『玩具遊び』
作:しにを
湿った音。
くぐもった呼気の音。
時折、乱れ息苦しそうな声が混じる。
言葉によらず、口で奏でる音。
音だけを聞いていても、どこか淫靡に耳に響く響き。
それが絶え間なく、聞こえていた。
秋葉であった。
顔を傾け、形の良い唇を歪め、一心にしゃぶっている。
志貴が顔の前にもたげた――、足の先を。
兄が突き出した足の指がぬめり、秋葉の口の中で舌が動く。
それが粘性のある音を、ぴちゃぴちゃと洩らしている。
少し顔が上げられる。
唇がすぼめられ、親指がゆっくりと姿を現す。
唾液でねとねとになったそれが爪まで外に出るが、秋葉の舌が名残惜しげに
触れている。
一度溜まった唾液を喉に収めると、秋葉は今度は指と指の間を舌で拭うよう
に丹念に動かしていった。
親指から小指へ。
そして、小さな指をまとめて口に含む。
志貴は無感動にそれを眺めていた。
と、足を動かす。
小さな動きではあったが、それは秋葉の喉を中から突く形となり、秋葉はく
ぐもった悲鳴を洩らした。
えづき、目尻に涙が浮かぶ。
それでも、誤って志貴の指に歯を立てたりしないよう、堪えている。
「もういい」
そんな妹の様子が目に入らないように、志貴はぼそりと言葉を投げるだけ。
秋葉は文句一つなく指を口から出した。
先ほどより性急な動きの為、指からは小さな泡を多量に含んだ唾液が、ねっ
とりと垂れ落ちる。
志貴は無造作にそれを、汚いものがついたと言いたげに秋葉の肩に押し付け、
服の布地で拭った。
さらりと流れかかった髪に触れるのも構わず、いやその感触故に、あるいは
汚す行為自体に興が乗った為か、志貴は足を秋葉の髪に擦りつけた。
秋葉自身の唾液が、秋葉の綺麗な髪になすりつけられた。
気が済んだのか足を引っ込める。
その間、秋葉はずっと兄にされるがままになっていた。
志貴の目が秋葉をしげしげと眺める。
秋葉はその目を受け止めきれず、弱々しく視線を落としかけ、それでいて完
全には志貴の視線から逃れる事を躊躇っていた。
まるでそうして兄の気分を損ねるのを恐れているかのように。
凛とした強い秋葉しか知らぬ者なら、思わず自分の目を疑うような姿。
その行為も、態度も、表情も。
いつもがいつもなだけに、嗜虐感をかき立てる様な姿。
その瞳や仕草だけではない。
秋葉の今の格好もまた……。
ブルマーに体操服という姿は自体は、見る者にある種の性的興奮を引き起こ
させるかもしれないが、あくまで体育の授業や部活動などの際の普通の格好に
過ぎない。
しかし、薄暗がりの体育倉庫という空間にあっては、異様にも見える。
秋葉だけがそんな姿で志貴は制服姿である事や、傍らの跳び箱の上に今脱い
だと思しき秋葉の制服が置かれていて、わざわざ此処で着替えたのだと見て取
れる事、秋葉は体育座りをして志貴は椅子に足を組んで腰掛けている事なども
それを助長している。
いや、そんな事より何よりも、秋葉に施されている処置。
それが被虐美ともいうべきものを演出し、否応無しに見る者の心に潜むサデ
ィスチックな部分を強く引きずり出さずにはおかない。
捲り上げられた秋葉の体操服。
下着を着けていない為、遮られる事無く露出した白い肌。
何ものにも守られる事無く晒された、薄い胸、小さな乳首。
なかば脱がされかけた小豆色のブルマー。
剥き出しになった白いショーツ。
そしてその半裸の姿を隠そうとしても、後ろ手で縛られ腕は自由が利かない。
手だけではなく、その拘束は下半身全体に及んでいた。
細いロープが秋葉の下腹部を這い回り、大事な部分を覆うショーツのおかげ
