の疲労に浸って目を閉
じると瞼は張り付いてしまって、視界は真っ暗になって。
耳が遠くなってきて、先輩の声も秋葉の声も聞こえなくなって。
もうなにも、わからない。
§ §
気が付くと、うつ伏せの恰好から、仰向けに体の向きを変えられていた。
俺は目をゆっくり開く。眼鏡はかけっぱなしに鳴っていたために、目覚めの
不快な死の線の光景は目に入らずにほっとする。
そしてここは、俺の寝室じゃなくて、薄暗い体育倉庫の中だった。
俺は薄目を開けたままで、辺りを探ろうとする。首が持ち上がっているから、
何か柔らかいモノで後ろ頭を枕に宛われているような感じがする。
瞳の中に、ひっくり返った心配そうな顔が映る。
そして、長い髪……秋葉だ。
「……お目覚めですか?兄さん」
「……寝てたのか?俺……よ?」
俺は起きあがろうとしたが、そっと秋葉の手は肩に掛かっていた。俺は起こ
しかけた頭を下ろす。秋葉がこんな風にひっくり返って見えて、おまけに俺が
横になっているということは……
「膝枕されているのか?俺」
「……あら、イヤですか?兄さん」
嫌なはずはなかった。俺は首を横に振ると、秋葉の顔を見上げる。
秋葉はすでにセーラー服に着替えていた。それなのにまだ体育倉庫にいる
というのは……俺を看病してくれていたのだろうか?
手で胸の辺りを探りながら下げてく。まだ俺は柔道着を着ていたみたいだ。
下半身も柔道着に収まっていてどうも……先輩は秋葉が着せてくれたと言うこ
とか。
そう言えば、先輩は……?
「……先輩はどこに?」
「ここですよ、遠野くん」
声がする方を首を曲げて見ると、足元の方に先輩が座っていた。
だが、その声がすると俺の頭の下の秋葉の身体がぴくっと神経質に動くのを感じる。
俺が視線を上げると、そこには口元を引きつらせて冷たい怒りを浮かべた秋
葉の顔がある。こいつはすぐに雷が落ちるな、と予期するまでもなく――
「一体あなたは何をするんですか!シエルさん!私を縛るわあんなモノをつっこむわ」
「でも、気持ちよかったんでしょう?イっちゃいましたからね、秋葉さんも」
「う……そんなことより、神聖な学舎であんな破廉恥なモノを入れて過ごして
いたり、あまつさえ兄さんを誘惑してまた兄さんの不調を招くようなことを」
「……まぁでも、私が着替えを持ってこなかったら、秋葉さんも苦労したことに」
「話を逸らさないで下さい!」
秋葉は怒鳴るが、柳に風の体の先輩では相手が悪いというモノだ。
おれは腕で秋葉の袖を引いて注意を向けると、ゆっくりと身体を起こす。
今度は秋葉は止めなかったので、ようやくからだを起こすことが出来た。俺
は不満そうな秋葉と、いかにも欲求不満解消といった風情でにこにこ笑う先輩
を交互に目にする。
「……調子はどうですか?遠野くん」
「ちょっと眠ってたから良いみたいだけど……今、何時?」
「ああ、安心して下さい。まだ昼休み中ですよ」
俺が道場を出てから1時間ぐらい経ったということか。
身体は軽く、疲労も残っていない。秋葉の方を見つめると、俯き加減の秋葉
の拗ねたような瞳が見える。
俺は腕を伸ばして、秋葉の肩をぽんぽん、と叩く。
はっと身をすくめながらも不満の隠せない秋葉を面白そうに見つめながら俺は……
「秋葉……今日のこれは先輩が溜まってたということで一つ、穏便に」
「……兄さんがそう仰るのでしたら……でも……」
何となく腰を折られたけども、まだ怒りが収まらないような秋葉に俺は顔を
寄せる。
「……もしかしてあの、縛られた恰好のままえっちされたかった?」
「も……もう、何を言い出すんですか兄さんは!」
「まぁまぁ遠野くんも秋葉さんも落ち着いて……ささ、遠野くんも早く着替えて」
俺の後ろに、どすんと何かが置かれる音を聞いて振り返ると、先輩は俺の足
元にスポーツバッグを置く。先輩は更衣室から俺の鞄を持ってきてくれたのだ
ろうか?
それも男子更衣室に……先輩だったそれくらい平気で出来るのかも。
「……お昼ご飯食べに行きましょう」
「シエルさん?そんな食べ物で釣って誤魔化そうだなんて……」
「ま、秋葉」
俺はそっと秋葉の頬に唇を寄せる。
あ、と俺をびっくりした秋葉の肩を離すと、先輩に苦笑いして見せて。
「……先輩も、こんどするときはもっとちゃんとしたのを」
「今のさっきなのに兄さんったらもう……!」
「あははは、また3人一緒でもいいですよ。私は遠野くんとしっぽりと二人っ
きりで朝を迎えたいんですけどねぇ」
《おしまい》
|