ごくり、と喉が鳴る
勝負は互いに五分と五分
闘技場の周囲では
翡翠が
琥珀が
晶が
シエルが
固唾を飲んで見守っている
対する相手は
白き吸血姫 アルクェイド・ブリュンスタッド
最強の真祖にして
兄 志貴の恋人
「往生際が悪いわよ、妹。いいかげん負けを認めたら?」
真祖の姫が哀れみを込めた視線で私を射る
だが、ここで引く訳には聞かない
周りで見守っている彼女達の為にも
私は負ける訳にはいかない
「これで決着がつくのですから、そろそろ始めましょう」
顎を引き
背筋を伸ばす
相手を見据え
一挙一動に
己の全神経を集中させる
「二人とも、用意は良いな?」
レフリー役の兄さんが二人のコンディションを確認する
彼女も私も
無言のまま頷く
二人の返事を確認した兄さんは
両手を顔の前で交差させた
「レディ・ファイッ!!」
握り締めた拳に全魂を乗せて突き出す
相手の手の内を見る間も無く勝ったと確信する
だが、勝負の世界は無常
勝利の女神は秋葉を選びはしなかった
「わたしの、勝ち。よね?」
アルクェイドは余裕の笑みを浮かべながら
掌をひらひらさせている
彼女の手と
私の手を
交互に見比べる
かのじょは 「ぱー」
わたしは 「ぐー」
乾いた笑いが
可笑しくも無いのに浮かんでくる
舞台の周囲で見守っていたメンバーが
そっと眼を伏せる
兄さんが
私の肩を優しく叩く
「さ、最後のショーツ、脱いじゃおうか」
にいさん
なんであなたは
そんなに
うれしそうなんですか
むき〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!
あとがき
ハイ、おわかりですね。野球拳です。
やめておけば良いものを、いじっぱりな秋葉は
ショーツ一枚になっても勝負を降りなかったと云うことです。
ちなみにアルクェイドは、合計5人でやっと下着姿にされました。
動体視力の違いですかね〜?
By 風原 誠
《つづく》
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