で直接は触れないものの、秋葉の秘裂にも縄は掛けられ食い込んでいた。
それもただ薄布ごと秘裂を圧迫するだけではなく、要所には結び目が作られ、
秋葉の敏感な部分をより強く刺激している。
その姿をじっと志貴は眺めている。
見下ろす二人の位置関係。
無言の状態が続くのに、秋葉は耐えがたくなったように顔を上げた。
「兄さん……」
不安と期待という相反する色を同時に湛えた瞳。
志貴は、ああと曖昧に頷き、ベルトをかちゃかちゃと外した。
「後は秋葉がやれ。ご褒美だ」
「はい」
秋葉の目に抑え切れぬ歓喜の色が浮かぶ。
不自由な体勢から、転ばぬようそろそろと身を起こし立て膝になる。
そして、そろそろと志貴の足元ににじり寄った。
正座のような形で兄の前に座し、自分を見ている兄に視線を合わせる。
ちろ、と唇を舐め、その口が開く。
「ご奉仕致します」
秋葉の顔が、開かれた志貴の脚の間に近づく。
ベルトこそ解かれたものの、まだ志貴は制服のズボンを穿いている。
秋葉の口は迷わず、そこへ近づく。
ズボンのファスナーへと。
そしてスライダーの金具を歯で咥えた。
ジーッという音と共にズボンの合わせが開く。
下へと引き下ろす為に、ほとんど秋葉は股間に顔を埋めるようにしていた。
何ともあさましく、ある種惨めな姿ではあった。
しかし、秋葉の顔には依然として嬉しそうな表情しかない。
むしろ、その喜びの度合いは強くなっている。
下着越しではあったが、秋葉をいちばん魅惑して止まぬものが、明らかな発
情の印を浮かべているのを目にしたから。
唇がその膨らみに押し付けられ、舌がやわやわと探る。
その質感と熱と匂い。
それだけで秋葉の愉悦の顔がうっとりとした色を増している。
布地ごと咥えるようにして、秋葉は志貴のペニスをしゃぶり始めた。
「秋葉」
しかし、それに水を刺すように志貴の静かな声が秋葉の耳に届く。
はっとして、顔を上げる秋葉。
「何をしている?」
「私、兄さんのペニスを……」
志貴の表情に秋葉の語尾が小さくなる。
「ああ、それは許してやったな。
だけど、パンツまでおまえの汚らしいよだれでびちゃびちゃにしていいとは
言った記憶がないんだけどな」
「……」
「勝手な真似をするんなら、おまえも……」
「ごめんなさい、兄さん。許して下さい。私、ただ夢中で……」
「どうするかな。別に秋葉にして貰わなくたって」
泣きそうな表情の秋葉を、志貴は冷たい目で見つめる。
「ヘタクソで兄さんを満足させられないかもしれませんが、いつも以上に一生
懸命やります。だから、だから、秋葉から取り上げないで下さい」
「……わかった。だが、手を抜くようなら途中でも止めるぞ」
「ありがとうございます」
ほとんど涙ぐみながら秋葉は答え、兄の気が変わらない内にと再び股間に顔
を埋めた。
慣れた様子で、パンツの前を舌先で探る。
そして、唇と舌とで前の穴を閉じているボタンを外そうと試みる。
「あ、んんッ……」
しかし、なかなかその作業はうまくいかない。
普段よりきついものなのか、布地を唇で咥えて引っ張ろうと、樹脂のボタン
を歯で咥えて捻ろうと、一向に秋葉の思い通りにならない。
秋葉が焦れば焦るほど、無駄に加わった力でボタンはすべり、布地は変に引
き攣れるだけ。
いつ志貴から「なんだ、やりたくないならそう言えば良いのに」などと言葉
をぶつけられるかと思うと、秋葉は半狂乱になりそうになる。
ようやく、前が開いたときには、安堵のあまり泣き出しそうだった。
先ほどは間接的に触れただけの志貴のペニスが覗く。
