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静寂の夜に       風原 誠

しん しん
しん しん

窓の外では
静かに雪が降り続いている


暦は12月24日
クリスマス・イブの夜


オーブンいっぱいの鶏を焼き
食べきれないほどの大きなケーキを用意し
家族みんなでプレゼントを用意する


玄関の呼び鈴が鳴り
やってきたのは金色の髪のお姫様
真っ赤なオーバーに雪を沢山くっつけて
無邪気に笑う
お日様のようなお姫様


玄関の呼び鈴が鳴り
やってきたのは藍色の髪の司祭様
教会の法衣を身に纏い
包み込むような微笑を浮かべる
春風のような司祭様


2階からの階段を
降りていらしたのは黒色の髪のお嬢様
清楚なドレスに身を包み
凛とした顔に淡い微笑を浮かべる
真冬の月夜のようなお嬢様


2階からの階段を
降りてきたのは銀色の瞳を持つ私の妹
女中服に身を包み
嬉しさをそっと唇に浮かべる
月見草のような私の妹


台所への扉を
開けて出ていくのは金色の瞳を持つ私
割烹着に身を包み
ひまわりのような満面の笑みを浮かべる


嘘の私



貴方を慕う
貴方をいとおしいと思う
女性達が屋敷に集う

けれど
貴方はここにはもう居ない

姫様の能力も
神様の奇跡も
お嬢様の想いも

けして届かない所へ逝ってしまった



だからこれは
手に入らない物を
いつまでも悔やみ続ける
残された者達の


ひとりあそび





あとがき

琥珀さんは難しいです。
自分の中で
「こいつ、絶対何か裏でやってるだろう」
的キャラなので主役になりにくいです。
結果、今回も作品はだいぶ微妙なラインを進んでいます
お目見汚しにならないことを願って
これにて失礼致します