秋葉く唇を寄せて、ペニスの裏へと舌をねじ入れた。
そのまま上へと這い上がり、志貴の亀頭を前へと押し倒そうとする。
しばらく悪戦苦闘した挙句、突っ張ったペニスを小さなパンツの穴から出す
のは無理と判断し、今度は直接幹を咥えて引っ張り出しに掛かった。
こちらもかなり無理な行為ではあったが、なんとか手を使わず口だけで成功
する。
「兄さんの……」
嬉しげに呟くと、待ちきれぬかのようにいきなり口に含んだ。
ちゅぷと水音と共に、一気に半ばまでが口に消える。
志貴の押さえ切れぬ呼気と、溜息まじりの秋葉の呼気が混ざる。
そして、秋葉の熱のこもった口戯が始められた。
飽く事無く、秋葉の顔が動き、唇の輪が志貴のペニスを締め付け擦りたてて
いた。
頬ももごもごと動き、口中では舌が蠢いているのが見て取れる。
志貴は何もせず、妹の奉仕に身を委ねたままだった。
「いいぞ、秋葉」
そっけない褒め言葉だが、秋葉の目が輝き、いっそう身を入れた奉仕となっ
て志貴へと返される。
呻き声を洩らしつつ、志貴は視線を上げて右隅へと向けた。
今までまったく注意が払われなかった片隅。
そこには……。
「そっちはどう、先輩?」
問うような声。
つまらなそうな響き。
「遠野くん……」
湿った弱々しい声。
そしてそれに相応しい泣きそうな表情。
シエルであった。
その隅には常ならぬ雰囲気のシエルがいて、志貴を見つめていた。
「すっかり忘れていたよ、先輩のこと」
「……」
酷い言葉であった。
しかしシエルの顔にはそれに傷つくよりも、僅かにほっとしたような色が浮
かんでいた。
完全に無視された状態から、志貴に目を向けられた為だろうか。
「で、どうなの? もしかして、秋葉に夢中になっている間にイッちゃった?
それなら申し訳なかったけど、先輩はイク時に恥かしくなるほど声を張りあ
げるものね、はしたなくさ。聞き逃す事は無いと思うけど」
「……ま、まだです」
「ふうん?」
舌打ちじみた音が洩れる。
シエルを見据える志貴の目が、硬いものに変わっていく。
「……遠野くん、あの」
「罰だってわかってるんだろうね、先輩?」
何か言いかけたシエルの言葉を潰すように、志貴の硬質な声が吐き出される。
シエルは何も言えず黙る。
それがさらに気に障ったように、志貴は言葉を続ける。
「言いつけ一つ聞けないとはね、呆れたよ。
まあ、そもそもが淫乱で歯止めが利かないシエル先輩に、我慢なんて求めた
事自体、俺が馬鹿だったんだろうけどな。
雌犬みたいな秋葉だって、言われた事くらいはきちんと守るのにな」
これ見よがしに、股間に顔を埋める秋葉の頭を撫でて見せた。
雌犬と言われた事は気にせず、兄の可愛がりに秋葉は嬉しげにしている。
「準備しておとなしく待ってろって言ったよね、先輩に。
それとも、勝手に待ちきれず一人で始めていたのは、あれは先輩の準備のつ
もりだったのかな。
こっちが何もしないうちから出来上がってびしょびしょに濡らしてさ、まっ
たく興ざめだよ。
さっきは黙って何も言えなかったけど、何か言い訳できるなら言ってみなよ」
「……」
「何もないの? 頭脳明晰なシエル先輩ともあろう御方が、一人で待ち切れな
いで自慰に耽っている処を後輩に見つかって、それの明快な理由一つ説明でき
ないって事はないでしょう?」
「ごめんなさい、遠野くん。わたし、遠野くんの来るのが待ちきれなくて、そ
れで勝手な真似を……」
ぼそぼそと言うシエルに失望したように、志貴は顔を振る。
「いいよ、もう。で、罰の方はどうなったの?
せっかくそんなに道具まで使ってあげたのに、何を遊んでいるのさ?」
志貴の視線に、ぴくんとシエルの体が動く。
シエルもまた、秋葉と負けず劣らず淫猥な姿になっていた。
奇しくも同じ体操服姿。
もっとも学年色の違いでブルマーや体操服の袖口などは、秋葉の小豆色を基
調とするものに対し、シエルのそれが濃紺のものであったが。
そして秋葉が下半身のみとは言え緊縛姿であったのに対し、見方によっては
シエルはより無惨な姿であった。
少なくとも体の拘束はなく、二本の足で立ってはいる。
しかし、ややふらつき気味で、小刻みに体を震わせていた。
さっきからシエルが黙っている時も、口を開いている時も、絶え間なく、何
処から小さな雑音のようなものが聞こえていた。
あえて言えば、虫の羽音のようなヴーンと空気を震わすような音。
それはシエルの体から洩れていた。
秋葉と同じく、シエルも体操服の下の肌には何もつけておらず、大きく捲り
上げられている為、なだらかな腹部や、形良く盛り上がった胸は丸見えになっ
ていた。
下半身を見ると、ブルマーは膝まで下ろされている、いやショーツも一緒に
下ろされている。かろうじて最後の一枚を残されていた秋葉と異なり、シエル
は完全に全てを晒していた。
そして、そこから異様なモノが垂れ下がっていた。
赤いビニール皮膜の線、端的に言えばコードの類い。
それが何本もシエルの太股の間から伸びている。
それぞれ線の先は小さな樹脂のケースに続いている。
異音はもう一方の端から洩れ出ていた。
シエルの潤んだ秘裂の奥、そして後ろのすぼまりの奥。
要はシエルの性器と二次的な性器は、ローターが幾つも突っ込まれ、ずっと
動き振動を中から伝えていたのだった。
その微弱な刺激によって、シエルの太股は反応し、光るモノが滴り、飛滴と
なって時に弾けていた。
「罰として、立ったまま先輩がイッちゃう処を見せてくれって言ったのに。
それもわざわざ親切にも手助けしてあげてさ、それなのに先輩は一向に俺の
こと愉しませてくれないんだものなあ」
その言葉は間違いではない。
ただし、志貴はバイブや指でさんざんシエルを嬲った挙句、こうしてシエル
を立たせていた。
イク寸前まで高められ、ぎりぎりで熱を冷まされた体には、微弱に動くロー
ターの刺激はまったく物足りないものだった。
もう少し、もう少しだけ何かあれば……、ずっとシエルはそう思いながら、
もどかしさにおかしくなりそうになっていた。
志貴の叱責の言葉に、さらにあせりを感じていた。
シエルの指がそっと動いた。
下腹部へ、合わせへと伸びようとする。
「先輩?」
もう少しで陰核へと届くというタイミングで志貴の声が、シエルに届く。
ビクリとシエルの体が強張る。
「ダメだって言ったよね。自分で弄っちゃ」
「ご、ごめんなさい」
「仕方ないなあ。この程度じゃ興奮が足りないんだね。
じゃあさ、少し校庭でも走ってみる?
その格好で走ったら、みんな喜ぶよ」
むしろ優しげと言っていい志貴の声。
それがかえってシエルの顔に怖れの色を浮かべさせる。
震える唇から小さく声が洩れた。
「嫌……」
「じゃあ、先輩の教室でも行って、残ってるクラスメイトに先輩がどんなに淫
乱な変態か教えてあげようか。なんなら、先輩が最後までイケるように手伝っ
て貰ったらいいよ。手伝うだけですまないかもしれないけどね」
「嫌、嫌です……」
シエルはぶるぶると震えて必死に首を左右に振る。
その顔を薄ら笑いを浮かべて志貴は見つめ、さらに視線を落として冷笑の度
合いを深めた。
「嫌がってても、さっきより濡らしちゃって……。
本当に、シエル先輩は呆れかえる程の変態だよ」
志貴の侮蔑の言葉にシエルは打ちのめされた顔をして、しかし涙ぐんだその
顔は確かに愉悦にも似たものを浮かべていた。
そして志貴は……。
その時、きちんと畳まれたシエルの制服から、アラーム音が鳴った。
「あれ、先輩、今何時?」
「ええと、六時になりましたね」
「うわあ」
志貴の嗜虐的な雰囲気は消え去っており、シエルの被虐的な雰囲気もまた薄
れていた。
「ねえ、もうそろそろ帰、痛い、いたたた、秋葉、痛いってば」
悲鳴が上がる。
志貴が視線を下に向けると、秋葉の視線とぶつかる。
明らかに秋葉の目は怒気を含んでいる。
秋葉は志貴のペニスに歯を立てていた。
ひとしきり志貴に悲鳴を上げさせ、その圧迫は消えた。
「んんッ。……兄さん、何ですか、ちゃんとやって下さい」
「そうですよ、遠野くん。思わずわたしも素に返ってしまったじゃないですか」
多少勢いを衰えさせたペニスを口に出し、秋葉は不満げに言葉を口にした。
シエルもまた、眉を顰めてそれに同調する。
「だってさ……」
「何がだってなんです」
「ノリが悪いですよ、今日の遠野くん。いつもならもっと秋葉さんの事、泣くま
でねちねちと苛めたり、わたしの事をもっともっと最低の淫乱だって口汚く罵っ
てくれるのに……」
秋葉は拘束をものともせず、立ち上がる。
シエルもまた、股間から機械音を洩らしたまま近寄って来た。
志貴が溜息をつく。
「だからさ、いい加減、それ嫌になってきたんだってば」
志貴のしみじみとした声に、秋葉とシエルが少し鼻白む。
「ちょっとマンネリ気味だったかしら」
「そ、そうですね。遠野くんに苛められるのが嬉しいものだから、つい……」
「だったら、兄さん、今度は屋上でまた露出とか……」
「いえいえ、放課後の教室というのが魅惑的ですよ。ね、遠野くん」
志貴は頷かない。
「いや、そういうのじゃなくてさ、もっと普通のさ。だいたい二人同時にっての
もどうかなって……」
さっとシエルと秋葉の雰囲気が変わる。
友好的だったそれが、急に殺伐としたものに。
志貴はしまったという顔をするが、二人は志貴よりむしろ相手を見つめている。
「なるほど、しばらく秋葉さんには遠慮して貰いましょうか」
「兄さんは私一人がいいと言っているのがおわかりになりませんか?」
「いや、そうじゃなくて、あの……」
志貴の遠慮がちな声に、シエルと秋葉がちらと視線を向ける。
「まあ、この話は後で」
「ええ、賛成です」
「このままじゃ帰れませんから」
「同感ですね」
頷きあう二人に、志貴はほっとしたものかどうか迷いの表情。
「ええと……」
「兄さん!」
「遠野くん!」
秋葉とシエルが強い表情で志貴に迫る。
その迫力に志貴は言葉を失う。
「もっと私を」
「早くわたしを」
ずいっ。
「陵辱して下さい」
最後は言葉がはもった。
がたんと椅子ごと倒れ込んだ志貴。
言葉とは裏腹に、怯えすら含んだ志貴を見下ろす二人の少女。
さながらそれは獲物のカエルを見つめる蛇の如き視線で……。
それからとっぷりと夜も暮れて、魔宴とも称すべきねっとりと濃厚な淫靡な
時間がようやく幕を閉じた。
シエルと秋葉の髪も顔も体もねとねとの淫液に汚され、暴虐の跡を色濃く留
めていた。野獣の如き雄の蹂躙に打ちのめされ、喘ぎ、泣き叫び、前と言わず
後ろと言わず何度となく犯され自由にされ、最後は声もなくただ、体をひくひ
くと痙攣させるのがやっとな状態。
人としての尊厳を奪われ、ただ快楽の道具として使われ弄ばれた果て。
「じゃあ放課後シリーズはしばらくやり収めと言う事で」
「堪能しましたしね。今度は兄さんを少し調教する方向とかも面白いかも……」
「そうですね、また何か考えてみましょう」
しかしながら、何故かシエルと秋葉は共に満ち足りた顔をしていて、ひそひ
そと密談を交わしていた。
一方の志貴はやつれ果て、死にそうな顔で倒れ伏しているのであった……。
そんな放課後の淫靡な一時。
END
―――あとがき
何とは無くもう一本。
最初のがどうにも無駄に長くて、溜息が出るような出来だったので……。
じゃあ今回のは簡潔にして上手くまとまった自信作かと問われると黙って視
線を泳がせざるをえないのですが。
やっぱりブルマーはどうも苦手です。
脱がした処から始めるのも悪いのだろうなあ。
あと実はタイトルで凄く困ったりして。
放課後と体育倉庫の二語を外そうとすると、何故かフランス某とか、マドン
ナ某とかみたいなのしか浮かばないという……。
と言った言い訳じみた作品をお読み頂き多謝であります。
by しにを(2002/10/14)
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